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終局裁判

該当件数:286件

1 尾田信夫 66.12.5
(朝日66.12.6朝)
68(昭43).12.24
福岡地裁
(西日本68.12.24夕)
70(昭45).3.20
福岡高裁
(西日本70.3.20夕)
70(昭45).11.12
最高裁
昭45(あ)721
裁判所ウェブサイト
いわゆるマルヨ無線強盗殺人放火事件。マルヨ無線川端店に元店員の尾田死刑確定者と少年が押し入り、店員2人をハンマーで殴るなどして重傷を負わせ、現金を奪って逃走。その際に石油ストーブを転倒させて放火し、店員1人を焼死させたとされる。捜査段階の自白などから有罪となる(読11.8.24夕)。動機は尾田死刑確定者が現場で働いていた時の処遇で抱いた恨みや金銭欲と認定された(朝日16.12.31朝)。尾田死刑確定者は死因の一つとされる放火を否認。一審公判審理中、約2か月間公判手続きが停止され、精神科の病院に強制入院させられた。病状回復した直後に脱走、翌日収監された(西日本68.12.24夕)。99年第6次再審請求(朝日99.1.13朝)。2016年12月時点で第7次再審請求中。2023年2月、弁護団は、福岡地検が新たに五十数点の証拠を開示したと公表。それまで地検が「存在しない」と説明していた証拠も含まれているという(読23.2.22 15:00)。謝罪の気持ちと無罪への執念をつづった手記の一部が新聞に公開されている(朝日16.12.31朝)。逮捕時(66.12.27)20歳(読66.12.27夕)。
2 奥西勝 病死
15.10.4
享年89歳
肺炎
(読15.10.5朝)
61.3.28
(一審判決)
無罪
64(昭39).12.23
津地裁
昭36(わ)96
下級刑集6巻11・12号1426頁
判時401号6頁
TKC
69(昭44).9.10
名古屋高裁
昭40(う)78
判時576号22頁
TKC D1-Law
72(昭47).6.15
最高裁
昭44(あ)2560
裁判所ウェブサイト
いわゆる名張毒ぶどう酒事件。名張市の公民館で開かれた地域の懇親会で、参加者のぶどう酒に農薬を混入、女性5人を殺害したほか、12人を中毒症状に陥らせたとされる。捜査段階で自白したが、起訴前に否認に転じた。再審請求を繰り返し、2005年4月5日には第7次再審請求で名古屋高裁が再審開始を決定するも、検察官が即時抗告して取り消され、請求棄却が確定。第9次再審請求中に病死(読15.10.5朝)。2015年11月6日、遺族が第10次再審請求(読15.11.7朝)。2017年12月に名古屋高裁が請求棄却し、遺族が異議を申し立てた。2019年8月、弁護側は、当時の住民らの証言によって、奥西死刑確定者には事件現場で毒物を混入したとされる1人きりになる時間はなかったはずだとして重大な事実誤認を主張する補充意見書を名古屋高裁に提出した(毎19.8.8中部朝)。2020年9月、弁護団が、名古屋高裁がぶどう酒の瓶の蓋に貼られた封かん紙の紙片の再鑑定を許可しており、すでに再鑑定が開始されていることを支援者集会で明らかにした(読20.9.12中部朝)。同年10月、封かん紙が貼り直されたことを示す鑑定結果を新たな証拠として名古屋高裁に提出した(毎20.10.29中部朝)。2020年12月、弁護団が名古屋高裁宛てに、検察側が保有している証拠を名古屋高検に開示させるよう求める書類を提出(毎20.12.23中部朝)。2021年11月、弁護団は、混入された毒物が確定判決が認定した「ニッカリンT」ではないとする専門家の鑑定書を名古屋高裁に提出。弁護団は、鑑定書に基づき、混入された農薬は「三共テップ」の可能性が高いと主張(毎21.12.2地方)。2022年3月3日、名古屋高裁は再審開始を認めない決定を出した(朝日22.3.3夕)。これを不服として、奥西死刑確定者の遺族が最高裁に特別抗告し(朝日22.3.10朝)、最高裁第3小法廷は、2024年1月29日付けで「科学的根拠のある合理的なものとは言えないとの(名古屋)高裁決定は相当」として、再審開始を認めない決定を出した。裁判官5人のうち4人の意見であったが、これに対し、宇賀克也裁判官は、鑑定に信用性が認められるとして再審を開始すべきだとする反対意見を出している(東京24.1.30 13:20)。
2022年12月、再審請求弁護団の弁護士が、奥西死刑確定者に関する「死刑執行上申書」を法務省が開示しないのは違法だとして、国に開示を求めて名古屋地裁に提訴した。2021年5月に開示請求したが法務省は不開示の決定を出したという(中日23.3.25朝)。
3 富山常喜 病死
03.9.3
享年86歳
慢性腎不全と高血圧の持病あり
(読03.9.3夕)
63.8.26
(一審判決)
66(昭41).12.24
水戸地裁土浦支部
昭38(わ)162等
下級刑集8巻
12号1582頁
TKC
73(昭48).7.6
東京高裁
(読73.7.6夕)
76(昭51).4.1
最高裁
昭48(あ)1830
裁判所ウェブサイト
いわゆる波崎事件。内妻のいとこの男性に保険金をかけ、青酸化合物入りカプセルを鎮静剤と偽って飲ませて殺害したとされる。捜査段階から否認。控訴審東京高裁は内妻の親類2人への殺人未遂事件は無罪としたが、男性殺害については死刑を支持。2回にわたって再審請求したが、棄却された(読03.9.3夕)。物証、自白なし。第3次再審請求準備中に病死。死亡前年には国会で刑務所などの医療問題を取り上げていた国会議員が民間の病院の医師とともに面会し、外部病院へ移送すべきと指摘。代理人弁護士も移送を申し入れていたが、法務省は応じないままだった(朝日03.9.4朝)。
4 大濱松三 74.8.28
(一審判決)
75(昭50).10.20
横浜地裁
小田原支部
昭49(わ)310
判タ329号117頁
TKC D1-Law
(読75.10.20夕)
控訴取下
76(昭51).10.5
事件の終了を宣言した決定76(昭51).12.16
上記決定に対する異議申立の棄却決定77(昭52).4.11
東京高裁
昭50(う)2621
裁判所ウェブサイト
(朝日77.4.12朝)
いわゆるピアノ騒音殺人事件。「ピアノがうるさい」と同じ団地に住む母子3人を殺害。弁護側は、被害者から刺されるのではないかとの恐怖にかられた異常な精神状態からの犯行であること、犯行当時は善悪の弁識に従って行動する能力が著しく減退していたことを主張して減刑を求めたが、判決は「悔悟の情を示していない」として死刑。弁護人が控訴したが、本人が「音が耐えられない」と控訴取り下げ、弁護人が取下無効を主張して異議申し立てしたが、本人の意思が有効であると棄却され、死刑が確定した。逮捕時(74.8.31)46歳(読74.8.31夕)。
5 矢部光男 執行
87.9.30
享年35歳
(「沈黙の声」26号)
76.6.14
(朝日77.3.24夕)
77(昭52).3.24
千葉地裁
(朝日77.3.24夕)
79(昭54).3.15
東京高裁
(毎79.3.15夕)
80(昭55).3.11
最高裁
昭54(あ)780
裁判所ウェブサイト
(朝日80.3.11夕)
いわゆる民宿母子殺し事件。仕事の関係で宿泊した民宿の経営者の妻に乱暴しようと考え、妻の部屋に忍び込んだところ気づかれて騒がれたため、頭を殴るなどして失神させて乱暴。そのあと首を絞めて殺害、添い寝していた長女(当時9か月)が泣き出したため絞め殺し、2人の遺体を押し入れに隠し、そ知らぬふりをして階下で寝ていた。判決は「この10年に別の幼児殺人を含め、3人のいのちを奪いその後も反省がみられないことはもはや矯正は不可能」とした(朝日77.3.24夕)。執行日については、村野薫『日本の死刑』(柘植書房、1990年)95頁にも、死刑執行年月日として「1987.9.30」との記載がある。
6 近藤清吉 執行
93.3.26
享年55歳
(読93.3.28朝)
70~71
(毎93.3.28朝)
74(昭49).3.29
福島地裁白河支部
(読74.3.30朝)
77(昭52).6.28
仙台高裁
(TKC掲載情報より)
80(昭55).4.25
最高裁
昭52(あ)1348
裁判所ウェブサイト
いわゆる山林売買強殺事件。知り合いと共謀し交通事故を偽装した保険金殺人を犯したほか、別の男性を殺して現金を奪ったとされる(読93.3.28朝、産93.3.28朝)。保険金殺人については「事故死」を主張(毎93.3.28朝)。
7 渡辺健一 不明
(*備考欄参照)
75.8.23
(朝日77.9.6夕)
77(昭52).9.6
大阪地裁
(毎77.9.6夕)
78(昭53).3.31
大阪高裁
(TKC掲載情報より)
80(昭55).11.6
最高裁
昭53(あ)787
裁判所ウェブサイト
(朝日80.11.6夕)
いわゆる寝屋川若夫婦強殺事件。元タクシー運転手。雇用保険を不正に受給したことが発覚して返済を迫られていたため、以前客がタクシーに置き忘れた鍵を使って住居に侵入。室内を物色中に家人に見つかり、持っていた手斧で夫婦の全身をめった切りにした。朝方いったん息を吹き返した妻に再度とどめを刺すなど、犯行が残忍として死刑とされた。渡辺死刑確定者本人は犯行を終始認めていたが、一審弁護人は大量の飲酒による心神喪失または心神耗弱を訴え、また、病院に運ばれた夫の死因は手当てをした医師が血液型を書き間違えたための輸血ミスであると主張したが(朝日77.9.6夕)、いずれも認められず死刑が確定した。執行日については、村野薫『日本の死刑』(柘植書房、1990年)95頁に、死刑執行年月日として「1988.6.16」との記載があるが、同書にその出典は明示されていないため、当サイトでは現在のところ「不明」としている。
8 袴田巌 66.6.30
(読81.4.21朝)
68(昭43).9.11
静岡地裁
昭41(わ)329
D1-Law
(朝日68.9.11夕)
76(昭51).5.18
東京高裁
(読76.5.18夕)
80(昭55).11.19
最高裁
昭51(あ)1607
裁判所ウェブサイト
いわゆる袴田事件。みそ会社専務宅が全焼し、焼け跡から一家4人の他殺体が見つかった事件。従業員だった袴田元被告人が逮捕されるも容疑を否認していたが、連日一日平均約12時間の取り調べの末、捜査段階の終盤で自白。公判では一転無罪を主張。一審判決では、売上金を奪おうと物色中に家人に発見されたために殺害、放火に及んだとされた。
2014年3月27日、静岡地裁は再審開始を決定、同日釈放された(静岡地裁 平20(た)1)。検察側が即時抗告し、再審開始決定の根拠となったDNA型鑑定の信ぴょう性について協議がなされていたが(読17.3.27朝)、2018年6月11日東京高裁はDNA型鑑定の有用性には深刻な疑問がある等として再審開始を取り消す決定をした。一方、刑の執行停止と釈放を命じた地裁の決定は取り消されなかった(読18.6.11)。同月18日に弁護団側が特別抗告(朝日18.6.19朝)、2019年7月新たな補充書を最高裁に提出(朝日19.7.17静岡朝)。同年12月6度目の理由補充書を提出(中日19.12.11朝)。同月、袴田死刑確定者を支援する複数の団体が早期の再審開始を求める要請書を最高裁に提出(中日19.12.13朝)。2020年12月22日、最高裁第3小法廷は「高裁決定は、弁護側が提出した新証拠について審理を尽くしたとは言いがたく、著しく正義に反する」として東京高裁決定を取り消し、審理を高裁に差し戻す決定を出した。高裁決定の取り消しは裁判官5人全員が一致し、さらに2人は「再審を開始すべきだ」との反対意見を述べた。小法廷は、高裁と同様にDNA型鑑定の信ぴょう性を認めなかったが、弁護側が提出した血痕が付いた衣類をみそタンクに漬けた再現実験に着目、逮捕された後に衣類がみそタンクに入れられた可能性があると指摘し、高裁ではその点について審理が尽くされていないと判断した(最高裁第3小法廷 決定 平30(し)332号)。2021年6月、東京高裁で差戻審の三者協議が行われ、弁護側は、血液を付着させた布を複数の条件下でみそに漬け、「赤みは残らなかった」とする実験結果を提出した(毎21.6.27静岡)。これに対して検察側が反論する意見書を提出(毎21.8.13静岡)。これに対して弁護側が矛盾を指摘、さらなる説明を検察側に求めた(毎21.9.5静岡)。2022年11月、検察側が1年2か月続けてきた「みそ漬け実験」を裁判長と弁護団が色合いの確認作業に立ち会った。弁護団によると「(血痕の)赤みは全く消えている」という(静岡新聞22.11.3)。同年12月、東京高裁で差戻審の審理が終了、審理の前には袴田死刑確定者も裁判官と面会した(朝日22.12.6朝)。2023年3月13日、東京高裁は、原審で提出されたみそ漬け実験報告書等について「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に該当するとした原審の決定の判断に誤りはないとして、再審開始を認める決定を出した。みそ漬け実験等については、検察官が実施した実験によって赤みが残らないことが一層明らかになったと評価し、5点の衣類については、事件から相当期間経過した後に捜査機関以外の第三者によってタンク内に隠匿してみそ漬けにした可能性が否定できない、事実上捜査機関の者による可能性が極めて高いと思われる、と指摘した(朝日23.03.14朝)。この決定の後、弁護団が東京高検に特別抗告断念を求める申入書を提出した他、弁護団によるオンライン署名や日本プロボクシング協会の「ツィッターデモ」、超党派の国会議員の連盟も法務省に申し入れを行うなどして東京高検に対して特別抗告の断念を求める声が広がった(朝日23.3.18朝)。東京高検は「承服しがたい点があるものの、法の規定する特別抗告の申し立て事由が存するとの判断に至らず、特別抗告しない」(東京高検次席検事)として特別抗告を断念、再審開始が確定した(朝日23.3.21朝)。
再審公判は2023年10月27日から始まった(朝日23.10.27夕)。同年12月20日で公判は5回目となり、検察側は、5点の衣類のほかにも犯人とする根拠が複数あり、動機もあると主張した(朝日23.12.21朝)。2024年4月17日、第13回公判で、弁護側は、法医学者による鑑定を基に、犯行着衣とされた衣類に付着する血痕のDNA型が「袴田さんと一致しない」と主張した(福井新聞24.4.17 16:34)。また、被害者遺族が意見陳述を申し出ているという(北国新聞24.4.17 09:31)。
2019年2月、誤判の蓋然性が高いことなどを理由に恩赦を出願(毎日19.3.21西部朝)。2020年1月15日特別基準恩赦に出願。通常恩赦を含めると4度目の恩赦出願になる(毎20.1.16静岡)。2007年、一審静岡地裁の元裁判官が実名を明かしたうえで、無罪の心証を持ちながらも合議の末に死刑判決を書いたと告白、その後、袴田元被告人と面会を果たした(朝日18.1.16朝)。再審を判断するための第三者機関の設立などを目指す「冤罪犠牲者の会」(2019年3月2日結成)に参加(朝日19.3.3朝)。同年12月、事件の概要をまとめ、再審請求の最新情報を盛り込んだ冊子を作成(中日19.12.4夕)。2020年5月、袴田元被告人を支え続ける姉秀子さんの半生を漫画で描いた「デコちゃんが行く 袴田ひで子物語」が出版された(朝日20.5.11朝)。同年8月、支援者らが再審請求の支援のためにクラウドファンディングで資金集めを開始、目標を大きく超える1806万円が集まった(朝日20.10.21夕)。2020年、袴田元被告人が作成し1977年に最高裁へ提出された上告趣意書が編纂され、「袴田さん支援クラブ」で公開された。その中には「私は最高裁の公正かつ神聖と正義を信じたい。その意味で、我々は本件審理過程を国民に情宣し、一般大衆の審判を同時に仰ぎたい。そして高裁のインチキ判決を徹底的に糾弾しなければ、裁判において正義が滅びることになる。国民にとって、これほど悲しむべきことはない。」と書かれており、高裁判決に対する反論が様々な観点から書かれている。逮捕時(66.8.18)30歳(読66.8.19朝)。
9 小島忠夫
(旧姓名
斎藤忠夫)
執行
93.11.26
享年61歳
(朝日93.11.28朝)
74.8.6
(読81.3.19夕)
75(昭50).9.17
釧路地裁
(北海道75.9.17夕)
77(昭52).8.23
札幌高裁
昭50(う)215
(WestLaw掲載情報より)
81(昭56).3.19
最高裁
昭52(あ)1595
裁判所ウェブサイト
(読81.3.19夕)
いわゆる釧路薬局一家殺人事件。旧姓斎藤。釧路市内の薬局一家3人を殺害して現金などを奪った。「極度の疲労で起こした事件」と責任能力の認定に誤りがあると主張して再審請求したが、棄却された(朝日93.11.28朝) 。
10 小野照男 執行
99.12.17
享年62歳
(読99.12.17夕)
77.9.24
(読81.6.16夕)
78(昭53).9.18
長崎地裁
(長崎78.9.19朝)
79(昭54).9.25
福岡高裁
(TKC掲載情報より)
81(昭56).6.16
最高裁
昭54(あ)1736
裁判所ウェブサイト
(読81.6.16夕)
いわゆる長崎雨宿り殺人事件。65年に起こした殺人事件で懲役13年が確定して服役、76年に仮釈放され、翌年9月に雨宿りをさせてもらうために女性宅に上がり込んで乱暴し、殺害、現金を奪った(読99.12.17夕)。その前に知人宅から現金を盗み、豪遊した結果金を使い果たしていた。女性宅で強盗殺人を犯した後もクラブなどを飲み歩き、国道で酔って寝ているのを警官に見つかって犯行が判明(長崎78.9.19朝)。上告審で無罪を主張。再審請求中に死刑が執行された(読99.12.17夕)。法務省は「全く同じ理由でたびたび請求が繰り返されている場合は、再審を開始すべき理由がないとして、執行もあり得る」と説明(朝日99.12.18朝)。また、臼井法相(当時)は、「当然棄却が予想される場合は刑の執行もやむを得ない」との方針も明らかにした。また、法相は、執行直前の13日に弁護人が長崎地裁に再審請求書を送付したことも知っていたと述べていたが(産00.3.15大阪朝)、執行直後に法相と話をした議員によると、法相は執行命令書に判を押した後に弁護人から再審請求補充書が提出されていたことを知らなかった様子だったという(季刊刑事弁護No22. 86~88頁)。
11 立川修二郎 執行
93.3.26
享年62歳
(朝日93.3.27夕)
71.1.12 /72.7.1
(一審判決)
76(昭51).2.18
松山地裁
昭49(わ)440等
刑裁月報8巻1・2号44頁
TKC D1-Law
79(昭54).12.18
高松高裁
(TKC掲載情報より)
81(昭56).6.26
最高裁
昭55(あ)142
最高裁ウェブサイト
いわゆる保険金目当実母等殺人事件。土地売買で横領した金を弁済するため、母親を殺して保険金をだまし取ろうと計画、母親殺害後姉と共謀してひき逃げ事故にみせかけて保険金をだまし取り、さらに兄とも共謀して母殺しを知った妻を絞殺したとされる。姉と兄は懲役15年が確定。3年4か月にわたって停止していた死刑執行が立川死刑確定者らの執行から再開された(朝日93.3.27夕)。初公判で「母親は交通事故死で、殺人は絶対にしていない」と全面否認(朝日75.2.25朝)。
12 関幸生 執行
93.11.26
享年47歳
(朝日93.11.28朝)
77.12.3
(読78.6.4朝)
79(昭54).5.17
東京地裁
(読79.5.17夕)
82(昭57).9.1
東京高裁
(読82.9.1夕)
いわゆる世田谷老女強殺事件。知人とともに世田谷の一人暮らしの老女を絞殺、遺体を川に投げ捨て、土地の権利証などを奪って約7000万円の土地を売却した(読79.5.17夕)。捜査段階で全面的に自白(読78.6.3夕)。上告せず確定(読93.11.27夕)。
13 藤岡英次 執行
95.5.26
享年40歳
(読95.5.27朝)
78.11.12 /12.16
(読83.4.1夕)
83(昭58).4.14
徳島地裁
(読83.4.14夕)
控訴取下
83(昭58).5
(読95.5.27朝)
確定は同月2日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる徳島二老人殺人事件。金欲しさから徳島県池田町と徳島市で行きずりの老人2人を殺害、現金2800円を奪った(読83.4.14夕)。本人控訴取り下げ。確定後、「池田町の殺人はやっていない」として再審を請求したが、それも取り下げた(読95.5.27朝)。
14 出口秀夫 執行
93.11.26
享年70歳
(読93.11.27朝)
74.7.10/10.3
(朝日74.11.7朝/74.11.6朝)
78(昭53).2.23
大阪地裁
昭49(わ)2625号
(TKC掲載情報より)
(読78.2.23夕)
80(昭55).11.28
大阪高裁
昭53(う)443
判タ443号157頁
TKC D1-Law
84(昭59).4.27
最高裁
昭56(あ)341
裁判所ウェブサイト
(読84.4.28朝)
いわゆる大阪電解事件。刑務所服役中に知り合った坂口徹死刑確定者と共謀、勤務する会社の当座預金から大金を入手する目的で、上司である会社幹部2名がこれを持ち逃げしたように装うために、この上司2名を絞殺したうえ埋立地に遺体を埋めて失踪を装った。出口・坂口死刑確定者は、互いに相手が主犯であり自分は幇助的な立場で関与したに過ぎないと主張したが、判決は、互いに協力して犯行を遂行しており、いずれが主従であるとは言えない、とした。
15 坂口徹 執行
93.11.26
享年57歳
(読93.11.27朝)
74.7.10
/10.3
(朝日74.11.7朝/74.11.6朝)
78(昭53).2.23
大阪地裁
昭49(わ)2625号
(TKC掲載情報より)
(読78.2.23夕)
80(昭55).11.28
大阪高裁
昭53(う)443
判タ443号157頁
TKC D1-Law
84(昭59).4.27
最高裁
昭56(あ)341
裁判所ウェブサイト
(読84.4.28朝)
いわゆる大阪電解事件。刑務所服役中に知り合った坂口徹死刑確定者と共謀、勤務する会社の当座預金から大金を入手する目的で、上司である会社幹部2名がこれを持ち逃げしたように装うために、この上司2名を絞殺したうえ埋立地に遺体を埋めて失踪を装った。出口・坂口死刑確定者は、互いに相手が主犯であり自分は幇助的な立場で関与したに過ぎないと主張したが、判決は、互いに協力して犯行を遂行しており、いずれが主従であるとは言えない、とした。
16 川中鉄夫 執行
93.3.26
享年48歳
(朝日93.3.28朝)
75.4.3
~77.8
(朝日84.9.13夕)
80(昭55).9.13
神戸地裁
(読80.9.13夕)
82(昭57).5.26
大阪高裁
(TKC掲載情報より)
84(昭59).9.13
最高裁
昭57(あ)932
裁判所ウェブサイト
(朝日84.9.13夕)
いわゆる近畿連続殺人事件。兵庫県や三重県で民家に忍び込んで3人を殺害。その他、1人殺害を含む16件の強盗殺人、同未遂事件を重ねた(読93.3.28朝)。一審では一家4人殺傷については否認したが、控訴審で犯行を認める(読81.11.20夕)。3年4か月にわたって停止していた死刑執行が川中死刑確定者らの執行から再開された(朝日93.3.27夕)。執行後、弁護人が「精神障害の状態があり、しかも、再審請求の準備中だった」と抗議文を発表。拘置所からも精神分裂病の疑いがあると診断を受けていたという(毎93.3.29夕)。
17 安島幸雄 (旧姓名 小山幸雄) 執行
94.12.1
享年44歳
(読94.12.2朝)
77.4.16
(読77.4.17朝)
78(昭53).3.8
前橋地裁
(読78.3.8夕)
80(昭55).2.20
東京高裁
(読80.2.20夕)
85(昭60).4.26
最高裁
昭55(あ)493
裁判所ウェブサイト
(朝日85.4.26夕)
いわゆる群馬3女性殺人事件。多額の借財を抱えながら多数の女性と無軌道な関係を続けて生活に行き詰まり、女性の一人を連れて逃避行に出たが、女性が連れ戻されその知人宅に保護されたため、女性を連れ出そうとし、妨害した女性の妹や知人、さらに連れ出されるのを拒んだ女性も刺殺した。旧姓小山。養父母との外部交通禁止に対する国家賠償訴訟中の死刑執行(読94.12.14朝)。
18 佐々木和三 執行
94.12.1
享年66歳
(読94.12.2朝)
84.9.9
(朝日84.9.10朝)
85(昭60).6.17
青森地裁
(朝日85.6.17夕)
控訴取下
85(昭60).7.2
(朝日85.7.3朝)
いわゆる青森旅館他殺人事件。金を奪おうと旅館の女主人に包丁を突き付けたが騒がれたために刺殺、旅館を飛び出したところに偶然通りかかった通行人も刺殺した。この事件の前に強盗殺人事件を起こし、無期懲役の判決を受けて仮釈放、その後無銭宿泊で逮捕されて83年9月まで服役していた(朝日85.6.17夕)。弁護人が控訴したが、本人が取り下げ、確定(朝日85.7.3朝)。
19 須田房雄 執行
95.5.26
享年53歳
(読95.5.27朝)
86.5.9
(読86.12.22夕)
86(昭61).12.22
東京地裁
(読86.12.22夕)
控訴取下
87(昭62).1.19
(読87.1.20朝)
いわゆる裕士ちゃん誘拐殺人事件。飲食店開業資金を手に入れようと、路上で6歳の男児を誘拐して近くの神社で殺害、その後身代金を要求。受け取りにきたところを逮捕された(読86.12.22夕)。弁護人が説得して控訴したが、本人が取り下げ、確定(朝日87.1.20朝)。
20 大道寺将司 病死
17.5.24
享年68歳
多発性骨髄腫
(朝日17.5.25朝)
71.12
~75.5
(一審判決)
79(昭54).11.12
東京地裁
昭54(合わ)192等
刑裁月報11巻11号1383頁
判時973号24頁
TKC
82(昭57).10.29
東京高裁
昭55(う)264
裁判所ウェブサイト
87(昭62).3.24
最高裁
昭57(あ)1761
裁判所ウェブサイト
(朝日87.3.24夕)
いわゆる連続企業爆破事件。「東アジア反日武装戦線」を名乗り、爆弾闘争の一環として三菱重工ビルを爆破して死者8人を出したほか、天皇暗殺目的で荒川鉄橋天皇特別列車爆破の準備をしたり、日本帝国主義の侵略を象徴するものとして銅像・施設等を爆破するなど、9件の爆破事件などを起こした。公判で殺意は否認したが、未必の故意が認められるとされた。共犯の益永利明 (旧姓名 片岡利明)は死刑が確定、その他の共犯3人は超法規的措置により釈放、出国(朝日87.3.24夕)。2008年12月17日、第3次再審請求(08.12.19夕)。
21 益永利明 (旧姓名
片岡利明)
71.12 ~75.5
(一審判決)
79(昭54).11.12
東京地裁
昭54(合わ)192等
刑裁月報11巻11号1383頁
判時973号24頁
TKC
82(昭57).10.29
東京高裁
昭55(う)264
裁判所ウェブサイト
87(昭62).3.24
最高裁
昭57(あ)1761
裁判所ウェブサイト
(朝日87.3.24夕)
いわゆる連続企業爆破事件。「東アジア反日武装戦線」を名乗り、爆弾闘争の一環として三菱重工ビルを爆破して死者8人を出したほか、天皇暗殺目的で荒川鉄橋天皇特別列車爆破の準備をしたり、日本帝国主義の侵略を象徴するものとして銅像・施設等を爆破するなど、9件の爆破事件などを起こした。公判で殺意は否認したが、未必の故意が認められるとされた。共犯の大道寺将司は死刑が確定、その他の共犯3人は超法規的措置により釈放、出国(朝日87.3.24夕)。2008年12月17日、第3次再審請求(08.12.19夕)。
22 井田正道 執行
98.11.19
享年56歳
(読98.11.19夕)
79.11
~83.12
(毎98.11.19夕)
85(昭60).12.2
名古屋地裁
(朝日85.12.2夕)
87(昭62).3.31
名古屋高裁
(読87.4.15夕)
いわゆる名古屋連続保険金殺人事件。ガソリンスタンド店員の長谷川敏彦死刑確定者と共謀し、知人や雇い人に生命保険をかけたうえ、交通事故を装ったり、海に突き落とすなどして3人を殺害した。行方不明になった金融業者の死体が愛知県・衣浦港にいかり3個が付いたままの状態で浮かび上がったことから一連の保険金殺人が発覚、井田・長谷川両死刑確定者ともに犯行を自白した(朝日85.12.2夕)。上告せず確定。家族や弁護人から上告を勧められていたが、「子供たちのためにも罪を認めて潔く刑に服したい」と上告を拒んでいた(毎87.4.15夕)。共犯の長谷川死刑確定者は1993年に確定。
23 木村修治 執行
95.12.21
享年45歳
(朝日95.12.22朝)
80.12.2
(一審判決)
82(昭57).3.23
名古屋地裁
昭56(わ)144等
判時1242号132頁
TKC D1-Law
83(昭58).1.26
名古屋高裁
昭57(う)139
高刑速(昭58)268頁
TKC D1-Law
87(昭62).7.9
最高裁
昭58(あ)208
裁判所ウェブサイト
(朝日87.7.9夕)
いわゆる女子大生誘拐殺人事件。借金の返済に困り、私立大学の学生を誘拐して身代金を奪うことを計画、家庭教師のアルバイトを求める新聞広告を出していた学生を電話で誘い出して絞殺、遺体を木曽川に捨てた。自己の過ちを悔い、「生きて償っていく機会を奪わないでほしい」と死刑廃止を願い、手記も出版。恩赦出願中に執行された(朝日95.12.22朝)。手記の出版に際して、編集者とあとがきを担当した教授が編集のための接見ができなかったとして3人で国に損害賠償を求めて提訴したが(法学セミナー ベストセレクション525号(43巻9号)pp.1-3)、棄却された(中日00.1.29朝)。
24 秋山芳光 執行
06.12.25
享年77歳
(読06.12.25夕)
75.8.25
(読76.10.5夕)
76(昭51).12.16
東京地裁
昭59(合わ)329等
D1-Law(判決書なし)
80(昭55).3.27
東京高裁
昭52(う)366
判時1284号139頁
TKC D1-Law
87(昭62).7.17
最高裁
昭55(あ)914
裁判所ウェブサイト
(読87.7.18朝)
いわゆる秋山兄弟事件。兄(無期懲役が確定)と共謀して、知人の会社社長をバットで殴り殺し、現金を奪った。また、自分の妻に多額の保険金をかけ、殺そうとしたとされる。上告審において弁護側は妻を狙った殺人未遂を否認、主導的役割を果たしたのは兄であるとして減刑を主張した(読87.5.18夕)。
25 田中重穂
(旧姓名
小宅重穂)
執行
95.5.26
享年70歳
(読95.5.27朝)
76.10.18
(朝日87.10.24朝)
77(昭52).11.18
東京地裁八王子支部
(朝日77.11.18夕)
81(昭56).7.7
東京高裁
(読81.7.7夕)
87(昭62).10.23
最高裁
昭56(あ)1211
裁判所ウェブサイト
(朝日87.10.24朝)
いわゆる東村山署警察官殺人事件。旧姓小宅。住宅の建築資金を得るため、警官を装って政治家の家族を誘拐することを計画、派出所に勤務中の警官を鉄棒で頭などめった打ちにしてナイフで殺害した。被害者は1人だが、以前にも同じような強盗傷人事件を起こしており、今回の事件も他の窃盗事件で執行猶予中であったことから、死刑とされた。捜査段階で「泥棒の下見中に警官に職質され、しつこいので拳銃を奪えば逃げ切れると思った」と供述(読76.10.19朝)。
26 平田直人 執行
95.12.21
享年63歳
(朝日95.12.22朝)
79.3.28
/5.15
(一審判決)
80(昭55).10.2
熊本地裁
昭54(わ)267等
判タ471号234頁
D1-Law
82(昭57).4.27
福岡高裁
昭55(う)587
判タ471号232頁
TKC
87(昭62).12.18
最高裁
昭57(あ)842
裁判所ウェブサイト
(朝日87.12.18夕)
いわゆる女子中学生誘拐殺人事件。金銭詐欺で指名手配されて逃亡中、金に困り、盗みに入った家で老女を殺害。さらに、滞在していた旅館の経営者の長女(中学生)の高校裏口入学の紹介話をでっちあげて娘を連れ出したが重荷になって殺害、さらに旅館経営者から金銭を詐取した。2度にわたって再審請求、棄却された(朝日95.12.22朝)。確定後、短歌を詠み、犯罪を起こした自己の弱さを悔いる毎日のようだったという。3回目の再審請求を検討中に執行(朝日95.12.22朝)。
27 浜田武重 病死
17.6.26
享年90歳
自分の嘔吐物を吸引した窒息死
(読17.6.26夕)
78.3.25~79.5.9
(朝日88.3.8夕)
82(昭57).3.29
福岡地裁
(日経82.3.29夕)
84(昭59).6.19
福岡高裁
昭57(う)299
高刑速(昭59)512頁
TKC
88(昭63).3.8
最高裁
昭59(あ)1199
裁判所ウェブサイト
(読88.3.8夕)
いわゆる3連続保険金殺人事件。内妻の親類に睡眠薬を飲ませて浴槽で水死させ、内妻の連れ子だった少年も用水路で窒息死させ、さらに、知人の土木会社の従業員をダンプカーでひき殺したとされる。いずれも保険金目的とされた。内妻の親類と内妻の連れ子殺害を否認、無罪を主張(毎88.3.8夕)。
28 杉本嘉昭 執行
96.7.11
享年49歳
(読96.7.12朝)
79.11.4
(控訴審判決)
82(昭57).3.16
福岡地裁小倉支部
昭55(わ)151等
TKC
84(昭59).3.14
福岡高裁
昭57(う)304
高刑速(昭59)488頁
TKC D1-Law
88(昭63).4.15
最高裁
昭59(あ)512
裁判所ウェブサイト
(読88.4.16朝)
いわゆる北九州病院長バラバラ殺人事件。遊ぶ金欲しさに、北九州市の病院長を誘い出して監禁、身代金受け取りに失敗したことから殺害して遺体をバラバラにしてフェリーから海中に捨てた。共犯は横山一美死刑確定者。被害者1人で被告人2名に対し、一審以来死刑判決が維持された。一審・控訴審で殺害について否認。上告審の段階では「犯した罪の重大さを自覚して深く反省している」とされた。死刑判決の限界事例とされ、執行直後には死刑執行に対して賛否両論が出た(朝日96.7.12朝)。
29 横山一美 執行
96.7.11
享年43歳
(読96.7.12朝)
79.11.4
(控訴審判決)
82(昭57).3.16
福岡地裁小倉支部
昭55(わ)151等
TKC
84(昭59).3.14
福岡高裁
昭57(う)304
高刑速(昭59)488頁
TKC D1-Law
88(昭63).4.15
最高裁
昭59(あ)512
裁判所ウェブサイト
(読88.4.16朝)
いわゆる北九州病院長バラバラ殺人事件。遊ぶ金欲しさに、北九州市の病院長を誘い出して監禁、身代金受け取りに失敗したことから殺害して遺体をバラバラにしてフェリーから海中に捨てた。共犯は杉本嘉昭死刑確定者。被害者1人で被告人2名に対し、一審以来死刑判決が維持された。上告審の段階では「犯した罪の重大さを自覚して深く反省している」とされた。死刑判決の限界事例とされ、執行直後には死刑執行に対して賛否両論が出た。控訴審と上告審の弁護人によると、再審請求をしたいという要望は本人からは出なかったという(朝日96.7.12朝)。
30 綿引誠 病死
13.6.23
享年74歳
くも膜下出血(読 13.6.24夕)
78.10.16
(読78.10.20朝)
80(昭55).2.8
水戸地裁
(読80.2.8夕)
83(昭58).3.15
東京高裁
昭55(う)590
高刑速(昭58)74頁
TKC D1-Law
88(昭63).4.28
最高裁
昭58(あ)479
裁判所ウェブサイト
(読88.4.28夕)
いわゆる日立女子中学生誘拐殺人。知り合いの女子中学生を誘拐して殺害、父親に身代金を要求した。上告審では、乱暴目的で身代金誘拐の目的はなかったと主張したが(読88.4.28夕)、判決は身代金目的と認定、「さしたる前科」もなかったが、計画性の高さなどから死刑判決を支持した。
31 篠原徳次郎 執行
95.12.21
享年68歳
(読95.12.22朝)
81.10.2
/82.7.3
(読88.5.20夕)
83(昭58).12.26
前橋地裁
(読83.12.26夕)
85(昭60).1.17
東京高裁
(朝日85.1.17夕)
88(昭63).5.20
最高裁
昭60(あ)173
裁判所ウェブサイト
(読88.5.20夕)
いわゆる群馬2女性殺人事件。農作業をしていた主婦を乱暴したうえ殺害、翌年にも除草作業中の老女を山林に引きずり込んだ上に絞殺して乱暴した。強盗致傷罪で懲役8年のほか、若い女性を乱暴、殺害して無期懲役となった前科があり、その仮釈放後の犯行。上告審では殺害そのものは認めたが、弁護側は「精神鑑定によれば被告人は爆発性、意思薄弱性の異常性格」なため、死刑判決は量刑が著しく不当と主張(毎88.5.20夕)。
32 渡辺清 67.4.24
~73.3.20
(朝日75.8.30朝)
無期懲役
75(昭50).8.29
大阪地裁
(朝日75.8.30朝)
78(昭53).5.30
大阪高裁
(TKC掲載情報より)
88(昭63).6.2
最高裁
昭53(あ)1290
裁判所ウェブサイト
(読88.6.2夕)
いわゆる連続4人殺人事件。未成年だった67年に旅館で売春相手の女性を絞殺して現金を奪うなど、6年間に合計4件の強盗殺人事件で女性3人男性1人の死亡被害者を出したとされた。一審・控訴審で4件とも犯行を認めていたが、一審大阪地裁の裁判長が疑問を指摘、判決言い渡し予定日に職権による証拠調べ再開手続きを実施した。本人は頑として「(自分の犯行に)間違いない」と主張、判決は異例の無期懲役となった(朝日75.8.30朝)。最高裁では当時の調査官が男性殺害については無罪、もう一件の女性殺害についても審理のやり直しを主張、判事の1人がそれを支持したため、判事の全員一致が原則とされる死刑判決の言い渡しが事実上できなくなり、判決までに10年の期間を費やした。弁護側は上告審で新たに4件中2件は無実と主張したが(読88.6.2夕)、退けられた。その後、男性殺害について再審請求、女性1人についても再審請求する予定と報じられた(読92.4.28朝)。逮捕時(73.5.8)25歳(読73.5.8夕)。
33 石田三樹男 執行
96.7.11
享年48歳
(読96.7.12朝)
81.7.6
(控訴審判決)
82(昭57).12.7
東京地裁
(読82.12.8朝)
84(昭59).3.15
東京高裁
昭58(う)444
高刑速(昭59)152頁
TKC D1-Law
88(昭63).7.1
最高裁
昭59(あ)590
裁判所ウェブサイト
(読88.7.1夕)
いわゆる神田ビル放火殺人事件。会社の金を遊興費に使いこみ、その発覚を恐れて上司をバットで殴って殺害、金庫から現金を奪った。また非常ベルで駆け付けたビル管理人もバットで殴り殺し、室内に灯油をまいて放火した。一審では、「殺したお二人のもとに行っておわびしたい気持ちです」と上申書を提出(読82.11.2夕)。
34 日高安政 執行
97.8.1
享年54歳
(読97.8.2朝)
84.5.5
(読87.3.9夕)
87(昭62).3.9
札幌地裁
(読87.3.9夕)
控訴取下
88(昭63).10.13
(読88.10.15朝)
いわゆる夕張保険金目当て放火殺人事件。妻の日高信子死刑確定者と共謀し、暴力団組員に指示して経営していた炭鉱従業員宿舎に放火させ全焼させた。これにより作業員4人と子供2人が焼死、失火を装って保険会社から保険金をだまし取った。一審では殺意の有無が争点となり、安正死刑確定者は「火災保険金さえ手に入ればよかった」と全員に対して殺意を否定したが、判決は、被害者らに飲酒させた後就寝間もない時間を狙って放火させている点などから未必の故意を認定した(読87.3.9夕)。大喪の礼に伴う恩赦を期待して控訴取り下げ、確定。拘置所で写経に専念する毎日だったという(毎89.2.8夕)。審理再開申立もしたが、棄却(読97.6.3朝)。
35 日高信子 執行
97.8.1
享年51歳
(読97.8.2朝)
84.5.5
(読87.3.9夕)
87(昭62).3.9
札幌地裁
(読87.3.9夕)
控訴取下
88(昭63).10.11
(読88.10.15朝)
いわゆる夕張保険金目当て放火殺人事件。夫の日高安政死刑確定者と共謀し、暴力団組員に指示して経営していた炭鉱従業員宿舎に放火させ全焼させた。これにより作業員4人と子供2人が焼死、失火を装って保険会社から保険金をだまし取った。一審では殺意の有無が争点となり、信子死刑確定者は、飲酒すると泥酔することの多かった1人については未必の故意を認めたが、「犠牲者が出ないようにと指示したのに(実行犯が)言ったとおりにやらなかった」と主張。判決は、被害者らに飲酒させた後就寝間もない時間を狙って放火させている点などから未必の故意を認定した(読87.3.9夕)。大喪の礼に伴う恩赦を期待して控訴取り下げ、確定。深く反省して事件について文章をまとめる毎日を過ごしていたという(毎89.2.8夕)。審理再開申立もしたが、棄却(読97.6.3朝)。
36 平田光成 執行
96.12.20
享年60歳
(読96.12.21朝)
78.5.21
/6.10
(読88.10.21朝)
80(昭55).1.18
東京地裁
(読80.1.19朝)
82(昭57).1.21
東京高裁
昭57(う)739
高刑速(昭57)107頁
TKC (読82.1.22朝)
上告取下
88.10.20までに
(読88.10.21朝)
確定は同月17日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる銀座ママ他殺人事件。経営する化粧品会社従業員の野口悟死刑確定者と共謀し、東京・銀座のクラブママを絞殺、現金などを奪った。また、ソープランド嬢を山林に連れ出して殺害、現金を奪った。一審では「最初から殺す気はなかった」と殺意を否定したが、判決は計画性を認めた。大喪の礼に伴う恩赦を期待して上告取り下げ、確定(読88.10.21朝、毎89.2.8夕)。共犯の野口悟死刑確定者は1990年に確定。
37 今井義人 執行
96.12.20
享年55歳
(朝日96.12.21朝)
83.1.29
(控訴審判決)
84(昭59).6.5
東京地裁
(読84.6.6朝)
85(昭60).11.29
東京高裁
昭59(う)1177
高刑速(昭60)238頁
TKC D1-Law
(朝日85.11.30朝)
上告取下
88.10.27までに
(毎88.10.28朝)
確定は同月24日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる元昭石重役一家殺人事件。保険代理店の資金繰りに困り、おじの元昭石油重役に借金を申し入れたが、これを拒否され、さらに生活態度などを非難されて激憤。深夜におじ宅に侵入、一家3人を殺害して預金通帳などを奪った。一審初公判で起訴事実を全面的に認め、犯行時の精神状態が争点となった。弁護側は鑑定結果から「精神安定剤の常用で犯行の歯止めがきかなかった」と主張したが、判決で退けられた。大喪の礼に伴う恩赦を期待して上告取り下げ、確定(毎89.2.8夕、毎88.10.28朝)。
38 西尾立昭 執行
98.11.19
享年61歳
(読98.11.19夕)
77.1.7
(控訴審判決)
80(昭55).7.8
名古屋地裁
(読80.9.6朝)
81(昭56).9.10
名古屋高裁
昭55(う)272
高刑速(昭56)340頁
TKC D1-Law
89(平1).3.28
最高裁
昭56(あ)1552
裁判所ウェブサイト
(朝日89.3.28夕)
いわゆる日建土木事件。建設会社従業員3人に生命保険をかけて1人を殺害、残る2人も殺そうとした。首謀者であるとされたのはでっちあげだとして再審請求の道を探っていたが、実現しなかった(朝日98.11.19夕)。共犯の被告人は無実を主張したが、一審・控訴審が死刑判決、最高裁で無期懲役判決(朝日96.9.21朝)。
39 石田富蔵 病死
14.4.19
享年92歳
前立腺がん
(読14.4.30朝)
73.8.4
/74.9.13
(朝日80.1.30夕)
80(昭55).1.30
浦和地裁
(朝日80.1.30夕)
82(昭57).12.23
東京高裁
(TKC掲載情報より)
89(平1).6.13
最高裁
昭58(あ)140
裁判所ウェブサイト
(読89.6.13夕)
いわゆる2女性殺人事件。交際中の主婦から別れ話を持ち出されてカッとなり殺害、現金を奪った上、遺体を焼いた。その翌年、盗みに入った際、料理店の女性経営者に乱暴しようとしたが抵抗されたため殺害したとされる(読89.6.13夕)。2件目は無実、1件目は殺意がなかったと主張(毎89.6.13夕)。
40 藤井政安
(旧姓名
関口政安)
70.2.13
~73.4.15
(読74.4.9朝)
77(昭52).3.31
東京地裁
(読77.4.1朝)
82(昭57).7.1
東京高裁
(読82.7.1夕)
89(平1).10.13
最高裁
昭58(あ)1
裁判所ウェブサイト
(朝日89.10.14朝)
いわゆる「殺し屋」連続殺人事件。旧姓関口。貸金取り立てや女性関係のもつれなどから暴力団組員の”殺し屋グループ”に依頼して3人を殺害したとされる(読82.7.1夕)。3件4人殺害で起訴され、一審の罪状認否で2件については大筋を認めたが、いずれも「自分は手を下していない」と主張(読74.4.9朝)、判決は1人の殺害については無罪とした(読77.4.1朝)。獄中から文通で知り合った女性と結婚、改姓(朝日89.10.14朝)。一審で死刑判決を受けた共犯2人は控訴審東京高裁で無期に減刑(読82.7.1夕)。逮捕時(73.10.1)31歳(朝日73.10.1夕)。
41 神田英樹 執行
97.8.1
享年43歳
(読97.8.2朝)
85.3.8
(読86.5.31朝)
86(昭61).5.30
浦和地裁
(読86.5.31朝)
86(昭61).12.22
東京高裁
昭61(う)1188
高刑速(昭61)174頁
TKC D1-Law
(朝日86.12.23朝)
89(平1).11.20
最高裁
昭62(あ)87
裁判所ウェブサイト
(読89.11.20夕)
いわゆる父親等3人殺人事件。家庭を顧みない父親への反感から、父親と内縁の妻、その孫娘の3人を日本刀で殺害。元自衛官。事件後、自分も脇差で割腹自殺を図ったが、未遂(読86..5.31朝 )
42 宇治川正
(旧姓名
田村正)
病死
13.11.15
享年62歳
肺がん
(読13.11.16朝)
76.4.1
(読83.11.18朝)
79(昭54).3.15
前橋地裁
(読79.3.15夕)
83(昭58).11.17
東京高裁
昭54(う)926
高刑速(昭58)183頁
TKC D1-Law
(読83.11.18朝)
89(平1).12.8
最高裁
昭58(あ)1768
裁判所ウェブサイト
(読89.12.9朝)
いわゆる伊勢崎2女子中学生殺人事件等。旧姓田村(読13.11.16朝)。強盗に入った家にいた女子中学生2人を殺害したうえ放火。覚醒剤影響下を主張したが、判決は心神耗弱は認めず。再審請求中に死亡。
43 野口悟 執行
96.12.20
享年50歳
(読96.12.21朝)
78.5.21
/6.10
(読88.10.21朝)
80(昭55).1.18
東京地裁
(読80.1.19朝)
82(昭57).1.21
東京高裁
昭55(う)739
高刑速(昭57)107頁
D1-Law
(読82.1.22朝)
90(平2).2.1
最高裁
昭57(あ)303
裁判所ウェブサイト
(読90.2.2朝)
いわゆる銀座ママ殺人事件他。勤務する化粧品会社経営者である平田光成死刑確定者(1988年に上告取り下げ、確定)と共謀し、東京・銀座のクラブママを絞殺、現金などを奪い、ソープランド嬢を山林に連れ出して殺害、現金を奪った。一審では「最初から殺す気はなかった」と殺意を否定したが(読79.8.17夕)、判決は計画性を認めた。
44 金川一 79.9.11
(控訴審判決)
無期懲役
82(昭57).6.14
熊本地裁八代支部
控訴審判決文から
83(昭58).3.17
福岡高裁
昭57(う)443
D1-Law
90(平2).4.3
最高裁
昭58(あ)58
裁判所ウェブサイト
読(90.4.3夕)
いわゆる熊本・免田町主婦殺人事件。農村の若妻を乱暴する目的で襲い、殺害したとされる。少年時代に犯した強盗殺人罪で服役を終えた後、わずか3か月の犯行。一審途中から無実を主張。2006年福岡高裁に3回目の再審を請求(朝日06.12.27朝)。逮捕時(79.9.12)29歳(読79.9.13朝)。
45 永山則夫 執行
97.8.1
享年48歳
(読97.8.2朝)
68.10.11
~11.5
(一審判決)
79(昭54).7.10
東京地裁
昭44(合わ)122
刑集37巻6号690頁
TKC D1-Law
(読79.7.11朝)
無期懲役
81(昭56).8.21
東京高裁
昭54(う)1933
高刑集37巻6号733頁
判タ452号168頁
TKC D1-Law
(読81.8.22朝)
高裁差戻
83(昭58).7.8
最高裁
昭56(あ)1505
裁判所ウェブサイト
(読83.7.8夕)
警察庁広域重要指定108号事件(いわゆる永山事件)。犯行時19歳。金品を奪う目的で侵入した米軍横須賀基地から拳銃を盗み、その後、東京のホテル敷地内で徘徊していたところを警備中のガードマンに見つかり射殺した。また、京都で神社に野宿しようとしていたのを咎められ、警備員を射殺、札幌と名古屋でタクシー運転手を射殺して現金を奪った。一審東京地裁は死刑判決、第一次控訴審は無期懲役判決、第一次上告審は犯行の罪質、動機、被害者数など多面的に死刑の適否を判断する一般基準を示したうえで、控訴審を量刑不当として破棄、差し戻した。獄中ノート『無知の涙』、小説『木橋』『捨て子ごっこ』など著作を次々に発表したことで死刑存廃論議に火がついた(読97.8.2朝)。『木橋』で新日本文学賞受賞(朝日83.3.20朝)。『無知の涙』では、貧困が無知を生むのではなく、資本主義社会が形成する、と述べ、犯行は自殺するための計画的なもの、と告白している(朝日13.4.28朝)。※犯行時19歳の少年であったが、本人が著作活動等を通じて実名を公表していたため、実名を表記する。
差  戻  審
87(昭62).3.18
東京高裁 昭58(う)1105
高刑速(昭62)46頁
判タ634号105頁
TKC D1-Law
(読87.3.18夕)
90(平2).4.17
最高裁
昭62(あ)498
裁判所ウェブサイト
(読90.4.17夕)
46 村竹正博 執行
98.6.25
享年54歳
(読98.6.26朝)
78.3.21
(一審判決)
無期懲役
83(昭58).3.30
長崎地裁佐世保支部
昭53(わ)70
判時1093号156頁
TKC D1-Law
85(昭60).10.18
福岡高裁
昭58(う)396
判タ588号108頁
TKC D1-Law
(読85.10.18夕)
90(平2).4.27
最高裁
昭60(あ)1478
裁判所ウェブサイト
(読90.4.27夕)
いわゆる長崎3人殺人事件。借金の申し入れを断られた友人とその女友達を殺害して現金を奪い、さらに、生命保険をかけた自分の妻も殺害した。捜査段階で全面自白。一審は無期懲役だったが、控訴審がこれを破棄、死刑とした。最高裁は、「前科がなく反省していることなどを考慮しても死刑とせざるを得ない」として控訴審判決を支持。
47 晴山広元 病死
04.6.4
享年70歳
胃がん
(読04.6.5朝)
72.5~74.5
(読90.1.7朝)
無期懲役
76(昭51).6.24
札幌地裁岩見沢支部
昭49(わ)52等
(TKC掲載情報より)
79(昭54).4.12
札幌高裁
昭51(う)160
(TKC掲載情報より)
90(平2).9.13
最高裁
昭54(あ)912
裁判所ウェブサイト
(読90.9.14朝)
いわゆる空知2女性殺人事件等。料理学校生とデパート店員の女性が乱暴・殺害された後遺体が遺棄され、また、1人の主婦が暴行され重傷を負った事件。晴山死刑確定者は捜査段階で犯行を認めていたが、公判途中で「警察にしつこく言われて頭がへんになり、どうにでもしてくれ言った」として否認に転じ、不当逮捕と無罪を主張した。上告審における1度目の弁論の直前に結成された新弁護団が裁判記録や犯行現場の徹底した再調査を行い、多方面から無実を主張する弁論要旨と同補充書を提出、5年経過の後に2度目の弁論が開かれた(読90.1.7朝)。最高裁の死刑事件としては最長の11年5か月の期間で2度の弁論が開かれた(読90.0.14朝)。92年に弁護団が再審請求し、札幌高裁が職権で被害者体内に残っていた体液のDNA型鑑定を実施したが、晴山死刑確定者のDNA型と2500分の1の確率で一致し、請求は棄却された(札幌高裁平13.2.16判決・D1-Law)。その後、最高裁に特別抗告中に死亡(読04.6.5朝)。
48 荒井政男 病死
09.9.3
享年82歳
敗血症(高血圧や糖尿病の持病あり)(読09.9.4朝)
71.12.21
(読10.5.16朝)
76(昭51).9.25
横浜地裁横須賀支部
(読76.9.25夕)
84(昭59).12.18
東京高裁
昭51(う)2088
判時1367号138頁
TKC D1-Law
(朝日84.12.19朝)
90(平2).10.16
最高裁
昭60(あ)215
裁判所ウェブサイト
(読90.10.16夕)
いわゆる三崎事件。金策の話のもつれから激情の余り一家3人を殺害したとされる。荒井死刑確定者は一審以来無実を主張。確定判決は荒井死刑確定者の車で見つかった大工道具袋の血痕が被害者の血液型と一致したことを有罪の証拠の1つとしたが、荒井死刑確定者は「血痕は自分のもの」と主張。再審を請求している弁護団の求めにより横浜地裁横須賀支部が証拠の血痕のDNA鑑定を行ったところ、荒井死刑確定者のDNA型は検出されなかった。だが「被害者1人の血痕」とした確定判決とも異なり、3つのDNA型が検出された(読10.7.3朝)。2011年8月23日横浜地裁横須賀支部が再審請求を棄却、29日に即時抗告(読11.8.30朝)。2013年弁護団がDND鑑定の結果を東京高裁に提出した(朝日13.6.27朝)。
49 武安幸久 執行
98.6.25
享年66歳
(読98.6.26朝)
80.4.23
(朝日90.12.15朝)
81(昭56).7.14
福岡地裁小倉支部
(西日本81.7.14夕)
86(昭61).12.2
福岡高裁
(TKC掲載情報より)
90(平2).12.14
最高裁
昭62(あ)192
裁判所ウェブサイト
(朝日90.12.15朝)
いわゆる直方強盗女性殺人事件。強盗殺人で無期懲役判決を受けて仮釈放中、強盗に入った家において、大声で助けを求めた女性を殺害した。一審において弁護側は、覚せい剤中毒の後遺症があること、また、ナイフを常に携帯していたのは人に襲われるという妄想によるものとして、責任能力の欠如と犯行の偶発性を主張した(西日本81.7.14夕)。上告棄却判決に誤記があり、最高検が判決訂正の申立てをした。最高裁が訂正の判決をしたのは26年ぶり(読90.12.17夕)。
50 諸橋昭江 病死
07.7.17
享年75歳
間質性肺炎(07.7.18 夕)
74.8.8/
78.4.24
(朝日86.6.5夕)
80(昭55).5.6
東京地裁
(読80.5.7朝)
86(昭61).6.5
東京高裁
昭55(う)1160
高刑速(昭61)150頁
TKC D1-Law
(朝日86.6.5夕)
91(平3).1.31
最高裁
昭62(あ)96
裁判所ウェブサイト
(読91.2.1朝)
いわゆる自殺偽装夫殺害事件。夫に愛人ができたことから、夫を殺して退職金を手に入れようと計画。自らの愛人と共謀して夫をガス事故死に見せかけて殺害したとされる。その後、他の男性(雇っていたホステスの内縁の夫)も殺害した。2人目被害者の遺族に対しては慰謝料を支払っており、控訴審において、その遺族から寛大な刑を希望する旨の嘆願書が提出された。夫殺しは「自殺である」として無罪を主張(読91.2.1朝)。91年「夫の死は自殺だった」と再審請求(毎91.8.31朝)。2007年7月、心筋梗塞と診断され都内の病院で治療を受けていたが、2か月後に間質性肺炎により死亡(朝日07.7.18夕)。
51 島津新治 執行 98.6.25 享年66歳 (読98.6. 26夕) 83.1.16 (控訴審 判決) 84(昭59).1.23 東京地裁 (朝日84.1.24朝) 85(昭60).7.8 東京高裁 昭59(う)359 高刑速(昭60)170頁 TKC D1-Law 91(平3).2.5 最高裁 昭60(あ)956 裁判所ウェブサイト いわゆるパチンコ景品商殺人事件。強盗殺人で無期懲役判決を受けて仮釈放中、借金の申し入れを断られた知人のパチンコ景品商を殺害して現金を奪った。被害者は1人。控訴審判決は、島津死刑確定者の意志薄弱性を特徴とする性格異常、不遇な成育環境、仮釈放中の7年の間は社会性生活を営み妻子も得たこと、拘置所内での請願作業による報酬を遺族に送付し、日夜被害者の冥福を祈っていることなどを認めたが、原判決の死刑はやむを得ないとした。事件当時の姓古矢(読83.1.24朝)。
52 津田暎 執行 98.11.19 享年59歳 (読98.11. 19夕) 84.2.13 (朝日85.7. 17夕) 85(昭60).7.17 広島地裁福山支部 (読85.7.17夕) 86(昭61).10.21 広島高裁 昭60(う)119 高刑速(昭61)247頁 TKC D1-Law (朝日86.10.21夕) 91(平3).6.11 最高裁 昭61(あ)1353 裁判所ウェブサイト (読91.6.12朝) いわゆる学童誘拐殺人事件。身代金を目的にコーチをしていたソフトボールチームの男児(当時9歳)を「チョコレートを買ってあげる」と車で連れ出し、絞殺。殺害した後に自宅に8回にわたって身代金を要求する電話をかけた。賭け事で作った借金に追われていたという。死刑確定後に弁護士から再審請求を勧められても、「死ぬ覚悟はできている」と拒否。聖書を読み、「『あいつを殺すのは惜しい」と言われるような人間になってから執行されなければ、被害者の命とのバランスがとれない」と言っていたという(読08.12.16朝)。
53 佐川和男 執行 99.12.17 享年48歳 (毎99.12. 17夕) 81.4.4 (毎96.10. 16夕) 82(昭57).3.30 浦和地裁 (読82.3.31朝) 87(昭62).6.23 東京高裁 (朝日87.6.24朝) 91(平3).11.29 最高裁 昭62(あ)901 裁判所ウェブサイト (毎91.11.30朝) いわゆる大宮母子殺人事件。友人(指名手配され、逃走15年後に病死。朝97.2.18朝)と共謀して知人とその長女を絞殺、金品を奪った。死刑反対派グループが執行停止を求める人身保護請求を東京地裁に申し立てていたが、裁判所の判断を待たずに執行された(中日99.12.17夕)。
54 佐々木哲也 74.10.30 (朝日86.8. 29夕) 84(昭59).3.15 千葉地裁 昭49(わ)1030 (読84.3.16朝) 86(昭61).8.29 東京高裁 昭59(う)1038 判時1225号124頁 TKC D1-Law (読86.8.29夕) 92(平4).1.30 最高裁 昭61(あ)1382 裁判所ウェブサイト (毎92.1.31朝) いわゆる市原両親殺人事件。父親から交際女性についてなじられて激高、父母を登山ナイフでめった刺しにして殺害し、死体を毛布に包んだ上、自動車のホイールをおもりにして東京湾に捨てたとされる。捜査段階では犯行を認めたが、一審公判から「母親が父親を殺し、その後母親は何者かに殺された」として無実を主張(朝日92.1.31朝)。両親殺害の青年の心理をめぐり、中上健次氏の小説「蛇淫」や映画「青春の殺人者」のモデルとなった(読91.10.18朝)。2014年3月8日の時点で再審請求中(朝日14.3.8朝)。逮捕時(74.11.5)22歳(朝日74.11.5朝)。
55 佐藤真志 執行 99.9.10 享年62歳 (読99.9. 10夕) 79.7.28 (毎92.2. 19朝) 81(昭56).3.16 東京地裁 昭54(合わ)368 (読81.3.17朝) 85(昭60).9.17 東京高裁 昭56(う)801 高刑速(昭60)230頁 TKC D1-Law 92(平4).2.18 最高裁 昭60(あ)1497 裁判所ウェブサイト (毎92.2.19朝) いわゆる幼女殺人事件。幼女殺害事件で無期懲役となった後の仮釈放中、パチンコ店からついてきた顔見知りの幼女にいたずらし、幼女が泣きそうになったために発覚をおそれて首を絞めて殺害した。一審で弁護側は犯行当時心神耗弱にあったと主張したが、判決ではそれを否定した精神鑑定が採用された。また、控訴審で弁護側は殺意を否定、捜査段階の供述調書は信用できないと主張したが、一審同様、「知能は普通域と精神薄弱との『境界』」であったとしても、「理非善悪を弁識し、かつ、この弁識に従って行動する能力は著しく減退していなかった」として退けられた。
56 高田勝利 執行 99.9.10 享年61歳 (読99.9. 10夕) 90.5.2 (一審判決) 92(平4).6.18 福島地裁郡山支部 平3(わ)12 判時1449号157頁 TKC D1-Law (毎92.6.18朝) いわゆる飲食店女性経営者殺人事件。職場の同僚の女性を殺して無期懲役となり、仮釈放から3か月後に飲食店の女性経営者をハンマーで殴って殺害、現金の入ったバックを盗んだ。控訴せず確定(読99.9.10夕)。公判で弁護側は「成人後の34年の大半を刑務所内で送ったため、社会常識を学ぶ機会がなかった」として情状酌量を訴えていた。
57 森川哲行 執行 99.9.10 享年69歳 (読99.9. 10夕) 85.7.24 (熊本日日 86.8.5夕) 86(昭61).8.5 熊本地裁 (熊本日日86.8.5夕) 87(昭62).6.22 福岡高裁 (日経87.6.22夕) 92(平4).9.24 最高裁 昭62(あ)879 裁判所ウェブサイト (読92.9.25朝) いわゆる熊本母娘殺人事件。義母を殺害して無期懲役判決を受けた後の仮釈放中に、別れた妻の居所を教えないのを逆恨み、前妻の親類の女性とその娘を刺殺、現金などを奪った。公判では、弁護側は犯行の大筋を認めながらも、飲酒のうえでの偶発的・衝動的なもので、最初は金を取るつもりはなかったと主張。判決は、捜査段階で強盗の意思を認めていたことなどから、強盗目的を認定(熊本日日新聞86.8.5夕)。福岡の市民グループ・タンポポの会の代表が、収監先の拘置所長らを相手に執行停止を求める人身保護を福岡地裁に申し立てて執行3日前に棄却され、特別抗告申し立ての準備中に執行された(読99.9.10夕)。
58 名田幸作 執行 07.4.27 享年56歳 (読07.4. 27夕) 83.1.19 (朝日83. 1.25朝) 84(昭59).7.10 神戸地裁姫路支部 (読84.7.11朝) 87(昭62).1.23 大阪高裁 (読87.1.23夕) 92(平4).9.29 最高裁 昭62(あ)246 裁判所ウェブサイト (毎92.9.30朝) いわゆる赤穂同僚妻子殺人事件。ゲーム機とばくに凝ってサラ金の借金返済に困り同僚の妻子を殺害、健康保険証を奪ってサラ金から金を詐取した。名田死刑確定者は捜査段階において、子供が泣きじゃくるので邪魔になり、生きたまま川に投げ捨てたと自白、その通り遺体が発見された(朝日83.1.26夕)。確定後、事件を担当した捜査員に名田死刑確定者から「社会復帰に向けてがんばります」とつづった手紙が2度送られた。恩赦を期待していたようだという(読07.4.27大阪夕)。
59 坂口弘 71~72.2 (一審判決) 82(昭57).6.18 東京地裁 昭44(合わ)273等 判時1052号24頁 TKC D1-Law (読82.6.19朝) 86(昭61).9.26 東京高裁 昭57(う)1339 判タ623号229頁 判時1218号3頁 TKC D1-Law (読86.9.26夕) 93(平5).2.19 最高裁 昭61(あ)1427 裁判所ウェブサイト (読93.2.19夕) いわゆる連合赤軍事件。マルクス・レーニン主義及び毛沢東思想を信奉し、反米愛国、日本独占資本打倒などをスローガンとして掲げ、民族解放及び人民暴力主義革命を目的とした活動を行う革命左派に所属。その活動仲間2人を殺害した「印旛沼殺人」、「総括」の名の下に10人を死亡させ(うち1人は傷害致死)2人を「処刑」して殺害した「山岳ベース大量リンチ殺人」、警官2人と民間男性1人を殺害、16人に重軽傷を負わせた「あさま山荘銃撃戦」など(朝日93.2.19夕)。共犯の1人は永田洋子死刑確定者。その他の共犯1人は超法規的措置により釈放、出国(読93.2.19夕)。2000年6月2日、再審請求するが、2013年6月24日付で最高裁で棄却される(読13.6.26朝)。逮捕時(72.2.28)25歳(読72.2.29朝)。
60 永田洋子 病死 11.2.5 享年65歳 脳腫瘍によ る多臓器不 全(読 11.2.6朝) 71~72.2 (一審判決) 82(昭57).6.18 東京地裁 昭44(合わ)273等 判時1052号24頁 TKC D1-Law (読82.6.19朝) 86(昭61).9.26 東京高裁 昭57(う)1339 判タ623号229頁 判時1218号3頁 TKC D1-Law (読86.9.26夕) 93(平5).2.19 最高裁 昭61(あ)1427 裁判所ウェブサイト (読93.2.19夕) いわゆる連合赤軍事件。マルクス・レーニン主義及び毛沢東思想を信奉し、反米愛国、日本独占資本打倒などをスローガンとして掲げ、民族解放及び人民暴力主義革命を目的とした活動を行う革命左派に所属。その仲間2人を殺害した「印旛沼殺人」、「総括」の名の下に10人を死亡させ(うち1人は傷害致死)2人を「処刑」して殺害した「山岳ベース大量リンチ殺人」、警官2人と民間男性1人を殺害、16人に重軽傷を負わせた「あさま山荘銃撃戦」など(朝日93.2.19夕)。一審で、実質的に首謀者であると認定された(読82.6.19朝)。共犯の1人が坂口弘死刑確定者。その他の共犯1人は超法規的措置により釈放、出国(読93.2.19夕)。2001年7月、再審請求(読01.7.4朝)。2006年11月28日、東京地裁で棄却(読06.12.2夕)。即時抗告中に脳腫瘍による多臓器不全により死亡(朝日11.2.6朝)。82年から発表した「十六の墓標」では、「連合赤軍の経験を大衆的に総括するため」残虐なリンチで14人の仲間を次々に殺していった状況を詳細に公表。最高裁で死刑が確定した93年に支援者の男性と獄中結婚、84年に脳腫瘍の手術を受けた後は体調不良が続き、会話もできない状態だった(読11.2.6朝)。93年には病院への移送を求める訴えを起こすなどしていた(読93.12.10夕)。
61 澤地和夫 病死 08.12.16 享年69歳 胃がん治療 中、多臓器 不全(読08. 12.16夕) 84.10.11 ~25 (読87.10. 31朝) 87(昭62).10.30 東京地裁 昭59(合わ)346等 判タ663号201頁 D1-Law (読87.10.31朝) 89(平1).3.31 東京高裁 (読89.3.31夕) 上告取下 93(平5).7.7 (読93.7.8朝) いわゆる山中湖連続殺人事件。警視庁退職後に、猪熊武夫死刑確定者らと共謀し、宝石商の男性、金融業の女性を絞殺して現金などを奪い、2人とも山中湖畔の別荘の床下に埋めた。拘置所において死刑確定前に新聞の一部がスミ塗されたことなどに対し国家賠償請求訴訟を起こすなど、死刑確定者の待遇改善を訴える活動も行っていた(読08.12.16夕)。3年にわたり止まっていた死刑再開に抗議、上告取り下げ、確定(読93.7.8朝)。共犯の猪熊死刑確定者は1995年に確定。07年東京高裁で再審請求棄却、即時抗告(朝日07.2.1朝)。
62 藤波芳夫 執行 06.12.25 享年75歳 (読06.12. 25夕) 81.3.29 (毎87.11. 12朝) 82(昭57).2.19 宇都宮地裁 (読82.2.19夕) 87(昭62).11.11 東京高裁 (毎87.11.12朝) 93(平5).9.9 最高裁 昭63(あ)68 裁判所ウェブサイト (読93.9.10朝) いわゆる覚醒剤殺人事件。離婚した妻の居場所を教えないことを逆恨みし、元妻の実家に押しかけ、家族や親類2人を殺害、2人に大怪我をさせた。覚醒剤と飲酒の影響下を主張(読82.2.19夕)。確定後、キリスト教の洗礼を受けた。執行後に発見された遺書には、「執行されるのは自らが最後であってほしい」という願いが綴られていた(朝日07.1.11夕)。
63 長谷川敏彦 (旧姓名 竹内敏彦) 執行 01.12.27 享年51歳 (朝日01. 12.27夕) 79.11 ~83.12 (中日93. 9.22朝) 85(昭60).12.2 名古屋地裁 (朝日85.12.2夕) 87(昭62).3.31 名古屋高裁 中日(87.4.1朝) 93(平5).9.21 最高裁 昭62(あ)562 裁判所ウェブサイト (中日93.9.22朝) いわゆる名古屋連続保険金殺人事件。旧姓竹内(朝日01.12.27夕)。井田正道刑確定者と共謀し、知人や雇い人に生命保険をかけたうえ、交通事故を装ったり、海に突き落とすなどして3人を殺害した。行方不明になった金融業者の死体が愛知県・衣浦港にいかり3個が付いたままの状態で浮かび上がったことから一連の保険金殺人が発覚、井田・長谷川両死刑確定者ともに犯行を自白した(朝日85.12.2夕)。上告審において大野正男裁判官が死刑の実験的停止の提言を含む異例の補足意見を付ける(中日93.9.22朝)。共犯の井田正道死刑確定者は上告せずに確定。死刑確定後に、朝日新聞に対して名誉棄損の損害賠償請求を起こしたが、最高裁で棄却された(朝日96.4.23朝)。2度目の恩赦出願には被害者遺族から死刑執行を停止する上申書も添えられていたが、恩赦は認めらなかった(朝日00.9.1朝)。執行前、被害者の兄の原田正治氏は高村正彦法相(当時)に面会し、長谷川死刑確定者に対する死刑執行をとりやめてほしいと訴えていた(朝日01.12.27夕)。
64 牧野正 執行
09.1.29
享年58歳
(読09.1.29夕)
90.3.12
(読93.4.23夕)
93(平5).10.27
福岡地裁小倉支部
平2(わ)257等
判時1511号171頁
TKC D1-Law
(読93.10.28朝)
控訴取下
93.11.17までに
(読93.11.18朝)
確定は同月16日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる北九州母娘殺傷事件。北九州市の民家に侵入して女性を包丁で刺殺、財布を盗み、その後帰宅した女性の母親にも大怪我をさせる。70年に起こした強盗殺人事件で無期懲役の判決を受け、仮釈放中の事件。一審で死刑求刑に対し、弁護側は「生まれながらに脳障害があり自分の行動を抑止する能力が劣っていたと考えられ、情状面を考慮すべきだ」として無期懲役が相当と主張したが、牧野死刑確定者は「死をもって償いたい。申し訳ない気持ちでいっぱいです」と述べた(読93.6.8西部朝)。弁護人控訴を本人が取り下げ、確定(読93.11.18朝)。2000年になって弁護人が、「取下げ当時は死刑判決のショックで判断能力を欠き、控訴審の弁護人も選任されていなかった」と取下げ無効を主張したが、認められず(読04.6.17朝)。再審請求棄却(読06.2.4夕)。
65 太田勝憲 自殺 99.11.8 享年55歳 (朝日99. 11.9朝) 79.7.18 (控訴審 判決) 84(昭59).3.23 札幌地裁 昭55(わ)1222 (TKC掲載情報より 読84.3.23夕) 87(昭62).5.19 札幌高裁 昭59(う)109 高刑速(昭62)181頁 判タ651号231頁 TKC D1-Law (朝日87.5.19夕) 93(平5).12.10 最高裁 昭62(あ)1062 裁判所ウェブサイト (朝日93.12.10夕) いわゆる平取猟銃一家殺人事件。はく製業者から毛皮の代金支払いの督促を受け、ライフル銃を胸元近くで振りまわされたことから恐怖を感じ、とっさにライフル銃を奪ってはく製業者を射殺、犯行の発覚を恐れて、居合わせた妻、子供2人を射殺した。本人は起訴事実を認めていたが、凶器が見つかっていないことから一審弁護団は無罪を主張、その後太田死刑確定者は供述拒否するなど沈黙を続けた。控訴審弁護人が事実関係を争わず量刑不当を主張し、太田死刑確定者も次第に態度を軟化させ、改めて犯行事実を認めた(朝日87.5.19夕)。拘置所内で入浴中に自殺。「ご迷惑をかけました」などと書かれた身内あての手紙が残されていた(朝日99.11.9朝)。
66 藤原清孝 (旧姓名 勝田清孝) 執行 00.11.30 享年52歳 (朝日00. 11.30夕) 72.9 ~82.10 (読94.1. 18朝) 86(昭61).3.24 名古屋地裁 (朝日86.3.24夕) 88(昭63).2.19 名古屋高裁 (朝日88.2.19夕) 94(平6).1.17 最高裁 昭63(あ)352 裁判所ウェブサイト (朝日94.1.18朝) 警察庁広域重要指定113号事件。旧姓勝田(朝日00.11.30夕)。元消防士。警官から拳銃を強奪し、その拳銃を用いて連続的に強盗や殺人を為し、1名を殺害した。逮捕後の取り調べの過程で、113号以前に、金品を奪おうとして女性の部屋に忍び込むなどして5人の女性を殺害、さらに、強盗に使うための散弾銃や自動車等を盗み、金融機関職員等を襲って金品を強取し2名を射殺していたことが明らかになった。81年1月に盗みで有罪の確定判決を受けているため、それまでの7件の殺人とその後の113号事件それぞれに死刑判決が下された。一審で弁護側は、7件について盗みが目的で殺害は目的としておらず突発的な犯行だった、また、犯行当時心神耗弱状態だったと主張(朝日86.3.23朝)。控訴審で弁護側は警察から奪った拳銃で男性を射殺した1件について銃の暴発によるものとして殺意を否定、女性5人殺害も自白によって明らかになったとして自首による刑の軽減を主張したが、いずれも退けられた(読88.2.19夕)。藤田死刑確定者は「生きて償う」ことを希望し、「点字で社会のためになりたい」と、上告後に点訳作業を始めたという。精神鑑定はなされておらず、「成育環境を含め広い意味での鑑定が必要だった」と確定後に弁護人が述べた(朝日94.1.18朝)。来栖宥子氏が「113号事件 勝田清孝の真実」という往復書簡集を出版している(朝日00.11.30夕)。
67 宮脇喬 執行 00.11.30 享年57歳 (朝日00. 11.30夕) 89.2.14 (読94.4. 13朝) 89(平1).12.14 岐阜地裁 (朝日89.12.15朝) 90(平2).7.16 名古屋高裁 平2(う)17 高刑速(平2)215頁 TKC D1-Law (読90.7.16夕) 上告取下 94(平6).3.7 (朝日94.4.12夕) いわゆる先妻家族3人殺人事件。復縁話のもつれから、別れた妻の両親と妹の計3人を刺殺。公判では殺意を全面的に否定。弁護士にも知らせないまま上告を取り下げ、確定。拘置所内でキリスト教の洗礼を受けた。取下げ後、「すべてを神にゆだねました」などとする手紙を送っていたという(朝日94.4.12夕)。
68 大森勝久 76.3.2
(読88.1. 21夕)
83(昭58).3.29
札幌地裁
昭51(わ)772
判時1087号33頁
TKC
(朝日83.3.29夕)
88(昭63).1.21
札幌高裁
昭58(う)105
高刑速(昭63)201頁
判タ672号70頁
TKC D1-Law
(読88.1.21夕)
94(平6).7.15
最高裁
昭63(あ)682
裁判所ウェブサイト
(読94.7.16朝)
いわゆる北海道庁爆破事件。北海道庁が爆破され、死者2人、95人が負傷した事件。弁護側は一貫して無実を主張、犯行に直接結びつく決定的な証拠がなく、状況証拠をもとに有罪が認定されたと言われる(読94.7.16朝)。2017年7月18日、第2次再審請求棄却が最高裁で確定(朝日17.7.21朝)。2019年2月8日札幌地裁に第3次再審請求を行い、犯行声明文にあった記号の筆跡が大森死刑確定者とは別人のものの可能性が高いとする報告書など7点の新証拠を提出した(朝日19.2.16北海道朝)。これに対し検察側が鑑定の信用性を争ったため、犯行声明文の筆跡が大森死刑確定者のものとは異なると鑑定した弁護側証人である専門家への尋問が行われることが決まり(北海道21.2.17朝)、2021年3月23日に非公開で実施された。検察側は、大森死刑確定者が作為的に筆跡を変えた可能性はないのかなどを質問したという(毎21.3.30朝)。同年8月、弁護側・検察側双方が最終的な主張書面を提出して実質的な審理が終了し(北海道新聞21.9.2朝)、同年12月17日、札幌地裁がこれを棄却(朝日21.12.18北海道)。地裁は、鑑定手法の合理性に疑問が残ると指摘した。大森死刑確定者は札幌高裁に即時抗告(産21.12.20 18:02)。札幌高裁は2023年3月30日付で「筆跡から筆者が特定されないよう、意図的に異なる字形で記載する」可能性を指摘し(成川裁判長)、即時抗告を棄却。弁護側は最高裁に特別抗告した(時事23.4.6 14:18)。
69 大石国勝 執行 00.11.30 享年55歳 (読00.11. 30夕) 83.5.16 (朝日89. 10.24夕) 87(昭62).3.12 佐賀地裁 (毎87.3.12夕) 89(平1).10.24 福岡高裁 (朝日89.10.24夕) 95(平7).4.21 最高裁 平1(あ)1317 裁判所ウェブサイト (読95.4.22朝) いわゆる隣家親子3人殺人事件。隣家の子供が水道ホース金具を盗んだと思い込み、自宅から持ち出した出刃包丁で子供の父を刺殺、それを制止しようとしたその妻を刺し、さらに逃げ出した子供を追いかけてめった刺しにして殺害した。裁判では犯行当時の精神状態が争点となったが、責任能力はあるとされた。
70 藤島光雄 執行 13.12.12 享年55歳 (読13.12. 12夕) 86.3.6/ 3.11 (一審判決) 87(昭62).7.6 甲府地裁 昭61(わ)82等 判時1249号132頁 TKC D1-Law (読87.7.6夕) 88(昭63).12.15 東京高裁 (TKC掲載情報より) 95(平7).6.8 最高裁 平1(あ)42 裁判所ウェブサイト (毎95.6.9朝) いわゆる山梨・新潟連続殺人事件。暴力行為で執行猶予中、前妻に会おうと前妻の実家に訪れたが、その居所をめぐって前妻の祖母と口論になり、保護観察所からの出頭命令を無視して秋田県を離れていることがばれると思い込んでその口封じのため祖母の手足を縛って浴槽に押し込みショック死させ、遺体を六畳間の床下に隠した。その後帰宅した前妻を連れて逃亡。前妻と共謀して、前妻がホステスをしていたころに親しかった会社員を呼び出して逃走資金を奪ったうえ、殺害。前妻は懲役5年の判決(読87.7.6夕)。「事件の背景に幼児期の虐待が強く影響している」として5度再審を請求(毎13.12.13山梨)、いずれも棄却(読10.4.1朝)。5回目の再審請求は、前妻の祖母に対する殺人については責任能力がなく、もう1件については承諾殺人が成立すると主張。一審判決直後は「控訴せずに私を死刑にしてください」と弁護人に話した藤島死刑確定者だったが、その後、95年に支援者が作成した会報には「納得のいく内省ができるまで生きる勇気を持たなければ」と心境の変化をつづっていた(読10.8.7朝)。第6次再審請求を準備中に執行された(読13.12.13朝)。
71 猪熊武夫 84.10.11 ~25 (読87.10. 31朝) 87(昭62).10.30 東京地裁 昭59(合わ)346等 判タ663号201頁 TKC D1-Law (読87.10.31朝) 89(平1).3.31 東京高裁 (読89.3.31夕) 95(平7).7.3 最高裁 平1(あ)655 裁判所ウェブサイト (読95.7.4朝) いわゆる山中湖連続殺人事件。巨額の借金に困り、元警官の澤地和夫死刑確定者らと共謀して、宝石商と金融業者を相次いで殺害し、金品を奪った。澤地死刑確定者ともう1人の共犯者が逮捕されたことを知った翌日、犯行を隠すために被害者2人の遺体を掘り起こし、別の山林に埋めた。控訴審で弁護側は「殺害を実行したのは澤地で、被告人は被害者の腕を押さえたにすぎない」と主張したが、判決は犯行の計画性と残虐性を指摘、また、猪熊死刑確定者も重要な役割を果たしたとして原判決を支持した。澤地死刑確定者は1993年に上告を取り下げ、確定(読08.12.16)。逮捕時(84.11.27)35歳(朝日84.11.27)。
72 池本登 執行 07.12.7 享年74歳 (朝日07. 12.7夕) 85.6.3 (読89.11. 28夕) 無期懲役 88(昭63).3.22 徳島地裁 (読88.3.22夕) 89(平1).11.28 高松高裁 昭63(う)99 判タ721号238頁 TKC D1-Law (朝日89.11.28夕) 96(平8).3.4 最高裁 平1(あ)1329 裁判所ウェブサイト (朝日96.3.5朝) いわゆる猟銃近隣3人殺人事件。隣に住む親類が嫌がらせをしていると思い込んで文句を言ったところ、逆に怒鳴らりつけられたため逆上。親類とその内妻、以前から恨みを抱いていた知人男性の3人を狩猟用の散弾銃で射殺し、流れ弾で農作業中の主婦1人にけがを負わせた。一審で無期、控訴審は「年齢的な面からみても更生は困難」として死刑とした。弁護側は「一審、控訴審で主張してきた心神耗弱が認められなかった」として上告(毎89.11.28夕)。初の執行時氏名公表(朝日07.12.7夕)。
73 山野静二郎 82.3.21 ~.25 (控訴審 判決) 85(昭60).7.22 大阪地裁 (朝日85.7.22夕) 89(平1).10.11 大阪高裁 昭60(う)1241 高刑速(平1)170頁 TKC D1-Law (朝日89.10.11夕) 96(平8).10.25 最高裁 平1(あ)1354 裁判所ウェブサイト (朝日96.10.26朝) いわゆる不動産会社連続殺人事件。取引先の会社社長と役員を金属バットで殺害し、小切手現金計5100万円を奪った。負債を抱えて資金繰りに困った上での計画的犯行とされた。控訴審で山野死刑確定者は、被害者両名の一方的で理不尽な言動が直接の原因であると主張。判決は、山野死刑確定者が一応の反省や悔悟の情を吐露していることを認めたが、極刑はやむをえないとした。上告審で弁護側は自白調書に関して被告人の弁護人依頼権が侵害されたと主張したが、退けられた。上告中に死刑制度関係の本の閲覧不許可の賠償と取り消しを求めて提訴。一審大阪地裁は訴えを認めたが、大阪高裁がこれを取り消し、請求を棄却した(朝日92.7.1朝)。上告審判決時(96.10.25)58歳(朝日96.10.26朝)。
74 朝倉幸治郎 執行 01.12.27 享年66歳 (朝日01. 12.27夕) 83.6.2 (一審判決) 85(昭60).12.20 東京地裁 昭58(合わ)167 D1-Law (朝日85.12.20夕) 90(平2).1.23 東京高裁 昭61(う)207 高刑速(平2)56頁 TKC D1-Law (朝日90.1.23夕) 96(平8).11.14 最高裁 平2(あ)248 裁判所ウェブサイト (朝日96.11.15朝) いわゆる練馬一家5人殺人事件。刑事事件で服役後、不動産鑑定士の資格を取得、全財産をなげうって家族のために土地・家を購入したが、売主との立ち退き交渉が難航、売主一家5人(長女は林間学校に行っていて難を逃れた)を殺害、遺体を処理した。公判では起訴事実を認め、謝罪を述べる。一審以来、犯行当時の責任能力がどの程度あったか争われたが、判決では心神喪失や耗弱の状態にはなかったとされた。
75 向井伸二 (旧姓名 前原伸二) 執行 03.9.12 享年42歳 (読03.9. 12夕) 85.11.29 /12.3 (読96.12. 18朝) 88(昭63).2.26 神戸地裁 (読88.2.27朝) 90(平2).10.3 大阪高裁 昭63(う)507 高刑速(平2)206頁 TKC D1-Law (読90.10.4朝) 96(平8).12.17 最高裁 平2(あ)1110 裁判所ウェブサイト (読96.12.18朝) いわゆる母子等3人殺人事件。旧姓前原(読08.6.1朝)。金目当てに相次いで民家に押し入り、母子と主婦計3人を殺害。建造物侵入罪による服役を終えて出所3日後の犯行。一審で弁護側は「16歳の時のオートバイ事故による頭部外傷の後遺症で器質性精神病になり犯行時は心神耗弱だった」「劣悪な成育環境による影響を考慮すべき」「牧師夫婦の養子になってからは遺族に謝罪の意を表している」として懲役刑を望んだが、死刑(毎88.2.27朝)。恩赦出願準備中に執行された(読03.9.13朝)。執行の1月半前には、面会した弁護士に「生き過ぎた。疲れた」と話していたという(朝日03.9.13朝)。
76 中元勝義 執行 08.4.10 享年64歳 (読08.4. 10夕) 82.5.20 (朝日85.5. 16夕) 85(昭60).5.16 大阪地裁堺支部 (読85.5.16夕) 91(平3).9.27 大阪高裁 (読91.9.28朝) 97(平9).1.28 最高裁 平3(あ)1146 裁判所ウェブサイト (読97.1.29夕) いわゆる宝石商殺人事件。パチンコに金をつぎ込み生活に困るようになったため、顔見知りの宝石商とその妻を殺害、現金を奪ったとされる。さらに3日後に再度被害者宅に侵入、金のブレスレットを盗むなどした。公判では殺人については無実を主張したが、捜査段階での自白は信用できるとされ、また、自白のみによって有罪を認定したものではないとされた。
77 松原正彦 執行 08.2.1 享年63歳 (朝日08. 2.1夕) 88.4.18 /6.1 (読90.2. 20夕) 90(平2).5.22 徳島地裁 (毎90.5.22夕) 92(平4).1.23 高松高裁 (読92.1.23夕) 97(平9).4.28 最高裁 平4(あ)168 裁判所ウェブサイト (読97.4.29朝) いわゆる2主婦連続強盗殺人事件。窃盗罪で服役して仮釈放中、徳島県の菓子業者宅に侵入し、帰宅した主婦を絞殺して現金を奪った。その2か月後には、愛知県の会社員宅で主婦を絞殺して現金を奪った(読97.4.29朝)。一審で弁護側は大筋で起訴事実を認めたうえで、死刑は残虐刑を禁止した憲法36条に反するとして寛大な判決を求めた(朝日90.5.22夕)。上告審は、松原死刑確定者が反省しているなどの事情を考慮しても死刑はやむを得ないとした。
78 大城英明 (旧姓名 秋好英明) 76.6.14 (朝日91. 12.9夕) 85(昭60).5.31 福岡地裁飯塚支部 (読85.5.31夕) 91(平3).12.9 福岡高裁 (朝日91.12.9夕) 97(平9).9.11 最高裁 平4(あ)131 裁判所ウェブサイト (朝日97.9.12朝) いわゆる内妻一家4人殺人事件。旧姓秋好(朝日01.3.23夕)。内妻との結婚話に反対されたことを恨んで内妻の姉一家4人を殺害。姉宅に同居していた内妻は派出所に逃げ込んで無事だった。一審の途中から4人のうち3人の殺害は内妻が共犯であると主張したが、大城死刑確定者の単独犯との判断が下された(朝日97.9.12朝)。2000年再審を請求(朝日00.1.18朝)、棄却(朝日01.3.23夕)。島田荘司氏が『死刑確定者・秋好英明との書簡集』を発表している(朝日96.5.19朝)。逮捕時(76.6.14)34歳(朝日76.6.15朝)。
79 神宮雅晴 (旧姓名 広田雅晴) 84.9.4 (一審判決) 88(昭63).10.25 大阪地裁 昭59(わ)4576 判時1304号55頁 TKC D1-Law (朝日88.10.25夕) 93(平5).4.30 大阪高裁 平1(う)162 判タ840号249頁 判時1503号249頁 TKC D1-Law (朝日93.4.30夕) 97(平9).12.19 最高裁 平5(あ)570 裁判所ウェブサイト (朝日97.12.19朝) 警察庁広域重要指定115号事件。旧姓広田(朝日16.6.30朝)。京都で警官が短銃を奪われて殺され、数時間後に大阪でサラ金従業員が射殺された事件。凶器である短銃や包丁が発見されておらず、神宮死刑確定者は一審で捜査段階の供述を覆し無実を主張。控訴審で弁護側は、目撃証言の有用性や被害者から摘出された弾丸の線条痕の鑑定結果の証拠能力、捜査段階での自白の任意性を争って無実を主張したが、いずれも退けられた。警官でありながら盗んだ同僚の短銃で郵便局強盗を起こして懲役7年の刑を受けて出所した5日後の事件。死刑確定後、本の印税で再審請求の費用を得るため、知人に対し原稿とその原稿を出版社に転送するよう依頼した手紙の発信願を拘置所に出したが、拘置所は発信を許可しなかったため、提訴。2014年大阪地裁は処分を取消す判決を出したが(朝日14.5.23朝)、大阪高裁で逆転(朝日14.11.15朝)。逮捕時(84.9.5)41歳(朝日84.9.6朝)。
80 春田竜也 (旧姓名 田本竜也) 執行 02.9.18 享年36歳 (朝日02. 9.18夕) 87.9.14 ~9.25 (朝日91.3. 26夕) 88(昭63).3.30 熊本地裁 昭62(わ)577 D1-Law(判決書なし) (朝日88.3.30夕) 91(平3).3.26 福岡高裁 昭63(う)226 判時1378号145号 TKC D1-Law (朝日91.3.26夕) 98(平10).4.23 最高裁 平3(あ)476 裁判所ウェブサイト (朝日98.4.24朝) いわゆる大学生誘拐殺人事件。知人3人と共謀して小学校時代の同級生を誘拐し、4人それぞれが頭部にブロック片を投げつけるなどして殺害、その後身代金要求の電話をかけた。また、被害者と一緒にいた女性を12日間にわたって連れまわし、監禁した。共犯者は、無期懲役、懲役20年、18年が確定 (朝日91.3.26夕)。初公判では共犯4人とも起訴事実を認めたが、春田死刑確定者を主犯と主張する他の3被告人と、指示はしていないと反論する春田死刑確定者が対立。上告中にのこぎりで脱走を図るが未遂(朝日97.1.15朝)。福岡拘置所の看守が逃走を助けたとして逮捕され(朝日97.3.5夕)、また、当時の福岡拘置所長が脱走未遂事件で悩んだためか、自殺している(朝日97.2.23朝)。旧姓田本(朝日98.10.24朝)。
81 浜田美輝 執行 02.9.18 享年51歳 (朝日02. 9.18夕) 94.6. 2~3 (読94.6. 6朝) 98(平10).5.15 岐阜地裁 (朝日98.5.15夕) 控訴取下 98(平10).6.3 (朝日98.6.4朝) いわゆる岐阜一家三人殺人事件。交際女性との別れ話がこじれ、無理心中しようと女性宅を訪問、女性の両親と妹に「帰っていない」と言われ、「うそをついている。バカにしている」と思い込み、3人を殺害(朝日02.9.18夕)。一審で夫婦に対する殺意は認めたが、妹に対する殺意は否定(読94.9.23中部朝)。塗装工をしていた1980年にも妻を殺害し、自殺を図っていた(朝日94.6.6朝)。弁護士が本人の同意なく控訴(読98.5.30中部朝)、後に本人控訴取り下げ、確定(朝日98.6.6朝)。
82 宮崎知子 80.2.23
~3.6
(朝日88.2.9夕)
88(昭63).2.9
富山地裁
昭55(わ)74等
判タ673号187頁
TKC D1-Law
(朝日88.2.9夕)
92(平4).3.31
名古屋高裁金沢支部
昭63(う)69
判タ799号48号
TKC D1-Law
(朝日92.3.31夕)
98(平10).9.4
最高裁
平4(あ)1067
裁判所ウェブサイト
(朝日98.9.5朝)
いわゆる富山・長野2女性誘拐殺人事件(警察庁広域重要指定111号事件)。富山、長野両県で女子高校生、OLが相次いで身代金目的で誘拐・殺害された事件。犯行を共謀・主導したとして宮崎死刑確定者の愛人も起訴されたが、両事件とも誰が殺したかを示す有力な証拠がなく、2人の捜査段階の自白調書が信用できるかどうかが大きな争点となり、愛人は無罪、宮崎死刑確定者の単独犯との判決が下った。宮崎死刑確定者は無罪を主張していたが、控訴審で1件については一転殺害事実を認めた。
2016年2月18日、第4次再審請求。2017年3月23日、富山地裁で請求棄却(D1-Law平28年(た)1号)。即時抗告したが(朝日17.3.29朝)、2018年3月、名古屋高裁金沢支部が即時抗告を棄却(東京18.3.28朝)。2021年1月、富山地裁が5度目の再審請求を棄却(北日本21.1.14朝)、2023年8月名古屋高裁金沢支部が宮崎死刑確定者側の即時抗告を棄却、最高裁に特別抗告している(日テレ23.10.3 15:50)。
事件をテーマにしたノンフィクション小説で人格権が侵害されたとして提訴、2000年に名古屋地裁が佐木隆三氏と出版社に損害賠償の支払いを命じた(朝日00.1.26夕)。
1998年7月に東京拘置所に収監中の死刑確定者と養子縁組しており、上告審判決時は藤波姓(北日本98.9.5朝)、その後、2000年1月時点では迫姓(北日本00.1.17朝)、それ以降の報道では宮崎姓となっている。
逮捕時(80.3.30)34歳(読80.3.31朝)。
83 柴嵜正一 89.5.16 (一審判決) 91(平3).5.27 東京地裁 平1(合わ)96 D1-Law (朝日91.5.28朝) 94(平6).2.24 東京高裁 平3(う)709 D1-Law(判決書なし) (朝日94.2.24夕) 98(平10).9.17 最高裁 平6(あ)341 裁判所ウェブサイト (朝日98.9.18朝) いわゆる中村橋派出所2警官殺人事件。元自衛隊員。短銃を奪う目的で派出所の警官2人を刺殺。被告人弁護側は一貫して殺意を否定し、当時は心神喪失または心神耗弱の状態であったと主張。一審判決は「極めて不遇な生い立ちだったことを考慮しても極刑はやむを得ない」とした。逮捕時(89.6.8)20歳(読89.6.9朝)。
84 村松誠一郎 80.3.21 (朝日85.9. 26夕) 85(昭60).9.26 浦和地裁 (朝日85.9.26夕) 92(平4).6.29 東京高裁 (朝日92.6.30朝) 98(平10).10.8 最高裁 平4(あ)824 裁判所ウェブサイト (朝日98.10.9朝) いわゆる宮代事件等。弟と共謀して埼玉県宮代町で母子を殺したうえ、現金を奪って放火、栃木県でも強盗したとされる。共犯の弟は無期懲役(朝日92.6.30朝)。栃木県で強盗して逃走する際に、"時限発火装置"(軽油を入れた小皿に火のついたろうそくをたてたもの)を設置しており、その手口が類似しているとして宮代事件についても追及を受け、犯行を自白(朝日80.5.10夕)。公判では、宮代事件について兄弟とも自白は捜査官に強制されたもので任意性・信用性がなく、兄には犯行当日アリバイがあったとして無実を主張した(読.92.7.30朝)。逮捕されていた当時(80.5.10)23歳(80.5.10朝)。
85 松本美佐雄 90.12.4 /91.7.6 (読91. 9.10夕/ 読91.9. 23朝) 93(平5).9.24 前橋地裁高崎支部 (朝日93.9.24夕) 94(平6).9.29 東京高裁 (朝日94.9.29夕) 98(平10).12.1 最高裁 平6(あ)1024 裁判所ウェブサイト (朝日98.12.2朝) いわゆる妙義山ろく連続殺人事件。友人(有罪確定)と共謀し、友人に借金を迫っていた知人男性を誘い出して絞殺、山林に埋めた。さらに、別の友人の預金300万円を勝手に引き出して盗んだことを友人の父親から追及され、父親の頭を殴るなどして殺害。死体を埋める作業中、口封じのために友人もスコップで殴り殺して山中に埋めた。一審は父親については殺人罪の成立を否定し、傷害致死とした(読98.12.2朝)。上告審で弁護側は「親子殺害については共犯者がいる」との新事実を主張したが、実体的な判断はされなかった(朝日98.12.2朝)。殺害された友人親子の遺族が損害賠償を求め提訴し、松本死刑確定者に対し6250万円の支払いを命じる判決が出ている(朝日94.5.27朝)。逮捕時(91.9.10)26歳(読91.9.10朝)。
86 高田和三郎 病死 20.10.17 享年88歳 肺炎 (朝日20.10.18朝) 72.2.13 ~74.2.22 (一審判決) 86(昭61).3.27 浦和地裁 昭55(わ)1149等 判タ626号222頁 TKC D1-Law (読86.3.28朝) 94(平6).9.14 東京高裁 (読94.9.14夕) 99(平11).2.25 最高裁 平6(あ)1195 裁判所ウェブサイト (毎99.2.26朝) いわゆる友人3人殺人事件。知り合いから預かった金を使い込んだため、共犯者(ギャンブル仲間)と共謀して知り合いを殺害。その後、犯行の発覚を恐れて共犯者を殺害。さらに、不動産取引を通じて知り合った男性を殺して預金通帳を奪った。一審判決は、高田死刑確定者が1件目の後に別の窃盗罪で有罪判決を受けていたため、1件目については懲役14年、2、3件目は死刑とした。高田死刑確定者は当初いずれの犯行も認めていたが、一審の途中から「第2、3の犯行には共犯者がおり、殺害方法も検察側主張とは異なる」と供述を変更。控訴審で弁護側は、1件目の強盗殺人について「強盗部分は無罪」、2件目について「遺体も凶器もなく無罪」、3件目は「捜査段階の供述に信用性はない」と主張。(毎94.9.14夕)。2018年6月に肺炎と診断されてから東京拘置所内の病棟で治療を受けていたが、2020年10月16日朝から体調が悪化、翌日に死亡が確認された(朝日20.10.17)。上告審判決時(99.2.25)66歳(朝日99.2.26朝)。
87 嶋崎末男 執行 04.9.14 享年59歳 (読04.9. 14夕) 88.3~5 (読92.11. 30夕) 無期懲役 92(平4).11.30 熊本地裁 (読92.11.30夕) 95(平7).3.16 福岡高裁 (読95.3.17朝) 99(平11).3.9 最高裁 平7(あ)450 裁判所ウェブサイト (読99.3.10朝) いわゆる熊本・菊地町保険金殺人事件。保険金詐取を目的に配下の組員を殺害、その口封じのため別の組員2人を射殺するなどした。一審は「更生の可能性もある」として無期懲役。控訴審は「(死刑の)適用には慎重さを要するのは当然だが、犯行の冷酷さや一連の事件の主導的立場を考えると極刑をもって臨むほかない」として、死刑を言い渡した(産95.3.17朝)。
88 福岡道雄 執行 06.12.25 享年64歳 (読06.12. 25夕) 78.12.8 /80.4.19 /81.1.30 (毎88.3. 9夕) 88(昭63).3.9 高知地裁 (読88.3.9夕) 94(平6).3.8 高松高裁 (読94.3.8夕) 99(平11).6.25 最高裁 平6(あ)420 裁判所ウェブサイト (読99.6.26朝) いわゆる高知連続3人殺人事件。義姉を殺害して奪った通帳で現金を引き出し、また、この義姉が失踪したようにみせかけるための偽装を手伝わせた女性を殺害、さらに義父を殺害して金品を窃取したとされる。弁護側は一審で3件ともアリバイを主張(毎88.3.9夕)、最高裁では「義姉らの事件には関与しておらず、義父の殺害も正当防衛か過剰防衛にあたる」として無実を主張していた(毎99.06.26朝)。
89 松井喜代司 執行 17.12.19 享年69歳 (朝日17. 12.19) 94.2.13 (毎94.11. 9夕) 94(平6).11.9 前橋地裁高崎支部 (読94.11.9夕) 95(平7).10.6 東京高裁 (読95.10.6夕) 99(平11).9.13 最高裁 平7(あ)1084 裁判所ウェブサイト (毎99.9.14朝) いわゆる安中親子3人殺人事件。結婚を断られたことを逆恨みして交際相手の女性とその両親をハンマーで撲殺。この事件の前にも、交際を断られた女性を殺害、懲役10年の実刑判決を受けて服役していた(読94.11.9夕)。4回目の再審請求中に執行。法務省関係者によると、「実質的に同じ理由で請求を繰り返していた」という。上川法相は執行後の記者会見で「再審請求中だから執行しないという考え方はとっていない」と述べた。
90 北川晋 執行 05.9.16 享年58歳 (朝日05. 9.16夕) 83.8.16 /89.2.6 (読94.2. 23夕) 94(平6).2.23 高知地裁 平2(わ)391等 判時1518号155頁 TKC D1-Law (読94.2.23夕) 95(平7).3.30 高松高裁 (読95.3.31朝) 00(平12).2.4 最高裁 平7(あ)388 裁判所ウェブサイト (読00.2.4夕) いわゆる千葉・高知連続殺人事件。元警官。千葉市内で「自宅まで送る」と女性を車に乗せ、乱暴したうえ絞殺、現金を奪い、遺体を水田に捨てた。その後、別の婦女暴行致傷事件で服役し、仮釈放された3か月後に、高知県内で帰宅途中の女性に道案内を頼んで車に乗せ、ナイフを突きつけて脅迫、絞殺して現金を奪った。千葉事件は無期懲役、高知事件は死刑の判決。上告審において弁護側は、「殺人は計画的なものではなく、死刑は重過ぎる」などと主張していた(東京00.2.4夕)。
91 日高広明 執行 06.12.25 享年44歳 (読06.12. 25夕) 96.4.18 ~9.14 (読00.2. 9夕) 00(平12).2.9 広島地裁 (読00.2.9夕) いわゆる広島女性4人連続殺人事件。犯行当時、タクシー運転手。女性を営業中のタクシーに乗せて次々と殺害、現金を奪った後、遺体を捨てた。被害者は4名(読00.2.9夕)。控訴せず確定(読00.2.24夕)。公判で「一日も早く被害者のもとへ行って、おわびしたい」などと述べていた(毎00.2.25大阪朝)。再審請求をする意思があるかどうかを確認するための面会を広島拘置所から拒否されたとして弁護士が損害賠償を求めて提訴したが、最高裁で敗訴が確定(読11.10.18朝)
92 小田義勝 執行 07.4.27 享年59歳 (読07.4. 27夕) 90.12. 25~26 (読00.3. 15夕) 00(平12).3.15 福岡地裁 平8(わ)161 判タ1058号279頁 TKC D1-Law (読00.3.15夕) 控訴取下 00(平12).3.30 (読00.4.3夕) いわゆる福岡・赤池町保険金殺人事件。当時交際していた女性(指名手配され、9年後に出頭、無期懲役判決)と共謀し、保険金目当てで無理心中を装って男女2人を殺害。一審当初は無罪を主張したが、義母の証人尋問後の公判で一転して起訴事実を認めた。弁護人が控訴したが、本人が「早く決着をつけたい」と控訴取り下げ、確定。共犯者女性の公判では福岡拘置所において出張尋問が行われ、共犯者女性を「死刑にだけはしないでほしい」と証言した(毎01.02.27夕)。
93 松本健次 90.9.6 /91.9.25 (一審判決) 93(平5).9.17 大津地裁 平3(わ)271等 判時1497号136 TKC D1-Law (読93.9.17夕) 96(平8).2.21 大阪高裁 (読96.2.21夕) 00(平12).4.4 最高裁 平8(あ)482 裁判所ウェブサイト (読00.4.5朝) いわゆる京都・滋賀連続資産家連続殺人事件。兄と共謀し、いとこを殺害してその自宅権利証書を奪ったあと、不動産業者らに売買をもちかけて代金をだまし取った。翌年には近所の独居女性を乗用車内で殺害、貯金通帳などを奪い、死体を埋めた。共犯の兄は指名手配中に自殺(読91.10.8朝)。松本死刑確定者は一審では犯行を認めたものの「兄の命令に従っただけ」と主張、控訴審では「自分は傍観していただけ」と主張(毎96.2.21大阪夕)。2007年大津地裁が再審請求を棄却、大阪高裁に即時抗告(毎07.11.14大阪朝)。再審請求中に刑を執行するのは違法だとして、執行に応じる義務がないことの確認を求めて提訴。第1回口頭弁論が2018年5月に開かれた(読18.5.31)。2020年2月20日大阪地裁は再審請求中の執行を違法と認めず、請求を棄却した(朝20.2.21大阪朝)。逮捕時(91.10.7)40歳(読91.10.8朝)。
94 田中政弘 (旧姓名 宮下政弘) 執行 07.4.27 享年42歳 (読07.4. 27夕) 84.11.15 /88.3.21 /89.6.9 /91.3.8 (一審判決) 94(平6).1.27 横浜地裁 平3(わ)546等 判時1502号154頁 D1-Law (読94.1.27夕) 95(平7).12.20 東京高裁 (読95.12.20夕) 00(平12).9.8 最高裁 平8(あ)168 裁判所ウェブサイト (読00.9.9朝) いわゆる4都県連続4人殺害事件。ポルノショップで女性店員の対応に腹を立てて包丁で刺殺、売上金を盗んだ。また、知り合いの暴力団組員を電気コードで絞殺、自動車会社の同僚(18歳)の男性を絞殺して現金を強奪、さらに、事業資金欲しさに伯母を絞殺、現金を奪った。一審では、1件目の事件の後に道交法違反で執行猶予付きの有罪判決を受けていたため、この確定判決を境として、1件について懲役12年、残りの3件について死刑の判決。旧姓宮下(読07.4.27夕)。本人は4人の殺害に関する起訴事実を全面的に認めていたが、弁護側が「死刑廃止を求める世論は高まっており、避けるべきだ」として、懲役刑を求めていた(朝日94.1.27夕)。
95 竹澤一二三 執行 07.8.23 享年69歳 (読07.8. 23夕) 90.9.13 /93.7.28 (一審判決) 98(平10).3.24 宇都宮地裁 平5(わ)345等 判時1665号145頁 TKC D1-Law (読98.3.24夕) 00(平12).12.11 東京高裁 平10(う)712 高刑速(平12)133頁 TKC D1-Law (読00.12.11夕) いわゆる今市連続殺人事件。自分の妻をかくまっていると誤解し、建設会社役員を殺害。その後妻と離婚したが、元妻の浮気相手と思い込んだ男性、およびその妻を知人(20万の報酬で協力を依頼)と共に殺害、その自宅を放火した。公判では責任能力が争点となったが、判決では責任能力は認められるとされた。上告せず、確定(読00.12.11夕)。
96 瀬川光三 執行 07.8.23 享年60歳 (読07.8. 23夕) 91.5.7 (一審判決) 93(平5).7.15 富山地裁 平3(わ)112等 判時1516号169頁 D1-Law (読93.7.15夕) 97(平9).3.11 名古屋高裁金沢支部 平5(う)30 高刑速(平9)109頁 TKC D1-Law (読97.3.11夕) 01(平13).1.30 最高裁 平9(あ)428 裁判所ウェブサイト (読01.1.31朝) いわゆる富山社長夫婦殺人事件。勤務先の歯科医名義の手形を無断流用したのが発覚するのを防ぐため、手形回収の資金を奪うことを計画。元暴力団幹部(無期懲役が確定)と共謀し、富山県の人材派遣会社オーナー宅に侵入、就寝中の夫妻を射殺して現金約1200万円を奪い、現金を山分けした。控訴審で弁護側は量刑不当を訴え、瀬川死刑確定者も犯行を認めたうえで「死刑廃止の観点からも減刑を」と情状酌量を訴えた(毎97.3.11大阪夕)。
97 岩本義雄 執行 07.8.23 享年63歳 (読07.8. 23夕) 96.6.10 /99.7.8 (一審判決) 01(平13).2.1 東京地裁 平11(合わ)333等 D1-Law (読01.2.1夕) 控訴期間内に 控訴取下 (朝日01.02.17夕) いわゆる東京連続強盗殺人事件。ギャンブルで負けて金がなかったため、会社員女性と、恩人である親戚の会社社長を殺害、現金を奪った。判決は女性会社員殺害で自首を認めたが、「反省悔悟の心情から自白したとはいえず、刑を減軽すべきではない」と判断。公判で岩本死刑確定者は「死刑判決を望む」と話していたが、弁護人が「極刑を一審で確定させるわけにいかない」と即日控訴(毎01.2.1夕)。本人が控訴期限内に取り下げ、一審で死刑が確定(読01.02.19夕)。
98 上田大 病死 03.2.28 享年33歳 死因不明 (読03.3. 1朝) 93.2.16 /3.3 (控訴審 判決) 94(平6).5.25 名古屋地裁 (読94.5.25夕) 96(平8).7.2 名古屋高裁 平6(う)178 高刑速(平8)137頁 TKC D1-Law (読96.7.2夕) 01(平13).9.20 最高裁 平8(あ)826 裁判所ウェブサイト (産01.9.21朝) いわゆる木曽川連続殺人。当時交際していたフィリピン人女性に送金するため、勤務先の同僚を殺害してその給料を強取しようと企て、金属バットで殴打、殺害して現金を強取した上、その死体を川に投棄した。現金が4000円しか強取できなかったことから、深夜1人で営業しているラーメン屋台の店主を金属バットで殴打し、死んだと思って川に投棄して水中で死亡させた。一審で弁護側は犯行を認めたうえで、「他の凶悪犯とは原因や経緯が異なる」として無期懲役を求めた(読94.4.13朝)。控訴審では、計画的犯行ではないとして量刑不当を主張した。2003年2月27日朝から「調子が悪い」などと、めまいや頭痛などの症状を訴え、医師の診察を受けていたが、28日午前2時ごろに問いかけに反応しないことに職員が気づき、救命措置を施したが死亡が確認された。外傷などはなかった(読86.3.1中部朝)。
99 関光彦 執行 17.12.19 享年 44歳 (朝日17. 12.19) 92.3.5 (読01.12. 4朝) 94(平6).8.8 千葉地裁 平4(わ)1355 判時1520号56頁 判タ858号107頁 TKC D1-Law (読94.8.8夕) 96(平8).7.2 東京高裁 平6(う)1630 高刑速(平8)78頁 判タ925号283頁 判時1595号53頁 TKC D1-Law (読01.12.4朝) 01(平13).12.3 最高裁 平8(あ)864 裁判所ウェブサイト (読01.12.4朝) いわゆる市川一家四人殺害事件。犯行当時19歳。市川市内のキャバレーから無断でフィリピン人ホステスを店外に連れ出し自室に泊めたことで、暴力団から「おとしまえ」として200万円を要求され、そのほかにも遊興費ほしさから、以前強姦した当時15歳の少女(長女)の自宅である会社役員宅に侵入、会社役員の母、妻、会社役員、次女を刺殺、現金と預金通帳を奪った。関死刑確定者は一審公判で起訴事実を大筋で認める。弁護側は殺意を否定するとともに、胎児期に母親が投与された流産予防のための黄体ホルモンの影響で脳が過剰に男性化して攻撃的になっていたと主張。犯行当時少年の死刑確定および執行は永山元死刑確定者以来(毎17.12.19夕)。3回目の再審請求中の執行(読17.12.19夕)。法務省関係者によると、「実質的に同じ理由で請求を繰り返していた」という。上川法相は執行後の記者会見で「再審請求中だから執行しないという考え方はとっていない」と述べた。死刑確定前、東京新聞に対し、「僕の経験が反面教師として役立ててもらえれば」と手記を寄せていた(東京17.12.19夕)。※犯行時19歳の少年であったが、2017年12月19日の死刑執行後、上川陽子法相が実名を公表していたため、実名を表記する。
100 萬谷義幸 執行 08.9.11 享年68歳 (読08.9. 11夕) 88.1.15 (一審判決) 91(平3).2.7 大阪地裁 昭63(わ)500 判時1387号155頁 判タ767号270頁 D1-Law (読91.2.8朝) 97(平9).4.10 大阪高裁 (読97.4.11朝) 01(平13).12.6 最高裁 平9(あ)614 裁判所ウェブサイト (読01.12.7朝) いわゆる地下鉄短大生殺人事件。定職もなく生活費に困り、「誰でもいいから殺してでも金を奪おう」と考え、アルバイトから帰宅途中の女性を刺殺、金を取ろうとしたが足音がしたため逃走。その他、若い女性を刺す、または鉄パイプで殴るなどしてバッグを奪うなどした。少年時代に強盗殺人未遂で服役、その後100円札1枚欲しさに若い女性を刺殺、強盗殺人罪で無期懲役の判決を受けて仮釈放中だった(読88.2.1朝)。控訴審で弁護側は精神鑑定に基づき「本人も理解できない深層心理が犯行につながった」と無期懲役への減刑を求めたが、判決は「特異人格だが、精神障害や知的障害はない」とした(読97.411大阪朝)。
101 陳代偉 92.5.30 (一審判決) 92(平4).12.15 東京地裁八王子支部 平4(わ)1018等 判時1586号148頁 TKC D1-Law (95.12.15夕) 98(平10).1.29 東京高裁 平8(う)265 判時1641号146頁 TKC D1-Law (朝日98.1.29夕) 02(平14).6.11 最高裁 平10(あ)310 裁判所ウェブサイト (読02.6.11夕) いわゆる多摩市パチンコ店強盗殺人事件。売り上げ金等を運搬中のパチンコ店店員を襲って現金を強取しようと何力死刑確定者ともう1人とで共謀し、店員2名および物音に気が付いて駆けつけた同店店長を殺害し、現金を奪った。外国人被告人の死刑が確定するのは、統計が残っている1966年以来2件目。共犯者1人は海外逃亡、国際指名手配中(読02.6.11夕)。上告審で弁護側は「逃亡中のリーダーの供述が全くないまま、死刑を言い渡すのは不当」と主張したが(毎02.6.11夕)、判決は「未検挙の共犯者が主導的だったことを考慮しても、死刑を是認せざるを得ないとした。逮捕時(92.12.8)31歳(読92.12.9朝)。
102 何力 92.5.30 (一審判決) 92(平4).12.15 東京地裁八王子支部 平4(わ)1018等 判時1586号148頁 TKC D1-Law (95.12.15夕) 98(平10).1.29 東京高裁 平8(う)265 判時1641号146頁 TKC D1-Law (朝日98.1.29夕) 02(平14).6.11 最高裁 平10(あ)310 裁判所ウェブサイト (読02.6.11夕) いわゆる多摩市パチンコ店強盗殺人事件。売り上げ金等を運搬中のパチンコ店店員を襲って現金を強取しようと陳代偉死刑確定者ともう1人とで共謀し、店員2名および物音に気が付いて駆けつけた同店店長を殺害し、現金を奪った。外国人被告の死刑が確定するのは、統計が残っている1966年以来2件目。共犯者1人は海外逃亡、国際指名手配中(読02.6.11夕)。上告審で弁護側は「逃亡中のリーダーの供述が全くないまま、死刑を言い渡すのは不当」と主張したが(毎02.6.11夕)、判決は「未検挙の共犯者が主導的だったことを考慮しても、死刑を是認せざるを得ないとした。逮捕時(92.12.8)28歳(読92.12.9朝)。
103 横田謙二 99.1.9 (読01.6. 28夕) 無期懲役 01(平13).6.28 さいたま地裁 平11(わ)585 裁判所ウェブサイト (読01.6.28夕) 02(平14).9.30 東京高裁 平13(う)2062 高刑速(平14)86頁 TKC D1-Law (読02.9.30夕) 上告取下 02(平14).10.24 平19(あ)1684 裁判所ウェブサイト (読02.10.26朝) いわゆる川口バラバラ殺人事件。強盗殺人で無期懲役判決を受けて仮釈放中、自宅に招いたスナック従業員の女性と口論になり、女性の首を絞めて殺害。遺体をバラバラに切断して荒川に捨てた。一審判決は、横田死刑確定者が謝罪を述べていること、また、犯罪性向が議論の余地なく改善不可能なほどにまで進んでいるものとは言えないとして無期懲役、控訴審は「ささいなことに過剰に反応する性格の矯正は事実上不可能。被害者が1人でも、極刑はやむを得ない」とした。本人上告取り下げ、確定(読02.10.26朝)。逮捕時(99.4.9)49歳(読99.4.9夕)。
104 府川博樹 執行
07.12.7
享年42歳
(読07.12.
7夕)
99.4.19
(読99.5.
19朝)
01(平13).3.21
東京地裁
平11(合わ)209等
TKC D1-Law
(読01.3.21夕)
01(平13).12.19
東京高裁
平13(う)886
裁判所ウェブサイト
(読01.12.19夕)
上告取下
03(平15).1.5
(読03.7.14朝)
確定は同月19日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる江戸川老母子強盗殺人事件。女性との交際費に困り、知り合いの女性に借金を申し込んだが断られ、首を絞めた上包丁で刺殺。さらに事件を目撃した女性の母親も刺殺した。一審初公判で起訴事実を認める。本人上告取り下げ、確定(読03.7.14朝)。
105 吉岡守
(旧姓名
宅間守)
執行
04.9.14
享年40歳
(読04.9.
14夕)
01.6.8
(読03.8.
28夕)
03(平15).8.28
大阪地裁
平13(わ)5006等
判時1837号13頁
TKC D1-Law
(読03.8.29朝)
控訴取下
03(平15).9.26
(読03.9.27朝)
確定は12月5日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる池田小学校児童殺傷事件。大阪教育大学付属池田小学校に侵入、児童8人を刺殺、その他13人の児童と教諭2人に重軽傷を負わせた。犯行動機は、元妻との復縁がかなわず、生活にも行き詰ったことなどから自暴自棄になり、以前から空想していた大量殺人を実行しようと考えたとされる。旧姓宅間(東京04.9.14朝)。本人控訴取り下げ、確定(読03.9.27朝)。「3か月以内の執行を望む」と自ら早期執行を望む手紙を弁護人に出していた(読03.10.1朝)。確定から1年という異例の速さでの執行(毎04.9.14夕)。法廷では最後まで反省の言葉なく、傍聴席の被害者らに対しても不遜な態度をとり続けていたが、面会を繰り返していた臨床心理士は、執行後に、「罪の深さを認識するようになった」と会見で述べている(読04.9.15朝)。精神鑑定書のほぼ全文が公開されている(『宅間守 精神鑑定書 精神医療と刑事司法のはざまで』)。
106 黄奕善 93.10.27 ~12.20 (読96.7. 19夕) 96(平8).7.19 東京地裁 平6(合わ)144 (読96.7.19夕) 98(平10).3.26 東京高裁 平8(う)1434 判時1651号153頁 TKC D1-Law (読98.3.26夕) 04(平16).4.19 最高裁 平10(あ)645 裁判所ウェブサイト (朝日04.4.20朝) 警察庁広域重要指定121号事件。主犯格とされる松沢(下山)信一死刑確定者らと共謀、滋賀、東京、群馬、静岡で金融業者や不動産業者を相次いで襲った。包丁や拳銃で3人を殺害し、1人に重傷を負わせて2600万円を奪うなどした。裁判の当初は犯行に加わっていたことは認めたものの「殺すつもりはなかった」と殺意を否定、その後一審最終弁論では「命でつぐないたい。死刑にしてほしい」と述べた(朝日96.7.19夕)。上告審において弁護側は「首謀者や共犯者に引きずられただけで役割は従属的」と死刑回避を主張した(朝日04.3.12朝)。松沢(下山)死刑確定者は2005年に確定(読05.9.16夕)。逮捕時(94.4.1)25歳(朝日94.4.1夕)。
107 石橋栄治 病死 09.10.27 享年72歳 肺炎 (読09.10. 28朝) 88.12.28 /89.1.1 (一審判決) 無期懲役 96(平8).3.8 横浜地裁小田原支部 平1(わ)30 判時1596号131頁 TKC D1-Law (読96.3.9朝) 99(平11).4.28 東京高裁 平8(う)772 判タ1013号245頁 TKC D1-Law (読99.4.29朝) 04(平16).4.27 最高裁 平11(あ)1115 裁判所ウェブサイト (読04.4.27夕) いわゆる神奈川2件強盗殺人事件。売上金を奪おうとしてタクシー運転手を刺殺、さらに翌年には作業員を刺して現金を奪った上、宿舎に放火して焼死させたとして起訴された。捜査段階ではタクシー事件を自白していたが、一審公判中に供述が変遷し、最終的には全面的に否認。一審判決は、自白は信用できないとしてタクシー殺人は無罪、無期懲役としたが、控訴審判決は、自白は信用できるとして一審判決を破棄、両事件を有罪として死刑を言い渡した。死刑確定後、弁護人は高裁に再審請求する方針と明かしていた(朝日04.5.9朝)。肺炎で死亡(読09.10.28朝)。
108 藤間静波 執行 07.12.7 享年47歳 (読07.12. 7夕) 81.10 ~82.6 (読88.3. 10夕) 88(昭63).3.10 横浜地裁 昭57(わ)1271等 TKC(判決書なし) (読88.3.10夕) 00(平12).1.24 東京高裁 昭63(う)622 高刑速(平12)53頁 判タ1055号294頁 TKC D1-Law (読00.1.25朝) 04(平16).6.15 最高裁 平12(あ)823 裁判所ウェブサイト (読04.6.15夕) 警察庁広域重要指定112号事件。一緒に盗んだ金を返さなかった無職男性を刺殺。その翌年、会社員宅で長女との交際を断られた恨みから、会社員の妻、長女、次女の3人をメッタ刺しにして殺害。その翌月には、母娘殺害の見張り役の少年が自首するのではないかと恐れ、少年を刺殺した。起訴後の言動に異常な点があり、控訴審判決は、拘禁の影響によるものとした。1991年4月、本人控訴取り下げ、東京高裁は「裁判の終了」を宣言したが、弁護人が特別抗告。最高裁は95年6月に「判決のショックなどによる精神障害に起因する取下げは無効」と判断、東京高裁での公判再開を決定し、2000年1月に控訴審死刑判決、2004年最高裁で確定した(読04.6.15夕)。上告審で弁護側は「長期間の拘置で精神的な障害が起き、刑罰の意味さえ理解できていない」と死刑判決破棄を求めたが、退けられた(毎04.6.15夕)。
109 岡崎茂男 病死 14.6.26 享年60歳 誤嚥性肺炎 (読14.6. 27朝) 86.7~89 (読95.1. 28朝) 95(平7).1.27 福島地裁 平3(わ)93 判時1670号132頁 TKC D1-Law (読95.1.28朝) 98(平10).3.17 仙台高裁 平7(う)53 判時1670号93頁 TKC D1-Law (読98.3.18夕) 04(平16).6.25 最高裁 平10(あ)551 裁判所ウェブサイト (読04.6.26朝) 警察庁広域重要指定118号事件。元警官。金融業者を誘拐、キャッシュカードを奪って生き埋めにし、その3年後には塗装会社社長を誘拐、現金を奪って殺害して埋めた。一審で3人に死刑(熊谷昭孝・迫康裕死刑確定者)、3人が無期懲役(読95.1.28朝)。金融業者の誘拐殺害について、岡崎死刑確定者は「事前謀議に参加していない」と主張していたが、一審判決はこの供述の信用性を全面的に否定。被害者に多額の債務のあった岡崎死刑確定者が犯行を提案、殺害も主張し、ほかの4被告が同意したと認定した。控訴審公判で熊谷昭孝死刑確定者が”金融業者を殺害した後、その半年以上前にこの金融業者らと数人で不動産会社社長を殺害したと岡崎死刑確定者がほのめかした”と証言したが、仙台高検は捜査は終わったとした(読96.11.1夕)。2009年福島地裁が再審請求を棄却、即時抗告(中日09.4.7朝)。2013年2度目の特別抗告棄却(読13.2.24朝)。誤嚥性肺炎で死亡。福島地裁によると、2013年3月に3回目の再審請求をしていた(14.6.27朝)。
110 熊谷昭孝 病死 11.1.29 享年67歳 肺塞栓症 (読11.1. 30朝) 86.7~89 (読95.1. 28朝) 95(平7).1.27 福島地裁 平3(わ)93 判時1670号132頁 TKC D1-Law (読95.1.28朝) 98(平10).3.17 仙台高裁 平7(う)53 判時1670号93頁 TKC D1-Law (読98.3.18夕) 04(平16).6.25 最高裁 平10(あ)551 裁判所ウェブサイト (読04.6.26朝) 警察庁広域重要指定118号事件。金融業者を誘拐、キャッシュカードを奪って生き埋めにし、その3年後には塗装会社社長を誘拐、現金を奪って殺害して埋めた。一審で3人に死刑(岡崎茂男・迫康裕死刑確定者)、3人が無期懲役(読95.1.28朝)。一審初公判で起訴事実を大筋において認める(中日91.10.21夕)。控訴審判決は、塗装会社社長誘拐殺害事件は熊谷死刑確定者が殺害の指示をし主導的役割を果たしたと認定。控訴審公判で熊谷死刑確定者が”金融業者を殺害した後、その半年以上前にこの金融業者らと数人で不動産会社社長を殺害したと岡崎死刑確定者がほのめかした”と証言したが、仙台高検は捜査は終わったとした(読96.11.1夕)。肺塞栓症により死亡(読11.1.30朝)。
111 迫康裕 病死 13.8.15 享年73歳 肺炎 (読13.8. 16夕) 86.7 ~91.5 (読95.1. 28朝) 95(平7).1.27 福島地裁 平3(わ)93 判時1670号132頁 TKC D1-Law (読95.1.28朝) 98(平10).3.17 仙台高裁 平7(う)53 判時1670号93頁 TKC D1-Law (読98.3.18夕) 04(平16).6.25 最高裁 平10(あ)551 裁判所ウェブサイト (読04.6.26朝) 警察庁広域重要指定118号事件。金融業者を誘拐、キャッシュカードを奪って生き埋めにし、その3年後には塗装会社社長を誘拐、現金を奪って殺害して埋めた。さらにその2年後、別の仕事の仲間2人と共に別の塗装会社社長を誘拐して監禁、現金を奪った。一審で3人に死刑(岡崎茂男・熊谷昭孝死刑確定者)、3人が無期懲役(読95.1.28朝)。一審初公判で起訴事実を大筋において認める(中日91.10.21夕)。後者の塗装会社社長誘拐殺害事件は迫死刑確定者が呼びかけたと認定された。2013年、1度目の再審請求の特別抗告が棄却された(読13.2.24朝)。6年前から患っていた気管支炎が悪化し、急性肺炎のため死亡(読13.8.16朝)。
112 名古圭志 執行 08.2.1 享年37歳 (読08.2. 1夕) 02.8.16 (一審判決) 04(平16).6.18 鹿児島地裁 平14(わ)372 TKC D1-Law (読04.6.18夕) 控訴取下 04(平16).8.26 (毎04.9.2夕) いわゆる徳之島兄家族殺傷事件。実の兄とその長女への逆恨みから兄家族を殺害しようと企て、兄宅において、兄の次男を刺し、兄の妻と長女を殺害。初公判で起訴事実を認める。兄は公判で「文句があるなら私に言えばよかったのに。被告人を極刑にしてほしい」と訴えた(読03.11.6西部朝)。本人控訴取り下げ、確定(毎04.9.2夕)。
113 中村正春 執行 08.4.10 享年61歳 (読08.4. 10夕) 89.10.10 /89.12.26 (読95.5. 20朝) 95(平7).5.19 大津地裁 (読95.5.20朝) 99(平11).12.22 大阪高裁 (読99.12.22夕) 04(平16).9.9 最高裁 平12(あ)317 裁判所ウェブサイト (読04.9.9夕) いわゆる元同僚殺他害事件。浮浪者風の男性に声をかけて車に乗せ、睡眠薬を飲ませて性的いたずらをしたうえで殺害、のこぎりで遺体を切断して山林などに捨てた。また、生活費に困り、以前勤めてた会社の元同僚を睡眠薬で眠らせて絞殺、所持金を奪い、遺体をのこぎりなどで切断して山林に捨てた。弁護側は精神鑑定を請求したが、医師の鑑定結果は「精神分裂の症状は見られず、刑事責任は問える」とのことだった(読94.11.22大阪夕)。
114 岡本啓三 (旧姓名 河村啓三) 執行 18.12.27 享年60歳 (毎18.12. 27夕) 88.1.29 (読99.3. 5夕) 95(平7).3.23 大阪地裁 (読95.3.23夕) 99(平11).3.5 大阪高裁 (読99.3.5夕) 04(平16).9.13 最高裁 平11(あ)591 裁判所ウェブサイト (朝日04.9.14朝) いわゆるコスモ・リサーチ事件。末森博也死刑確定者らと共謀して、投資会社顧問の実質経営者で相場師の男性から金を奪うことを計画。同社社員の案内で相場師男性宅に行き、2人を拉致、別の社員に用意させた1億円を強奪した後、2人を絞殺。遺体をコンクリート詰めにして倉庫に隠したが、異臭がひどくなったために山林に埋めた。公判では、どちらが主犯なのかで互いに争った(読94.11.14夕)。旧姓河村。一審判決後、僧侶から個人的に教誨を受け始める(読09.6.8朝)。再審請求では「殺害は現金強奪後に決めた」として、強盗殺人罪ではなく、強盗罪と殺人罪の適用を主張していたが、第4次再審請求中に死刑が執行された。2020年12月、再審請求中の死刑執行は違法だとして、元弁護人3人が国に賠償を求めて大阪地裁に提訴した(毎20.12.26大阪朝)。逮捕された当時(88.1018)31歳(読88.10.18夕)。
115 末森博也 執行
18.12.27
享年67歳 (毎18.12. 27夕)
88.1.29 (読99.3. 5夕) 95(平7).3.23 大阪地裁 (読95.3.23夕) 99(平11).3.5 大阪高裁 (読99.3.5夕) 04(平16).9.13 最高裁 平11(あ)591 裁判所ウェブサイト (朝日04.9.14朝) いわゆるコスモ・リサーチ事件。岡本啓三死刑確定者らと共謀して、投資会社顧問の実質経営者で相場師の男性から金を奪うことを計画。同社社員の案内で相場師男性宅に行き、2人を拉致、別の社員に用意させた1億円を強奪した後、2人を絞殺。遺体をコンクリート詰めにして倉庫に隠したが、異臭がひどくなったために山林に埋めた。公判では、どちらが主犯なのかで互いに争った。逮捕された当時(88.1018)36歳(読88.10.18夕)。
116 持田孝 執行 08.2.1 享年65歳 (読08.2. 1夕) 97.4.18 (一審判決) 無期懲役 99(平11).5.27 東京地裁 平9(合わ)133 判時1686号156頁 TKC D1-Law (読99.5.27夕) 00(平12).2.28 東京高裁 平11(う)1202 高刑速(平12)73頁 判タ1027号284頁 判時1705号173頁 TKC D1-Law (読00.2.28夕) 04(平16).10.13 最高裁 平12(あ)425 裁判所ウェブサイト (読04.10.14朝) いわゆる逆恨み殺人事件。平成元年に強姦致傷等事件を起こし、その被害者である女性が警察に被害申告したことを逆恨みして、同事件から7年後の刑務所出所直後に同被害者を殺害し、その所持金を窃取した。家出中の女子高校生を殺害した前科が有り、これも一方的に裏切られたとして怒りを募らせ、それが殺意に転化した事件だった。一審は、被害者が1人の事件であり、被告人が謝罪の気持ちを口にしていることなどから無期懲役とした。控訴審は、犯行の計画性や出所から年数が経っていないこと、逆恨みという動機の特異性などから、死刑とした。事実認定が同じであるにもかかわらず、一審無期懲役が死刑となるのは近年では異例と言われた(読00.2.28夕)。
117 坂本正人 執行 08.4.10 享年41歳 (読08.4. 10夕) 02.7.19 (一審判決) 無期懲役 03(平15).10.9 前橋地裁 平14(わ)480 裁判所ウェブサイト (読03.10.9夕) 04(平16).10.29 東京高裁 平15(う)2869 高刑速(平16)105頁 TKC D1-Law (読04.10.29夕) いわゆる群馬県大胡町女子高生誘拐殺人事件。少女を拉致監禁して強姦したうえ殺害し、その所持金を奪い、その少女の家族に対して身代金を要求してこれを手に入れた。前科前歴のない犯人による被殺者1名の事件。控訴審東京高裁は、一審無期懲役を量刑判断の誤りとして破棄、死刑を宣告した。前妻らが家出したことをきっかけに自暴自棄になり、福祉事務所に保護されていた前妻らとの面会を迫る目的で被害者を略取したとされる。一審無期懲役に対して、検察側とともに坂本死刑確定者も死刑を求めて控訴(読04.10.29夕)。控訴審において、一審判決は「死刑じゃないのはおかしい」などと不可解な供述に終始。一審の弁護人に対しては、「釈放されても行く当てもなく金もない。だから死刑にしてくれ」と話していたという。上告せず、確定(読04.11.16朝)。
118 坂本春野 病死 11.1.27 享年83歳 肝臓がん (読11.1. 28朝) 87.1.17 ~92.8.19 (読00.9. 28夕) 98(平10).7.29 高知地裁 (読98.7.30朝) 00(平12).9.28 高松高裁 (読00.9.28夕) 04(平16).11.19 最高裁 平12(あ)1634 裁判所ウェブサイト (読04.11.20朝) いわゆる高知連続保険金殺人事件。確定時77歳。妹やその夫と共謀し、自宅で自分の夫を酔わせたうえ、鼻や口をふさいで窒息死させ、「就寝中に死亡した」などと偽って保険金をだまし取った。また別の知人男性と共謀し、同居人女性を石で殴って殺害、遺体を道路に放置して交通事故を装い保険金をだまし取ろうとしたとされる。夫殺害について「自白は強要されたもの」として一審から無罪を主張。一審では認めていたもう1人の殺害についても控訴審では「他の共犯者の単独犯」と翻した(読00.9.28夕)。肝臓がんで大阪医療刑務所にて死亡(読11.1.28朝)。
119 倉吉政隆 95.3.22 ~95.4.18 (読04.12. 2夕) 99(平11).3.25 福岡地裁 (読99.3.25夕) 00(平12).6.29 福岡高裁 (読00.6.29夕) 04(平16).12.2 最高裁 平12(あ)1160 裁判所ウェブサイト (読04.12.2夕) いわゆる福岡連続強盗殺人事件。仲間の男(無期懲役が確定)と共謀し、所持金などを奪う目的で知人の会社役員を短銃で殺害、指輪などを奪った。さらに、一緒にいたフィリピン人ホステスも殺害し、遺体を牧草地に埋めた。その他、パチンコ店事務所などの5件の強盗や、職務質問しようとしたパトカーへ発砲するなどした。ホステス殺害については共謀を否認していたが、「倉吉死刑確定者が犯行を主導した」と主張する共犯の供述は信用できるとされた(読99.3.25夕)。再逮捕時(96.5.9)44歳(読96.5.9夕)。
120 森本信之 (旧姓名 沢本信之) 98.12.25 (読99.3. 25夕) 00(平12).3.1 津地裁 (読00.3.1夕) 01(平13).5.14 名古屋高裁 (読01.5.15夕) 04(平16).12.14 最高裁 平13(あ)963 裁判所ウェブサイト (読04.12.14夕) いわゆるフィリピン人2女性殺人事件。知り合いだったフィリピン人ホステス2人の首をネクタイで絞めるなどして殺害、現金と貴金属を奪ったほか、パチンコ店で店員を殴り重傷を負わせ、現金1900万円を奪った。一審初公判において起訴事実を認め(読99.4.22中部朝)、控訴審では反省の弁を述べるも、一審の死刑判決には「納得できない」と供述(読01.5.29西部朝)。一審判決は共犯者含めて3人に死刑、そのうち1人は2000年10月8日に病死(読00.10.12朝)、もう1人は控訴審無期懲役が確定(読01.5.29西部朝)。旧姓沢本(読04.12.14夕)。差し入れられた資料の一部を名古屋拘置所が削除したのは違法だとして損害賠償を請求(読06.12.7朝)、食中毒になったことの慰謝料請求(読09,10.24朝)など、民事訴訟多数。2017年、パンやのど飴の袋についている「懸賞応募券」を集めて郵送しようとして不許可になったことの賠償を求めて提訴、名古屋高裁は拘置所の不許可は違法と判断した(朝日17.4.14朝)。また、共犯者に対して、”虚偽の供述をされたことにより裁判所が騙されて役割の主従が逆になり、死刑判決を受けた”と主張、損害賠償を求めて提訴もしている(05.1.27中部朝)。逮捕時(99.1.29)45歳(読99.1.30朝)。
121 山崎義雄 執行 08.6.17 享年73歳 (読08.6. 17夕) 85.11 /90.3 (読97.2. 18夕) 無期懲役 97(平9).2.18 高松地裁 平6(わ)360 D1-Law(判決書なし) (読97.2.18夕) 00(平12).10.26 高松高裁 平9(う)65 高刑速(平12)239頁 判タ1064号222頁 TKC D1-Law (読00.10.26夕) 05(平17).1.25 最高裁 平12(あ)1778 裁判所ウェブサイト (読05.1.25夕) いわゆる仙台・香川連続保険金殺人事件。共犯男性と共謀し、知人女性にかけた保険金をだまし取ろうとしてこの女性を首つり自殺にみせかけて殺害、共犯者が受け取った保険金の一部を受け取った。そのほか、香川県の食品販売業者も事故死にみせかけて殺害(保険をかけたが失効)したとされる。2件目の殺害について、山崎死刑確定者は「本人から委託を受けた嘱託殺人だ」と主張。一審は、 1件目の殺害について共犯者が犯行を依頼したので共犯者が首謀者と言えるとして無期懲役としたが、控訴審は「(一審で)被告人に有利と判断した情状は妥当ではない」として死刑判決。共犯者は無罪を主張し(朝日99.3.16朝)、懲役15年が確定(読01.11.22大阪朝)。
122 間中博巳 89.8.9 ~9.13 (一審判決) 94(平6).7.6 水戸地裁下妻支部 平元(わ)288等 判時1533号127頁 D1-Law (読94.7.7夕) 01(平13).5.1 東京高裁 平6(う)1147 高刑速(平13)61頁 TKC D1-Law (読01.5.1夕) 05(平17).1.27 最高裁 平13(あ)1162 裁判所ウェブサイト (読05.1.28朝) いわゆる同級生連続殺人事件。高級車や遊ぶ金ほしさに自分の車に放火し、放火されたとして5000万円の保険金を受け取る。さらに、中学時代の同級生2人を相次いで殺害し、車放火の罪をきせてそれぞれの親から金を脅し取ろうとした。一審で「犯行を認めた供述調書は取調官のでっちあげ、暴行・脅迫を受けた」として、犯人は他にいると無罪主張。控訴審で殺害を認め、殺人・監禁の罪に問われていた共犯者について「監禁はしたが殺人はしていない」と供述した(朝日99.5.7朝)。再逮捕時(89.11.5)21歳(読89.11.6朝)。
123 秋永香 (旧姓名 岡下香) 執行 08.4.10 享年61歳 (読08.4. 10夕) 89.10. 1~4 (一審判決) 無期懲役 99(平11).3.11 東京地裁 平7(合わ)307等 D1-Law (読99.3.11夕) 01(平13).5.17 東京高裁 平11(う)1077 高刑速(平13)94頁 TKC D1-Law (読01.5.17夕) 05(平17).3.3 最高裁 平13(あ)1237 裁判所ウェブサイト (読05.3.3夕) いわゆる資産家老女ら2人殺人事件。元保険代理業者男性と共謀して杉並区の老女所有の所有権を取得したように装って売買代金をだまし取り、その発覚を恐れて老女を殺害、詐欺と殺人の罪をなすりつけるために共犯者を殺害したとされる。一審初公判では起訴事実を大筋で認めたものの、その後弁護側は老女殺害について否認、共犯者殺害については騙し取った金の分け前をしつこく要求され、睡眠不足で意識がもうろうとしていた中かっとなって短銃で撃ったと主張。一審判決は「犯行は場当たり的で計画性はない」と無期懲役としたが、控訴審は「完全犯罪を狙った計画的犯行」として死刑判決。旧姓岡下(読08.4.10夕)。確定後、獄中で詠んだ短歌をまとめ、歌集「終わりの始まり」を出版。秋永死刑確定者が短歌を投稿していた短歌誌の会員らが2年かけて費用を工面したという。あとがきに「赦されぬ過ちを犯した者の人生とは・・と、何かを感じてもらえば」と記されている(東京06.12.31朝)。
124 宮前一明 (旧姓名 佐伯一明) 執行 18.7.26 享年57歳 (朝日18. 7.26夕) 89.2 ~11.4 (朝日98.7. 6夕) 98(平10).10.23 東京地裁 平7(合わ)332等 判タ1008号107頁 判時1660号25頁 TKC (読98.10.23夕) 01(平13).12.13 東京高裁 平10(う)2041 裁判所ウェブサイト (読01.12.13夕) 05(平17).4.7 最高裁 平14(あ)126 裁判所ウェブサイト (読05.4.7夕) いわゆるオウム真理教事件。他の5人の実行役とともに弁護士一家3人を殺害、これに先立ち教団を脱会しようとした男性信者をリンチの末に殺害した。一家殺害について一審判決は、自首が突破口となって事件解明につながったことは評価したが、自首の動機が真摯な反省ではなく、教団によって殺されることから身を守るという自己保身であったとして減刑は認めなかったが、捜査・公判を通じて概ね一貫して真実を語り、各事案の解明に大きく貢献し、被告人なりに反省していると評価された。上告審判決の直前に、悔悟の念や養子縁組した禅寺の住職との交流、刑の確定を控えて「死」を思う心境をつづった手記を新聞社に対して公開(朝日05.4.7朝)。坂本弁護士事件事件当時の姓は佐伯(朝日98.7.6夕)、一審・控訴審判決時の姓は岡崎(朝日05.4.7朝)。2010年10月25日付で再審請求棄却が最高裁で確定(朝日10.10.27朝)。獄中で始めた水墨画が多くの展覧会で入選している(東京15.3.21朝)。2018年3月、東京拘置所から名古屋拘置所に移送された(日経18.3.16朝)。同月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。さらに、同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。逮捕時(95.9.6)34歳(朝日95.9.7朝)。
125 西川正勝 執行 17.7.13 享年61歳 (読17.7. 13夕) 91.12.13 ~92.1.5 (朝日95.9. 12朝) 95(平7).9.11 大阪地裁 (読95.9.12朝) 01(平13).6.20 大阪高裁 (読01.6.20夕) 05(平17).6.7 最高裁 平13(あ)1401 裁判所ウェブサイト (読05.6.7夕) 警察庁広域重要指定119号事件。姫路市、松江市、京都市、大阪市で計4人を殺害、現金を奪ったとされる。逮捕直後は4件の殺人を自白したが、公判で全面否認。物証に乏しかったため、判決は犯行現場に残された靴の跡などの状況証拠を積み上げて有罪を認定した(朝日17.7.13夕)。控訴審で1件の犯行を認めるも、酒に酔っていたとして弁護人は心神喪失を主張(朝日98.1.21夕)。最高裁で弁論が開かれると決まった頃、「成人してから29年間社会で生活できたのはたった数か月であり、自分の写真が1枚もない」ということで写真撮影を希望したが、許可は出ず(朝日005.6.7夕)。18歳の時にスナックママを殺害し服役した前科がある(読92.1.9朝)。控訴審判決時の姓は金田(読01.6.20夕)。再審請求中に執行された。再審請求を10回繰り返し、理由も実質的にほとんど同じだったため、法務省が「再審事由はない」と判断して執行に踏み切ったとみられる(読17.7.14朝)。
126 鎌田安利 執行 16.3.25 享年75歳 (読16.3. 25夕) 85.5.28 ~94.3 (朝日99.1. 9朝) 99(平11).3.24 大阪地裁 (読99.3.24夕) 01(平13).3.27 大阪高裁 (読01.3.28朝) 05(平17).7.8 最高裁 平13(あ)803 裁判所ウェブサイト (読05.7.9朝) 警察庁指定122号事件。身代金目的で1人の少女を誘拐・殺害し、その他、金銭をめぐるトラブルなどから女性4人を殺害、合計5人の女性を殺害したとされる。一連の事件の途中で、別の窃盗罪で2件の有罪判決が確定したため、その前後に分けて死刑が求刑され、そのどちらも死刑判決となった。鎌田死刑確定者は捜査段階で身代金要求以外のすべての犯行を認めたが、公判では「殺害したのは知人で、遺体の遺棄などを手伝っただけ」と無罪を主張。一審判決は少女殺害後の身代金要求の電話について、便乗犯を否定できないとして無罪とした(朝日99.1.9朝)。控訴審では身代金要求の無罪部分も破棄、鎌田死刑確定者の犯行とされた(朝日01.3.28朝)。
127 高根沢智明 執行 21.12.21 享年54歳 (朝日21.12.22朝) 03.2.23 /4.1 (一審判決) 04(平16).3.26 さいたま地裁 平15(わ)1637 TKC D1-Law (読04.3.27朝) 控訴取下 05(平17).7.13 (読05.9.23朝) いわゆる群馬パチンコ店員連続強盗殺人事件。金に困り、知人のパチンコ店員を殺害して現金300万円を奪った。盗んだ金で連日遊び、わずか1ヵ月で使い切ったため、再び同様の手口で大金を盗もうと計画、他のパチンコ店員を殺害したが、金庫を開けることができずに逃走した。一審で弁護側は1人の殺人に関して、「死因は窒息死だが、(投げ込んだ)川で窒息した可能性がある」として死体遺棄罪について無罪を主張したが、判決では退けられた。本人控訴取り下げ(読05.9.23朝)。弁護人が「正常な判断力を失っており取下げは無効」と異議を申し立てた特別抗告は最高裁で棄却され、確定(朝日06.6.8朝)。共犯の小野川光紀死刑確定者は2009年に確定(朝日09.6.10朝)。再逮捕時(03.7.29)36歳(朝日03.7.30朝)。
128 松沢信一 (旧姓名 下山信一) 93.10.27 ~12.20 (読96.7. 19夕) 98(平10).5.26 東京地裁 平6(合わ)144等 判タ1016号251頁 判時1652号146頁 D1-Law (読98.5.26夕) 01(平13).5.30 東京高裁 (読01.5.30夕) 05(平17).9.16 最高裁 平13(あ)1286 裁判所ウェブサイト (読05.9.16夕) 警察庁広域重要指定121号事件。共犯の黄奕善死刑確定者らと共謀し、滋賀、東京、群馬、静岡で金融業者や不動産業者を相次いで襲い、包丁や拳銃で3人を殺害し、1人に重傷を負わせて2600万円を奪うなどした。弁護側は一審で「被害者を殺してまで金を奪うことは計画していなかった」、また、控訴審では「殺意はなく、死刑は重過ぎる」として減刑を求めたが、いずれも退けられた(読00.11.9朝)。共犯の黄奕善死刑確定者は2004年に確定(朝日04.4.20朝)。旧姓下山(朝日05.9.16夕)。逮捕時(94.3.28)33歳(朝日94.3.28夕)。
129 堀江守男 86.2.20 (読88.9. 12夕) 88(昭63).9.12 仙台地裁 昭61(わ)183号 TKC(判決書なし) (読88.9.12夕) 91(平3).3.29 仙台高裁 昭63(う)196号 高刑速(平3)133頁 TKC D1-Law (読91.3.30朝) 05(平17).9.26 最高裁 平3(あ)519 裁判所ウェブサイト (読05.9.26夕) いわゆる仙台老夫婦強盗殺人事件。仕事を紹介してくれないことを逆恨みし、82歳男性の頭を鉄棒でめった打ちにして殺害、その後帰宅した妻も殺害し、郵便貯金証書などを奪ったうえ、遺体を松林に捨てた。一審で弁護側は、貧しい家庭に育ち十分な教育を受けていなかったこと、知的にやや劣っていることなどを情状として無期懲役を主張したが、死刑(日経88.9.12夕)。本人が上告を取り下げるも、弁護団が異議を申し立てて審理再開(朝日93.6.2朝)。1993年5月31日から1998年3月17日の間、心神喪失状態にあるとして上告審の公判が停止された(朝日05.9.26夕)。上告審で弁護側は心神喪失が続いているとして改めて公判停止を主張するとともに、犯行当時も精神障害で責任能力が欠けていたとして死刑の破棄を求めたが(読05.9.26朝)、退けられた。上告審判決時(05.9.26)54歳(毎05.9.26夕)。
130 陸田真志 執行 08.6.17 享年37歳 (朝日05. 10.17夕) 95.12.21 (一審判決) 98(平10).6.5 東京地裁 平8(合わ)304等 判タ1008号277頁 TKC (読98.6.5夕) 01(平13).9.11 東京高裁 平10(う)1533 裁判所ウェブサイト (読01.9.11夕) 05(平17).10.17 最高裁 平13(あ)1667 裁判所ウェブサイト (読05.10.17夕) いわゆるSMクラブ連続殺人事件。双子の兄と共謀し、SMクラブを乗っ取るために店長を殺害、その後、経営者を呼び出してハンマーで殴った上ナイフで刺して殺害、暴力団員に報酬を支払うことを約束して遺体の処理を依頼し、遺体をコンクリート詰めにして海中に捨てた。一審初公判で起訴事実を大筋で認めるが、現金を奪ったことは否認。双子の兄は無期懲役(朝日98.6.5夕)。女性哲学者・池田明子氏との手紙のやりとりが「死と生きる 獄中哲学対話」として発刊されている(朝日99.3.7朝)。弁護士の方針もあって控訴審以降も裁判を続けたものの、上告審判決を目前にしても「死刑は当然」という姿勢は変わらなかったという(読05.10.17夕)。
131 上田宜範 92.6. 下旬~93. 10.29 (朝日98.3. 20夕) 98(平10).3.20 大阪地裁 (読98.3.20夕) 01(平13).3.15 大阪高裁 (読01.3.15夕) 05(平17).12.15 最高裁 平13(あ)670 裁判所ウェブサイト (読05.12.15夕) 警察庁広域重要指定120号事件(いわゆる大阪愛犬家連続殺人事件)。男女5人を筋弛緩剤を注射して殺害、農地などに埋めたとされる。動機は、悪口を言われたため、ペットショップの共同経営の話を進めていた相手から出資の約束を果たすよう強く迫られたため、アルバイト料を求められたため、繁殖用の犬の購入資金を出していた女性から犬の入手を強く求められたため、車の荷台に積んでいた遺体を発見されそうになったため、などと認定された。捜査段階では殺害の事実を認めていたが、公判では一貫して否認、無罪を主張した。この5人のほかにも捜査段階で元パチンコ店店員の殺害も自白し、警察が供述に基づいて青木ヶ原樹海の捜索したが、発見されずに立件が見送られた(朝日05.12.15夕)。逮捕時(94.1.26)39歳(読94.1.27朝)。
132 宮崎勤 執行 08.6.17 享年45歳 (読08.6. 16夕) 88.8 ~89.6 (朝日97.4. 14夕) 97(平9).4.14 東京地裁 平元(合わ)155等 判タ952号75頁 判時1609号3頁 TKC D1-Law (読97.4.14夕) 01(平13).6.28 東京高裁 平9(う)1437号 高刑速(平13)100頁 判タ1071号108頁 TKC D1-Law (読01.6.28夕) 06(平18).1.17 最高裁 平13(あ)1205 裁判所ウェブサイト (読06.1.17夕) 警察庁指定117号事件。1年足らずの間に当時4歳ないし7歳の4人の女児をわいせつ目的で誘拐、命を奪ったうえ、遺族のもとに遺骨を焼いて届けたり、犯行声明文や告白文を郵送したり、遺体を切断して一部をこれ見よがしに遺棄するなどした。捜査段階では犯行を自白し、犯行状況等につき具体的かつ詳細に供述していたが、公判段階においては誘拐の犯意や殺意を否認、「ネズミ人間が現れてわからない」「夢の中でやったことのようだ」などと供述した。一審では6人の医師による精神鑑定が行われ、結果は3通りに分かれたが、犯行時に最も近い時期に実施された第1次鑑定の見解が採用され、宮崎死刑確定者の公判供述は「責任逃れ」であるとされた。2008年5月30日付けで再審請求の準備中であることを弁護側が法務省側に伝えていた中で執行された(朝日08.6.17夕)。宮崎死刑確定者と面会や交流のある人たちによると、「自分の置かれている状況を最後まで認識していなかったのではないか」「以前から幼児を殺害した理由として『祖父をよみがえらせるためだった』と話していたが、一貫して変わらなかった。自分が犯した罪と死刑確定という状況をどこまで理解していたが疑問」「『えたいの知らない人間が襲いに来る』と訴えていた」「『(自分は)無罪になる』と淡々と話していた」という。死刑になる意味を理解していない人間に死刑執行することに罰としての意味ががあるのかという疑問を呈する意見も出た(朝日08.6.17夕)。
133 田中毅彦 (旧姓名 久堀毅彦) 92.2.9 /94.4.28 (控訴審 判決) 無期懲役 00(平12).3.16 大阪地裁堺支部 (読00.3.16夕) 01(平13).12.25 大阪高裁 平12(う)691 TKC D1-Law (読01.12.25夕) 06(平18).2.14 最高裁 平14(あ)317 裁判所ウェブサイト (読06.2.15朝) いわゆる右翼幹部ら2人殺人事件。仲間3人と共謀し、借金問題でもめていた自動車販売業の男性を絞殺、遺体を自動車修理工場内に埋めた。その2年後には右翼団体幹部の男性を絞殺、現金を奪ったうえ琵琶湖に捨てた。一審判決は「矯正の余地が全くないとまでいえない」「2件目は消極的だった」として死刑を回避したが(読00.3.16夕)、控訴審大阪高裁は破棄して死刑を言い渡した。上告審において弁護側は「被告人は首謀者ではなく、量刑が重すぎる」として死刑判決の破棄を要求したが、棄却。旧姓久堀(朝日06.2.15朝)。共犯のうち2人は無期懲役が確定(朝日03.5.30朝)。再逮捕時(94.7.7)30歳(読94.7.8朝)。
134 山口益生 94.4.5
~95.3.30
(一審判決)
97(平9).3.28
津地裁四日市支部
平7(わ)95等
判時1612号148頁
TKC D1-Law
(読97.3.29朝)
地裁差戻
97(平9).9.29
名古屋高裁 平9(う)129
裁判所ウェブサイト
(読97.9.30朝)
いわゆる古美術商ら2人殺人事件。共犯者と小牧市の無職男性とともに古美術商宅に押し入り、100万円を奪った。その後、無職男性から指図されることを不満に思い、共犯者とともに無職男性をアイスピックで刺した上絞殺した。その翌年には別の古美術商の男性を同様に殺害して現金を奪った。2人の遺体はダムに遺棄。一審津地裁四日市支部は求刑通り2人に死刑を宣告したが、名古屋高裁は「両被告人は公訴事実を認め、国選弁護人の選任にも異議の申し立てはなかった」と認定しながらも、「利害の反する2被告人に1人の弁護人では十分な弁護活動ができない」と訴訟手続きの不備を指摘、支部判決を破棄し、差し戻した。差戻し審で津地裁は、「実行行為に積極的でなかった」として無期懲役としたが、その後の差戻し控訴審は「犯行に積極的でないとした原判決の認定は是認できない」として死刑を言い渡した(読01.6.15朝)。共犯は上告中に病死(読02.7.23中部朝)。
自分あてに郵送された文書から拘置所長が勝手に死刑の執行方法を削除したのは違法などとして、国に賠償を求めて提訴、名古屋地裁は国に10万円の支払いを命じた(読08.9.13中部朝)。その他、教誨師あての手紙の発信が許可されなかったことでも国に賠償を命じる判決が出ている(読12.6.15中部朝)。戯曲「ハムレット」の一節を許可なく書いた便せんの台紙や切手入れ用に加工した封筒などの廃棄を求められたことにも、指導が違法であるとして損害賠償を求めて提訴(朝日19.3.19朝)、一審名古屋地裁は棄却(名古屋地裁平27.10.30判決・D1-Law)、控訴審名古屋高裁は国に賠償を命じたが(名古屋高裁平29.5.25判決・裁判所ウェブサイト)、最高裁は適法な指導であったとして控訴審判決を破棄、請求を全面的に退けた(最高裁平31.3.18判決・裁判所ウェブサイト)。名古屋拘置所が2022年1月に外部から差し入れられた「死刑と人権」と題したパンフレットの一部を抹消して交付したことは違法だとして国に損害賠償を求めて提訴し、2023年4月名古屋地裁は国に対し5000円の支払いを命じた(静岡23.4.19朝)。
逮捕時(95.4.16)45歳(朝日95.4.20朝)。
差  戻  審
無期懲役
99(平11).6.23
津地裁
平9(わ)236
判タ1028号242頁
TKC D1-Law
(読99.6.23夕)
01(平13).6.14
名古屋高裁
(読01.6.15朝)
06(平18).2.24
最高裁
平13(あ)1173
裁判所ウェブサイト
(読06.2.25朝)
135 豊田義己 96.8.31 /97.9.4 (読98. 7.19朝 /読97.9 .21朝) 00(平12).7.19 名古屋地裁 (朝日00.7.19夕) 02(平14).2.28 名古屋高裁 (朝日02.2.28夕) 06(平18).3.2 最高裁 平14(あ)647 裁判所ウェブサイト (読06.3.2夕) いわゆる静岡・愛知2女性殺害事件。経営していた飲食店の運転資金や遊興費欲しさに、当時交際していたコンパニオン女性を睡眠薬で眠らせたうえ覚せい剤を大量に注射して殺害、貯金証書を奪って現金を引き出し、遺体を山林に捨てた。また、その翌年には、スナック経営者女性からの借金の返済を免れようとして男性(一審で無期懲役、控訴審で懲役12年が確定 朝01.5.24夕)と共謀し、経営者の頭を短銃で撃って殺害、所持金を奪って遺体を駐車場わきに捨てた(朝日00.7.19夕)。一審の途中までは繰り返し犯行事実を認めていたが、公判途中で一転してコンパニオン女性の殺害を否認し、「被告人が帰宅したときには死んでいた」と主張(朝日98.10.17朝)、2件目についても強盗目的を否認したが、判決は「不合理な弁解」として退けた(読00.7.19夕)。逮捕時(97.9.20)53歳(朝日97.9.21朝)。
136 松本智津夫 執行
18.7.6

享年63歳
(朝日18.7.6夕)
89.2~95.3
(読04.2.27夕)
04(平16).2.27
東京地裁
平7合(わ)141
裁判所ウェブサイト
(読04.2.28朝)
控訴棄却決定
06(平18)3.27
東京高裁
平16(う)1104
高刑速(平18)158頁
判時1956号10頁
判タ1232号141頁
TKC
控訴棄却決定に対する異議申立ての棄却決定
06(平18)5.29
東京高裁
平18(け)5
高刑速(平18)158頁
判時1956号7頁
控訴棄却決定に対する異議申立て棄却決定に対する特別抗告の棄却決定
06(平18)9.15
最高裁第三小法廷
平18(し)202
裁判所ウェブサイト
判時1956号3頁
いわゆるオウム真理教事件(坂本弁護士一家殺人事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件他)。オウム真理教教祖。89年2月の元信徒殺害事件、その後の弁護士一家殺害事件、サリンプラント建設(殺人予備)、滝本弁護士サリン事件(殺人未遂)、自動小銃密造、松本サリン事件、元信徒殺害、VX事件(殺人未遂2件、殺人1件)、目黒公証人役場事務長拉致監禁致死事件、地下鉄サリン事件の各事件で指示したとされた。
公判では、意見陳述で無罪主張(朝日97.4.24夕)。不規則発言を繰り返し、被告人質問でも一切口を開かぬまま、死刑判決を受けた(読04.2.27夕)。控訴審で訴訟能力の有無を確認するために精神鑑定がなされ、裁判所は訴訟能力ありと認定したが、弁護団側の医師6人全員がその鑑定を批判する意見書を提出した(朝日06.3.14朝)。弁護団は「被告人と意思疎通ができず、控訴趣意書が作成できない」として期限までに控訴趣意書の提出をせず、期限後、2006年3月28日に提出すると明らかにしていたが、その前日に東京高裁が控訴棄却の決定を出した(朝日06.3.28朝)。弁護団が異議を申し立てたが、特別抗告も2006年9月15日に棄却、死刑が確定した(朝日06.9.16朝)。
2015年4月28日、第4次再審請求(朝日15.5.16朝)。
2006年に接見した加賀乙彦医師は「閉じ込められたことによるノイローゼで、死刑を執行できる状態ではなかった」と述べている(朝日13.7.31朝)。2007年、日弁連は、日弁連担当者が接見した結果などから、「松本死刑確定者はおむつを使用するなど、人間として最低限の生活を自立して行うことができない重篤な拘禁状態」と判断、医療刑務所などでの速やかな治療を求める勧告書を東京拘置所に提出した(毎07.11.15朝)。2018年3月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。2018年4月、一審で主任弁護人を務めた安田好弘弁護士が松本死刑確定者の人身保護請求を裁判所に申し立てていることを明らかにした(朝18.4.18朝)。2018年6月、ジャーナリストらが「オウム事件真相究明の会」を結成し、松本死刑確定者の死刑執行に反対を表明して「治療したうえで真実を語らせるべきだ」と主張した(東京18.6.5朝)。
第四次再審請求中の執行(毎18.7.7朝)。執行後、遺骨と遺髪につき、次女と四女が引き取り人を決めるよう東京家裁に申し立て、2021年7月5日、次女が受取先として最高裁で確定した(朝日21.7.5 17:21)。その後も東京拘置所から次女に対して引き渡しが行われなかったため、次女が国に対して引き渡しを求めて東京地裁に提訴し、2024年3月13日に東京地裁が国に引き渡しを求める判決を言い渡した(毎24.3.13 15:00)。国は判決内容を不服として控訴している(足立区 24.3.19)。
逮捕時(95.5.16)40歳(朝日95.5.16夕)。
137 山本峰照 執行 08.9.11 享年68歳 (読08.9. 11夕) 04.7.22 (読06.2. 17朝) 06(平18).3.20 神戸地裁 平17(わ)712 裁判所ウェブサイト (読06.3.20夕) 控訴取下 06(平18).4.4 (読06.9.7夕) いわゆる神戸市夫婦強殺事件。いとこ夫妻に借金を断られたことから、用意していた出刃包丁で2人を殺害し、現金やネックレスなどを奪って逃げた。賭けマージャンで借金を重ねた末の犯行。一審で山本死刑確定者は起訴事実を認め、弁護側は不眠による心神耗弱を主張。本人控訴取り下げ、確定(読06.9.7夕)。公判前整理手続で死刑判決が出た初めてのケース。一審の審理期間は約2か月(朝日06.3.20夕)、初公判から約2年8か月という異例の早さでの死刑執行(読08.10.10朝)。
138 高橋和利 病死 21.10.8 享年87歳 誤嚥性肺炎 (東京 21.10.8 12:29) 88.6.20 (読07.4. 27朝) 95(平7).9.7 横浜地裁 (読95.9.7夕) 02(平14).10.30 東京高裁 (読02.10.30夕) 06(平18).3.28 最高裁 平14(あ)2328 裁判所ウェブサイト (読06.3.28夕) いわゆる鶴見事件。金融業者の事務所で、知り合いの業者とその妻を殺害、架空の融資話で用意させていた現金1200万円を奪ったとされる。捜査段階でいったん殺害を認めていたが、その後の公判で、金を盗んだのは認めたが殺害は一貫して否認、別人が真犯人だと名指しした。2007年の再審請求の即時抗告審が東京高裁で続いているなか、2017年8月に日弁連の人権擁護委員会が再審請求支援を決めた(朝日17.8.31夕)。2017年12月27に横浜地裁に再審請求(朝日17.12.28朝)。2021年5月から体調を崩し、拘置所の病棟で点滴などの治療を受けていたが、同年10月8日死亡が確認された。死因は誤嚥性肺炎(東京21.10.8 12:29)。再審請求の審理は高橋死刑確定者が死亡したことにより終了したが、同年12月、妻が横浜地裁に第3次再審請求をした。第2次請求の証拠を引き継ぎ、凶器の形状と被害者の致命傷が矛盾するという鑑定結果や、被害者の小切手の原本が発見されておらず他に犯人がいると推測されるとの証拠を提出したという(毎21.12.25地方)。逮捕時(88.7.1)54歳(朝日98.7.2朝)。
139 佐藤哲也 (旧姓名 野村哲也) 執行 09.1.29 享年39歳 (読09.1. 29夕) 00.4.4 (一審判決) 02(平14).2.21 名古屋地裁 平12(わ)886等 判タ1101号292頁 TKC D1-Law (読02.2.21夕) 03(平15).3.12 名古屋高裁 平14(う)158 裁判所ウェブサイト (読03.3.12夕) 06(平18).6.9 最高裁 平15(あ)600 裁判所ウェブサイト (読06.6.9夕) いわゆるドラム缶女性焼殺事件。川村幸也死刑確定者と共謀し、父親が経営する金融会社から喫茶店経営者が振り出した約束手形の回収を請け負い、喫茶店経営者を襲撃したが逃げられ、その妻とその妹を車で山林に連行、ドラム缶に押し込んで焼き殺したうえ、遺体をチェーンソーで切断した。ほかに4人の共犯者がおり、2人が無期懲役、2人は懲役12年が確定(朝日06.6.9夕)。旧姓野村(朝日09.1.30朝)。一審公判において「どんな刑でも受け入れる」と述べた(読02.2.21夕)。確定後、差し入れ資料削除は違法として、国に1万円の支払いを命じる判決が出ている(読06.12.7中部朝、毎07.2.17中部朝)。再審を請求したが、「色々思い悩んだ結果、被害者の方や遺族の方々の事を考え」、再審請求取り下げ(朝日09.1.29夕)。
140 川村幸也 執行 09.1.29 享年44歳 (読09.1. 29夕) 00.4.4 (一審判決) 02(平14).2.21 名古屋地裁 平12(わ)886等 判タ1101号292頁 TKC D1-Law (読02.2.21夕) 03(平15).3.12 名古屋高裁 平14(う)158 裁判所ウェブサイト (読03.3.12夕) 06(平18).6.9 最高裁 平15(あ)600 裁判所ウェブサイト (読06.6.9夕) いわゆるドラム缶女性焼殺事件。佐藤哲也死刑確定者と共謀し、佐藤死刑確定者の父親が経営する金融会社から喫茶店経営者が振り出した約束手形の回収を請け負い、喫茶店経営者を襲撃したが逃げられ、その妻とその妹を車で山林に連行、ドラム缶に押し込んで焼き殺したうえ、遺体をチェーンソーで切断した。ほかに4人の共犯者がおり、2人が無期懲役、2人は懲役12年が確定(朝日06.6.9夕)。一審公判において「遺族の納得する刑に服したい」と述べた(読02.2.21夕)。確定前からカトリックの洗礼を受け、「被害者や遺族のことを考えれば死刑は仕方がない」と納得する一方で、「自分たちは指示されただけで首謀者は捕まっていない」と訴え続けた。執行2週間前のアンケートに、「わたしの死刑執行をビデオに撮り、司法にかかわる人に、死刑とはどんなものなのか、みて、考えてほしいと思います。司法は人を裁くのです。最後まで知っているべきなのです」と記述(朝日10.2.16朝)。
141 中山進 病死 14.5.15 享年66歳 食道がん (読14.5. 16夕) 92.2.19 (上告審 判決) 01(平13).11.20 大阪地裁 (読01.11.20夕) 03(平15).10.27 大阪高裁 平13(う)1720 TKC D1-Law (読03.10.28朝) 06(平18).6.13 最高裁 平15(あ)2396 裁判所ウェブサイト (朝日06.6.14朝) いわゆる豊中2人殺人事件。交際していた女性の別居中の夫の存在が邪魔になり、男性を刺殺、一緒にいた店員の女性も口封じのために刺殺した。69年に役場職員をライフル銃で殺害し、無期懲役が確定して18年間服役した後、91年に仮釈放されていた。一貫して殺意を否定したが、一審で強固な殺意があったと認定された。食道がんにより収容先の大阪医療刑務所で死亡(読14.5.16夕)。拘置所における治療困難ながん患者について、速やかに医療刑務所へ移送することを怠ったのは人権侵害にあたるとして、2018年3月に大阪弁護士会が大阪拘置所へ勧告
142 陳徳通 執行 09.7.28 享年41歳 (読09.7. 28夕) 99.5.25 (控訴審 判決) 01(平13).9.17 横浜地裁川崎支部 (読01.9.17夕) 03(平15).2.20 東京高裁 平13(う)2275 TKC D1-Law (読03.2.21朝) 06(平18).6.27 最高裁 平15(あ)658 裁判所ウェブサイト (読06.6.28朝) いわゆる川崎中国人6人殺傷事件。密入国した中国人の事件。同居している被害者5名に仕返しをする意図で、共犯者(おい)に真意を隠したままで強盗の話を持ち掛け、2人で被害者宅に押し入り、1人に軽傷を負わせた。その後、共犯者が逃走した後に単独で3人を殺害、2名に傷害を負わせた。控訴審で強盗に及んでおらず殺意も有していなかったと主張したが、退けられた。
143 平野勇 執行 08.9.11 享年61歳 (読08.9. 11夕) 94.12.19 (朝日99. 9.1朝) 00(平12).2.17 宇都宮地裁 (読00.2.18朝) 02(平14).7.4 東京高裁 (読02.7.5朝) 06(平18).9.1 最高裁 平14(あ)1550 裁判所ウェブサイト (読06.9.2朝) いわゆる牧場夫婦殺人放火事件。元の雇い主である牧場経営者とその妻を金目的で殺害したうえ自宅に火をつけ全焼させたとされる。殺人と放火は無罪を主張(朝日02.7.4夕)。服役前科が数犯あり、殺人罪で長期間の服役をしたことがあった。執行後、被害者の遺族が、「『父と母が平野死刑確定者に殺され、平野死刑確定者もまた国家の手によるものとはいえ、人為的に殺されたのだ』という気がしてならない、かといって、『何をやっても死刑にはならない』という国ではいけないと思っている」と複雑な心境を吐露(読08.12.14朝)。
144 江東恒 97.10.30 (読01.3. 22夕) 01(平13).3.22 大阪地裁堺支部 平9(わ)654等 (読01.3.22夕) 03(平15).1.20 大阪高裁 平13(う)551 判タ1116号284頁 TKC D1-Law (読03.1.21朝) 06(平18).9.7 最高裁 平15(あ)504 裁判所ウェブサイト (読06.9.7夕) いわゆる堺夫婦殺人事件。共犯者4人と共謀して知り合いの老夫婦を殺害、金品や土地権利書を奪取した。弁護側は控訴審において殺意及び殺害方法を争うとともに、犯行当時は特異的形成人格障害があったとして責任能力を争ったが、責任能力ありとされた。共犯者1名は逃亡していたが、7年後に自首。江東死刑確定者から報酬2000円をもちかけられて犯行に加わったという(読04.8.9大阪夕)。共犯者1名は逃亡、その後逮捕された(04.8.31朝)。逮捕時(97.10.31)55歳(読97.10.31夕)。
145 久間三千年 執行
08.10.28
享年70歳
(読08.10. 28夕)
92.2.20
(一審判決)
99(平11).9.29
福岡地裁
平6(わ)1050等
判時1697号124頁
判タ1059号254頁
TKC D1-Law
(読99.9.30朝)
01(平13).10.10
福岡高裁
平11(う)429
高刑速(平13)219頁
TKC D1-Law
(読01.10.11朝)
06(平18).9.8
最高裁
平13(あ)2010
裁判所ウェブサイト
(読06.9.9朝)
いわゆる飯塚事件。小学1年生の女児2人が殺害され、遺体が山中に捨てられた事件。被告人・弁護側は一貫して無罪を主張したが、最高裁は、DNA型鑑定などをもとに有罪とした控訴審判決を支持、死刑が確定した。再審請求準備中に、同じDNA型鑑定(200人に1人の割合で同じDNA型を持つ人がいる精度)を使って有罪となった足利事件の再審請求でDNA型が再鑑定される見通しと報道された1週間後に執行された(朝日09.12.28)。2009年10月28日、遺族により再審請求(朝日09.10.29朝)。2014年3月31日、福岡地裁は請求を棄却、DNA型鑑定は直ちに有罪の根拠とはできないとしたが、DNA型鑑定を証拠から除いた場合でも有罪を立証できるとした(TKC平21年(た)11号)。即時抗告では、目撃証言やDNA型鑑定、血液型鑑定の信用性が争われたが、2018年2月6日福岡高裁は、目撃証言は信用できる、また、鑑定は問題があるとは言えないとして棄却(朝日18.2.6夕)。一審死刑判決に関わった裁判官が即時抗告審に携わっていた(朝日18.2.7朝)。最高裁に特別抗告(読18.2.14朝)。最高裁は2021年4月21日付で「鑑定を除いても、その余の状況事実から犯人であることの高度の立証がされている」として特別抗告を棄却(朝日21.4.24朝)。弁護側は目撃者の証言が警察に誘導された可能性を指摘し、関連する捜査記録の開示も求めていたが、検察側はその存在を否定し、裁判所も開示勧告をしなかった(西日本21.4.24朝)。同年7月、遺族が第二次再審請求を福岡地裁に申し立て、別の人物が真犯人である可能性を示す目撃証言を新証拠として提出し(朝日21.7.10朝)、2023年5月、非公開で行われた証人尋問で、久間死刑確定者とは異なる特徴の男性が女児2人を車に乗せているのを見たことを証言した(時事23.5.31 19:11)。2023年3月、弁護団は、裁判所が検察に対し証拠品のリストを開示するよう勧告したことを明らかにした(NHK 福岡 NEWS WEB 23.3.24 21:03)。
146 石川恵子 96.8.29 /97.6.13 (朝日01. 6.21朝) 01(平13).6.20 宮崎地裁 (読01.6.21朝) 03(平15).3.27 福岡高裁宮崎支部 平13(う)67 裁判所ウェブサイト (読03.3.28朝) 06(平18).9.21 最高裁 平15(あ)894 裁判所ウェブサイト (読06.9.21夕) いわゆる宮崎2女性殺人事件。父の経営する工務店が資金繰りに窮したため、直接面識のない女性を自宅から誘い出して絞殺、所持金を奪って遺体を畑に埋めた。その翌年には知人を絞殺、遺体を遺棄、知人名義のキャッシュカードで現金を奪った。弁護側は精精神分裂病による心神耗弱を主張したが、一審宮崎地裁は精神分裂病を否定し、責任能力を認定したが、裁判長は「別の裁判所に判断を仰ぐことを勧める」と事実上控訴を勧める異例の意見を付け加えた(東京01.6.21朝)。知人の事件については別人が殺害に関与したとも主張。2012年10月11日「心神喪失で責任能力はなかった」として宮崎地裁に再審請求(毎13.11.10朝)、2015年10月30日棄却(毎18.11.6西部朝)。弁護側が即時抗告したが、2019年3月福岡高裁宮崎支部も地裁の決定を支持(宮崎日日19.3.26朝)。逮捕時(97.11.12)40歳(読97.11.12夕逮捕時(97.11.12)40歳(読97.11.12夕)。
147 小林薫 執行 13.2.21 享年44歳 (読13.2. 21夕) 04.11.17
(一審判決)
06.9.26
奈良地裁
平17(わ)10等
判タ1257号336頁
TKC D1-Law
(読06.9.26夕)
控訴取下
06(平18).10.11
(読06.10.11朝)
いわゆる奈良市女児誘拐殺人事件。7歳の女児を誘拐し、わいせつ行為をしたうえ、窒息死させて死体損壊を行い、さらに女児の母親らに脅迫メッセージを送信した。過去に女児に対する強制わいせつ致傷の罪により実刑判決を受けていた。一審初公判で起訴事実をすべて認めるものの謝罪の言葉はなし。捜査段階では「早く裁判を受けてこの世とおさらばしたい」「第2の宮崎勤、宅間守として、世間の人たちの記憶に残ってほしい」とも供述(読05.4.18夕)。弁護側は、成育環境が極めて厳しく、「自分自身に肯定感を持てないまま成長した」と指摘、殺意はとっさのもので、死体損壊や脅迫メールも「パニック状況下での開き直り的行為」との見方を主張。2006年10月本人控訴取り下げ、確定。公判では謝罪の言葉はなかったが、同年10月30日付で、遺族あての謝罪の手紙を弁護士に出す(読06.11.4大阪朝)。2007年に「取下げは無効」と申し立てたが認められず、08年と10年に再審請求したが認められなかった(朝日13.2.21夕)。13年に恩赦棄却(朝日13.2.22朝)。週刊新潮の記事で名誉を傷つけられたとして大阪地裁に提訴、週刊新潮に賠償を命じる判決が出ている(読10.5.1朝)。石塚伸一龍谷大学教授が研究目的で公判記録の閲覧を奈良地検に申し立ててたが不許可となり、奈良地裁に準抗告したが棄却(読07.3.27大阪朝)、最高裁でも特別抗告棄却(読07.4.14大阪朝)。
148 長勝久 88.11.19 /89.11 (一審判決) 01(平13).12.18 宇都宮地裁 平11(わ)178 裁判所ウェブサイト (読01.12.19朝) 03(平15).9.10 東京高裁 平14(う)823 TKC D1-Law (読03.9.10夕) 06(平18).10.12 最高裁 平15(あ)2181 裁判所ウェブサイト (読06.10.12夕) いわゆる栃木・妻と知人殺人事件。当時18歳の妻に復縁を迫って拒否されたため絞殺、そのころから付き合いを始めていた男性に対して暴力をふるって衰弱させた末、なぐって死亡させたとされる。無罪を主張。2件の殺人において被害者の遺体を埋めるよう依頼され実行した父の証言により有罪とされた。一審公判中に地裁の窓ガラスを割る(読00.113朝)。逮捕時(96.7.4)29歳(読96.7.5朝)。
149 高橋義博 病死 21.2.3 享年71歳 急性冠症 候群 92.7. 23~24 (朝日96.6. 15朝) 00(平12).8.29 横浜地裁 (読00.8.29夕) 03(平15).4.15 東京高裁 平13(う)54 高刑速(平15)62頁 TKC D1-Law (読03.4.16朝) 06(平18).10.26 最高裁 平15(あ)1166 裁判所ウェブサイト (読06.10.26夕) いわゆる医師ら生き埋め殺人事件。借金返済のため知り合いの医師から金を奪うことを計画し、医師の知人の美容院経営者を都内マンションに監禁、医師を呼び出した上で2人を栃木県の山中まで連行、土中に生き埋めにした。一審公判では「現金奪取や殺害を計画したことは事実だが、その後、殺害はとりやめになったと解釈していた」と主張(東京00.8.29夕)、判決は、不自然な供述を続けており、反省の色が見られない、とした(読00.8.29夕)。控訴審で高橋死刑確定者は、事前に殺害の指示はしなかったと主張、上告審で弁護側は「殺害の実行行為に加わっておらず、刑が重すぎる」と主張したが、判決は、高橋死刑確定者が首謀者であり、その刑事責任は最も重いとした。共犯3名は無期懲役が確定(朝日06.10.26夕)。高橋死刑確定者は自己の関与を隠すため実行行為はほとんど行わず、指示だけし、他の共犯者が別件で逮捕されて自白するまでの4年余りは平然と日常生活を送っていたという(朝日00.8.30朝)。2021年2月1日に外部の医療機関で心臓疾患の「急性冠症候群」との診断を受けたが、カテーテル手術を拒否。東京拘置所の病棟で投薬治療を受けていたが、同月3日に死亡した(読21.2.3報道)。逮捕時(96.6.14)46歳(読96.6.15朝)。
150 朴日光 病死 09.1.4 享年62歳 肺炎 (読09.1. 5朝) 95.1. 12~28 (朝日06. 11.24夕) 99(平11).6.14 福岡地裁 (読99.6.15朝) 03(平15).3.28 福岡高裁 (読03.3.29朝) 06(平18).11.24 最高裁 平15(あ)1087 裁判所ウェブサイト (読06.11.24夕) いわゆる名古屋福岡連続殺人事件。かつて内縁関係にあった女性が別の男性と結婚したことに腹を立て、女性を刺殺。さらに、潜伏先の福岡市で乗車していたタクシーの運転手を刺殺、現金などを奪ったとされる。一審では両事件とも犯人ではないと主張(朝日99.2.26朝)。控訴審弁護側は、名古屋事件は「別人が殺した」、福岡の事件は「当時心神喪失状態だった」として無罪を主張(朝日02.12.12朝)。肺炎のため死亡(読09.1.5朝)
151 高塩正裕 執行 08.10.28 享年55歳 (読08.10. 28夕) 04.3.18 (控訴審 判決) 無期懲役 06(平18).3.22 福島地裁いわき支部 (読06.3.23朝) 06(平18).12.5 仙台高裁 平18(う)102 高刑速(平18)335頁 TKC D1-Law (読06.12.6朝) 上告取下 06(平18).12.20 (読06.12.23朝) いわゆる、いわき市母娘強盗殺人事件。金に困って知人宅に押し入り、知人の妻と次女を刺殺、現金を奪い取った。一審で弁護側は計画性を否定したが、高塩死刑確定者は自ら極刑を受け入れる姿勢を示していた。一審判決は「殺害の計画性は認められない」として無期懲役としたが、控訴審は計画性を認めて死刑。本人上告取り下げ、確定(朝日06.12.23朝)。
152 西本正二郎 執行 09.1.29 享年32歳 (読09.1. 29夕) 04. 1.13~9.7 (朝日06.5. 18朝) 06(平18).5.17 長野地裁 (読06.5.18朝) 控訴取下 07(平19).1.11 (読07.1.12夕) いわゆる長野・愛知連続4人強盗殺人事件。金目当てに8か月の間に4人を殺害、所持金などを奪った(朝日06.5.28朝)。控訴審の被告人質問中に5件目の殺人を供述したが、供述通りの捜索をしても遺体は発見されず、のちに嘘であったことを認めた(朝日06.11.23朝)。一審判決以降、母親と面会するうちに、反省を口にするようになったという(朝日06.10.29朝)。本人控訴取り下げ、確定(朝日07.1.12夕)。
153 松本和弘 94.12 ~95.6 (朝日02.1. 31朝) 02(平14).1.30 名古屋地裁一宮支部 (読02.1.31朝) 03(平15).7.8 名古屋高裁 平14(う)128 高刑速(平15)123頁 TKC D1-Law (読03.7.9朝) 07(平19).1.30 最高裁 平15(あ)1624 裁判所ウェブサイト (読07.1.30夕) いわゆるマニラ連続保険金殺人事件。元会社員男性(被害者)の妻から依頼され、双子の兄・松本昭弘と2人の仕事仲間の下浦栄一死刑確定者と共謀し、マニラ市内で元会社員男性に睡眠薬を飲ませ、ラップをかけるなどして病死に見せかけて窒息死させ、報酬を得た。その半年後には男性に旅行傷害保険をかけてマニラ市内で同様に殺害。公判前に2人の共犯者が和弘死刑確定者が計画したと上申書を提出(読96.10.18中部朝)。一審初公判で共謀を認めるが、殺害行為については「現場に立ち会っていないのでわからない」と一部否認(読97.7.24中部朝)。その後弁護側はフィリピン人医師の「病死」とする診断書をもとに(中日02.1.31朝)、殺人ではないと主張(朝日01.9.13朝)。死刑確定後、目の痛みを訴えて拘置所内で受診し、「糖尿病網膜症」と診断されたが、拘置所が専門病院に転院させるなどしなかったため右眼を失明。国に損害賠償を求めて提訴、400万で和解した(朝日09.5.28夕)。逮捕時(96.10.16)42歳(読96.10.17朝)。
154 松本昭弘 病死 16.1.22 享年61歳 肺炎 (読16.1. 23朝) 94.12 ~95.6 (朝日02.1. 31朝) 02(平14).1.30 名古屋地裁一宮支部 (読02.1.31朝) 03(平15).7.8 名古屋高裁 平14(う)128 高刑速(平15)123頁 TKC D1-Law (読03.7.9朝) 07(平19).1.30 最高裁 平15(あ)1624 裁判所ウェブサイト (読07.1.30夕) いわゆるマニラ連続保険金殺人事件。元会社員男性(被害者)の妻から依頼され、双子の弟・松本和弘と2人の仕事仲間の下浦栄一死刑確定者と共謀し、マニラ市内で元会社員男性に睡眠薬を飲ませ、ラップをかけるなどして病死に見せかけて窒息死させ、報酬を得た。その半年後には男性に旅行傷害保険をかけてマニラ市内で同様に殺害。さらに、下浦死刑確定者と共謀して、会社員からクレジットカードなどを盗み、長野県内で殺害。一審初公判で起訴事実を大筋で認めるが(読97.7.24中部朝)、保険金目的を否定(中日02.1.31朝)。
155 下浦栄一 94.12 ~95.6 (朝日02.1. 31朝) 02(平14).1.30 名古屋地裁一宮支部 (読02.1.31朝) 03(平15).7.8 名古屋高裁 平14(う)128 高刑速(平15)123頁 TKC D1-Law (読03.7.9朝) 07(平19).1.30 最高裁 平15(あ)1624 裁判所ウェブサイト (読07.1.30夕) いわゆるマニラ連続保険金殺人事件。元会社員男性(被害者)の妻から依頼され、松本和弘・昭弘兄弟と共謀し、マニラ市内で元会社員男性に睡眠薬を飲ませ、ラップをかけるなどして病死に見せかけて窒息死させ、報酬を得た。その半年後には男性に旅行傷害保険をかけてマニラ市内で同様に殺害。さらに、昭弘死刑確定者と共謀して、会社員からクレジットカードなどを盗み、長野県内で殺害。一審では殺害行為を大筋で認めた上、会社員元妻らとの共謀は否認(読97.7.24中部朝)、「保険金目的の殺害とは知らなかった」(朝日01.9.13朝)、「松本兄弟に逆らえなかった」(中日02.1.31朝)と主張。控訴審判決は「詳細に事実を述べて反省を深め、犯行への加担は従属的で矯正の可能性もあることを否定できない」としたが、死刑を支持した(読03.4.9中部朝)。再逮捕時(96.6.28)25歳(朝日96.6.28夕)。
156 松田康敏 執行 12.3.29 享年44歳 (読12.3. 29夕) 01.11.25 ~12.7 (読04.5. 22朝) 03(平15).1.24 宮崎地裁 平14(わ)490等 TKC (読03.1.24夕) 04(平16).5.21 福岡高裁宮崎支部 平15(う)20 裁判所ウェブサイト (読04.5.22朝) 07(平19).2.6 最高裁 平16(あ)1368 裁判所ウェブサイト (読07.2.7夕) いわゆる宮崎独居女性2人強盗殺人事件。金に困り、顔見知りだったスナック経営者の女性宅に侵入して待ち伏せし、殺害したのちに所持金を奪った。その約2週間後にも高齢女性宅に侵入、女性を殺害し、現金を奪った。一審で起訴事実を認める。弁護側は、不遇な成育歴や家庭環境が事件の遠因として情状酌量を求め、控訴審では、犯行前約1週間、野宿生活をしており飢えと寒さのため極限状態にあった、反省もしている、として減刑を求めた。
157 篠沢一男 執行 10.7.28 享年59歳 (朝日10. 7.28夕) 00.6.11 (朝日02.3. 20朝) 02(平14).3.19 宇都宮地裁 平12(わ)397 D1-Law (読02.3.19夕) 03(平15).4.23 東京高裁 平14(う)1185 TKC (読03.4.23夕) 07(平19).2.20 最高裁 平15(あ)1120 裁判所ウェブサイト (読07.2.21朝) いわゆる宇都宮宝石店放火殺人事件。宝石店に放火、従業員6人を焼死させ、1億4千万相当の貴金属を奪った。捜査段階では、口封じのために殺すつもりで火をつけたと供述していたが、起訴後は殺意を否認。公判でも、宝石類を奪ったことは認めたが、脅すつもりで火をつけたら予期せず爆発してしまった、と述べた。判決では、金に困り人殺しでもするしかない、と考えた計画的な犯行だったとされた。千葉景子法相(当時)が執行に立ち会った(読10.7.28夕)。
158 加納惠喜 (旧姓名 武藤惠喜) 執行 13.2.21 享年62歳 (読13.2. 21) 02.3.14 (一審判決) 無期懲役 03(平15).5.15 名古屋地裁 平14(わ)800 裁判所ウェブサイト (読03.5.16朝) 04(平16).2.6 名古屋高裁 平15(う)308 裁判所ウェブサイト (読04.2.6夕) 07(平19).3.22 最高裁 平16(あ)583 裁判所ウェブサイト (読07.3.23朝) いわゆる名古屋市スナック経営者強殺事件。金を奪う目的で客を装って入ったカラオケ店で経営者女性を殺害、現金を奪った。一審で弁護側は、被害者をだまらせようと首を絞めたが金品を奪う犯意はなかった、と主張。判決は、計画的犯行とまではいえず殺人の前科を有しているが強盗等の前科及び無期懲役刑に処せられた前科がない、として無期懲役。控訴審は事前に強盗殺人の計画はなかったと認定したものの、冷酷残忍な犯行で故意に人命を奪ったのがこれで2回目ということを留意せざるを得ない、として原判決を破棄、死刑を言い渡した。一審判決以降、牧師との面会・文通を通じて贖罪について考え、信仰の道に入ることで反省を深めようとしていたという(読13.2.22朝)。旧姓武藤(読13.2.22朝)。東京新聞(中日新聞)が2013年末から翌年3月上旬まで、「二月二十一日 ある死刑確定者の記録」として特集記事を計45回にわたって掲載、養母や牧師一家との交流による加納死刑確定者の変化が綴られている(東京14.3.22朝)。
159 小林光弘 執行
14.8.29

享年56歳
(朝日14.8.29夕)
01.5.8
(朝日07.3.18朝)
03(平15).2.12
青森地裁
平14(わ)49等
判タ1123号285頁
(読03.2.12夕)
04(平16).2.19
仙台高裁
平15(う)48
裁判所ウェブサイト
(読04.2.19夕)
07(平19).3.27
最高裁
平16(あ)727
裁判所ウェブサイト
(朝日07.3.28朝)
いわゆる弘前武富士放火殺人事件。借金の返済に困り、消費者金融・武富士弘前支店でガソリンを主成分とする混合油約4リットルをまいたうえ金を奪おうとしたが、支店長らが警察を呼ぶなど応じなかったため、憤激のあまり放火。男女計5人の命を奪ったとされる。一貫して殺意を否認(朝日14.8.29夕)。2014年8月6日、最高裁で第3次再審請求が棄却された(朝日14.8.29夕)。同月29日に執行。第4次再審請求準備中だった(読14.8.30朝)。
160 西山省三 92.3.29
(差戻控訴
審判決)
無期懲役
94(平6).9.30
広島地裁
平5(わ)334等
判時1524号154頁
判タ883号288頁
TKC D1-Law
(朝日94.10.1朝)
無期懲役
97(平9).2.4
広島高裁
平7(う)25
判時1701号170頁
判タ1023号130頁
TKC D1-Law
(朝日97.2.5朝)
高裁差戻
99(平11).12.10
最高裁
平9(あ)479
裁判所ウェブサイト
(朝日99.12.11朝)
いわゆる福山市強盗殺人事件。友人と共謀し、女性を殺害、現金と預金通帳を奪った。強盗殺人事件で無期懲役となり、仮釈放後の犯行。
無期懲役を最高裁が破棄して差戻し、その後死刑確定。共犯者は無期懲役が確定(朝日00.8.11朝)。差戻し控訴審で弁護側は、死刑制度は違憲であること、最高裁で認定された計画性の高さは事実誤認であること、西山死刑確定者が内省を深めていること、犯行には被告人の成育環境や服役した刑務所の矯正能力の低さも影響したことを主張、西山死刑確定者が贖罪のための臓器提供の意思があることも明らかにした。
2014年2月、再審請求。
2013年12月10日、再審請求中の弁護士との面会に拘置所職員が立ち会うのは違法と最高裁が判決を出した(朝日13.12.10夕)。精神鑑定のための精神科医との接見に拘置所職員が立ち会ったのは違法などとして損害賠償を求めて提訴。拘置所は医者が作家であったことから取材目的の接見の可能性があるため職員を立ち会わせていたが、2020年12月、広島地裁は、面会が精神鑑定のためだったと判断、再審請求を望む死刑確定者側の利益を侵害したとして国側に賠償を命じた(毎20.12.9大阪朝)(2020(令2).12.8広島地裁判決 平27(ワ)234号)。弁護団によると、再審準備のため通訳以外の第三者が同席しての秘密面会を認めた判決は初めてとのこと。また、広島地裁は面会時間を1時間に制限したことも違法としたが、ICレコーダーの使用については国の反論を認めて、西山死刑確定者側の訴えを退けた。弁護士側が控訴、2021年11月、広島高裁は一審判決を支持して西山死刑確定者側の控訴を棄却した(中国21.11.24 14:02)(2021(令3).11.24広島高裁判決 令3(ネ)17号)。2023年6月22日付けで最高裁が上告を棄却(中国23.6.27朝)。
16年以上監視カメラ付きの居室で監視状態に置かれているのはプライバシー権の侵害にあたるとして、国に損害賠償を求めて広島地裁に提訴、2024年1月に第一回口頭弁論が開かれた(朝日24.1.11朝)。
上告審判決時(07.4.10)54歳(朝日07.4.11朝)。
差  戻  審
04(平16).4.23
広島高裁
平12(う)20
裁判所ウェブサイト
(朝日04.4.24朝)
07(平19).4.10
最高裁
平16(あ)1554
裁判所ウェブサイト
(朝日07.4.11朝)
161 造田博 99.9.8 (朝日03.9. 29夕) 02(平14).1.18 東京地裁 平11合(わ)387 裁判所ウェブサイト (朝日02.1.18夕) 03(平15).9.29 東京高裁 平14(う)857 東高刑時報54巻 1~12号61頁 TKC D1-Law (朝日03.9.29夕) 07(平19).4.19 最高裁 平15(あ)2619 裁判所ウェブサイト (読07.4.20朝) いわゆる池袋通り魔殺人事件。自分の携帯電話にかかってきた無言電話をきっかけに社会への不満が爆発、包丁と金づちを購入し、池袋の路上で見ず知らずの女性2人を殺害したほか、6人に重軽傷を負わせた。一審初公判で起訴事実を認め、弁護側は心神喪失または心神耗弱を主張したが、裁判所は責任能力があったとする精神鑑定書を採用し、完全責任能力を認めた。逮捕時(99.9.8)23歳(朝日99.9.9朝)。
162 山地悠紀夫 執行 09.7.28 享年25歳 (朝日09. 7.28夕) 05.11.17 (朝日06. 12.13夕) 06(平18).12.13 大阪地裁 平18(わ)26 裁判所ウェブサイト (朝日06.12.13夕) 控訴取下 07(平19).5.31 (朝日07.6.2朝) いわゆる大阪市姉妹強盗殺人事件。マンションに押し入り、住人の姉妹の顔や胸などをナイフで刺すなどして殺害、その後現金を奪い、放火した。16歳当時に母親をバットで殺害した際の興奮と快感を得ようとして襲ったとされた。弁護側は広汎性発達障害の影響で心神耗弱だったと主張したが、責任能力はあるとされた。本人控訴取り下げ、確定(朝日07.6.2朝)。供述調書には、「今回の事件について反省しているかと言えば、答えはNOです。後悔しているかと言えば、その答えもNOです」というような言葉が並んでいたという(読08.12.22朝)。
163 中原澄男 97.10. 6~13 (一審判決) 03(平15).5.1 福岡地裁 平12(わ)930等 TKC D1-Law (朝日03.5.2朝) 05(平17).4.12 福岡高裁 平15(う)415 高刑速(平17)330頁 TKC D1-Law (朝日05.4.13朝) 07(平19).6.12 最高裁 平17(あ)1101 裁判所ウェブサイト (朝日07.6.12夕) いわゆる太州会内部抗争連続殺人事件。元暴力団組長。部下ら4人に指示して、他の元暴力団組長を拳銃で殺害、さらに殺害に関与した部下が警察に犯行を自白するのを恐れ、3人の組員と共に、この組員を殺害、遺体を埋めた。殺害には関与していないと主張したが、判決は共犯者の供述は信用できるとしてこの主張を退けた。逮捕時(00.8.21)53歳(朝日00.8.22朝)。
164 薛松 00.9.22 (一審判決) 02(平14).2.22 さいたま地裁 平12(わ)1488 裁判所ウェブサイト (朝日02.2.23朝) 04(平16).1.23 東京高裁 (朝日04.1.23夕) 07(平19).6.19 最高裁 平16(あ)455 裁判所ウェブサイト (朝日07.6.20朝) いわゆる春日部中国人夫婦殺害事件。同じ大学院(筑波大学大学院)の院生だった女性に交際を断られたことから、女性とその夫を駐車場で待ち伏せし、サバイバルナイフで刺殺した。控訴審で弁護側は犯行当時心神耗弱状態で責任能力が低下していたと主張したが、退けられた(読04.1.24朝)。逮捕されていた当時(00.9.24)27歳(読00.9.25朝)。
165 前上博 執行
09.7.28
享年40歳
(読09.7.
28夕)
05.2.
19~6.10
(一審判決)
07(平19).3.28
大阪地裁
平17(わ)4843
裁判所ウェブサイト
(読07.3.28夕)
控訴取下
07(平19).7.5
(読07.7.7朝)
確定は同月6日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる自殺サイト連続殺人事件。インターネットの自殺サイトで知り合った自殺志願者3名を次々に誘い出して、その鼻や口を手で塞ぐなどして窒息死させ、その遺体を山中に遺棄した。その間、未成年被害者の父親に対して脅迫電話をかけた。一審初公判で起訴事実を認め、最終弁論では「命をもって償うほかない」と確定後の早期執行を訴えた。弁護側は責任能力を認めた精神鑑定は不十分と主張したが、判決は精神鑑定に基づいて責任能力を認めた。性嗜好障害を有している、また、快楽目的の連続殺人とされた。本人控訴取り下げ、確定(読07.7.7朝)。逮捕時(05.8.6)36歳(読05.8.6朝)。
166 浜川邦彦 94.7.19
/11.20
(一審判決)
02(平14).12.18
津地裁
平7(わ)8
裁判所ウェブサイト
(読02.12.19朝)
04(平16).3.22
名古屋高裁
平15(う)157
裁判所ウェブサイト
(読04.3.23朝)
07(平19).7.5
最高裁
平16(あ)932
裁判所ウェブサイト
(読07.7.6朝)
いわゆる三重連続射殺事件。共犯者と共謀し、保険代理業の男性を射殺、その4か月後に真珠販売業の男性を短銃で射殺、遺体を造成地に埋めたうえ、預金通帳を奪って1200万円余を引き出すなどしたとされる。弁護側は共犯の証言に疑問があると指摘し、浜川死刑確定者は「一切身に覚えがない」と否認。その後も一貫して無罪を主張。2015年6月29日、第2次再審請求(朝日15.6.30朝)。2017年1月13日、津地裁で請求棄却(産17.1.14朝)、即時抗告したが(朝日17.1.18朝)、2019年1月31日名古屋高裁が地裁の決定を支持(毎19.2.2中部朝刊)。2020年12月11日付で、最高裁が特別抗告を棄却した(東京20.12.15)。2022年12月、津地裁に3度目の再審請求を申立てた。弁護側は、確定判決が38口径の拳銃が使用されたと認定しているが、精密測定したところ発射された弾丸は35口径に相当するとの結果が出たと主張。それに対して検察側は「拳銃の口径に対する前提理解が間違っている。弾丸の測定結果も確定審と実質的な変更もない」と反論(毎22.12.1三重)。2024年1月15日、津地裁は請求を棄却する決定をし、弁護団は名古屋高裁に即時抗告した。決定では、証拠の新規性は否定できないとしたが、遺体などから見つかった弾丸は38口径の拳銃で発射できたと指摘した(中日24.1.1 19:34)。
共犯は無期確定(読05.7.20朝)。再逮捕時(95.9.29)35歳(朝日95.9.30朝)。
167 尾形英紀 執行 10.7.28 享年33歳 (読10.7. 28夕) 03.8.18 (一審判決) 07(平19).4.26 さいたま地裁 平15(わ)1962 裁判所ウェブサイト (読07.4.26夕) 控訴取下 07(平19).7.18 (読07.7.25夕) いわゆる熊谷男女4人拉致殺傷事件。元暴力団組員。当時交際していた16歳の少女から、男性に姦淫されそうになった旨聞いたことで立腹して男性を殺害した他、その犯行を知った女性3名を口封じのため殺害しようとし、うち1名を殺害、2名に重傷を負わせた。一審初公判で起訴事実を大筋で認めるが、その後、調書が一部差し換えられたなどと供述。弁護側はシンナーによる幻覚の影響の可能性を主張し、精神鑑定がなされたが、完全責任能力があるとされた。また、殺意の発生時期についても争ったが、退けられた。本人控訴取り下げ、確定(読07.7.25夕)。執行に千葉景子法相(当時)が立会い(読10.7.28夕)。
168 横山真人 執行 18.7.26 享年54歳 (朝日18. 7.26夕) 95.3.20 (朝日03.5. 20朝) 99(平11).9.30 東京地裁 平7(合わ)146等 判タ1029号138頁 TKC D1-Law (読99.9.30夕) 03(平15).5.19 東京高裁 平12(う)682 裁判所ウェブサイト (読03.5.20朝) 07(平19).7.20 最高裁 平15(あ)1404 裁判所ウェブサイト (読07.7.21朝) いわゆるオウム真理教事件。地下鉄サリン事件の散布役や、自動小銃の密造にかかわったとされる。一審の最初の頃は地下鉄サリン事件にかかわった経緯や自動小銃の密造について発言していたが、その後、一切の発言をしなくなった(朝日03.5.20朝)。上告審で弁護側は「担当した列車で1人の死者も出ていないことは最大限考慮すべきだ」と主張(朝日07.6.2朝)。地下鉄サリン実行犯で初の死刑確定(読07.7.21朝)。2018年3月、東京拘置所から名古屋拘置所に移送された(日経18.3.16朝)。同月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。さらに同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。再審請求棄却に対する即時抗告中に執行された(産18.9.11朝)。逮捕時(95.5.16)31歳(毎95.5.16夕)。
169 後藤良次 00.7.30 ~8.20 (朝日03.2. 25朝) 03(平15).2.24 宇都宮地裁 平12(わ)576等 TKC D1-Law (読03.2.24夕) 04(平16).7.6 東京高裁 平15(う)1730 TKC D1-Law (読04.7.6夕) 07(平19).9.28 最高裁 平16(あ)1687 裁判所ウェブサイト (読07.9.28夕) いわゆる宇都宮監禁殺人事件。元暴力団組長。知人男性宅で男性ら4人に拳銃をつきつけるなどして脅し、監禁。高濃度の覚せい剤を注射、居合わせた女性を中毒死させた。その前月には、男性を拳銃で脅して車内に監禁、川に投げておぼれさせ、殺害した。弁護側は強盗の意思を否定したが、取り調べ段階では強盗の意思を認めていたことや共犯者の証言から強盗の意思ありと認定された。一審、控訴審で死刑判決を受けた後に、未発覚の保険金殺人を告白し、死刑判決確定の後に改めて殺人罪で裁判が開かれて懲役20年が確定。後藤死刑確定者が上申書を出すまで被害者は病死とされていた(朝日10.3.28朝)。共犯者が殺害への協力に報酬を払わないことに不満を抱き、共犯者への復讐のために上申書を提出したという(朝日07.1.27夕)。他に2人の殺害も告白していたが、遺体が供述通りに発見されず、捜査は打ち切られた(朝日07.4.26朝)。逮捕時(00.8.30)42歳(朝日00.8.20夕)。
170 端本悟 執行 18.7.26 享年51歳 (朝日18. 7.26夕) 89.11 ~94.6 (上告審 判決) 00(平12).7.25 東京地裁 平7(刑わ)1405等 判時1738号141頁 判タ1091号90頁 (読00.7.25夕) 03(平15).9.18 東京高裁 平13(う)602 TKC (読03.9.18夕) 07(平19).10.26 最高裁 平15(あ)2277 裁判所ウェブサイト (読07.10.27朝) いわゆるオウム真理教事件。坂本弁護士一家殺害事件の実行犯。松本サリン事件では運転手・警備役をし、サリンプラント建設にもかかわった。一審坂本事件の公判では、凄惨な殺害場面の証言にさしかかると、何度も「それ以上は証言を拒否します」と言葉に詰まり、時に机に突っ伏して号泣(96.11.27朝)。 一審判決前には、「判決はあるがままに受け入れたい」と語っていたという(読00.7.25夕)。控訴審で弁護側は、マインドコントロールにより事件に関与する以外の選択肢がなかったと主張。2018年3月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。一度も再審請求せず、弁護士から繰り返し勧められても断っていたという(読18.8.26朝)。逮捕時(95.7.9)28歳(読95.7.10夕)。
171 畠山鐡男 (旧姓名 小田島鐡男) 病死 17.9.16 享年74歳 食道がん (読17.9. 18朝) 05.8.5 ~11.22 (一審判決) 07(平19).3.22 千葉地裁 平17(わ)1919 裁判所ウェブサイト (読07.3.22夕) 控訴取下 07(平19).11.1 (読07.11.6朝) 警察庁指定124号事件。前刑服役中から守田克実死刑確定者との間で資産家宅での強盗殺人を計画、マブチモーター会長宅に侵入、妻と長女を絞殺、金品を奪って放火した。その1か月後と3か月後にも歯科医師男性と金券ショップ経営者の妻をそれぞれ殺害し、金品を奪った。捜査段階では詳細な供述を拒んできたが、初公判で起訴事実を認める。本人控訴取り下げ、確定。守田死刑確定者は2011年に確定。旧姓小田島(読17.9.18)。心情をつづったブログ「死刑確定者獄中ブログ」が話題になる(朝日09.3.18朝)。再逮捕時(05.10.21)62歳(朝日05.10.22朝)。
172 庄子幸一 執行 19.8.2 享年64歳 (朝日19. 8.2夕) 01.8.28 ~9.19 (一審判決) 03(平15).4.30 横浜地裁 平13(わ)2409等 TKC D1-Law (読03.5.1朝) 04(平16).9.7 東京高裁 平15(う)2220 TKC D1-Law (読04.9.7夕) 07(平19).11.6 最高裁 平16(あ)2170 裁判所ウェブサイト (読07.11.6夕) いわゆる大和連続主婦強盗殺人事件。交際していた女性(一審・控訴審で無期懲役 朝04.9.7夕)と共謀して、その知り合いの女性を殺害して金を奪おうと計画、知人の主婦2人宅に押し入り、1人は刺殺、1人は窒息死させ、現金やキャッシュカードを奪って現金を引き出した。一審公判では起訴事実を認めたが、犯行は1人で行った、祈祷師に「世の中に出るためには5つの扉のかぎを開けなければならない」と言われ、殺害を決意した、殺人自体が目的だった、と強盗が目的であったことは否定。弁護人にも「5人殺せば幸せになれる。殺害方法も祈とう師に示唆された」と述べた(読03.5.3朝)。弁護側は、犯行当時は心神耗弱状態で完全責任能力はなかったと主張したが、退けられた。再審請求中に死刑が執行された(東京19.08.03朝)。逮捕時(01.9.26)46歳(朝日01.9.27朝)。
173 古沢友幸 執行 12.3.29 享年46歳 (読12.3. 29夕) 02.7.31 (一審判決) 04(平16).3.30 横浜地裁 平14(わ)2336等 TKC D1-Law (読04.3.30夕) 05(平17).5.24 東京高裁 平16(う)1303 TKC D1-Law (読05.5.24夕) 07(平19).11.15 最高裁 平17(あ)1319 裁判所ウェブサイト (読07.11.16朝) いわゆる横浜前妻一家殺人事件 。妻に対する暴力や他の女性と関係を持ったことが理由で妻から離婚を申し立てられ、実家に戻った妻を実家から拉致しようしたところ、妻の連れ子と妻の両親に気づかれたため、3人を刺殺した。一審では、脅そうと思ってナイフを持っていたが刺すつもりはなかった、と殺意を否定。事件後に離婚した元妻は、事件後に経済的に困窮し犯罪被害給付金の支給を求めたが、夫が加害者であるということから給付金の対象にされなかった(朝日06.12.21夕)。
174 宇井錂次 病死 08.2.7 享年68歳 胆管がん (読08.2. 8朝) 01.8.9 (一審判決) 03(平15).5.21 岡山地裁 平13(わ)615 裁判所ウェブサイト (読03.5.21夕) 04(平16).2.25 広島高裁岡山支部 平15(う)65 裁判所ウェブサイト (読04.2.25夕) 07(平19).11.30 最高裁 平16(あ)659 裁判所ウェブサイト (読07.12.1朝) いわゆる岡山女性殺人事件。仮釈放されて2年後、交際していた女性から知り合いに金を貸すよう頼まれて口論となり、女性を絞殺、竹やぶ内に遺体を投棄した。一審初公判で起訴事実を全面的に認めた。この事件までにも、交際女性と金のことで口論となり、ののしられる等したために激怒して絞殺、川原の岩と岩の隙間に遺棄する事件を2回起こして無期懲役となっていた。病死した死刑確定者の氏名公表は初めて(読08.2.8朝)。
175 外尾計夫 92.9.11 /98.10.27 (控訴審 判決) 03(平15).1.31 長崎地裁 平11(わ)188 裁判所ウェブサイト (読03.1.31夕) 04(平16).5.21 福岡高裁 平16(う)107 TKC D1-Law (読04.5.22朝) 08(平20).1.31 最高裁 平16(あ)1709 裁判所ウェブサイト (読08.1.31夕) いわゆる長崎・佐賀連続保険金殺人事件 。当時の愛人と共謀して愛人の夫を殺害、保険金をだまし取った。その後、愛人の子も殺害し、保険金をだまし取ろうとしたが未遂に終わる。外尾死刑確定者、愛人ともに起訴事実を認めたが、どちらが主導したかが争点となった。一審では夫殺害は共犯(愛人)主導、子殺害は外尾死刑確定者主導と認定されたが、愛人は控訴審で子殺害に抵抗していたということから無期に減刑され、最高裁で確定(読05.10.27朝)。一審裁判長が主文後、控訴を促す異例の言葉をかけた(読03.2.1西部朝)。再逮捕時(99.8.30)52歳(朝日99.8.31朝)。
176 小池泰男 (旧姓名 林泰男) 執行
18.7.26

享年60歳
(朝日18.7.26夕)
94.6.27 ~95.5.5
(朝日00.6.30朝)
00(平12).6.29
東京地裁
平8(合わ)427等
判タ1091号104頁
TKC D1-Law
(読00.6.30朝)
03(平15).12.5
東京高裁
平13(う)287
TKC D1-Law
(読03.12.5夕)
08(平20).2.15
最高裁
平16(あ)310
裁判所ウェブサイト
(読08.2.16朝)
いわゆるオウム真理教事件(松本サリン事件、地下鉄サリン事件の散布役、新宿青酸ガス事件)。一審初公判で全事件について起訴事実を全面的に認め、被害者に対して謝罪の言葉を述べた(読97.7.26夕)。逃亡共犯者の裁判に死刑確定者として証人出廷。旧姓林(朝日14.2.5夕、朝日15.3.11朝)。2008年12月22日、再審請求(朝日09.3.19夕)。2014年4月、再審弁護人の接見に拘置所職員が立ち会わないことを求めて東京地裁に提訴。2016年12月、拘置所職員を立ち会わせない旨の決定が出たが、東京拘置所はその後も職員を立ち会わせ続けたため、国に対して損害賠償を求めて提訴(朝18.5.23朝)。東京地裁は、執行後となる2018年9月に拘置所側の重大な過失を認め国に賠償を命じた(毎18.9.20朝)。さらに、東京地裁は同年12月にも立会いの違法性を認めて国に賠償を命じ(毎18.12.8朝)、2019年3月東京高裁も国に賠償を命じた(産19.3.21朝)。同年7月東京高裁は、面会時間を制限したのは違法だとの弁護人側の控訴を棄却、面会への職員立ち会いのみが違法と認定(令和1.7.31東京高裁判決・D1-Law)、2020年6月最高裁が弁護人側の上告を棄却して確定した(産20.6.26配信)。2018年2018年3月に東京拘置所から仙台拘置所に移送された(日経18.3.16朝)。同月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。さらに、同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。再審請求棄却に対する即時抗告中に執行され、弁護団が「権利を無視した執行だ」と抗議のコメントを発表している(東京18.7.27朝)。逮捕時(96.12.3)38歳(読96.12.4朝)。
177 服部純也 執行 12.8.3 享年40歳 (読12.8. 3夕) 02.1. 22~23 (読04.1. 15夕) 無期懲役 04(平16).1.15 静岡地裁沼津支部 平14(わ)509 D1-Law (読04.1.15夕) 05(平17).3.29 東京高裁 平16(う)605 高刑速(平17)71頁 TKC D1-Law (読05.3.29夕) 08(平20).2.29 最高裁 平17(あ)959 裁判所ウェブサイト (読08.3.1朝) いわゆる三島女子短大生焼殺事件。短大生に声をかけ、逃げようとするのを脅迫して乗用車に乗せて監禁。車内で暴行、一時は解放しようと考えたが、仲間と早く覚せい剤を使用したいと焦ったうえ、犯行の発覚を恐れて山林で全身に灯油をかけて火をつけた。被害者1名。少年時代に2度の少年院送致。覚せい剤取締法違反で執行猶予中に強盗致傷を犯して4年6か月の実刑判決を受けて服役し、仮釈放後9か月の犯行。一審は、服部死刑確定者が反省の態度を示していることや、計画性がないこと、幼少時代の劣悪な生活環境などを理由に無期懲役としたが、控訴審は同じ環境で育った兄弟に犯行歴がないことや証拠隠滅活動を指摘、死刑を言い渡した。
178 長谷川静央 05.5.8 (読07.1. 24朝) 07(平19).1.23 宇都宮地裁 (読07.1.24朝) 07(平19).8.16 東京高裁 (読07.8.17朝) 上告取下 08(平20).3.17 (読08.4.5朝) いわゆる宇都宮実弟殺人事件。死亡した母親の遺産の受け取り分増額を実弟から断られたため、知人の男(懲役30年が確定)に2千万の報酬を示し、実弟を刺殺させた。76年に勤務先の社長を殺害、無期懲役となり、仮釈放中の事件(朝日07.8.17朝)。公判では「事実と真実が明らかになったうえで極刑を望みます」と供述(読06.9.6朝)。本人上告取り下げ、確定(読08.4.5朝)。逮捕時(05.9.30)63歳(朝日05.10.1朝)。
179 松村恭造 執行 12.8.3 享年31歳 (読12.8. 3夕) 07.1.16 /1.23 (読08.3. 17夕) 08(平20).3.17 京都地裁 (読08.3.17夕) 控訴取下 08(平20).4.8 (読08.4.8夕) いわゆる京都・神奈川親族連続強殺事件。伯母を殺害して現金入りの財布を奪い、その1週間後に大叔父を殺害して同様に財布を奪った。捜査段階から一貫して供述を拒否。公判では被害者に対して「ざまあみろ」と述べ、初公判では「殺人を2件も冷静に完遂し、自分をほめてあげたい」などと述べた。挫折を繰り返し、職場も解雇され、失うものがなくなったとして「人を殺し、自殺する破滅」を決めたという。最終陳述で「自分は特別な存在だから何をしても構わない」と語った(朝日08.3.17夕)。控訴の理由は「控訴すると手紙の発信が制限されるから」で、友人に手紙を書いた後、みずから控訴を取下げた。その後、2009年春ごろに松村死刑確定者側から控訴審再開の希望が出たため、弁護側が「控訴取下げ時は責任能力がなかった」と主張して控訴審再開請求したが、2010年に最高裁で棄却され、恩赦も出願したが棄却された(毎12.10.11朝)。
180 山本開一 病死 10.1.2 享年62歳 肝がん (読10.1. 4朝) 03.12.14 (読05.9. 8夕) 05(平17).9.8 さいたま地裁 平16(わ)1等 TKC D1-Law (読05.9.8夕) 06(平18).9.28 東京高裁 平17(う)730 高刑速(平18)212頁 TKC D1-Law (読06.9.29朝) 08(平20).4.24 最高裁 平18(あ)2339 裁判所ウェブサイト (読08.4.25朝) いわゆる入間市暴力団組員5人射殺事件。元暴力団組長。暴力団抗争をめぐる意見対立から、同一家の他の組長らとの関係が悪化、その組長への反発を強めていた自分に対する殺害計画が持ち上がってると聞き、組長の殺害を決意。組長の事務所での幹部会合に拳銃2丁を持って訪れ、組長、別の組の幹部とその弟、隣の部屋にいた組員2人を次々と射殺した。「拳銃で5人を殺した。恨みがあった」と自首(読03.12.15夕)。弁護側は検察側の冒頭陳述の内容に概ね同意したうえで、先制攻撃以外の防衛手段はなかったと主張。刑事訴訟法の改正により、一部の遺族が望んだため、最高裁では被害者5人の名前が伏せられ「甲、乙、…」と読み上げられた。最高裁でこの制度が適用されたのは初(朝日08.314朝)。
181 加賀聖商 01.8.4 (控訴審 判決) 04(平16).2.4 横浜地裁 (読04.2.4夕) 05(平17).7.19 東京高裁 平16(う)1264 高刑速(平17)167頁 TKC D1-Law (読05.7.20朝) 08(平20).6.5 最高裁 平17(あ)1823 裁判所ウェブサイト (読08.6.6朝) いわゆる伊勢原市同居母娘強殺事件。同居していた会社員女性の長女の態度に腹を立て、殺害。その後帰宅した会社員を刺殺、キャッシュカードを奪って翌日に現金を引き出した。殺意があったことは認めたが、強盗目的は否定。弁護側は、計画性もなかったと主張して死刑回避を訴えた。逮捕時(01.9.24)50歳(朝日01.9.25朝)。
182 上部康明 執行 12.3.29 享年48歳 (読12.3. 29夕) 99.9.29 (一審判決) 02(平14).9.20 山口地裁下関支部 平11(わ)242 裁判所ウェブサイト (読02.9.21朝) 05(平17).6.28 広島高裁 平14(う)201 裁判所ウェブサイト (読05.6.29朝) 08(平20).7.11 最高裁 平17(あ)1622 裁判所ウェブサイト いわゆる下関駅通り魔事件。自己の将来に失望して自暴自棄になり、現状は両親や世の中でのせいであるとして、自己のうっ憤を晴らすために無差別殺人を計画。周到に準備を整えて、白昼にJR下関駅周辺の歩道やコンコース内に自動車で進入、通行人らに衝突し、包丁で切りつけるなどして5人を殺害、10人に重軽傷を負わせた。一審最終弁論では、声を震わせて傍聴席の被害者・遺族に謝罪(朝日02.6.20朝)。弁護側は控訴審で、妄想に基づく犯行で刑事責任は問えないとして無罪を主張。判決は、精神分裂病の疑い及び妄想性障害による限定責任能力状態にあったとの鑑定意見を退け、完全責任能力を認めた。2009年4月、再審準備のための弁護士接見の際に拘置所が職員の立会いをつけたのは秘密交通権の侵害だとして国家賠償請求(産09.4.30大阪夕刊)。
183 八木茂 95.6 ~99.5 (朝日05.1. 14朝) 02(平14).10.1 さいたま地裁 平12(わ)529等 判時1841号21頁 (読02.10.朝) 05(平17).1.13 東京高裁 平14(う)2961 TKC D1-Law (読05.1.14朝) 08(平20).7.17 最高裁 平17(あ)40 裁判所ウェブサイト (読08.7.18朝) いわゆる本庄保険金殺人事件。被害者と自らの愛人を結婚させ、トリカブトを飲ませて殺害、保険金をだまし取ったほか、同様にして風邪薬を用いて2人を殺害しようとして1人を殺害したとされる。八木死刑確定者は疑惑が発覚すると連日のように有料の記者会見を開き、疑惑を否定し続けた。公判でも、共犯女性の証言は信用できないとして一貫して無罪を主張(朝日08.7.18朝)。2016年12月6日、第2次再審請求(読16.12.8朝)。再審請求のための弁護人面会に東京拘置所が職員を立ち会わせたことにつき提訴、さいたま地裁から国に賠償命令が出ている(朝日17.5.25朝)。また、接見の時間が制限されたことを違法として損害賠償を求めた裁判では、さいたま地裁は、拘置所が時間を30分に制限したのは裁量権を逸脱しており接見交通の利益を害すると認めたが、時間制限が裁判を受ける権利の侵害だとする八木死刑確定者側の主張については「憲法は時間無制限を保障していると解することはできない」として退けた(日経20.8.5配信)。逮捕時(00.3.24)50歳(朝日00.3.24夕)。
184 江藤幸子 執行 12.9.27 享年65歳 (読12.9. 27夕) 95.1~6 (一審判決) 02(平14).5.10 福島地裁 平7(わ)87等 TKC D1-Law (読02.5.11朝) 05(平17).11.22 仙台高裁 平14(う)108 判タ1237号336頁 TKC D1-Law (読05.11.23朝) 08(平20).9.16 最高裁 平18(あ)99 裁判所ウェブサイト (読08.9.17朝) いわゆる須賀川祈祷師殺人事件。狐などの動物霊を追い出すことを口実とし、「御用」と称する暴行を被害者2名に加え続けて死亡させた。また、殺意をもって同様の暴行を被害者5名に加え続け、うち4名を殺害。共犯者2人が無期懲役、1人が懲役18年の判決となった。初公判では暴行を加えた事実は認めたが、共謀と殺意を否定。憑依トランス状態に陥り、心神喪失状態だった、として無罪を主張した。控訴審でも、『御用』が殺人につながるとの認識はなかったと主張。「犯行当時は意識が著しく変化した『憑依状態』だった」とする精神鑑定が出たが、仙台高裁も最高裁も責任能力はあったと認定した。再審請求準備中に執行された(朝日12.9.27夕)。
185 藁科稔 (旧姓名 伊藤稔) 病死 09.5.2 享年56歳 胆不全 (読09.5. 4朝) 00.7.13 (朝日06. 11.22朝) 04(平16).3.26 富山地裁 平12(わ)244等 裁判所ウェブサイト (読04.3.26夕) 06(平18).2.16 名古屋高裁金沢支部 (読06.2.16夕) 09(平21).1.22 最高裁 平18(あ)568 裁判所ウェブサイト (読09.1.22夕) いわゆる高岡市組長夫婦射殺事件。旧姓伊藤(朝日09.5.4朝)。高岡市の暴力団組長宅に押し入り、組長夫妻を射殺した。被害者と同じ組の元幹部・幾島賢治死刑確定者が藁科死刑確定者に殺害を依頼。一審で弁護側は、実行犯だが主導的ではなかったとして刑の減軽を求めた。食道静脈瘤で外部の病院に搬送され入院していたところ、肝不全による出血性ショックで死亡(朝日09.5.4朝)。
186 幾島賢治 病死 14.7.16 享年67歳 肝臓がん (読14.7. 17朝) 00.7.13 (朝日06. 11.22朝) 05(平17).1.27 富山地裁 平14(わ)243等 裁判所ウェブサイト (読05.1.28朝) 06(平18).10.12 名古屋高裁金沢支部 (読06.10.13朝) 09(平21).3.23 最高裁 平18(あ)2414 裁判所ウェブサイト (読09.3.24朝) いわゆる高岡市組長夫婦射殺事件。組長殺害を計画。実行犯(藁科稔死刑確定者)に殺害を依頼、組長宅に押し入らせ、組長夫妻を射殺した。弁護側は妻殺害の意図がなかったことを主張。幾島死刑確定者は、同じ組の元副長から組長殺害を指示されたと供述していたが、この供述は「信用しがたい」とされ元副長は死刑の求刑に対して一審・控訴審で無罪となり、確定(朝日08.5.2朝)。14年3月に大腸がんの手術を受けたが、その後転移が分かり、拘置所内の病室で治療を受けていた。死因は肝臓がん(朝日14.7.17朝)。
187 松田幸則 執行 12.9.27 享年39歳 (読12.9. 27夕) 03.10.16 (読07.10. 3夕) 06(平18).9.21 熊本地裁 (読06.9.22朝) 07(平19).10.3 福岡高裁 (読07.10.3夕) 上告取下 09(平21).4.3 (読09.4.17朝) いわゆる熊本県松橋町男女強盗殺人事件。貸金業男性から借金を逃れようと(朝日03.11.5朝)、貸金業男性と内縁関係にあった女性宅に押し入り、貸金業男性と女性の2人を刺殺、現金や腕時計を奪った(朝日07.10.3夕)。本人は強盗目的はなかったと主張(朝日04.3.12朝)。本人上告取り下げ、確定(読09.4.17朝)。
188 神田司 執行 15.6.25 享年44歳 (読15.6. 25夕) 07.8. 24~25 (読09.3. 17朝) 09(平21).3.18
名古屋地裁
平19(わ)1868,
2010,2130
判例秘書
(読09.3.18夕)
控訴取下
09(平21).4.13
(読09.4.15朝)
いわゆる闇サイト殺人事件。闇サイトで知り合った共犯者2人とともに、帰宅途中の会社員女性を拉致、キャッシュカードを奪って殺害し、遺体を遺棄。共犯の川岸受刑者が愛知県警本部に電話をかけて自首をしたことから事件が発覚(川岸受刑者は無期懲役が確定)。被害者1人で前科もないが、被害者が殺さないでと哀願するのを無視し、ハンマーで頭部を30回も殴るなどの殺害方法の残虐さにより死刑判決となった(読09.3.19朝)。本人控訴取り下げにより確定(読09.4.15朝)。その後、弁護人が控訴取下げは無効だとして控訴審期日の指定を求める「期日指定申立書」を名古屋地裁に提出したが(朝日09.4.28朝)、退けられた(朝日10.9.11朝)。13年2月、控訴取下げの無効を申し立てた弁護士との接見に名古屋拘置所が職員を立ち会わせたのは違法だとして損害賠償を求め、提訴。名古屋地裁は国に賠償を命じた(朝日13.2.20朝)。共犯の堀慶末死刑確定者は一審死刑判決だったが、控訴審無期懲役判決が12年7月に最高裁で確定(朝日15.6.26朝)、8月に「碧南事件」で再逮捕され、19年7月最高裁で死刑が確定(朝日19.7.20朝)。
189 林真須美 1998.7.25
(控訴審判決)
02(平14).12.11
和歌山地裁
平10(わ)465
裁判所ウェブサイト
(読02.12.12朝)
05(平17).6.28
大阪高裁
平15(う)250
判タ1192号186頁
TKC D1-Law
(読05.6.28夕)
09(平21).4.21
最高裁
平17(あ)1805
裁判所ウェブサイト
(読09.4.22朝)
いわゆる和歌山毒物カレー事件。夏祭りのカレー鍋にヒ素を混入して4人を死亡させ、63人を急性ヒ素中毒にさせたとされる。一貫して無罪を主張。弁護側は上告審で「保険金詐欺は何度も繰り返していたが、カレー事件のような無差別殺人を起こす動機がない」と主張した。2009年7月22日、再審請求(朝日09.7.2夕)。2017年3月29日、和歌山地裁で棄却(朝日17.3.31朝)。即時抗告したが(朝日17.4.4朝)、2020年3月24日大阪高裁は、河合教授の指摘は鑑定の信頼性を直ちに損なうものとはいえないとし、鑑定結果以外の間接事実を総合考慮しても林死刑確定者が犯人であるとの推認が強く働くとして和歌山地裁決定を支持して弁護側の即時抗告を棄却(朝日20.3.25朝)。弁護側が最高裁に特別抗告している(朝日20.4.9朝)。2021年、事件は第三者の犯行だとして新たに和歌山地裁に再審請求を申し立て、5月31日付で和歌山地裁が受理している(朝日21.6.17朝)。その直後、同年6月20日付で再審請求の最高裁への特別抗告を取下げた(朝日21.6.25朝)。2023年1月31日付けで和歌山地裁が2回目の再審請求を棄却、2月上旬に大阪高裁に特別抗告した(23.7.21 18:26時事)。2024年2月、和歌山地裁に3回目の再審請求。祭会場と林死刑確定者の自宅で見つかったヒ素が同じだったという鑑定や、林死刑確定者の毛髪からヒ素が検出されたという鑑定が誤りだった等主張している(産24.2.20 20:09)。
2022年8月、弁護人が「犯罪を犯したと疑う相当な理由がない」として林死刑確定者の釈放を求める申立書を和歌山地裁に提出、カレー事件とは別の殺人未遂事件や保険金詐欺事件についても既に再審請求したという(毎22.9.1和歌山)。同年9月、和歌山地裁は釈放を求める申立書を却下した(毎22.9.5和歌山)。
民事訴訟多数。05年、最高裁は、法廷内の手錠・腰縄姿を撮影・描写したイラストが週刊誌に掲載されるのは肖像権の侵害にあたると判断(朝日05.11.11朝)。13年、再審弁護団との接見で、職員の立会いがあり、時間が制限された、また、パソコン使用の許可を拘置所から得られず接見が妨害されたとして国家賠償請求を提訴(朝日13.12.14夕)、立会いについてのみ大阪地裁は国に賠償を命じた(朝日16.1.16朝)。弁護士に再審弁護団への参加を求めて書いた手紙の発信が許可されず、国に損害賠償を求めて提訴、大阪地裁は「再審のため弁護人を選ぶ権利を侵害した」と認めた(朝日13.10.18朝)。自身の絵画作品を無断で使用されたとして2020年6月12日付で真宗大谷派に損害賠償を求めて提訴(京都20.9.10)、2021年6月8日、京都地裁は、絵画の所有権は死刑囚の表現作品を募集している基金に譲渡されたと認めて「所有者の同意を得ており、展示権の侵害があったとはいえない」として請求を棄却した(京都21.6.8)。2020年10月11日付で、エッセーで名誉を棄損されたとして柴門ふみさんに損害賠償を求めて提訴(毎21.2.18徳島)、徳島地裁での第1回口頭弁論に双方の関係者が出廷せず、訴訟は休止扱いとなった(毎21.3.3)。弁護士と面会した際にパソコンの使用が制限されたり時間延長が認められなかったとして提訴、2021年11月、大阪地裁は、資料やデータの入ったパソコンの使用も打ち合わせに必要不可欠であり、秘密交通権として保障される行為であるとして国に対して89万円の支払いを命じた(産21.11.11 19:14)。ヒ素に関する虚偽の鑑定結果によって死刑判決が確定したとして鑑定人2人に損害賠償を求めて提訴、2022年3月、大阪地裁は林死刑確定者側の請求を棄却したが、カレーに含まれたヒ素と林死刑確定者の自宅から検出されたヒ素を同一とした鑑定などに「一部正確性を欠く前提や表現がある」とした(産22.3.11 19:27)。事件当時の記事などによって名誉を傷つけられ、プライバシーを侵害されたとして出版社に1000万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は2022年7月14日、請求棄却の判決を言い渡した。林死刑確定者の自宅や子供がいたとされる施設の写真も掲載されていたが、記事には公益性があるとして不法行為は成立しないと判断された(弁護士ドットコムニュース22.7.14 19:50)。
2019年林死刑確定者の長男が手記を出版(『もう逃げない。~いままで黙っていた「家族」のこと~』)。
逮捕時(98.10.4)37歳(朝日98.10.5朝)。
190 関根元 病死 17.3.27 享年75歳 多臓器不全 (朝日17.3. 28朝) 93.4.20 ~8.26 (一審判決) 01(平13).3.21 浦和地裁 平7(わ)114等 判タ1064号67頁 TKC D1-Law (読01.3.22朝) 05(平17).7.11 東京高裁 平13(う)1227 TKC D1-Law (読05.7.11夕) 09(平21).6.5 最高裁 平17(あ)1840 裁判所ウェブサイト (読09.6.6朝) いわゆる埼玉愛犬家連続殺人事件。元妻である風間博子死刑確定者と共謀して、外国犬を不当な価格で購入させられ売買代金の返却を求めた会社役員の男性、男性の殺害に気付いて財産的要求をしてきた暴力団幹部の男性とその運転手の合計3人を硝酸ストリキニーネを飲ませて殺害、遺体を捨てた。さらに、知人女性にしていた出資話が虚偽であったことをが発覚することをおそれ、この女性を殺害したとされる。遺体が解体、焼却されるなど物証が乏しく、捜査は難航、警察は群馬県の山中を捜索し、被害者のものとみられる骨片や所持品を見つけ、関根・風間両死刑確定者の逮捕に踏み切った(朝日09.6.6朝)。関根死刑確定者は、事件に関与したことは認めたが、実行行為はいずれも否認。風間死刑確定者と共犯の元会社役員(懲役3年が確定)が殺害したと主張した(朝日05.7.7朝)。16年11月に胸の痛みを訴えて一時外部の病院に入院、その後は拘置所内で心不全と高血圧の治療を受けていたという(朝日17.3.28朝)。
191 風間博子 93.4.20 ~8.26 (一審判決) 01(平13).3.21 浦和地裁 平7(わ)114等 判タ1064号67頁 TKC D1-Law (読01.3.22朝) 05(平17).7.11 東京高裁 平13(う)1227 TKC D1-Law (読05.7.11夕) 09(平21).6.5 最高裁 平17(あ)1840 裁判所ウェブサイト (読09.6.6朝) いわゆる埼玉愛犬家連続殺人事件。関根元死刑確定者の元妻。関根死刑確定者と共謀して、外国犬を不当な価格で購入させられ売買代金の返却を求めた会社役員の男性、男性の殺害に気付いて財産的要求をしてきた暴力団幹部の男性とその運転手の合計3人を硝酸ストリキニーネを飲ませて殺害、遺体を捨てたとされる。遺体が解体、焼却されるなど物証が乏しく、捜査は難航、警察は群馬県の山中を捜索し、被害者のものとみられる骨片や所持品を見つけ、関根・風間両死刑確定者の逮捕に踏み切った(朝日09.6.6朝)。会社役員殺害については無罪を主張。暴力団幹部と運転手については、死体遺棄は認めた名古屋拘置所の収容者と文通していることを拘置所職員に漏洩されたとして国に慰謝料を求めて提訴、名古屋地裁は漏えい情報はプライバシーにあたるとして国に慰謝料の支払いを命じた(読14.7.5夕)。2014年7月の時点で再審請求中(朝日14.7.5夕)。逮捕時(95.1.5)37歳(朝日95.1.6朝)。
192 小野川光紀 執行 21.12.21 享年44歳 (朝日21.12.22朝) 03.2.23/4.1 (読03.7.21/読3.8.30朝) 04(平16).3.26 さいたま地裁 平15(わ)1637等 TKC D1-Law (読04.3.27朝) 06(平18).9.29 東京高裁 平16(う)1091 高刑速(平18)191 TKC D1-Law (読06.9.20朝) 09(平21).6.9 最高裁 平18(あ)2178 裁判所ウェブサイト (読09.6.10朝) いわゆる群馬県パチンコ店員連続強盗殺人事件。知人の高根沢智明死刑確定者と共謀し、パチンコ店従業員を殺害し、奪った鍵を使って店から現金300万を盗んだ。また、その2か月後に別のパチンコ店員を殺害、所持金を奪った。初公判で起訴事実を認める。弁護側は、高根沢死刑確定者が主導したと主張したが、判決は「両被告人の刑事責任に差はない」とした。再審請求中に死刑が執行された(東京21.12.22朝)。高根沢死刑確定者は2005年に控訴取り下げ、死刑確定。再逮捕時(03.7.29)26歳(朝日03.7.30朝)。
193 宮城吉英 執行 13.4.26 享年56歳 (読13.4. 26夕) 05.4.25 (朝日05. 12.12夕) 05(平17).12.12 千葉地裁 (読05.12.12夕) 06(平18).10.5 東京高裁 平18(う)257 高刑速(平18)196頁 TKC D1-Law (読06.10.6朝) 09(平21).6.15 最高裁 平18(あ)2156 裁判所ウェブサイト (読09.6.16朝) いわゆる市原市ファミレス内組員2人射殺事件。濱崎勝次死刑確定者ともう1人の別の組長(事件後に自殺)と共謀し、以前からトラブルになっていた組長2人をファミリーレストランに呼び出し、2丁の拳銃から計8発を発射して2人を射殺した。初公判で起訴事実を認める(読05.9.13朝)。共犯の濱崎死刑確定者は2011年に死刑確定。逮捕時(05.5.25)48歳(朝日05.5.26朝)。
194 高橋秀 (旧姓名 石川秀) 01.1.8 /2.3 (一審判決) 04(平16).3.25 仙台地裁 平14(わ)424等 裁判所ウェブサイト (読04.3.25夕) 05(平17).7.26 仙台高裁 (読05.7.27朝) 09(平21).6.23 最高裁 平17(あ)1901 裁判所ウェブサイト (読09.6.24朝) いわゆる仙台市暴力団幹部による強盗殺人事件他。組を脱退しようとした男性に暴行を加え、海に投げ込んで殺害。その1か月後には、借金の返済を逃れるため貸金業の男性を絞殺、遺体を海に遺棄した。一審で主犯格とされた。控訴審で他の共犯者が主導していたと主張したが、判決では退けられた(読05.7.27朝)。共犯者の他の4人は無期懲役(読04.3.25夕)。旧姓石川(読02.6.22朝)。逮捕時(02.6.19)39歳(読02.6.20朝)。
195 小日向将人 03.1.25 (一審判決) 05(平17).3.28 前橋地裁 平15(わ)822等 D1-Law (読05.3.28夕) 06(平18).3.16 東京高裁 (読06.3.17朝) 09(平21).7.10 最高裁 平18(あ)809 裁判所ウェブサイト (読09.7.11朝) いわゆる前橋スナック乱射事件。所属する暴力団の会長だった矢野治死刑確定者の指示で、他の暴力団組長の殺害を計画。もう一人の共犯の山田健一郎死刑確定者と拳銃で計十数発を発射し、スナックにいた無関係の市民3人を含む4人を射殺するなどした。事件後の1年後に全面自白、捜査が一気に進んだことから弁護側は自首を主張して減刑を求めたが、自首の時点ですでに犯人であることが捜査機関に発覚していたため刑の減軽は認められなかった。首謀者の矢野死刑確定者は2014年に死刑判決が確定。山田死刑確定者は2013年に死刑判決が確定。逮捕時(03.10.31)34歳(朝日03.11.1朝)。
196 早川紀代秀 執行 18.7.6 享年68歳 (朝日18. 7.6夕) 89.2 ~95.1 (朝日09.7. 18朝) 00(平12).7.28 東京地裁 平7(合わ)284等 D1-Law (読00.7.28夕) 04(平16).5.14 東京高裁 平13(う)339 TKC D1-Law (読04.5.14夕) 09(平21).7.17 最高裁 平16(あ)1264 裁判所ウェブサイト (読09.7.18朝) いわゆるオウム真理教事件。脱会を希望した信徒の殺害、坂本弁護士事件などの実行犯、サリンプラントの建設に関わる。一審判決は、坂本、田口事件では極刑を覚悟しながらも供述を続けたことなど、公判での積極的な証言や被害者・遺族への謝罪を評価しながらも、極刑をもって臨むほかないと結論づけた。2016年7月21日、最高裁で第一次再審請求棄却が確定(読16.7.23朝)。2018年3月、東京拘置所から福岡拘置所に移送された(日経18.3.16朝)。同月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。さらに、同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。再審請求中に執行(産18.8.21朝)。執行の直前には、イスラム国(IS)などによる国際テロをどうしたら防げるか考え、イスラム教の聖典「コーラン」を熱心に読んでいたという(産18.7.7朝)。逮捕時(95.4.20)45歳(読95.4.20朝)。
197 豊田亨 執行 18.7.26 享年50歳 (朝日18. 7.26夕) 95.3.20 (朝日04.7. 28夕) 00(平12).7.17 東京地裁 平7(合わ)143等 判タ1091号181頁 TKC D1-Law (読00.7.18朝) 04(平16).7.28 東京高裁 平13(う)1625 TKC D1-Law (読04.7.28夕) 09(平21).11.6 最高裁 平16(あ)2108 裁判所ウェブサイト (読09.11.7朝) いわゆるオウム真理教事件。銃密造、地下鉄サリン事件の散布役、東京都庁爆弾(都知事あてに送付)、新宿青酸ガス装置設置。松本死刑確定者のマインドコントロールを受けていたと主張。判決では、豊田・広瀬健一死刑確定者の法廷態度や反省ぶりは、真摯な反省の念と被害者への謝罪の気持ちは偽りがないと評価されたが、被害者のことを考えると過大視できないとして死刑判決(読00.7.18朝)。2018年3月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。再審請求棄却に対する即時抗告中に執行された(産18.8.30朝)。逮捕時(95.5.15)27歳(毎95.5.16朝)。
198 広瀬健一 執行
18.7.26
享年54歳 (朝日18. 7.26夕)
95.3.20 (朝日04.7. 28夕) 00(平12).7.17 東京地裁 平7(合わ)143等 判タ1091号181頁 TKC D1-Law (読00.7.18朝) 04(平16).7.28 東京高裁 平13(う)1625 TKC D1-Law (読04.7.28夕) 09(平21).11.6 最高裁 平16(あ)2108 裁判所ウェブサイト (読09.11.7朝) いわゆるオウム真理教事件。地下鉄サリン事件散布役、銃密造。事件を大筋で認める一方、「マインドコントロール下で判断能力が減退していた」と主張。判決では、豊田亨・広瀬死刑確定者の法廷態度や反省ぶりは、真摯な反省の念と被害者への謝罪の気持ちは偽りがないと評価されたが、被害者のことを考えると過大視できないとして死刑判決。2015年2月、逃亡共犯者の法廷に証人出廷(読15.2.17朝)。2018年1月の時点で再審請求準備中(東京18.1.20朝)。2018年3月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。再審請求中に執行された(産18.8.30朝)。執行の1年後に、謝罪文や手記からなる遺稿「悔悟 オウム真理教元信徒 広瀬健一の手記」が出版された。「地下鉄サリン事件被害者の会」代表世話人の高橋シズヱ氏が文章を寄せ、広瀬死刑確定者の法廷での誠実な態度を紹介している(朝日19.3.20朝)。逮捕時(95.5.16)30歳(毎95.5.16夕)。
199 窪田勇次 病死
23.9.23
享年78歳
誤嚥性肺炎による呼吸不全
(北海道23.9.24朝)
88.10.21
(読03.10.30夕)
04(平16).3.2
釧路地裁北見支部
平15(わ)3
TKC D1-Law
(読04.3.3朝)
05(平17).12.1
札幌高裁
平16(う)99
高刑速(平17)353頁
TKC D1-Law
(読05.12.1夕)
09(平21).12.4
最高裁
平18(あ)34
裁判所ウェブサイト
(09.12.5朝)
いわゆる北見市資産家夫婦殺人事件。元保険外交員。虚偽の説明をして被害者夫婦に生命保険を契約させたことが発覚することを恐れ、2人を殺害したとされる。犯行の約1年後に自殺を偽装して逃走(朝日09.12.5朝)。道警は犯行現場に残された血痕のDNA鑑定を行い、2002年10月に指名手配、時効成立まで10か月に迫った同年12月に横浜市内で逮捕。
窪田死刑確定者は公判で当初は起訴事実を認めたが、途中から無罪を主張、警察官が窪田死刑確定者の血液を現場にばらまいたと主張した。判決は、現場の血液は窪田死刑確定者のものと認め、自白供述の内容が現場の状況とほぼ一致したほか事件後に自殺を偽装して姿を消したことなどを理由に検察側の主張を全面的に認めた。
2023年9月、誤嚥性肺炎による呼吸不全で死亡。2023年9月、誤嚥性肺炎による呼吸不全で死亡。同年6月以降認知機能の低下が認められ、札幌拘置支所から医療体制の整った札幌刑務所に移り、糖尿病性昏睡や認知症などと診断されていた。
2011年、13年、14年、16年に再審請求していずれも退けられ、現場の血痕について「犯行時のものとして不自然」とする鑑定結果に基づき18年に第5次再審請求を行い、20年3月に釧路地裁北見支部が棄却、21年11月に札幌高裁が即時抗告を棄却、最高裁に特別抗告中に死亡した(北海道23.9.24朝)。
逮捕時(95.12.18)57歳(毎02.12.19夕)。
200 井上嘉浩 執行 18.7.6 享年48歳 (朝日18. 7.6夕) 94.1 ~95.3 (朝日04.5. 28夕) 無期懲役 00(平12).6.6 東京地裁 平7(合わ)142等 判時1740号109頁 判タ1091号127頁 TKC D1-Law (読00.6.6夕) 04(平16).5.28 東京高裁 平13(う)470 高刑速(平16)73頁 判時1901号146頁 判タ1170号303頁 TKC D1-Law (読04.5.28夕) 09(平21).12.10 最高裁 平16(あ)1394 裁判所ウェブサイト (読09.12.11朝) いわゆるオウム真理教事件。10事件に関与。VX3事件、地下鉄サリン事件の総合調整役、元信徒リンチ殺害事件、目黒公証役場事務長監禁致死、新宿青酸ガス発生装置設置、東京都庁爆弾郵送、宗教学者自宅マンション前での爆弾爆破、教団施設に火炎瓶を投げて被害を自作自演。反省・謝罪の態度、公判での供述態度が考慮され、一審では無期懲役。地下鉄サリン事件において「後方支援、連絡調整役」とされたが、控訴審で「総合調整ともいうべき重要な役割を果たした」と認定され、死刑となる。2014年と15年の逃亡共犯者の法廷に死刑確定者として証人出廷(読14.02.03夕、読15.02.20夕)。2018年3月14日再審請求(時事通信18.3.14)。同日、東京拘置所から大阪拘置所に移送された(日経18.3.16朝)。同月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。さらに、同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。2018年3月に行った一回目の再審請求中に執行された(朝日18.7.11朝)。執行後の同年10月15日、両親が東京高裁に再審請求したが(毎18.10.16朝)、2019年12月に東京高裁は「確定判決に合理的な疑いが生じるとは言えない」として再審を認めない決定を出した(時事通信20.3.8配信)。逮捕時(95.5.15)25歳(読95.5.15夕)。
201 菅峰夫 96.6.8 /11.19 (朝日09. 12.12) 04(平16).3.11 福岡地裁 (読04.3.12朝) 06(平18).5.24 福岡高裁 (読06.5.24夕) 09(平21).12.11 最高裁 平18(あ)1741 裁判所ウェブサイト (読09.12.12朝) いわゆる架空建設計画取引による連続殺人事件。地域開発事業で利益獲得をもくろみ、手柴勝敏死刑確定者と共謀し、事業を推進していた不動産業男性を殺害、地中に埋めた。また、建設会社社長女性に架空の工事話をもちかけ、殺害して現金と約束手形を奪うなどしたとされる。1件の死体遺棄罪を除いて無罪を訴え(朝日97.11.18朝)、捜査段階における供述が捜査官の不当な取調べ等によって得られたと主張した。逮捕時(97.2.22)46歳(読97.2.23朝)。
202 手柴勝敏 病死 10.4.14 享年66歳 小脳出血 (読10.4. 14朝) 96.6.8 /11.19 (朝日09. 12.12) 無期懲役 04(平16).3.11 福岡地裁 (読04.3.12朝) 06(平18).5.24 福岡高裁 (読06.5.24夕) 09(平21).12.11 最高裁 平18(あ)1741 裁判所ウェブサイト (読09.12.12朝) いわゆる架空建設計画取引による連続殺人事件。地域開発事業で利益獲得をもくろみ、菅峰夫死刑確定者と共謀し、事業を推進していた不動産業男性を殺害、地中に埋めた。また、建設会社社長女性に架空の工事話をもちかけ、殺害して現金と約束手形を奪うなどした。公判では、殺害し死体を遺棄したことは認めるが、”菅死刑確定者に強要されてやむなく実行しただけ”と主張(朝日97.11.18朝)。一審は手柴死刑確定者を「関与は従属的だった」として無期懲役としたが、控訴審は「お互いに相手を利用しあう関係だった」として、手柴死刑確定者にも死刑を言い渡した(読09.12.12朝)。死因は小脳出血。がんと診断され拘置所で投薬治療を受けていた(読10.4.14朝)。
203 金川真大 執行 13.2.21 享年29歳 (読13.2. 21夕) 08.3.19 ~3.23 (朝日09. 12.29朝) 09(平21).12.18 水戸地裁 (読09.12.18夕) 控訴期間内に控訴取下 (読10.01.5朝) いわゆる土浦連続殺傷事件。テレビゲームばかりしているうちに生きていてもつまらなくなり、自殺を考えたが「痛い思いをするだけ」と断念。多くの人を殺して死刑になろうと考え、土浦市の男性を殺害、その4日後にJR常磐線荒川沖駅で通行人ら8人にサバイバルナイフなどで切りつけ、1人を殺害した。弁護側は、被告人の望み通り死刑にしたら死刑が刑罰として全く機能しなくなる、刑罰より治療が必要だ、と主張した。控訴期間内に本人控訴取り下げ(朝日09.12.29朝)。最終陳述も拒むなど、最後まで反省や謝罪の言葉は述べなかった。(読09.11.14朝)。
204 新實智光 執行 18.7.6 享年54歳 (毎18.7. 7朝) 89.2 ~95.3 (読02.6. 26夕) 02(平14).6.26 東京地裁 平7刑(わ)894等 裁判所ウェブサイト (読02.6.26夕) 06(平18).3.15 東京高裁 平14(う)2564 判タ1223号312頁 TKC D1-Law (読06.3.16朝) 10(平22).1.19 最高裁 平18(あ)841 裁判所ウェブサイト (読10.1.20朝) いわゆるオウム真理教事件。起訴された事件数は、麻原彰晃こと松本智津夫死刑確定者に次ぐ11件。田口修二さんリンチ殺害事件、坂本弁護士一家殺害事件、落田耕太郎さん殺害事件、松本サリン事件(下見や現場周辺の見張り)、冨田俊男さん殺害事件、元看護婦監禁、VX事件の3件、地下鉄サリン(運転手役)、犯人隠匿。公判で事実関係を大筋認めたものの、被害者への謝罪は一切行わず、弁護側は大半の事件について、首謀者は松本死刑確定者で、首謀者以外は死刑にならない内乱罪が適用されるべきと主張。15年には共犯者の法廷に死刑確定者として証人出廷(読15.2.19)。2018年3月、東京拘置所から大阪拘置所に移送された(日経18.3.16朝)。同月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。さらに、同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。再審請求中に執行された(朝日18,7,6夕)。逮捕時(95.4.12)31歳(朝日95.4.12夕)。
205 大橋健治 05.4.27 /05.5.11 (読06.11. 2夕) 06(平18).11.2 大阪地裁 平17(わ)4842 裁判所ウェブサイト (読06.11.2夕) 07(平19).4.27 大阪高裁 (読07.4.28朝) 10(平22).1.29 最高裁 平19(あ)946 裁判所ウェブサイト (読10.1.30朝) いわゆる大阪・岐阜連続女性強盗殺人事件。パチスロなどにのめりこんで生活に窮し、パート従業員女性宅に盗み目的で侵入、現金を奪い絞殺。その2週間後に新聞勧誘員を装って主婦宅に訪れ、ナイフをつきつけて金を出せと脅し、抵抗した主婦を刺殺した。公判では大筋で起訴事実を認めたが、最初から殺意があったわけではないと主張。警察庁のDNAデータベースがきっかけで逮捕された(産06.11.2大阪夕)。逮捕時(05.8.4)64歳(朝日05.8.5朝)。
206 吉田純子 執行 16.3.25 享年56歳 (読16.3. 25夕) 98.1 ~99.3.27 (一審判決) 04(平16).9.24 福岡地裁 平14(わ)561等 裁判所ウェブサイト (読04.9.25朝) 06(平18).5.16 福岡高裁 平16(う)678 高刑速(平18)294頁 TKC D1-Law (読06.5.16夕) 10(平22).3.18 最高裁 平18(あ)1372 裁判所ウェブサイト (読10.3.19朝) いわゆる看護師連続保険金殺人事件。元看護師。元治験コーディネータの女(無期懲役が確定)ら3人と共謀、98~99年、共犯者の夫ら2人を注射器を使って静脈に空気を注入したり、鼻から医療用チューブで大量のウィスキーを流し込むなどして殺害、保険金約6750万円をだまし取った。公判では起訴事実を認めたが(読02.8.28朝)、その後黙秘に転じ(03.4.17西部朝)、最後の被告人質問では「命をもって償いたい」と述べた(読04.3.19西部朝)。弁護側は一審で従属的立場であったことを主張したが、判決では主犯格とされた。逮捕時(02.4.28)42歳(朝日02.4.29朝)。
207 高尾康司 98.2.11 /03.12.18 (一審判決) 05(平17).2.21 千葉地裁 平16(わ)8等 裁判所ウェブサイト (読05.2.22朝) 06(平18).9.28 東京高裁 平17(う)730 高刑速(平18)212頁 TKC D1-Law (読06.9.29朝) 10(平22).9.16 最高裁 平18(あ)2151 裁判所ウェブサイト (読10.9.17朝) いわゆる館山市一家4人放火殺人事件他。人間関係への不満や借金・税金の滞納に悩み、うっぷん晴らしのためにゴミに放火するようになり、飲食店に火を放って従業員を焼死させた。その5年後には民家に放火して一家4人を焼死させた。弁護側は、ごみや新聞紙などに放火したつもりだったと殺意を否定したが、殺意があると認定された。逮捕時(03.12.18)40歳(朝日03.12.19朝)。
208 藤崎宗司 05.1. 18/28 (朝日06. 12.22朝) 05(平17).12.22 水戸地裁 平17(わ)91等 TKC D1-Law (読05.12.22夕) 06(平18).12.21 東京高裁 平18(う)384 高刑速(平18)245頁 TKC D1-Law (読06.12.22朝) 10(平22).10.14 最高裁 平19(あ)97 裁判所ウェブサイト (読10.10.15朝) いわゆる茨城強盗殺人事件。飲食代のツケが払えなくなり、強盗を計画。顔見知りだった高齢女性宅に押し入って窒息死させ、現金を奪った。その10日後にも高齢女性宅に侵入、同様に殺害した。公判で起訴事実を認める。弁護側は、被告人は規範意識を養う適正な教育を受けてこなかった、犯行当時心神耗弱の状態にあった、として死刑回避を求めたが、認められなかった。中程度の知的障害で小2以下の水準とされ、盗みなどで8度服役し、刑事責任が減軽される心神耗弱と認められたこともあった(毎14.8.20朝)。逮捕時(05.1.31)43歳(朝日05.2.1朝)。
209 尾崎正芳 02.1.8 /1.31 (読10.11. 9夕) 05(平17).5.16 福岡地裁小倉支部 平14(わ)215等 裁判所ウェブサイト (読05.5.16夕) 07(平19).1.16 福岡高裁 (読07.1.16夕) 10(平22).11.8 最高裁 平19(あ)337 裁判所ウェブサイト (読10.11.9夕) いわゆる大分替え玉保険金殺人事件。原正志死刑確定者と共謀し、無職男性宅に宅配便を装って侵入し、首を絞めてナイフで刺すなどして殺害。預金通帳や印鑑を奪い、犯行を隠すため放火した。さらにもう一人の共犯(懲役8年が確定)と共謀し、原死刑確定者にかけていた保険金をだまし取る目的で、身代わりにホームレスに睡眠薬を飲ませ、川で水死させた事件。主犯とされた尾崎死刑確定者は公判を通して殺人・放火について、計画を途中でやめることにしたのに原死刑確定者が実行したと共謀を否認、一部無罪を主張。事件当時、尾崎死刑確定者と原死刑確定者は養子縁組を経て戸籍上は兄弟だった(朝日05.5.16夕)。当時の姓竹本(朝日07.1.16夕)。逮捕時(02.2.9)27歳(朝日02.2.9夕)。
210 原正志 02.1.8 /1.31 (読10.11. 9夕) 05(平17).5.16 福岡地裁小倉支部 平14(わ)215等 裁判所ウェブサイト (読05.5.16夕) 07(平19).1.16 福岡高裁 (読07.1.16夕) 10(平22).11.8 最高裁 平19(あ)337 裁判所ウェブサイト (読10.11.9夕) いわゆる大分替え玉保険金殺人事件。尾崎正芳死刑確定者と共謀し、無職男性宅に宅配便を装って侵入し、首を絞めてナイフで刺すなどして殺害、預金通帳や印鑑を奪い、犯行を隠すため放火。さらにもう一人の共犯(懲役8年が確定)と共謀し、原死刑確定者にかけていた保険金をだまし取る目的で、身代わりにホームレスに睡眠薬を飲ませ、川で水死させた。実行役だった原死刑確定者は、上告審において、尾崎死刑確定者から脅迫を受けていたと量刑不当を主張(朝日10.11.9朝)。事件当時、尾崎死刑確定者と原死刑確定者は、養子縁組を経て戸籍上は兄弟だった(朝日05.5.16夕)。事件当時の姓竹本(朝日07.1.16夕)。逮捕時(02.2.1)44歳(朝日02.2.2朝)。
211 土谷正実 執行 18.7.6 享年53歳 (朝日18. 7.6夕) 94.4 ~95.5 (一審判決) 04(平16).1.30 東京地裁 平7(合わ)147等 TKC D1-Law (読04.1.31朝) 06(平18).8.18 東京高裁 (読06.8.18夕) 11(平23).2.15 最高裁 平18(あ)1909 裁判所ウェブサイト (読11.2.16朝) いわゆるオウム真理教事件。松本サリン事件、地下鉄サリン事件のサリンの製造、3件の襲撃事件で使われたVXを製造した。「サリンが犯行に使われるとの認識はなかった」と主張。2014年、他の元教団信者の裁判員裁判において、東京拘置所で裁判員らが出張尋問を行った(読14.5.30朝)。2018年3月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。逮捕時(95.4.26)30歳(朝日95.4.27朝)。
212 熊谷徳久 執行 13.9.12 享年73歳 (読13.9. 12夕) 04.5.29 /6.23 (読04. 8.24朝 /読04. 7.1夕) 無期懲役 06(平18).4.17 東京地裁 (読06.4.17夕) 07(平19).4.25 東京高裁 平18(う)1486 高刑速(平19)212頁 TKC D1-Law (読07.4.25夕) 11(平23).3.1 最高裁 平19(あ)1006 裁判所ウェブサイト (読11.3.1朝) いわゆる横浜中華街店主銃殺事件。事業で成功した時期が忘れられず、「多額の事業資金を得るためには現金強奪事件を起こすしかない」と考え、2004年5月、横浜中華街で料理店を営む男性を射殺して現金を奪い、6月には東京メトロ渋谷駅駅員の腹部を銃撃して(重傷)、提げていた紙袋を奪った。死亡被害者は1人。一審は、熊谷死刑確定者が戦災孤児で不遇な成育歴があったこと、渋谷事件の3日後に警視庁に自首したことなどを踏まえ無期懲役としたが(朝日06.4.17夕)、控訴審は犯行を繰り返したこと、残忍な犯行形態などを重視し死刑とした。2011年に実施された死刑確定者を対象としたアンケート調査には、武器を作って拘置所からの脱走を図ったことがあること、「運動所」で自殺を図って懲罰を受けたことなどを記載していたという(毎13.9.12夕)。逮捕時(04.4.26)64歳(朝日04.6.27朝)。
213 鈴木泰德 執行 19.8.2 享年50歳 (朝日19. 8.2夕) 04.12.12 ~05.1.18 (読06.11. 13夕) 06(平18).11.13 福岡地裁 平17(わ)468 裁判所ウェブサイト (読06.11.13夕) 08(平20).2.7 福岡高裁 平18(う)788 裁判所ウェブサイト (読08.2.7夕) 11(平23).3.8 最高裁 平20(あ)552 裁判所ウェブサイト (読11.3.9朝) いわゆる福岡3女性連続強盗殺人事件。遊興費で借金が増え妻から小遣いをもらえなくなったことから、出勤や帰宅のため1人で歩いていた女性を襲って金を奪うことを計画。2004年12月から約1か月間に女性3人を相次いで殺害、現金を奪った。一審・控訴審で「もみあいになって包丁がささった」などと殺意を否定。再逮捕時(05.3.10)35歳(朝日05.3.10夕)。
214 K・M 94.9.28
~10.7
(一審判決)
01(平13).7.9
名古屋地裁
平7(わ)459等
TKC D1-Law
(読01.7.10朝)
05(平17).10.14
名古屋高裁
平14(う)27
高刑速(平17)270頁
TKC D1-Law
(読05.10.15朝)
11(平23).3.10
最高裁
平17(あ)2358
裁判所ウェブサイト
(読11.3.11朝)
いわゆる木曽川・長良川連続リンチ殺人事件。K・A死刑確定者・H・M死刑確定者と共に、1994年9月末に大阪市でたまたま行き合った男性を人夫として送り込む目的で拘束した後に人夫受け入れの当てが外れたため殺害、高知県の山中に捨てた。10月初めには木曽川河川敷でシンナー仲間の男性の言動に腹を立てて暴行を加え重傷を負わせたまま放置し、殺害。さらに19歳と20歳の男性を車に監禁して現金を奪い、長良川河川敷で金属パイプで殴って殺害した。11日間の間の犯行。上告審で弁護側は「捜査機関や共犯者から意図的に主犯に仕立てられた。支援者を得て反省を深めており、死刑は重すぎる」と主張。2011年12月16日名古屋高裁に再審請求(朝日11.12.20)、2013年2月棄却(朝日13.2.6朝)、2015年12月に異議申立て棄却(朝日15.12.26朝)。2016年12月に名古屋高裁に再審請求している(読17.3.4朝)。弁護人と接見を妨害されたとして、2014年名古屋地裁が、2016年に東京高裁が、2017年に東京地裁が、国に支払いを認める判決を下している(読14.8.29朝/朝16.11.25朝/朝17.4.14夕)。上告審判決時(11.3.10)35歳、事件当時19歳(朝日11.3.11朝)。※主として死刑判決の確定後、マスコミ各社は実名報道を行っている。しかし、本人が自発的に実名を公表したか否かにつき確認できないため、当サイトでは、少年法61条の趣旨を踏まえ、イニシャルで表記する。
215 K・A
(旧姓名K・A,O・A)
94.9.28
~10.7
(一審判決)
無期懲役
01(平13).7.9
名古屋地裁
平7(わ)459等
TKC D1-Law
(読01.7.10朝)
05(平17).10.14
名古屋高裁
平14(う)27
高刑速(平17)270頁
TKC D1-Law
(読05.10.15朝)
11(平23).3.10
最高裁
平17(あ)2358
裁判所ウェブサイト
(読11.3.11朝)
いわゆる木曽川・長良川連続リンチ殺人事件。K・M死刑確定者・H・M死刑確定者と共に、1994年9月末に大阪市でたまたま行き合った男性を人夫として送り込む目的で拘束した後に人夫受け入れの当てが外れたため殺害、高知県の山中に捨てた。10月初めには木曽川河川敷でシンナー仲間の男性の言動に腹を立てて暴行を加え重傷を負わせたまま放置し、殺害。さらに19歳と20歳の男性を車に監禁して現金を奪い、長良川河川敷で金属パイプで殴って殺害した。11日間の間の犯行。一審は無期懲役。控訴審で「刑種の選択を異にするほどの量刑上の差異」はないとして、死刑となった。木曽川事件の被害者の兄との交流があり、兄が最高裁に減刑を求める嘆願書を提出した(朝日11.3.11朝)。上告審では弁護側は「他の2人より常に消極的、従属的で、死刑は重過ぎる。死刑を望まない遺族もおり、生きて償わせるべきだ」と主張した(朝日11.3.9朝)。2011年5月12日発売のフライデーに拘置所内で撮影された写真が掲載される(読11.5.12朝)。2013年2月名古屋地裁が、8月名古屋高裁が再審請求を棄却(TKC平25(お)1号)、2015年12月に異議棄却(朝日15.12.26朝)、2016年12月に最高裁で再審請求棄却、同月に名古屋高裁に再審請求している(読17.3.4朝)。上告審判決時(11.3.10)35歳、事件当時19歳(朝日11.3.11朝)。旧姓名はK・A, O・A(朝11.4.10朝)。※主として死刑判決の確定後、マスコミ各社は実名報道を行っている。しかし、本人が自発的に実名を公表したか否かにつき確認できないため、当サイトでは、少年法61条の趣旨を踏まえ、イニシャルで表記する。
216 H・M
(旧姓名K・M)
94.9.28
~10.7
(一審判決)
無期懲役
01(平13).7.9
名古屋地裁
平7(わ)459等
TKC D1-Law
(読01.7.10朝)
05(平17).10.14
名古屋高裁
平14(う)27
高刑速(平17)270頁
TKC D1-Law
(読05.10.15朝)
11(平23).3.10
最高裁
平17(あ)2358
裁判所ウェブサイト
(読11.3.11朝)
いわゆる木曽川・長良川連続リンチ殺人事件。K・M死刑確定者・K・A死刑確定者と共に、1994年9月末に大阪市でたまたま行き合った男性を人夫として送り込む目的で拘束した後に人夫受け入れの当てが外れたため殺害、高知県の山中に捨てた。10月初めには木曽川河川敷でシンナー仲間の男性の言動に腹を立てて暴行を加え重傷を負わせたまま放置し、殺害。さらに19歳と20歳の男性を車に監禁して現金を奪い、長良川河川敷で金属パイプで殴って殺害した。11日間の間の犯行。一審無期懲役。控訴審で「刑種の選択を異にするほどの量刑上の差異」はないとして、死刑となった。上告審で弁護人は「被告人は事件当時と今では別人で、生まれ変わっている。終生、被害者の冥福を祈らせるべきだ」と訴え、また、他の2人からの暴力を受け主従関係があったとして死刑回避を求めた。2016年12月、再審請求(読17.3.4朝)。事件後、キリスト教の洗礼を受ける(朝日11.3.11朝、朝日11.3.9朝)。2014年、刑務官2人に個人情報を漏らされた(面会人の名前や住所、差し入れ内容をメモし、他の共犯者に渡すなどした)として、国に損害賠償を求めて提訴、国に支払いを命じる判決が出ている(読14.4.19朝)。2016年、外部との手紙のやりとりを職員が他の死刑確定者にもらしたのはプライバシーの侵害にあたるとして、名古屋地裁が国に39万円の支払いを命じた(読16.9.3朝)。2017年、差し入れられた書籍の一部を拘置所が閲覧させなかったのは違法として、名古屋地裁が国に5万円の支払いを命じた(読17.1.14朝)。差し入れられた手紙の受け取りなどを名古屋拘置所が不許可としたのは違法として、2021年9月、名古屋地裁が国に20万5千円の支払いを命じた(共同21.9.21 17:07)。上告審判決時(11.3.10)35歳、事件当時18歳(朝日11.3.11朝)。旧姓名はK・M(朝11.4.10朝)。※主として死刑判決の確定後、マスコミ各社は実名報道を行っている。しかし、本人が自発的に実名を公表したか否かにつき確認できないため、当サイトでは、少年法61条の趣旨を踏まえ、イニシャルで表記する。
217 片岡清 病死 16.2.14 享年84歳 アルツハイマー病に伴う摂食障害と衰弱 (朝日16.2.15夕) 03.9.28 /04.12.10 (朝日05. 6.11朝 /朝05. 1.16朝) 無期懲役 06(平18).3.24 岡山地裁 平17(わ)21等 TKC (朝日06.3.24夕) 08(平20).2.27 広島高裁岡山支部 平18(う)85 裁判所ウェブサイト (朝日08.2.27夕) 11(平23).3.24 最高裁 平20(あ)573 裁判所ウェブサイト (読11.3.25朝) いわゆる広島・岡山独居老人強盗殺人事件。広島・岡山両県で2003~4年に高齢の男女2人を強盗目的で殺害。一審判決は、広島事件において首を絞めたのは黙らせるためで殺意はなかったとする被告人側の主張を認め、強盗致死罪を適用、無期懲役となった。控訴審では両事件とも強盗殺人罪が認められ、死刑となった。2013年に再審準備のための面会において職員の立ち合いがあり、秘密交通権が侵害されたとして弁護団が損害賠償訴訟を起こしている(毎16.2.15朝/毎13.6.22)。確定時79歳は戦後史上最高齢。2016年1月6日、広島高裁岡山支部で再審請求棄却(TKC平成26年(お)1号)。逮捕時(04.12.24)73歳(朝日04.1.25大阪朝)。
218 小林竜司 06.6. 19~20 (朝日08.5. 20夕) 07(平19).5.22 大阪地裁 (朝日07.5.22夕) 08(平20).5.20 大阪高裁 (朝日08.5.20夕) 11(平23).3.25 最高裁 平20(あ)1224 裁判所ウェブサイト (朝日11.3.26朝) いわゆる東大阪大生リンチ殺人事件。幼馴染で東大阪大3年だった共犯者(懲役9年が確定)が同大4年生の被害者男性らとの間で女性をめぐるトラブルに巻き込まれたと知って立腹、被害者男性とその友人を呼び出し、仲間とともにゴルフクラブや警棒で殴るなどの暴行を加え、市内の産廃集積場に遺棄して殺した。被告人・弁護側は事実については争わず、殺害の意思や計画性がなかったことを主張。逮捕時(06.6.25)21歳(朝日06.6.25大阪朝)。
219 大倉修 04.9.16 /05.9.9 (朝日07.7. 26夕) 07(平19).2.26 静岡地裁 平17(わ)732等 (朝日07.7.26夕) 08(平20).3.25 東京高裁 平19(う)934 TKC (朝日08.3.25夕) 11(平23).4.11 最高裁 平20(あ)852 裁判所ウェブサイト (朝日11.4.12朝) いわゆる同僚・妻連続殺人事件。職場の元同僚が大倉死刑確定者の当時の不倫相手の女性を中傷したことに腹を立て男性を刺殺、茶畑に埋めた。その翌年には、不倫関係を続けるため自宅で妻を絞殺、遺体を切断して山林に捨てた。起訴事実を認める。弁護側はうつ病による心神耗弱を主張したが、責任能力はあるとされた(朝日07.2.27朝)。再審請求する方針との報道あり(朝日11.4.12朝)。民事訴訟の特別抗告状を発送するよう東京拘置所に願い出たが、いずれも期限内に高裁に届かず却下されたことにより、東京拘置所に賠償命令が出ている(朝日16.10.28朝)。また、知人女性に裁判などで記憶と違う証言をされ精神的苦痛を受けたとして女性に損害賠償を求める裁判を起こしたが、静岡地裁は、虚偽の証言が明白な事実がある場合のみ民事責任を問えるとして訴えを却下(読12.11.1朝)。事件当時の姓は滝(朝日06.6.20朝)。逮捕時(05.9.27)36歳(朝日05.9.27夕)。
220 渕上幸春 99.3.25 ~9.20 (朝日07.1. 24朝) 03(平15).5.26 宮崎地裁 平11(わ)307等 TKC D1-Law (朝日03.5.27朝) 07(平19).1.23 福岡高裁宮崎支部 平15(う)82 裁判所ウェブサイト (朝日07.1.24朝) 11(平23).4.19 最高裁 平19(あ)352 裁判所ウェブサイト (朝日11.4.20朝) いわゆる宮崎の口封じ連続殺人事件。保険金詐欺の共犯だった元建設作業員に睡眠薬を飲ませた後、絞殺。遺体を車のトランクに入れ、知人に車ごと産廃処分場に埋めさせた。その半年後には、当時の同僚男性(懲役12年が確定)と共謀し、詐欺の事情を知っている税理士を板に張り付けてトラックで2度ひき、ごみ収集車の投入口に入れて殺害、翌日産廃処分場に埋めた。一審で元建設作業員については殺意を否定、税理士については計画性を否認していた。弁護側は、元建設作業員殺害について、渕上死刑確定者は筋ジストロフィーで絞殺できる体力があるとは思えない、として殺害を否定。宮崎刑務所で勾留中に死刑確定前の弁護人らとやり取りした手紙の検閲が過剰であったとして、東京高裁から賠償の判決が出ている(朝日14.4.17朝)。逮捕時(99.10.6)30歳(朝日99.10.8朝)。
221 大山清隆 98.10 /00.3.1 (朝日05.4. 27夕) 05(平17).4.27 広島地裁 平14(わ)46等 TKC D1-Law (朝日05.4.27夕) 07(平19).10.16 広島高裁 平17(う)115 裁判所ウェブサイト (朝日07.10.16夕) 11(平23).6.7 最高裁 平19(あ)2275 裁判所ウェブサイト (朝日11.6.8朝) いわゆる広島連続保険金殺人事件。養父を鈍器で殴って殺害、交通事故を装って保険金をだまし取った。さらに、自宅で妻に睡眠導入剤入りのお茶を飲ませて風呂で水死させ、遺体を広島港に遺棄、誤って海に転落したと偽り、保険金をだまし取った。一審では養父殺害について保険金詐欺の意図はなく、養父が経営していた会社の清算についての権限を奪うことが目的だったと主張。控訴審では、自殺したとされる養母の死因に不信を抱き養父に恨みを抱いていたため殺害した、と主張。判決は「被告人の供述は信用できない」として、養父殺害は保険金目的と認定した。上告審は、被害者遺族でもある長男が大山死刑確定者の生存を願い被告人も反省している点を十分考慮しても死刑はやむを得ない、とした。長男は「遺族が望まない死刑もある」と訴え、全国で講演を続けている(中日15.12.30朝)。逮捕時(02.6.17)40歳(朝日02.6.18朝)。
222 池田容之 09.6. 18~19 (朝日09. 11.12朝) 10(平22).11.16 横浜地裁 平21(わ)2242等 TKC D1-Law (朝日10.11.16夕) 控訴取下 11(平23).6.16 (朝日11.6.18朝) いわゆる横浜沖バラバラ強殺事件他。裁判員裁判で初の死刑判決確定。マージャン店経営者ら2人を強盗目的(覚せい剤密売の利権を得るため)で殺害し、遺体を海や山中に遺棄した。生きたまま電動のこぎりで首を切るなどの手口があまりに残虐であるとされた。一審横浜地裁の裁判長は、主文を言い渡した後に「重大な結論となった。被告人に控訴することを勧めたい」と異例の呼びかけを行った(朝日10.11.16夕)。池田死刑確定者は「遺族の意向を無視できず、控訴はそれを傷つける恐れがある。いかなる判断も受け入れる」と控訴を望まなかったが、弁護人が控訴、本人が取り下げた(朝日11.6.18朝)。11年8月に札幌地裁で開かれた知人男性(池田死刑確定者の指示で覚せい剤の密輸役をやった)の検察側証人として出廷、プラスチックのボードに囲まれた証言台で「間違いなく彼は更生してくれる」と涙ながらに訴え、裁判員に寛大な判決を求めた(毎11.8.30北海道朝)。主犯は海外逃亡、国際指名手配中(読09.12.17夕)。再逮捕時(09.9.9)31歳(読09.9.10朝)。
223 津田寿美年 執行 15.12.18
享年63歳
(朝日15. 12.18夕)
09.5.30
(朝日15. 12.18夕)
11(平23).6.17
横浜地裁
(読11.6.18朝)
控訴取下
11(平23).7.4
(読11.7.5夕)
いわゆる川崎アパート3人殺害事件。裁判員裁判で確定した死刑確定者で初めての執行(朝日15.12.18夕)。自宅アパートの大家、その弟、弟の妻を刺殺した。弁護側は「当初は強い殺意はなかった」と主張したが、大家の弟が大きな音でドアを開閉することなどに不満を募らせ強い殺意を持ち犯行に及んだと認定された(朝日11.6.18朝)。本人控訴取り下げ、確定。
224 北村真美 04.9. 16~17 (朝日07.2. 27夕) 06(平18).10.17 福岡地裁久留米支部 (朝日06.10.18朝) 07(平19).12.25 福岡高裁 平18(う)737 裁判所ウェブサイト (朝日07.12.26朝) 11(平23).10.3 最高裁 平20(あ)254 裁判所ウェブサイト (朝日11.10.4朝) いわゆる大牟田市4人連続殺害事件。北村真美死刑確定者とその夫(北村実雄死刑確定者)、長男(北村孝)、次男(井上孝紘※旧姓・北村)の一家四人が死刑判決を受けた。井上孝紘・北村孝両死刑確定者が共謀し、知人女性方で女性の次男を殺害、貴金属入りの金庫を奪う。その後、一家4人で共謀して女性を殺害、現金を奪い、次男を探していた兄とその友人も殺害した。起訴事実を認めた真美・孝紘死刑確定者と、否定する北村実雄・孝死刑確定者とで公判が分離された(朝日06.10.17夕)。真美死刑確定者は控訴審で「従属的な立場だった」と主張、上告審では、殺害行為には直接かかわっていないことから他の共犯者と比べて量刑不当と主張したが(朝日11.9.10朝)、「殺害は実行していないが、孝、孝紘被告人を犯行に巻き込むなど積極的に関与した」とされた。逮捕時(04.9.22)45歳(読04.9.22夕)。
225 井上孝紘 (旧姓名 北村孝紘) 04.9.16~17
(朝日07.2.27夕)
06(平18).10.17
福岡地裁久留米支部
(朝日06.10.18朝)
07(平19).12.25
福岡高裁
平18(う)737
裁判所ウェブサイト
(朝日07.12.26朝)
11(平23).10.3
最高裁
平20(あ)254
裁判所ウェブサイト
(朝日11.10.4朝)
いわゆる大牟田市4人連続殺害事件。旧姓北村。孝紘・北村孝両死刑確定者が共謀し、知人女性方で女性の次男を殺害、貴金属入りの金庫を奪う。その後、一家4人で共謀して女性を殺害、現金を奪い、次男を探していた兄とその友人も殺害した。起訴事実を認めた北村真美・孝紘死刑確定者と、否定する北村実雄・孝死刑確定者とで公判が分離された(朝日06.10.17夕)。取り調べ段階では「全部おれがやったことだ」と供述(読04.9.30朝)。留置場のトイレでチリ紙を飲み込み、自殺未遂した(朝日04.11.26夕)。控訴審では「従属的な立場だった」と主張したが、上告審では4人を殺害した実行犯と認定された。
確定後に週刊朝日の記者へ書いた手紙には、真美死刑確定者が被害者女性から金を借りたことで被害者女性の北村一家に対する態度が大きくなったことが事件のきっかけとなったことや、「被害者四名へ、今ここに心より手を合わせたい思いです」など書かかれていたという(週刊朝日11.11.4朝)。
養子縁組をした男性3人らに手紙を送ろうとしたところ、親族として取り扱わないとして福岡拘置所から不許可となり、2020年7月に国に慰謝料などを求めて提訴。2023年11月、福岡地裁が福岡拘置所にて井上死刑確定者の尋問を実施するという(読23.10.9 14:37)。
逮捕時(04.9.23)20歳(読04.9.30朝)。
226 北村実雄 04.9. 16~17 (朝日07.2. 27夕) 07(平19).2.27 福岡地裁久留米支部 (朝日07.2.28朝) 08(平20).3.27 福岡高裁 (朝日08.3.27夕) 11(平23).10.17 最高裁 平20(あ)808 裁判所ウェブサイト (朝日11.10.18朝) いわゆる大牟田市4人連続殺害事件。井上孝紘・北村孝両死刑確定者が共謀し、知人女性方で女性の次男を殺害、貴金属入りの金庫を奪う。その後、一家4人で共謀して女性を殺害、現金を奪い、次男を探していた兄とその友人も殺害した。起訴事実を認めた北村真美・孝紘死刑確定者と、否定する実雄・孝死刑確定者とで公判が分離された(朝日06.10.17夕)。真美死刑確定者が逮捕された日に「妻が逮捕された理由を知りたい」と大牟田署を訪れ、取調室で事情を聞かれている最中に所持していた拳銃で自殺を図り、頭部に重傷を負う(読04.10.8西部朝)。殺害の実行行為はせず。一審では家族との共謀を否定し、すべて1人でやったと主張したが、控訴審では共謀を認めて死刑回避を求めていた。逮捕時(04.10.7)60歳(読04.10.8朝)。
227 北村孝 04.9. 16~17 (朝日07.2. 27夕) 07(平19).2.27 福岡地裁久留米支部 (朝日07.2.28朝) 08(平20).3.27 福岡高裁 (朝日08.3.27夕) 11(平23).10.17 最高裁 平20(あ)808 裁判所ウェブサイト (朝日11.10.18朝) いわゆる大牟田市4人連続殺害事件。井上孝紘・北村孝両死刑確定者が共謀し、知人女性方で女性の次男を殺害、貴金属入りの金庫を奪う。その後、一家4人で共謀して女性を殺害、現金を奪い、次男を探していた兄とその友人も殺害したとされる。起訴事実を認めた北村真美・孝紘死刑確定者と、否定する北村実雄・孝死刑確定者とで公判が分離された(朝日06.10.17夕)。逮捕されて福岡地家久留米支部で取り調べ中に逃走、3時間後に身柄が確保された(読04.11.14西部朝)。捜査段階では容疑を認めたが、一審・控訴審公判で殺人についてアリバイがあるとして無罪を主張。逮捕時(04.10.2)23歳(読04.10.2夕)。
228 魏巍 (ウェイ ウェイ) 執行 19.12.26 享年40歳 (朝日19. 12.26夕 03.6.20 (朝日07.3. 8夕) 05(平17).5.19 福岡地裁 平15(わ)1264等 判時1903号3頁 TKC D1-Law (朝日05.5.20朝) 07(平19).3.8 福岡高裁 平17(う)498 高刑速(平19)443頁 TKC D1-Law (朝日07.3.8夕) 11(平23).10.20 最高裁 平19(あ)836 裁判所ウェブサイト (朝日11.10.21朝) いわゆる中国人留学生による福岡一家4人殺害事件。中国人共犯者2人とともに、衣料品販売業男性宅に侵入、妻、長男、長女を殺害、現金を奪ったうえ、帰宅した男性の首を絞めて重傷を負わせ、3人の遺体とともに海に投げ入れて殺害した。共犯2名は逃亡先の中国で逮捕、起訴、中国の裁判所により1名死刑(執行済み)、1名無期懲役確定(読11.3.26朝)。中国に任意の捜査協力を要請し、中国当局により作成された調書等が証拠として認められた。控訴審において弁護側は従属的な立場で死刑は量刑不当であると主張、上告審において中国の捜査当局が作成した共犯者の供述調書に証拠能力がないことを主張したが、退けられた。法廷では「死刑になることで少しでも遺族の慰めになるのであれば、そういう判決をもらいたい」と後悔を口にしていたという(西日本19.12.27朝)。被害者の遺族は「ほかにも首謀的立場の人物がいるはず」として2004年春に福岡県警に再捜査を求めていた(毎05.1.24西部夕)。逮捕時(03.9.13)23歳(朝日03.9.13夕)。
229 中川智正 執行 18.7.6 享年55歳 (朝日18. 7.6夕) 89.11 ~95.5 (朝日03. 10.29夕) 03(平15).10.29 東京地裁 平7(わ)149等 TKC (朝日03.10.30朝) 07(平19).7.13 東京高裁 (朝日07.7.14朝) 11(平23).11.18 最高裁 平19(あ)1571 裁判所ウェブサイト (朝日11.11.19朝) いわゆるオウム真理教事件。弁護士一家殺害事件、元信徒殺害事件、滝本弁護士サリン事件、松本サリン事件、VXを使った3つの事件、目黒公証役場事務長拉致監禁致死事件、地下鉄サリン事件、新宿駅青酸事件、東京都知事爆発物郵送事件。元医師。裁判では罪を全面的に認めた。獄中で俳句を作り続ける(朝日14.10.21朝)。死刑確定者となった後、3人の逃亡共犯者の公判に証人出廷(朝日14.1.21夕、朝14.5.13夕、朝15.3.21朝,)。化学の専門誌「現代化学」(2016年11月号)に「なぜサリンが生成できたのか」という化学的な関心にこたえる形で手記が掲載された(朝日17.1.10朝)。毒性学の世界的権威のトゥー教授と面会を重ね、調査に協力(東京16.12.16夕)。トゥー教授に、当局の発表前に、マレーシアの金正男氏殺害に使われたのはVXであると手紙を書いたという(毎17.2.25夕)。2018年3月、東京拘置所から広島拘置所に移送された(日経18.3.16朝)。同月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。さらに、同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。2018年5月、トゥー教授と共著のVXに関する論文が学術誌に掲載された(毎18.5.23朝)。再審請求棄却に対する即時抗告中に執行された(朝日18.7.6デジタル)。一回目の再審請求だったという(毎18.7.7朝)。逮捕時(95.5.17)32歳(朝日95.5.18朝)。
230 遠藤誠一 執行 18.7.6 享年58歳 (朝日18. 7.6夕) 94.5 ~95.3 (朝日02. 10.12朝) 02(平14).10.11 東京地裁 平7合(わ)148 裁判所ウェブサイト (朝日02.10.12朝) 07(平19).5.31 東京高裁 (朝日07.5.31夕) 11(平23).11.21 最高裁 平19(あ)1480 裁判所ウェブサイト (朝日11.11.21夕) いわゆるオウム真理教事件。滝本弁護士サリン事件、松本サリン事件、VXを使った事件のうち1つ、地下鉄サリン事件のサリン製造役。逮捕容疑となった犯人蔵匿罪については証拠が足りないとして無罪となった。公判では、松本サリン事件では医療役として立ち会っただけ、サリン製造もただの「作業員」だったと主張、松本死刑確定者らとの共謀は成立しないと争った。2018年3月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。再審請求棄却に対する即時抗告中に執行された(産18.8.10朝)。恩赦の出願もしようとしていたという(朝日18.7.28朝)。逮捕時(95.4.26)34歳(朝日95.4.27朝)。
231 守田克実 05.8.5 ~11.22 (上告審 判決) 06(平18).12.19 千葉地裁 平17(わ)1919等 裁判所ウェブサイト (朝日06.12.20朝) 08(平20).3.3 東京高裁 (朝日08.3.4朝) 11(平23).11.22 最高裁 平20(あ)702 裁判所ウェブサイト (朝日11.11.23朝) 警察庁指定124号事件(いわゆるマブチ事件)。殺人の前科有り。前刑服役中から畠山鐡男死刑確定者との間で資産家宅での強盗殺人を計画してマブチモーター会長宅に侵入、妻と長女を絞殺、金品を奪って放火。その1か月後と3か月後にも歯科医師男性と金券ショップ経営者の妻をそれぞれ殺害し、金品を奪った。弁護側は、共犯者の指示に従っただけ、現在は反省している、と減刑を主張。共犯者の畠山死刑確定者は2007年に控訴取り下げ、死刑確定。再逮捕時(05.10.21)55歳(朝日05.10.22朝)。
232 兼岩幸男 99.8.15 /03.5.25 (朝日08.9. 12夕) 07(平19).2.23 岐阜地裁 平15(わ)419 裁判所ウェブサイト (朝日07.2.23夕) 08(平20).9.12 名古屋高裁 (朝日08.9.12夕) 11(平23).11.29 最高裁 平20(あ)1911 裁判所ウェブサイト (朝日11.11.30朝) いわゆる交際2女性バラバラ殺人事件。交際女性と別れ話がもつれ、借金返済を催促されたため激高して自宅アパートにて絞殺。その4年後にもまた交際女性を絞殺し、いずれも遺体を切断、川などに遺棄した。当初は2人の殺害を認めていたが(朝日07.2.24朝岐阜)、途中から、捜査段階の自白は不当捜査によるもので証拠能力がない、また、1件目は自殺したものであると主張。控訴審ではそれに加えて2件目は正当防衛か過剰防衛が成立すると主張したが、退けられた(朝日08.9.12夕)。逮捕時(03.7.16)45歳(朝日03.7.17朝)。
233 松永太 96.2 ~98.6 (朝日11. 12.13朝) 05(平17).9.28 福岡地裁小倉支部 平14(わ)227 裁判所ウェブサイト (朝日05.9.29朝) 07(平19).9.26 福岡高裁 平17(う)699 判時2144号159頁 判タ1367号119頁 TKC D1-Law (朝日07.9.27朝) 11(平23).12.12 最高裁 平19(あ)2276 裁判所ウェブサイト (朝日11.12.13朝) いわゆる北九州監禁殺人事件。男女9人が監禁され、7人が殺害された事件。北九州市のマンションの一室に、後に脱出した当時17歳の女性とその父親を監禁、女性の父に多額の生活資金を工面させた末、浴室に閉じ込め食事を与えず、家庭用交流電流で通電するなど暴行・虐待を加えて多臓器不全により死亡させた。その後、内妻一家(内妻の父母、妹とその夫(元警察官)、その子ら2人)をマンションに同居させ、一家に繰り返し通電などの暴行・虐待を繰り返して一家を支配。各人を疑心暗鬼や相互不信に陥らせ、家族同士で殺害させた。遺体は家族により徹底的に解体され、残った骨は海などに投棄された。判決は通電により死亡した内妻の父については傷害致死罪としたが、それ以外は殺人罪とした。松永死刑確定者はいずれも殺害行為に関与しておらず無罪を主張したが、全てにおいて松永死刑確定者の指示があるとされた。共犯の内妻は控訴審で無期に減刑され、最高裁で確定。逮捕された後の身元判明時(02.3.13)40歳(朝日02.3.13夕)。
234 濱崎勝次 執行 13.4.26 享年64歳 (朝日13. 4.26夕) 05.4.25 (朝日11. 12.16朝) 07(平19).10.26 千葉地裁 (朝日07.10.27朝) 08(平20).9.26 東京高裁 (朝日08.9.27朝) 11(平23).12.15 最高裁 平20(あ)2064 裁判所ウェブサイト (朝日11.12.16朝) いわゆる市原市ファミレス内組員2人射殺事件。宮城吉英死刑確定者ともう一人の別の組長(事件後に自殺)と共謀し、以前からトラブルになっていた組長2人をファミリーレストランに呼び出し、2丁の拳銃から計8発を発射して2人を射殺した。弁護側は、被害者の挑発がなければ起きなかった事件で、被害者の落ち度が大きい、また濱崎死刑確定者は主犯ではなかった、と情状酌量を求めた(朝日07.9.8朝)。宮城死刑確定者は2009年に死刑確定。逮捕時(05.5.25)56歳(朝日05.5.26朝)。
235 若林一行 執行 15.12.18 享年39歳 (朝日15. 12.18夕) 06.7.19 (朝日12.1. 16夕) 07(平19).4.24 盛岡地裁 (朝日07.4.25朝) 09(平21).2.3 仙台高裁 (朝日09.2.4朝) 12(平24).1.16 最高裁 平21(あ)516 裁判所ウェブサイト (朝日12.1.16夕) いわゆる岩手母子殺害事件。パチスロなどで多額の借金を抱え、町内の女性会社員宅に侵入、会社員女性とその次女を絞殺し現金を奪って2人の遺体を町内の山林に遺棄したとされる。控訴審から「真犯人は別にいる」として無罪を主張。弁護側は、若林死刑確定者が関わっていた産業廃棄物を不法投棄するグループの一員が犯人で、グループからの報復が自分の家族に及ぶのを恐れたため一審では無罪を主張できなかった、また、捜査段階の自白は警察による暴力があったためであると述べた(朝日08.3.18朝)。確定後、差し入れられた冊子の一部が無断で墨塗りされたこと、信書の発受の情報が他の収容者に漏洩されたことなどについて国に慰謝料請求の裁判を起こし、仙台地裁から国に支払いを命じる判決が出ている(読14.12.19朝、TKC仙台地・平25(ワ)745)。逮捕時(06.7.25夕)29歳(朝日06.7.25夕)。
236 O・T
(旧姓名F・T)
99.4.14
(朝日12.2.21朝)
無期懲役
00(平12).3.22
山口地裁
平12(わ)89
TKC D1-Law
(朝日00.3.22夕)
無期懲役
02(平14).3.14
広島高裁
平12(う)66
裁判所ウェブサイト
(朝日02.3.15朝)
高裁差戻
06(平18).6.20
最高裁
(朝日06.6.21朝)
いわゆる光市母子殺害事件。犯行当時18歳1ヵ月。会社員宅に排水検査を装い侵入、抵抗する会社員の妻の首を絞め殺害し、強姦。犯行の発覚を恐れ、泣き続けていた長女(11カ月)を床に叩きつけて首を絞めて殺害したとされる。裁判が始まった当初は起訴内容を認めていたが、差戻し前の上告審で一転して殺意を否認した。一審、第一次控訴審は被告人が立ち直る可能性を重視して無期懲役としたが、最高裁がこれを破棄、差戻し後の控訴審判決は死刑。その後の差戻し上告審では裁判官4人中1人が死刑に反対意見を述べた。最高裁が死刑と結論づけた刑事裁判の判決で、裁判官から反対意見が出されたのは55年の三鷹事件大法廷判決以来。確定前には、亡くなった2人に対する謝罪の言葉も口にするようになったという。弁護団は、確定判決に対して「裁判所は、強姦目的や殺意はなかったとする専門家の鑑定結果などを無視した」とコメント(読12.2.21西部朝)。2007年、橋下徹弁護士がテレビ番組で弁護団を非難し、市民に懲戒請求を呼び掛けた。弁護団は橋下氏を相手に民事訴訟を起こし、広島高裁は懲戒請求によって弁護士らの仕事が妨害されたと認めたが、最高裁で逆転敗訴した(朝日12.2.23朝)。2012年10月29日弁護団が再審請求。「実母の虐待によって精神的発達が妨げられた」とする精神鑑定結果や、「被害者の首を手で絞めて殺害した」と確定判決が認定した行為と遺体の所見が一致しない、と主張(日経12.10.29夕)。2015年10月広島高裁がこれを棄却、弁護団が異議を申し立てたが、同高裁は弁護団側の報告書について「一部は新規性を欠き、その他は証拠価値が低い」として2019年11月6日付で棄却を決定。弁護団側の、事件当時は脳機能の障害によって心神喪失状態であったとの主張も退けた(毎19.11.8朝)。同月11日付で弁護団が最高裁に特別抗告(産19.11.13朝)。2020年12月最高裁が特別抗告を棄却(朝日20.12.10朝)。2022年3月、広島高裁が第二次再審請求を棄却、弁護団が同高裁に異議を申し立て(時事22.4.25 11:19)、広島高裁は2023年3月29日付で異議申し立てを退ける決定をした(毎23.6.22朝)。同年12月11日付で最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)が特別抗告を棄却した(朝日23.12.14朝)。
旧姓名はF・T(朝19.11.14朝)。※主として死刑判決の確定後、マスコミ各社は実名報道を行っている。しかし、本人が自発的に実名を公表したか否かにつき確認できないため、当サイトでは、少年法61条の趣旨を踏まえ、イニシャルで表記する。
差  戻  審
08(平20).4.22
広島高裁
平18(う)161
裁判所ウェブサイト
(朝日08.4.22夕)
12(平24).2.20
最高裁
平20(あ)1136
裁判所ウェブサイト
(朝日12.2.21朝)
237 岩森稔 病死21.12.11 享年76歳 心不全 (時事21.12.12 12:02) 07.7.21 (朝日13.3. 3朝) 無期懲役 08(平20).3.21 さいたま地裁 平19(わ)290 裁判所ウェブサイト (朝日08.3.22朝) 09(平21).3.25 東京高裁 (朝日09.3.26朝) 12(平24).3.2 最高裁 平21(あ)776 裁判所ウェブサイト (朝日13.3.3朝) いわゆる本庄夫婦強盗殺人事件。生活費に困り、以前に借金をしたことのある顔見知り男性宅に侵入、男性と妻を鈍器で殴るなどして殺害したうえ、現金1万円をうばった。強盗目的ではなく金を借りるつもりだったと主張。一審さいたま地裁は計画的犯行とは言えないとして無期懲役としたが、控訴審東京高裁は、鈍器を持参し、手加減することなく被害者の頭部や顔面に激しい打撃を加えている、として死刑判決。2021年12月初め、血圧が高いことなどから東京拘置所の病棟に収容され、不整脈の症状があり治療を続けたが、同月11日に死亡が確認された(日経21.12.12 12:16)。再逮捕時(07.3.19)61歳(読07.3.20朝)。
238 川﨑政則 執行 14.6.26 享年68歳 (朝日14. 6,26夕) 07.11.16 (朝日12.7. 13朝) 09(平21).3.16 高松地裁 (朝日09.3.17朝) 09(平21).10.14 高松高裁 平21(う)109 TKC (朝日.09.10.15朝) 12(平24).7.12 最高裁 平21(あ)1903 裁判所ウェブサイト (朝日12.7.13朝) いわゆる香川・坂出3人殺害事件。病死した妻が妻の姉の借金の肩代わりをしていたと思って恨みを募らせ、姉宅に侵入、姉と、泊まりに来ていた姉の孫姉妹を刺殺し、3人の遺体を坂出港近くの資材置き場に埋めた。公判では川﨑死刑確定者は繰り返し謝罪を述べた(読09.9.11朝)。弁護側は、精神障害の可能性があり、犯行時は心神耗弱だったと主張(朝日09.9.10夕)。逮捕時(07.11.28)61歳(読07.11.28朝)。
239 加賀山領治 執行 13.12.12 享年63歳 (朝日13. 12.12夕) 00.7.29 /08.2.1 (朝日12. 7.25朝) 09(平21).2.27 大阪地裁 平20(わ)1028 裁判所ウェブサイト (朝日09.2.27夕) 09(平21).11.11 大阪高裁 平21(う)622 TKC (朝日09.11.11夕) 12(平24).7.24 最高裁 平21(あ)2078 裁判所ウェブサイト (朝日12.7.25朝) いわゆる中国人留学生強殺事件(DDハウス事件)。帰宅途中の中国人留学生からバッグを奪い自転車で逃走、取り押さえようとした男性の足をナイフで刺してけがをさせ、追いかけてきた留学生を刺殺した。また、その8年後、商業施設「D・Dハウス」のトイレで、たまたま入ってきた会社員男性から金を奪おうとし、抵抗されたためにナイフで刺殺した。一審で金目当てだったことは認めたが、殺意は否認。犯行後自ら警察に出頭したが、出頭の際に重い刑を免れようと強盗目的を隠して虚偽の事実を述べており犯罪事実を申告したとは言えない、として、減刑は認められず。執行の前年、福島瑞穂議員によるアンケートに、再審請求する予定だと回答していた(朝日13.12.12夕)。逮捕時(08.2.8)58歳(読08.2.9朝)。
240 田尻賢一 執行
16.11.11

享年45歳
(朝日16. 11.11夕)
04.3.13
/11.2.23
(控訴審判決)
11(平23).10.25
熊本地裁
平23(わ)154等
TKC
(朝日11.10.26朝)
12(平24).4.11
福岡高裁
平23年(う)578号
TKC
(朝日12.4.11夕)
上告取下 12(平24).9.10 (朝日12.9.14朝) いわゆる宇土院長夫人強盗殺人事件。裁判員裁判。医師宅に押し入り、医師の妻を刺殺して現金を奪った。7年後にも会社役員宅で役員の妻を刺殺、現金を奪ったほか、役員にも重傷を負わせた。本人上告取り下げ、確定。2つめの事件の2日後に自首。1件目も自白したが、判決は、「もうごまかせないと自白した」ものであり、減刑は認めず。逮捕時(11.2.25)39歳(読11.2.26朝)。
241 謝依俤 02.8.31 (朝日08. 10.10朝) 06(平18).10.2 東京地裁 (朝日06.10.2夕) 08(平20).10.9 東京高裁 (朝日08.10.10朝) 12(平24).10.19 最高裁 平20(あ)214 裁判所ウェブサイト (朝日12.10.20朝) いわゆる品川製麺所夫婦強殺事件。思うような収入が得られず、生活費や遊興費に窮した挙句、自宅アパートの大家の製麺所経営者宅に押し入り、夫婦を殺害、金品を奪った。被告人側は、金を盗む意図はあったが殺意はなかった、酒を飲んでいてよく覚えていない、と主張したが、「ナイフを所持しており、犯行は偶発的とはいえない」と退けられた(朝日06.10.2夕)。2人の遺体が発見される前、公衆電話から「ボク、チン」と名乗り「大家が死んでいる」と110番通報(東京02.9.20朝)。怖くなって通報したと供述した(読02.9.20朝)。逮捕時(02.9.19)25歳(読02.9.20朝)。
242 高見澤勤 執行 14.8.29 享年59歳 (朝日14. 8.29夕) 01.11.25 /05.4.3 /9.4 (一審判決) 08(平18).2.4 前橋地裁 平17(わ)745等 裁判所ウェブサイト (朝日08.2.5朝) 08(平18).12.12 東京高裁 (TKC掲載情報より) 12(平24).10.23 最高裁 平21(あ)68 裁判所ウェブサイト (朝日12.10.24夕) いわゆる、暴力団組長による3人射殺事件。交通事故を装った保険金詐欺が発覚するのを免れるため、詐欺事件の共犯だった建設作業員の男性を配下の組員に射殺させた。その4年後、組内部の対立から配下の組員を自ら射殺、5か月後に配下の組員に命じ、対立する暴力団組長を射殺させたとされる。3人の死体遺棄については関与を認めたが、殺人については関与を否定し、無罪を主張。再審請求準備中に執行された(読14.8.30朝)。
243 阿佐吉広 病死 20.2.11 享年70歳 間質性肺炎 (毎20.2. 12朝) 97.3 /00.5.14 (一審判決) 06(平18).10.11 甲府地裁 平15(わ)400号等 裁判所ウェブサイト (朝日06.10.11夕) 08(平20).4.21 東京高裁 (朝日08.4.22朝) 12(平24).12.11 最高裁 平20(あ)909 裁判所ウェブサイト (朝日12.12.12朝) いわゆる都留市従業員連続殺人事件。会社の寮で暴れた社員を木刀で殴り、けがが原因による気管支肺炎で死亡させ、その3年後には社員2人を他の社員と共謀して殺害したとされる。03年10月6日から7日にかけて都留市のキャンプ場で3遺体が発見されたことから事件が発覚(東京03.10.7夕)。弁護側は傷害致死については木刀で殴ったことは認めたものの、暴行については事実誤認があるとして死亡との因果関係を否定。また、2人の殺害についても「現場に行っていない」と無罪を主張した。判決では、いずれも社員が反抗的だったため殺害したとされた。上告審において、一審で「阿佐被告人が2人を殺害した」と証言した男性受刑者が証言を翻し、「被告人は現場にいなかった」とする陳述書を提出、結審後に再び弁論が開かれる異例の展開になったが、判決は、検察側の「陳述書は被告人の関係者から働きかけを受けて書かれており、内容は事実に反する」との反論を採用、一審での受刑者の証言の信頼は揺らいでいないとして、上告は棄却された(朝日13.1.30朝)。東京高裁に即時抗告中の2020年2月、気胸も患って病状が悪化、間質性肺炎で死亡した(毎20.2.11)。再逮捕時(03.12.5)54歳(読03.12.6朝)。
244 野崎浩 病死 20.12.13 享年61歳 慢性腎不全 (毎20.12. 13) 99.4.22 /08.4.3 (一審判決) 無期懲役 09(平21).12.16 東京地裁 平20刑(わ)1214号等 TKC D1-Law (朝日09.12.16夕) 10(平22).10.8 東京高裁 平22(う)516 東高刑時報61巻 1~12号234頁 TKC D1-Law (朝日10.10.9朝) 12(平24).12.14 最高裁 平22(あ)2003 裁判所ウェブサイト (朝日12.12.15朝) いわゆるフィリピン女性2人殺人事件。いずれも思い通りにならない相手方の態度に激怒するなどして、交際相手だったフィリピン人女性2人を殺害し、2人目の遺体を切断して捨てたとされる。最初の事件に関しては2000年に死体損壊・遺棄罪に問われたが、殺人罪で起訴されないまま実刑が確定。出所後に2件目の事件を起こした。一審初公判で被告人弁護側は起訴内容を認めていたが、その後一転して否認。1件目の殺害について「自白以外の証拠がない」と無罪を主張していた。刑法の規定より、一審判決では、1件目に懲役14年、2件目に無期懲役と、2つの判決が出、控訴審東京高裁は無期懲役を破棄、死刑を言い渡した。08年に路上で手首を切って自殺を図り、駆け付けた救急隊員に「ロッカーに遺体が入っている」というメモを手渡し、遺体の一部が発見されたことから事件が発覚した(読08.4.7夕)。腎機能の悪化により18年から人工透析を受けており、20年11月に容体が悪化したが治療を拒んでいたという。同年12月12日、拘置所職員が異変に気づいて死亡が確認された(毎20.12.13)。逮捕時(08.4.7)48歳(読08.4.7夕)。
245 清水大志 04.10. 13~16 (一審判決) 07(平19).8.7 千葉地裁 平17(わ)1356等 裁判所ウェブサイト (朝日07.8.8朝) 09(平21).5.12 東京高裁 (朝日09.5.12朝) 13(平25).1.29 最高裁 平21(あ)995 裁判所ウェブサイト (朝日13.1.30朝) いわゆる架空請求詐欺グループ仲間割れ事件。清水大志死刑確定者を中心とした架空請求詐欺を繰り返していたグループ内部で仲間割れが起こり、殺人事件となった。被害者となる4人のメンバーが収益を強奪しようと中国人マフィアに清水死刑確定者らの襲撃を依頼していたことが発覚、計画を知った清水死刑確定者らが謀議をしていたメンバーを襲撃して次々と新宿区内のビルに監禁、暴行を加えた。さらに暴力団組員に4人の殺害を依頼しようとしたが交渉が決裂、清水死刑確定者を中心としたメンバーが4人を殺害・暴行死させて、遺体を茨城県内に埋めた。共犯は渡辺純一・伊藤玲雄死刑確定者。清水死刑確定者は実行行為は行っておらず共謀もなかったと主張したが、判決では、一貫して謀議の中核であり主導的中心的立場であったとされた。逮捕時(05.6.8)26歳(読05.6.9朝)。
246 渡辺純一 04.10. 13~16 (一審判決) 無期懲役 07(平19).8.7 千葉地裁 平17(わ)1356等 裁判所ウェブサイト (朝日07.8.8朝) 09(平21).3.19 東京高裁 (朝日09.3.20朝) 13(平25).1.29 最高裁 平21(あ)994 裁判所ウェブサイト (朝日13.1.29夕) いわゆる架空請求詐欺グループ仲間割れ事件。清水大志死刑確定者を中心とした架空請求詐欺を繰り返していたグループ内部で仲間割れが起こり、殺人事件となった。被害者となる4人のメンバーが収益を強奪しようと中国人マフィアに清水死刑確定者らの襲撃を依頼していたことが発覚、計画を知った清水死刑確定者らが謀議をしていたメンバーを襲撃して次々と新宿区内のビルに監禁、暴行を加えた。さらに暴力団組員に4人の殺害を依頼しようとしたが交渉が決裂、清水死刑確定者を中心としたメンバーが4人を殺害・暴行死させて、遺体を茨城県内に埋めた。渡辺・清水死刑確定者は一審で殺人と傷害致死を否認。殺害などを実行した伊藤玲雄死刑確定者との共謀があったかどうかが争点となり、判決は共謀の成立を認めた。渡辺死刑確定者は一審判決では首謀者の立場ではなかったとして無期懲役だったが、控訴審は、共犯者に何度も殺害の指示を出し脅して口止めまでしていたことから、事件が重大化したのは渡辺死刑確定者によるところが大きいとして無期懲役を破棄、死刑とした。逮捕時(05.6.22)28歳(読05.6.23朝)。
247 伊藤玲雄 04.10. 13~16 (一審判決) 07(平19).5.21 千葉地裁 平17(わ)1356 裁判所ウェブサイト (朝日07.5.22朝) 09(平21).8.28 東京高裁 (朝日09.8.29朝) 13(平25).2.28 最高裁 平21(あ)1602 裁判所ウェブサイト (朝日13.2.28夕) いわゆる架空請求詐欺グループ仲間割れ事件。清水大志死刑確定者を中心とした架空請求詐欺を繰り返していたグループ内部で仲間割れが起こり、殺人事件となった。被害者となる4人のメンバーが収益を強奪しようと中国人マフィアに清水死刑確定者らの襲撃を依頼していたことが発覚、計画を知った清水死刑確定者らが謀議をしていたメンバーを襲撃して次々と新宿区内のビルに監禁、暴行を加えた。さらに暴力団組員に4人の殺害を依頼しようとしたが交渉が決裂、清水死刑確定者を中心としたメンバーが4人を殺害・暴行死させて、遺体を茨城県内に埋めた。伊藤死刑確定者は一審において1人に対する殺意を否認、判決はその1人に対して傷害致死罪を適用した。渡辺純一死刑確定者も共犯。逮捕時(05.6.18)31歳(読05.6.19朝)。
248 住田紘一 執行 17.7.13 享年34歳 (朝日17. 7.13夕) 11.9.30 (読13.2. 15) 13(平25).2.14 岡山地裁 (読13.2.15朝) 控訴取下 13(平25).3.28 (読13.3.28夕) いわゆる岡山元同僚女性バラバラ殺人事件。裁判員裁判。被害者1名。元同僚の派遣社員の女性を殺害。殺害された被害者が1名の事件で死刑を適用すべきかが争点になったが、一審岡山地裁は命乞いする被害者を殺害した経緯などに触れ死刑判決を言い渡した。本人控訴取り下げ、確定(朝日17.7.13夕)。公判では、住田死刑確定者が「殺人を是認する」などと発言、その後、謝罪の言葉を述べるなど、態度を一変させた。裁判員裁判で死亡被害者1人に対して死刑判決が出るのは3例目で、前科がない被告人には初めて。計画性や残虐性など犯行の悪質さがポイントとなった(読13.2.15朝)。情報公開請求により、死刑執行に関する文書の一部が公開されたが、その多くは墨塗だった(朝日17.12.30朝)。
249 山田健一郎 03.1.25 (一審判決) 08(平21).1.21 前橋地裁 平16(わ)337 裁判所ウェブサイト (読08.1.21夕) 09(平21).9.10 東京高裁 (読09.9.11朝) 13(平25).6.7 最高裁 平21(あ)1640 裁判所ウェブサイト (読13.6.8朝) いわゆる前橋スナック乱射事件など。所属する暴力団の会長だった矢野治死刑確定者の指示で、他の暴力団組長の殺害を計画。同じ組織の幹部だった小日向将人死刑確定者と拳銃で計十数発を発射し、スナックにいた無関係の市民3人を含む4人を射殺するなどした。小日向死刑確定者は2009年に死刑判決が確定。矢野死刑確定者は2014年に死刑判決が確定。山田死刑確定者は、当初全面否認、その後一転して起訴事実の一部を認め。弁護側は控訴審において、従属的な立場であったこと、市民3人のうち2人の殺害はもう一人の実行犯によるものであることを主張して減刑を求めたが、判決は死傷者全員について山田死刑確定者は共同正犯として責任を負うとした。逮捕時(04.5.6)37歳(朝日04.5.8朝)。
250 高柳和也 05.1.9 (読09.3. 17) 09(平21).3.17 神戸地裁姫路支部 平17(わ)62等 TKC (読09.3.17夕) 10(平22).10.15 大阪高裁 平21(う)708 TKC (読10.10.15夕) 13(平25).11.25 最高裁 平22(あ)1931 裁判所ウェブサイト (読13.11.26朝) いわゆる姫路2女性バラバラ殺人事件。交際していた女性と金銭をめぐって自宅で口論となり、ハンマーで殴り殺害。居合わせた専門学校生の女性も口封じのためにハンマーで殴って殺害し、2人の遺体をのこぎりなどで切断して兵庫県内の港や山中に捨てた。初公判で交際女性に対する殺意を否認。控訴審で弁護側は、知的障害があり犯行当時は心神耗弱状態だったと主張したが、責任能力に問題はないとされた。再逮捕時(05.510)39歳(朝日05.511朝)。
251 沖倉和雄 病死 14.7.2 享年66歳 脳腫瘍 (読14.7. 2) 08.4. 9~10 (一審判決) 09(平21).5.12 東京地裁立川支部 平20(わ)621等 TKC (読09.5.13朝) 10(平22).11.10 東京高裁 平21(う)1064 TKC (読10.11.11朝) 13(平25).12.17 最高裁 平22(あ)2073 裁判所ウェブサイト (読13.12.18朝) いわゆる、あきる野市資産家姉弟強盗殺人事件。賭けマージャンでできた多額の借金に困り、土木作業員の男と共謀、図書館職員女性とその弟宅に侵入し、2人の手足を縛って現金とキャッシュカードを奪った上、頭にポリ袋をかぶせて殺害、遺体を長野県の山中に埋めた。さらに姉弟のキャッシュカードを使って現金を引き出した。元市役所職員。元同僚から、被害者が複数の土地を所有することを聞き、下見するなどして計画を立てた。起訴事実は認めたが、一審では、実行に移す覚悟はなかった、背中を押したのは共犯者であるとして犯行の主従について争い、控訴審でも同様に犯行は共犯者主導であったと主張。2014年5月にがんの転移が見つかり、拘置所内の病棟で治療を受けていたが、7月2日転移性脳腫瘍で死亡(朝日14.7.2夕)。共犯は無期懲役判決が確定(朝日10.11.25朝)。
252 小川和弘 08.10.1 (読11.7. 27) 09(平21).12.2 大阪地裁 平20(わ)5857 裁判所ウェブサイト (読09.12.3朝) 11(平23).7.26 大阪高裁 平(う)108 TKC (読11.7.27朝) 14(平26).3.6 最高裁 平23(あ)1517 裁判所ウェブサイト (読14.3.7朝) いわゆる大阪個室ビデオ店放火事件。人生に嫌気がさして衝動的に自殺を決意、大阪浪速区の個室ビデオ店個室内で衣類や新聞紙に火をつけて店舗を全焼させ、客16人を一酸化炭素中毒で殺害したとされる。放火はしていないとして起訴内容を全面否認。弁護側は一貫して、火災現場の状況から小川死刑確定者がいた個室は火元ではないと無罪を主張。2014年5月、他の部屋も火元であったとする新証拠を提出して再審請求、2016年3月大阪地裁で棄却、即時抗告(毎16.1129夕)。2019年6月、日弁連が出火場所と自白の信用性に疑いがあるとして再審の支援を決定したが(朝日19.6.25朝)、同年7月に最高裁が特別抗告を棄却(朝日19.7.20朝)。2019年11月5日大阪地裁に2度めの再審を請求。日弁連の調査で、小川死刑確定者のいた部屋とは別の場所から出火した可能性があるとの専門家による意見書が作成されたという(毎19.11.6大阪朝)。燃焼実験の結果は大阪地裁に提出された(中日21.1.12報道)。逮捕時(08.10.1)46歳(朝日08.10.2朝)。
253 矢野治 自殺 20.1.26 享年71歳 (朝日20. 1.27朝) 02.2~03.6 (朝日09. 11.11朝) 07(平19).12.10 東京地裁 平15(合わ)416等 TKC D1-Law (読07.12.10夕) 09(平21).11.10 東京高裁 平20(う)564 TKC (読09.11.11朝) 14(平26).3.14 最高裁 平21(あ)2058 裁判所ウェブサイト (読14.3.15朝) いわゆる前橋スナック乱射事件など。元暴力団組長。抗争中の他の暴力団組長殺害を小日向将人死刑確定者と山田健一郎死刑確定者に指示、拳銃で計十数発を発射し、スナックにいた無関係の市民3人と元組長警護役の4人を射殺するなどした。共犯の小日向将人死刑確定者は2009年に、山田死刑確定者は2013年に死刑が確定。公判で矢野死刑確定者は首謀者ではなく調整役に過ぎないと主張したが、首謀者であるとされた。それ以外にも日本医科大付属病院で配下の暴力団幹部を口封じのために殺害しており、合計11の事件(死亡被害者5名)について首謀者であると認定された。死刑確定後、20年前に別の2件の殺人事件にも関与したとする文書を警視庁に送付、供述通り遺体が発見され逮捕された(朝日17.4.11朝)。開始された裁判員裁判では、1件目の上申書の内容を否定し、2件目についても上申書にはうそを書いたとして無罪を主張(毎181122朝)、東京地裁は「死刑執行を引き延ばす目的でうその上申書を書いた疑いがあり、2件とも殺人への関与を認定できない」として無罪判決(毎18.12.14朝)。検察が控訴を断念し、確定(朝日18.12.27朝)。2020年1月26日東京拘置所で死亡。遺書のようなものがあり、自殺とみられるという(朝日20.1.27朝)。逮捕時(03.7.8)54歳(朝日03.7.8夕)。
254 小泉毅 08.11. 17~18 (読11.12. 27) 10(平22).3.30 さいたま地裁 (読10.3.31朝) 11(平23).12.26 東京高裁 平22(う)903 東高刑時報62巻 1~12号155頁 TKC D1-Law (読11.12.27朝) 14(平26).6.13 最高裁 平24(あ)139 裁判所ウェブサイト (読14.6.14朝) いわゆる元厚生次官宅連続襲撃事件。元厚生省次官とその妻を包丁で刺殺。その翌日には別の元次官の妻を刺して重傷を負わせた。動機について小泉死刑確定者は、「子供のころの飼い犬チロが殺処分に遭ったことのあだ討ち」と強調(朝日14.6.14朝)、「あくまで無罪。殺したのは心が邪悪な魔物」と無罪を主張した(朝日11.4.28朝)。一審で弁護側は精神鑑定を求めたが、小泉死刑確定者自身が「私は正常」と述べ、さいたま地裁は鑑定請求を却下(朝日09.12.18夕)。控訴審において弁護側は「妄想性障害」を主張、死刑回避を求めたが、判決は責任能力を完全に認めた。事件後、自ら出頭したが、出頭して自己の正当性を主張することも計画の一部で自首として減刑すべき事案ではない、として減刑は認められなかった(読10.3.31朝)。逮捕時(08.11.23)46歳(朝日08.11.24朝)。
255 松原智浩 10.3.24~25
(一審判決)
11(平23).3.25
長野地裁
平22(わ)96
TKC D1-Law
(読11.3.26朝)
12(平24).3.22
東京高裁
平23(う)859
TKC D1-Law
(読12.3.22夕)
14(平26).9.2
最高裁
平24(あ)646
裁判所ウェブサイト
(読14.9.3朝)
いわゆる長野一家3人強殺事件。裁判員裁判で死刑が言い渡された事件としては初めての控訴審ならびに上告審判決。被害者の会社の従業員だった松原死刑確定者と伊藤和史死刑確定者、ほか2人が共謀して経営者とその息子、息子の内妻を殺害、現金を奪い、遺体を資材置き場に捨てた。起訴事実を認める。弁護側は、最後まで犯行を拒んで共犯者内で従属的な立場であったと主張、また、住み込みで被害者の会社で働く中で、被害者父子から暴力を振るわれたり金銭を搾取されたりしていたと強調。被害者父子から殺される可能性も感じており、逃げられないと思い詰めて犯行に及んだと主張した。首謀者の伊藤死刑確定者は2016年に死刑が確定。もう1名の共犯者は東京高裁で死刑から無期懲役に減軽され、最高裁で確定(読14.9.3)。2016年5月31日再審請求。12月2日長野地裁が棄却。2017年8月10日東京高裁が即時抗告を棄却、9月12日最高裁が特別抗告を棄却(読16.6.2、読17.2.9、読17.9.16)。その後、長野地裁に第2次再審請求。犯行当時の精神状態や責任能力について医師に鑑定を依頼しており、この鑑定結果を新証拠として提出する予定(朝日17.10.3朝)。2020年11月20日付で長野地裁に第三次再審請求。精神科医の鑑定結果と会社関係者の陳述書を新証拠として提出(中日20.11.25朝)。逮捕時(10.4.15)39歳(朝日10.4.15夕)。
256 奥本章寛 10.3.1
(読10.12.8)
10(平22).12.7
宮崎地裁
平22(わ)70等
TKC
(読10.12.8朝)
12(平24).3.22
福岡高裁宮崎支部
平23(う)3
高刑速(平24)236頁
TKC
(読12.3.23朝)
14(平26).10.16
最高裁
平24(あ)736
裁判所ウェブサイト
(読14.10.17朝)
いわゆる宮崎家族3人殺害事件。裁判員裁判。生後5か月の長男を絞殺、義母と妻の頭をハンマーで殴るなどして殺害、長男の遺体を市内の建築資材置き場に埋めた。殺害後、自ら110番通報。起訴事実を認める。一審判決は、家族から逃れて自由になりたかったことが動機と認定。控訴審で弁護側は、義母の言動の影響下で動機が形成されており、すべて自分勝手なものではない、と主張。上告審では、日常的に義母から暴言を浴びせられて精神的に追い詰められ自己が破滅してしまうという恐怖感から犯行に至った、と主張(朝日14.10.17朝)。
被害者遺族が裁判のやり直しを求めた上申書を新たな証拠として再審請求、2017年9月1日宮崎地裁が棄却。量刑に関する情状は再審の基準にならないと判断された。即時抗告(朝日17.11.10朝)。
有志グループが奥本死刑確定者と文通、面会し、遺族も支援する活動をしており(毎15.11.22福岡)、拘置所に恩赦も請求したという(毎16.3.13福岡)。
2021年7月30日、拘置所内で色鉛筆が使えなくなったのは憲法が定める表現の自由の侵害だとして、国を相手に法務省の訓令の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。奥本死刑確定者が色鉛筆で描いた絵は支援者の協力でカレンダーやハガキとして販売され、収益の一部が遺族への弁償金に充てられていたところ、20年10月の訓令の改正で鉛筆削りや鉛筆が使えなくなっているという(毎21.8.8朝)。奥本死刑確定者側は、この訓令が行政事件訴訟法が定める行政庁の「処分」にあたるとして取り消しを求めていたが、2023年5月、東京地裁はこの訓令は処分に当たらないとし、訴訟の対象ではないという国の主張を認め、訴え自体が「不適法」であるとして却下した(朝日23.5.26夕)。逮捕時(10.3.1)22歳(朝日10.3.2夕)。
257 桑田一也 05.10.26 /10.2.23 (一審判決) 11(平23).6.21 静岡地裁沼津支部 平22(わ)275等 TKC (読11.6.22朝) 12(平24).7.10 東京高裁 平23(う)1272 TKC (読12.7.11朝) 14(平26).12.2 最高裁 平24(あ)1454 裁判所ウェブサイト (読14.12.3朝) いわゆる静岡2女性殺害事件 。裁判員裁判。不倫同棲相手である被害者の貯金を使い込み、その返済を迫られて窮した挙句に殺害。返済を免れたうえ、被害者名義の預貯金を引き出した。その5年後、妻と別れようとして口論の末に殺害、死体を遺棄した。一審で認めていた1件目の強盗目的を控訴審で否定、首を絞めた理由は、警察沙汰になっては困るので静かにさせようと思ったからであると主張。控訴審判決は、強盗目的と警察沙汰阻止の両方の動機を認定、強盗目的の意図のほうが劣っていても強盗殺人罪の成立を妨げないとした。逮捕時(10.5.8)43歳(朝日10.5.9朝静岡)。
258 加藤智大 執行
22.7.26
享年39歳
朝日22.7.26 9:17
08.6.8 (一審判決) 11(平23).3.24 東京地裁 平20(合わ)491等 TKC D1-Law (読11.3.25朝) 12(平24).9.12 東京高裁 平23(う)1051 東高刑時報63巻 1~12号189頁 TKC (読12.9.13朝) 15(平27).2.2 最高裁 平24(あ)1647 裁判所ウェブサイト (読15.2.3朝) いわゆる秋葉原無差別殺傷事件。秋葉原の歩行者天国にトラックで突入し、3人をはねて殺害、ダガーナイフで4人を刺殺、合計10人にけがを負わせた。動機については、インターネットの掲示板で加藤死刑確定者になりすます書き込みで嫌がらせを受け、そのことが重大な結果をもたらすと知らせるためだったと供述。一審公判で証拠調べがすべて終了する日、加藤死刑確定者は「遺族の言葉に心をえぐられるようだった」と改めて被害者・遺族に謝罪、また、「一人の人としてみられることに感謝している」とも述べた(朝日10.2.16朝)。弁護側は、子供の頃に母親から虐待ともいえるような育て方をされたことを挙げ、人格形成に多大な影響を及ぼし犯行の重要な要因になったとして減刑を求めていた。2012年以降4冊の著書を出版(読15.1.28朝)。第二次再審請求中に執行された(アムネスティ・インターナショナル日本「死刑執行に対する抗議声明」22.7.26)。逮捕時(08.6.8)25歳(朝日08.6.9夕)。
259 藤城康孝 執行 21.12.21 享年65歳 (朝日21.12.22朝) 04.8.2 (読09.5. 29夕) 09(平21).5.29 神戸地裁 平16(わ)1064 裁判所ウェブサイト (読09.5.29夕) 13(平25).4.26 大阪高裁 平21(う)967 TKC D1-Law (読13.4.27朝) 15(平27).5.25 最高裁 平25(あ)729 裁判所ウェブサイト (読15.5.26朝) いわゆる加古川7人殺害事件。長年にわたり親類などから見下されているなどと感じて怒りを募らせ、東隣に住む親類の女性とその長男、次男を次々と包丁で殺害、長男の妻に重傷を負わせた。さらに、近くに住む知人とその妻、長男、長女も殺害し、自宅に放火して車で逃走、現場から約1キロ離れたトンネルの壁に車を衝突させて自殺を図ったところで身柄を確保された。一審では、精神障害を認めた精神鑑定と人格障害にとどまるとした鑑定のどちらが信用できるかが争点となり、判決は人格障害にとどまると認定。控訴審で新たになされた鑑定でも責任能力は限定的であったとされたが、控訴審・上告審ともに判決は責任能力があるとした。逮捕時(04.8.31)47歳(読04.8.31夕)。
260 新井竜太 08.3.13 /09.8.7 (一審判決) 12(平24).2.24 さいたま地裁 平22(わ)1054 裁判所ウェブサイト (読12.2.25朝) 13(平25).6.27 東京高裁 平24(う)617 TKC (読13.6.28朝) 15(平27).12.4 最高裁 平25(あ)1126 裁判所ウェブサイト (読15.12.5朝) いわゆる埼玉深谷男女2人殺害事件。裁判員裁判。いとこと共謀して、いとこの養母に睡眠薬を飲ませて浴槽内で溺死させ、保険金を詐取。また、金銭トラブルからいとこと共謀して伯父を包丁で刺すなどして殺害したとされる。起訴内容を否認、「殺していませんし、殺そうともしたこともありません」と述べ、また、いとこに犯人にさせられたと主張(朝日12.1.18朝横浜)。いとこに殺害を指示したかどうかが争点となったが、判決は、終始主導的な役割を果たしたと認定。共犯のいとこは求刑死刑に対し一審無期懲役判決で確定(朝日11.7.21朝)。再逮捕時(10.11.4)41歳(読10.11.4朝)。
261 高見素直 09.7.5 (一審判決) 11(平23).10.31 大阪地裁 平21(わ)6154 裁判所ウェブサイト (読11.11.1朝) 13(平25).7.31 大阪高裁 平23(う)1649 判タ1417号174頁 TKC (読13.8.1朝) 16(平28).2.23 最高裁 平25(あ)1329 裁判所ウェブサイト (読16.2.24朝) いわゆる大阪此花区パチンコ店放火殺人事件。裁判員裁判。日曜で満席状態だったパチンコ店に放火、5人が死亡、10人が重軽傷を負った。弁護側は、事件の10年前から架空の女性の声が聴こえる「妄想」にとらわれており、責任能力は限定的であったと主張したが、判決は責任能力があったと判断。仕事が見つからず、生活に行き詰まりを感じて大量無差別殺人を決意した、とされた。事件の翌日に山口県岩国署に自ら出頭したが、一審判決は、自首することも計画の一部であり反省や悔悟の感情から出た行為ではないとして減刑は認めなかった。「絞首刑は残虐な刑罰を禁止した憲法に違反するか」も争点の1つとなり、一審判決では合憲。控訴審でも合憲としたが、一方で、1873年の太政官布告に基づいて絞首刑が執行され続けていてることには、国は新たな法整備をしないまま放置しており、立法政策としては好ましくない、とした。一審では絞首刑に立ち会ったことのある元最高検検事が「正視に耐えられず、むごたらしい。残虐な刑罰に限りなく近い」と証言した(朝日11.10.12夕)。逮捕時(09.7.6)41歳(読09.7.7朝)。
262 高橋明彦 (旧姓名
横倉明彦)
12.7.26
(一審判決)
13(平25).3.14
福島地裁郡山支部
平24(わ)127
裁判所ウェブサイト
(読13.3.15朝)
14(平26).6.3
仙台高裁
平25(う)57
高刑速(平26)181頁
TKC
(読14.6.4朝)
16(平28).3.8
最高裁
平26(あ)959
裁判所ウェブサイト
(読16.3.9朝)
いわゆる会津美里夫婦強殺事件。裁判員裁判。住宅購入資金を得るため被害者夫婦宅に侵入し、起床した夫にナイフを突き出し脅迫。応じなかったために刺殺し、妻も刺殺、キャッシュカードなどを奪った。大筋で起訴内容を認めたが、殺人については、最初から殺そうと思ったわけではない、と主張。弁護側は、家人に抵抗されもみ合いの末刺殺したとして当初は殺意がなかった、また、動機についても、高橋死刑確定者の元妻が家を欲しがったためで、計画性も乏しいと主張。判決は、計画性は認めがたいとしたものの殺意があると認定、また、被害者に何度もナイフを刺して殺害していることから「計画性が高いとはいえないことにより、被告人に対する非難の程度が大きく減ぜられることにはならない」とした。旧姓横倉(朝日13.3.15朝 福島中会)。元裁判員が被害者の遺体の写真を見せられるなどして急性ストレス障害になり、国に損害賠償を求めた訴訟を起こし、敗訴が確定している。最高裁が遺体写真をイラストで代用するなど証拠の示し方を工夫するよう全国の地裁に促す契機となった(朝日16.10.28朝)。逮捕時(12.7.27)45歳(読12.7.27夕)。
263 伊藤和史 10.3. 24~25 (一審判決) 11(平23).12.27 長野地裁 平22(わ)96等 TKC D1-Law (読11.12.28朝) 14(平26).2.20 東京高裁 平24(う)572 TKC D1-Law (読14.2.21朝) 16(平28).4.26 最高裁 平26(あ)477 裁判所ウェブサイト (読16.4.27朝) いわゆる長野一家3人強殺事件。裁判員裁判。被害者の会社の従業員だった伊藤死刑確定者と松原智浩死刑確定者、ほか2人が共謀して経営者とその息子、息子の内妻を殺害、現金を奪い、遺体を資材置き場に捨てた。首謀者とされる。初公判で起訴事実を概ね認めたが、強盗目的は否定。弁護側は、被害者父子からの暴行を受けて追い込まれ、適法行為をする期待可能性がなかったと主張。この事件の4年8カ月前、伊藤死刑確定者が知り合いに騙されて沖縄出身男性の暴力団事務所で監禁され暴力を受け、見ず知らずの他人と養子縁組をして多額の借金をするよう強要されるということがあり、その際に男性の舎弟だった被害者(息子)が男性を射殺して助かったため、それ以降被害者(息子)から支配されるようになったという(朝日11.12.22朝)。松原死刑確定者は2014年に死刑が確定、他の共犯の1人は一審死刑、東京高裁で無期懲役(求刑死刑)に減軽され、最高裁で確定(読14.9.3)。逮捕時(10.4.14)31歳(読10.5.15夕)。
264 浅山克己 10.10.2
/11.11.24
(一審判決)
13(平25).6.11
東京地裁
平24(合わ)21等
D1-Law
(読13.6.12朝)
14(平26).10.1
東京高裁
平25(う)1381
高刑速(平26)98頁
TKC
(読14.10.2朝)
16(平28).6.13
最高裁
平26(あ)1655
裁判所ウェブサイト
(読16.6.14朝)
いわゆる山形・東京連続放火殺人事件。裁判員裁判。別れた男性を取り戻すには「両親を排除しなければならない」と考え、男性の両親が住んでいた住宅に放火し、2人を焼死させた。またその1年後には、別の男性の母親が男性の居場所を教えないことに腹を立て、母親を縛って監禁、プラスチック製の大型のたらいをかぶせ、隙間から点火した炭を入れて一酸化炭素中毒で死亡させた。浅山死刑確定者は2つめの事件における殺意を認めたが、1つめの事件では両親がいるとは思わなかったとして殺意を否認。判決は、両親がいることは認識していたとした。2つめの事件には浅山死刑確定者の妻が手伝っていたが、夫からの暴力を避けるため以前から言いなりになっており夫の命令で犯行に加わった、として懲役18年の判決(12.11.14朝)。
逮捕時(12.1.18)46歳(朝日12.1.18夕)。
265 C・Y 10.2.10
(一審判決)
10(平22).11.25
仙台地裁
平22(わ)258
裁判所ウェブサイト
(読10.11.26朝)
14(平26).1.31
仙台高裁
平23(う)1
高刑速(平26)177頁
TKC D1-Law
(読14.2.1朝)
16(平28).6.16
最高裁
平26(あ)452
裁判所ウェブサイト
(読16.6.17朝)
いわゆる石巻3人殺傷事件。裁判員裁判。事件当時18歳7ヶ月。同居相手の女性に暴行して重傷を負わせ、さらに実家に戻った女性を連れ出そうとして、女性の姉と少女、姉の友人男性の胸などを牛刀で突き刺して姉と友人を殺害、元同居女性を車に乗せて連れ去った。事件直後に鑑別所で自殺未遂(朝日12.12.7朝)。起訴事実を大筋で認める。姉らを刺した理由について、一審では、(自分の悪口を)色々と言っていると聞いたからだと思う、と供述。控訴審では、本当は覚えていない、と説明を変えた(朝日12.12.7朝)。
裁判員裁判で少年被告人の死刑判決は初めて、確定したのも初めて。一審判決後、一審の裁判員は、2013年の新聞社の取材に、「死刑の重さは背負いきれない」と心情を吐露した(朝日16.6.17朝)。
17年12月に再審請求。現場で意識障害に陥り突発的に犯行を起こしたとする精神科医の鑑定書を提出。また、目撃者が法廷で証言を変えていることが「虚偽の疑いがある」と指摘している(朝日17.12.21宮城)。
2018年4月、死刑制度に反対する任意団体が集会を開き、C・Y確定者について「裁判員が死刑を判断するのは妥当なのか」などの議論を交わした(毎18.5.1宮城)。
再逮捕時(10.3.4)18歳(朝日10.3.5朝)。※主として死刑判決の確定後、マスコミ各社は実名報道を行っている。しかし、本人が自発的に実名を公表したか否かにつき確認できないため、当サイトでは、少年法61条の趣旨を踏まえ、イニシャルで表記する。
266 筒井郷太 11.12.16
(読16.7.22朝)
13(平25).6.14
長崎地裁
平24(わ)75等
TKC D-Law
(読13.6.15朝)
14(平26).6.24
福岡高裁
平25(う)257
高刑速(平26)160頁
TKC
(読14.6.25朝)
16(平28).7.21
最高裁
平26(あ)1160
裁判所ウェブサイト
(読16.7.22.朝)
いわゆる長崎ストーカー殺人事件。裁判員裁判。千葉県で同居していた女性が長崎県の実家に連れ戻されたと思い込み、女性を取り戻そうとして女性の実家に侵入。女性の母、祖母の2人を出刃包丁で複数回刺して殺害したとされる。捜査段階では犯行を認めていたが、一審裁判員裁判から無罪を主張、自白調書の任意性などを争ったが、自白は信用できるとされた。
逮捕時(11.12.17)27歳(朝日11.12.18朝)。
267 土井佳苗 (旧姓名 木嶋佳苗) 09.1 ~09.8
(一審判決)
12(平24).4.13
さいたま地裁
平21(わ)1809等
裁判所ウェブサイト
(読12.4.14朝)
14(平26).3.12
東京高裁
平24(う)1240
TKC D1-Law
(読14.3.13朝)
17(平29).4.14
最高裁
平26(あ)639
裁判所ウェブサイト
(読17.4.15朝)
いわゆる首都圏連続不審死事件。裁判員裁判。旧姓木嶋。婚活サイトで知り合った40~80代の男性3人と真剣な交際を装って多額の金を受け取り、交際を巡る嘘の発覚を逃れるため、3人を睡眠薬で眠らせて練炭を燃やし、一酸化炭素中毒などで殺害したとされる。土井死刑確定者の殺害行為を裏付ける直接的な証拠は乏しく、公判では一貫して無罪を主張。判決は、ぜいたくな暮らしをするため自殺に見せかけて殺害しており計画的で悪質、とされた。再逮捕時(10.2.1)25歳(朝日10.2.1夕)。
268 上田美由紀 食べ物をのどに詰まらせた窒息
23.1.14
享年49歳
(朝日23.1.16朝)
09.4.4
/10.6
(一審判決)
12(平24).12.4
鳥取地裁
平21(わ)156等
TKC D1-Law
(読12.12.5朝)
14(平26).3.20
広島高裁松江支部
平24(う)58
TKC D1-Law
(読14.03.21朝)
17(平29).7.27
最高裁
平26(あ)589
裁判所ウェブサイト
(読17.7.28朝)
いわゆる鳥取連続不審死事件。裁判員裁判。借金の返済などを免れる目的で男性2人にそれぞれ睡眠導入剤を飲ませ、海岸や川でおぼれさせて殺害するなどした。強盗殺人について一貫して無罪を主張したが、判決は、上田死刑確定者が犯人であることは合理的な疑いのない程度に証明されている、とした。2023年1月14日、広島拘置所の居室で食べ物をのどに詰まらせて倒れ、職員が口から食べ物を取り除くなどしたが、救急搬送された外部の病院で死亡が確認された。死因は窒息で、法務省によると自殺ではないとのこと(TBS23.1.15 12:13)。亡くなる4日前にも昼食中に意識を失い救急搬送されたが、検査で異常は見つからず拘置所に戻り、硬い物も食べていたため咀嚼できる状態であると判断されて食事内容の変更はなかったという(朝日23.1.16朝)。逮捕時(10.1.28)36歳(朝日10.1.29朝)。
269 鈴木勝明 04.12.3~4
(一審判決)
13(平25).6.26
大阪地裁堺支部
平22(わ)5等
TKC D1-Law
(朝日13.6.26夕)
14(平26).12.19
大阪高裁
平25(う)1192
TKC D1-Law
(朝日14.12.20朝)
17(平29).12.8
最高裁
平27(あ)120
裁判所ウェブサイト
(朝日17.12.9朝)
いわゆる大阪夫婦殺害事件。裁判員裁判。建設作業員として出入りしたことのある被害者の自宅敷地内で、被害者とその妻を棒状の鈍器で殴って殺害、腕時計や車を奪ったとされる。被害者夫婦の遺体は貸しガレージのドラム缶から5年後に発見され、死体遺棄罪は3年の公訴時効が成立。被告人側は「夫婦を殺害したのは別の2人。脅されて遺体を遺棄した」として殺害への関与を否定。また、大阪府警が夫婦宅の敷地で採取した血痕や毛髪を紛失した点を挙げ、第三者の犯行の可能性を立証する機会が奪われた、凶器も見つかっていない、と無罪を主張した。犯行を裏付ける物証はなく(読17.12.9大阪朝)、判決は事件直後に鈴木死刑確定者が腕時計を換金して借金の返済に充てたことなどから、鈴木死刑確定者の犯行と認定した。
逮捕時(09.11.27)42歳(朝日09.11.27夕)。
270 林振華 08.5.1
(一審判決)
15(平27).2.20
名古屋地裁
平24(わ)2750等
裁判所ウェブサイト
(朝日15.2.21朝)
15(平27).10.14
名古屋高裁
平27(う)105等
TKC D1-Law
(朝日15.10.15朝)
18(平30).9.6
最高裁
平27(あ)1585
裁判所ウェブサイト
(朝日18.9.7朝)
いわゆる蟹江3人殺傷事件。裁判員裁判。事件当時、中国からの留学生だった。万引きで2回検挙され、その罰金を支払うために金品を窃取しようと企てて民家に侵入。金品物色中に家人に発見され、逃げようと思えば逃げられたのに現金の入手を諦めきれず金品の強奪を決意し、モンキーレンチで家人を殴るなどして殺害。さらに、家人暴行中に近寄ってきた家人の次男も殺害、帰宅した三男にも暴行を加え、現金と腕時計を強取した。弁護側は、強盗の故意はなく、殺害した2人に対しては殺人罪と窃盗罪が成立するに過ぎず、その殺意も未必的なものにとどまると主張したが、一審判決はそれを退け、強盗殺人罪・強盗殺人未遂罪の成立を認めた。控訴審判決は、原判決が、林死刑確定者の検察官調書のうち、強盗の犯意発生について述べた部分の信用性を認めた点については疑問としつつ、それ以外の証拠から、家人に遭遇した際に強盗を決意したと認めた原判決に事実誤認はないとした。
逮捕時(12.12.8)29歳(朝日12.12.8朝)。
271 渡辺剛 12.12.7頃
(一審判決)
14(平26).9.19
東京地裁
平25(刑わ)463等
判タ1412号288頁
TKC D1-Law
(読14.9.20朝)
16(平28).3.16
東京高裁
平26(う)1736等
TKC D1-Law
(朝日16.3.17朝)
18(平30).12.21
最高裁
平28(あ)543
裁判所ウェブサイト
(毎18.12.22朝)
いわゆる資産家夫婦強殺事件。裁判員裁判。会社経営や投資に失敗して金銭に窮していた渡辺死刑確定者が、交友関係にある資産家のファンドマネージャーとその妻を殺害して金品を奪取することを目的とし、周到な準備を行った上、被害者夫妻を巧みに誘い出してロープで絞殺し、その所持金品を奪って遺体を準備してあった穴に遺棄し、さらに元従業員に指示して奪ったクレジットカードを不正に利用して新幹線回数券を詐取しようとして未遂に終わったとされる事件。
渡辺死刑確定者は、ロープを引っ張ったのは別の関係者であるがその名前は言えないと主張し、穴を掘ったのは被害者夫婦を脅すためのものであるとして殺意を否定した。一審判決は「到底信用できない弁解を繰り返した」「被害者遺族に対し謝罪の言葉を述べていることからも、反省の気持ちが全くないとまで断定することはできないが、・・・真剣な反省の態度や遺族らに対する心からの謝罪の念は、ほとんど感じ取ることができない」とした。
逮捕時(13.1.30)43歳(朝日13.1.31朝)。
272 西口宗宏 11.11.5
/12.1
(一審判決)
14(平26).3.10
大阪地裁堺支部
平23(わ)1321等
TKC D1-Law
(朝日14.3.11朝)
16(平28).9.14
大阪高裁
平26(う)476等
高刑速(平28)201頁
TKC D1-Law
(朝日16.9.14夕)
19(平31).2.12
最高裁
平28(あ)1485
裁判所ウェブサイト
(朝日19.2.13朝)
いわゆる元象印副社長ら強殺事件。裁判員裁判。買い物帰りの女性客を車内に押し込んで拉致、キャッシュカードの暗証番号を聞き出した後に食品包装用ラップフィルムで窒息死させ遺体を骨片になるまで焼き尽くして山中にばら撒いた。その1か月弱後に、知人の元会社役員宅に宅配便の配達員を装って侵入して同様に殺害、奪ったクレジットカードで現金を引き出そうとした。いずれも、仕事をしていなかったにもかかわらず仕事で金が入るなどと内妻に対して述べていたところ、このうそが露見することを恐れ、まとまった金を手に入れようとして犯行に及んだという。捜査の比較的早い段階で全面的に自供し、公判でも被害者らや遺族に対して繰り返し謝罪の言葉を口にするなど、判決でも反省の気持ちがあるとされた。弁護側は、一審・控訴審を通して、計画性がなかったことや絞首刑の違憲性を主張、また、控訴審では脳の器質的な障害のために犯行当時心神耗弱であったことなども主張したが、判決ではいずれも退けられた。
逮捕時(11.12.6)50歳(読11.12.7大阪朝)。
273 保見光成 13.7.21
(一審判決)
15(平27).7.28
山口地裁
平25(わ)207
判時2285号137頁
TKC D1-Law
(朝日15.7.29朝)
16(平28).9.13
広島高裁
平27(う)127
TKC D1-Law
(朝日16.9.14朝)
19(令元).7.11
最高裁
平28(あ)1508
裁判所ウェブサイト
(朝日19.7.12朝)
いわゆる周南5人殺害事件。裁判員裁判。近隣の住民から嫌がらせを受けているという妄想を抱き、その報復のため、住民5人を手製の木製の棒や金づち様の物で頭部等を多数回殴打して殺害、2件の住居に放火したとされる。
事件後に自殺をしようと山中に入り、ICレコーダーに家族に対する謝罪の言葉等吹き込んでおり、また、殺害と放火を認める供述調書が逮捕後に作成されていたが、公判では殺害と放火を否認。殴打したのは脚部のみであると主張したが、判決は保見死刑確定者の犯行と認定した。また、精神鑑定で妄想性障害と診断されたが、完全責任能力があるとされた。さらに、弁護側は絞首刑が残虐な刑罰を禁ずる憲法36条に反すると主張したが、これも退けられた。
控訴審で、弁護側は、放火の方法について、原審が「手段不明の方法で」と認定したことにつき訴訟手続きの法令違反がある等主張したが、これも退けられた。
2019年11月山口地裁に再審請求。新たな証拠として刑事責任能力に関する精神科医の意見書など約30点を提出したという(読19.11.15西部朝)。山口地裁が2021年3月22日付で請求を棄却(共同21.3.25)、弁護団が広島高裁に即時抗告(中国21.3.26)、2022年11月広島高裁が即時抗告を棄却、同年12月に最高裁に特別抗告している(東京23.7.3 13:43)。
逮捕時(13.7.26)63歳(毎11.12.7大阪夕)。
274 堀慶末 98.6.28/
06.7.20
(一審判決)
15(平27).12.15
名古屋地裁
平24(わ)1701
裁判所ウェブサイト
(朝日15.12. 16朝)
16(平28).11.8
名古屋高裁
平28年(う)44
TKC D1-Law
(毎16.11.
9中部朝)
19(令元).7.19
最高裁
平28(あ)1889
裁判所ウェブサイト
(朝日19.7.20朝)
いわゆる碧南事件。裁判員裁判。1998年6月に共犯者2名と共謀して強盗目的で民家に侵入して夫婦を殺害、その8年後の2006年にもその共犯者のうち1名と共謀して強盗目的で民家に侵入し1名を殺害しようとしたとされる。一審で弁護側は、殺害された夫婦のうち妻について殺害への関与を否認、夫については殺意がなかったと主張し、06年の事件においても犯行は共犯者が実行したもので殺意もなかったと主張。判決は、いずれの事件においても堀死刑確定者が主導したものであると認定した。堀死刑確定者は、被害者や遺族に謝罪文を送付し、作業報奨金を被害弁償に充てるなど具体的な謝罪方法も述べていたが、判決は、堀死刑確定者の態度について、不合理な弁解に終始し真摯な反省の情は認められないとした。共犯者2名のうち2事件に関与した者は16年2月一審無期懲役判決が確定(名古屋地裁平28.2.5判決・D1-Law 毎16.2.23中部朝刊)、もう1名は18年6月最高裁で上告が棄却され無期懲役(名古屋高裁平28.12.19判決・D1-Law)が確定(毎18.6.23中部朝)。07年の闇サイト殺人事件で一審死刑判決を受け、控訴審無期懲役判決(裁判所ウェブサイト)が12年7月11日に最高裁で確定、その翌月に「碧南事件」で再逮捕された(朝日19.7.20朝)。2019年5月に手記「鎮魂歌」を出版。版元であるインパクト出版会が朝日新聞に広告を出稿しようしたが、差し替えを求められ掲載が拒否された。それに対し、一般社団法人「日本出版社協議会」から抗議声明が発表され、その後、朝日新聞社からインパクト出版会へ謝罪があり、改めて広告が掲載されることとなった(【声明】朝日新聞社広告掲載拒否事件に関するその後の経過)。名古屋拘置所が修道院のシスターとの手紙のやりとりを許可しなかったのは違法だとして国に損害賠償を求め提訴、2023年2月名古屋地裁が違法性を認めて国に3万3千円の支払いを命じる判決を出した(中日23.2.8朝)。逮捕時(07.8.26)32歳(朝日07.8.27朝)。
275 植松聖 16.7.26
(毎20.3.17朝)
20(令2).3.16
横浜地裁
平29(わ)212
裁判所ウェブサイト
(毎20.3.17朝)
控訴取下
20(令2).3.30
(毎20.3.31朝)
いわゆる相模原殺傷事件。裁判員裁判。相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」の元職員である植松死刑確定者が、刃物などを持って園に侵入、入所していた10~70代の男性9人、女性10人を殺害、26人に重軽傷を負わせた。取り調べにおいて、植松死刑確定者は、「障害者は周りを不幸にするので、いない方がよい」などと供述、2016年9月から鑑定留置が実施された。当初は翌年1月までの予定だったが2月まで延長され、精神鑑定の結果、パーソナリティー障害と診断された。検察は、事件を起こした動機が植松死刑確定者の中では一貫した論理になっているとの判断から、完全な責任能力を問えるとした(朝日17.2.21朝)。起訴後にも、横浜地裁が精神鑑定を実施するための鑑定留置を決定している(朝日18.1.24朝)。初公判では、植松死刑確定者は起訴内容を認めて謝罪の言葉を述べたものの、その直後に小指をかみ切るような行動をし、そのため一旦休廷となり、被告人不在のまま審理が再開された。検察側は、行動が計画的で違法性を認識して自首したことから完全な責任能力があったと主張。弁護側は大麻精神病や妄想性障害などの影響で心神喪失か心神耗弱の状態にあったと主張したが(朝日20.1.9朝)、植松死刑確定者本人が「責任能力を争うのは間違っている。自分は責任能力があると考えています」と述べ、弁護方針に反対した(朝日20.1.25朝)。弁護側証人の精神科医は、植松死刑確定者は2013年ごろから乱用していた大麻の影響で人が変わった状態になり、大麻による病的な自己高揚感や自分の考えが現実的かを検討する能力が低下していたと主張。「障害者を抹殺する」との思考や衆院議長に事件を予告する手紙で金銭支援を求めた行動が、それらを示しているとした。また、短時間で多数を殺傷した並外れたエネルギーも大麻精神病による気分高揚と活動性の異常な高まりによるものだと結論づけた(朝日20.2.11朝)。 これに対し、判決は、思考に病的な飛躍があったとまでは言えないとし、襲撃したのは抵抗が難しいとみられる人ばかりであって、驚異的な行動力がなくても実行できたと判断。「犯行には計画性があり、違法性の認識もあった。認められる妄想も程度が軽いものしかない」として完全責任能力を認めて死刑の判決を下した(毎日20.3.17朝)。同月27日弁護人が控訴したが、その3日後に植松死刑確定者が控訴を取り下げ、第一審判決が確定(朝日20.3.31朝)。植松死刑確定者は、それまでの接見などで、判決の内容にかかわらず控訴はしない、と語っていたという(毎20.3.28朝)。その後、一審の弁護人が控訴取り下げを無効とするよう求める申し入れ書を横浜地裁に提出した(毎20.5.9朝)。東京高裁は控訴取り下げは有効と判断し、弁護側の異議も高裁の別の部が棄却、2022年12月最高裁も弁護側の特別抗告を棄却し、植松死刑確定者の控訴取下げは有効とされた(朝日22.12.14夕)。それとは別に、2022年4月、植松死刑確定者が横浜地裁に再審を請求。2023年4月18日付で横浜地裁が棄却、弁護人が同地裁に即時抗告を申し立てている(毎23.4.25朝)。
一審判決前、兵庫県を拠点とする市民グループが、死刑を回避するよう求める要請文を横浜地裁に提出していたという(神奈川20.3.13朝)。
一審判決後、相模原市は、植松死刑確定者を事件前に措置入院させていた経緯や事件発生後に消防が被害者を搬送した状況などの関連資料を、条例に基づいて「歴史的公文書」に指定し、永久保存する方針を固めたという。(毎20.3.19朝)。また、植松死刑確定者が事件の5か月前に措置入院していたことから、厚労省は有識者会議を設置してこの事件を調査。措置入院していた病院や相模原市の対応を「不十分」とする結果を公表し、「退院後のフォローアップ体制」をテーマに再発防止の検討を行った(朝日16.7.28朝、朝日16.9.15朝)。
2019年秋、やまゆり園での虐待の疑いが浮上、2020年1月に県が検証委員会を設置、その後、やまゆり園を含めた県立障害者支援施設の検証を行う新しい部会を設置している(毎20.6.27神奈川)。逮捕時(16.7.26)26歳(朝日16.7.26夕)。
276 土屋和也 14.12.16
(一審判決)
16(平28).7.20
前橋地裁
平27(わ)43,70
TKC D1-Law
(朝日16.7.20夕)
18(平30).2.14
東京高裁
平28(う)1586
TKC D1-Law
(朝日18.2.14夕)
20(令2).9.8
最高裁
平30(あ)318
裁判所ウェブサイト
(朝日20.9.9朝)
いわゆる前橋連続強盗殺人事件。裁判員裁判。一人暮らしの93歳女性が自宅で殺害され、現金5000円が盗まれた。その約1か月後、夫婦二人暮らしの80代男性が自宅で殺害され、その妻が重傷を負わされ、リンゴ2個が盗まれた事件。
土屋死刑確定者は2つめの強盗殺人事件の5日後にラーメン店に侵入して食品を盗んでおり、その建造物侵入の疑いで最初に逮捕された。家宅捜索において自宅から凶器と見られる包丁や血の付いた着衣などが発見され、建造物侵入容疑の取り調べの中で、土屋死刑確定者自ら関与を認める供述を始めた(朝日14.12.26夕)。仕事のストレスからスマホのゲームにのめり込んでゲームの課金で借金を重ね、仕事を辞めてからは引きこもり生活となり、最初の強盗殺人事件の10日ほど前から水と砂糖で空腹をしのぎ、窃盗や強盗を思い立ったという(朝日16.7.20夕)。
裁判では、殺意が確定的であったか未必的であったか、また金品強取目的の有無等が争点となったが、公判では土屋死刑確定者は多くを語らず、初公判の罪状認否についても黙ったままで(朝日16.6.30夕)、被害者参加制度を利用した遺族らによる被告人質問に対してもほぼ無言だった(朝日16.7.5朝)。そのため、検察側は、自供したという取り調べの状況を録音録画したDVDや供述調書を新たに証拠申請した(朝日16.7.5朝)。情状鑑定を実施した精神科医は、公判において、土屋死刑確定者に刑事責任能力があるとしたうえで、脳機能の障害である軽度の広汎性発達障害があり、両親の育児への関与不足や学校におけるいじめで、衝動を抑える力が乏しいなどの特徴があるパーソナリティ障害が形成されたと証言。事件への影響については、借金を重ね、誰にも相談できず、生活苦に陥って犯行に及んだ経緯にパーソナリティ障害が大きく関与しているとした。裁判員から再犯の可能性を問われると、精神科医は、「元々凶暴ではなく、環境を整えると事件は起こしづらくなる可能性はある」としたが(朝日16.7.6朝)、土屋死刑確定者が「人生をやり直す気持ちはない。今までの人生がつらかったから」と打ち明けていたことも証言した(朝日16.7.20夕)。 弁護側は、土屋死刑確定者に確定的な殺意はなく、パーソナリティ障害が本件犯行に至る過程や実際の犯行にも影響を与えたと主張した。また、捜査段階の供述およびそれに沿った犯行再現写真の一部の信用性も争った。
一審判決は、捜査段階の供述を信用性十分なものといえるとし、用意周到な計画があったとはいえないものの殺意および金品強取の目的があったとした。パーソナリティ障害については、犯行に至る過程、特に職場の不適応や借金などの問題にパーソナリティ障害が大きな影響を与えたというのは理解できるが、弁護人の主張は鑑定人の意見を過度に有利に援用するものであり、”被告人のパーソナリティ障害を形成する要因となった不幸な成育歴には被告人だけを責められない面があり、まことに同情を禁じ得ないが、量刑にあたってはそれを過大に評価することはできない”とした。そして、土屋死刑確定者が実父の相続財産から贖罪寄附をしていること、最終陳述において遺族の方を向いて謝罪の言葉を述べるなど反省の念も窺えることや情状証人として出廷した自立支援施設の指導者などの支援を受けることにより更生可能性もわずかながら残されていることを考慮しても、死刑が相当であるとした。
弁護側が事実誤認及び量刑不当を主張して控訴したが、東京高裁がこれを棄却。
逮捕時(14.12.26)26歳(朝日14.12.26夕)。逮捕直後の土屋死刑確定者の自宅周辺の住民は、土屋死刑確定者の印象を「おとなしく優しそうな印象」と語り、その逮捕には驚きの声を上げていたという(東京14.12.27朝)。
277 白石隆浩 17.8.23/ 8.28/ 8.30/ 9.16/ 9.24/ 9.28/ 9.30/ 10.18/ 10.23
(毎20.12.16朝)
20(令2).12.15
東京地裁立川支部
平30(わ)1065
D1-Law
(毎20.12.16朝)
控訴取下
20(令2).12.21
(毎20.12.24朝)
いわゆる座間9人殺害事件。裁判員裁判。複数のツィッターアカウントを使い分け、自殺志願者とやり取りを繰り返して自宅へ誘い(朝日17.11.2夕)、2017年8月23日から約2か月の間に女性8人に性的暴行をしたうえ、男性1人を加えた計9人の首をロープで絞めて殺害、遺体を切断し、遺棄した事件(毎20.12.16朝)。家族と連絡の取れなくなった最後の被害者女性の兄が高尾署に届け出たことから、インターネットの自殺サイトで知り合ったとみられる白石死刑確定者が浮上、10月30日に白石死刑確定者の自宅を訪れた警察官が玄関内側に置いてあったクーラーボックスから2人分の頭部を発見。翌31日に合計9人分の遺骨が発見され、白石死刑確定者が逮捕された(朝日17.10.31夕)。 その後、11月10日に9人全員の身元がDNA型鑑定により特定された(朝日17.11.10朝)。室内にあったクーラーボックス3つと、収納箱4つから9人分の頭部、約240本の骨が見つかり、空の箱も1つあったという。(朝日17.11.14朝) 白石死刑確定者は、捜査段階で、8月上旬に最初の女性を殺害し、女性の知人の男性が女性の行方を尋ねてきたため、ばれると思って男性も殺した、遺体はいつか山に埋めに行こうと思っていた、などと供述(朝日17.11.14朝)。起訴前の2018年4月から5か月にわたって鑑定留置が実施され、犯行当時、心神喪失などの状態ではなく刑事責任能力があったとの鑑定結果が出て(朝日18.8.31朝)、強盗・強制性交殺人などの罪で起訴された(朝日20.10.1朝)。 裁判では、被害者らが殺害に同意していたかどうか、また、白石死刑確定者に責任能力があったかどうかが主な争点となった。検察側は、金銭欲と性欲を満たす目的の殺人であって被害者は抵抗しており同意はなかった、責任能力についても問題はないと主張。これに対して弁護側は、被害者は命を絶つために被告人の部屋に行っており、承諾殺人罪にとどまる、悲惨な事件を平気でやり遂げており精神障害がないとした鑑定結果に疑問があると主張した。(毎20.12.16朝) 白石死刑確定者は、初公判の罪状認否で起訴事実を認め(朝日20.10.1朝)、その後の被告人質問においても、全員について承諾なく殺したことを供述。被害者のことは「性的な対象か、お金になるかならないかでしか見ていなかった」(朝日20.10.9朝)、8人の女性全員から抵抗を受け「女性を襲うことに楽しみやスリルがあった」などと証言し(朝日20.10.28朝)、検察官に「7人を殺した時点で殺害をやめようと思わなかったのか」と問われた際も「快感を覚え、やめるつもりはなかった」と答えた(朝日20.11.12朝)。被害者に対する謝罪を口にもしたが、それは被害者9人のうち4人に対する謝罪であり、白石死刑確定者が思い入れを感じた被害者のみに対する謝罪であったという(毎20.12.12朝)。 捜査段階の鑑定を担当した医師は、法廷でも「被告人に精神障害はなかった」と証言(朝日20.11.25朝)。弁護側は再度の精神鑑定を求めたが却下された(毎20.11.26朝)。 判決は、女性のヒモになりたいと考えた白石死刑確定者が「一緒に死にませんか。殺してあげます」といった言葉を使ってツィッタ―上で若い女性を誘い出していたと認定。白石死刑確定者の供述の信用性を肯定し、いずれの被害者も真意に基づく承諾はしていなかったとした。また、一貫して目的にかなった行動をしており、精神障害は認められないとした。白石死刑確定者が公判で事件を「後悔している」とは口にしたことについては、逮捕されたことへの後悔や、一部の被害者について殺害せず交際すればよかったという「自分本位な後悔にとどまっている」と指摘。さらに、「なぜ人命を著しく軽視し、多数の尊い命を奪うことになったのかを省みる説明はしていない」とも指摘した。判決後、裁判員からは「わずかなお金のためにこれだけ殺害するのかと考えると、ふに落ちないところはある」との指摘もなされている(毎20.12.16朝)。 なお、この公判において、白石死刑確定者は、弁護人からの質問には当初無視して返答していなかった。その理由を、「(公判前に)簡潔に公判を進めてほしいとお願いしたが『承諾殺人を主張する』といきなり言われた」「話が違うと思った、(弁護人に)裏切られている状態を根に持っている」と説明していたが(朝日20.10.9朝)、その点について、弁護側は、判決後、「弁護人が言い分通り主張することがいいとは思っていなかった。証拠の中から真実を思われることを主張した」と説明している(毎20.12.16朝)。 12月18日、弁護人が「承諾の有無、責任能力の有無はもう一度判断されるべきだ」として東京高裁に控訴(毎20.12.19朝)。21日付で白石死刑確定者が弁護人の控訴を取り下げ、2021年1月5日午前0時に死刑判決が確定(毎20.12.24朝)。逮捕時(17.10.31)27歳(朝日17.10.31夕)。
278 肥田公明 12.12.18 (一審判決) 16(平28).11.24 静岡地裁沼津支部 平25年(わ)217 判時2345号120頁 TKC D1-Law (朝日16.11. 25朝) 18(平30).7.30 東京高裁 平成28(う)2280 裁判所ウェブサイト (朝日18.7. 30朝) 21(令3).1.28 最高裁 平30(あ)1270 裁判所ウェブサイト (毎21.1. 29朝) いわゆる干物店強盗殺人事件。裁判員裁判。伊東市の干物店で女性経営者と従業員の2人が刃物で刺された後に生きたまま冷凍庫に閉じ込められて殺害され、売上金が奪われたとされる事件。凶器は見つかっておらず、その他の直接的な物証や目撃者もなく、逮捕された元従業員・肥田死刑確定者は逮捕当時から犯行を否認(読13.3.5朝)。情況証拠を積み上げることによって被告人の犯人性を立証できたといえるか否かが問題となった。 検察側は、①経済的に困窮していたにもかかわらず、犯人が奪った現金42万円とほぼ一致する金額(40万円)及び金種の現金を本件直後から費消又は預金したこと、②事件のあった時間に干物店に行って長時間滞在していたこと、③犯行時の着衣に被害者のものと矛盾しない血液等を付着させたこと、④干物店の元従業員で内部事情等をよく知っていること、⑤アリバイ工作をしていたこと、の5点が肥田死刑確定者の犯人性の根拠とした。 肥田死刑確定者は、初公判で「全て間違っています」と起訴内容を否認(中日16.9.20夕)。干物店には再就職の相談のために行っただけで、店に立ち入った時点で被害者2人は冷凍庫前のショウケースに並んで寄りかかるようにして血を流しており、死んでいるように見えて驚いて立ち去った、と主張。翌日に費消・預金した金についても、他から借用して保管していた現金等であるなどと弁解した。 判決は、奪われた現金の額を32万円と認定したが、肥田死刑確定者の弁解を認めず、事件直後の肥田死刑確定者が預金した現金に店から奪われた金種と一致する500円硬貨100枚、100円硬貨600枚が含まれていたことから、肥田死刑確定者の犯人性が強く推認できるとした。また、干物店に滞在した時間については、肥田死刑確定者所有の車と矛盾しない車が映ったドライブレコーダーの記録などから、肥田死刑確定者は犯行に十分な時間(約40分間)店内に滞在していたと認定し、その時間帯に店内にいた肥田死刑確定者が犯行に無関係であるとは考え難く、犯人性を強く示すものとした。一方で、アリバイ工作については犯人性の推認を補強するとしたものの、その他の検察側の主張については、犯行時の着衣とされた衣類も犯行時に着ていたものとは確定できないなどとして、犯人性を示す力はほとんどないと評価した。また、店を訪れた理由について、肥田死刑確定者は再就職を依頼するためだったと主張したが、肥田死刑確定者は被害者からの借金を踏み倒しており、失業保険の関係で被害者ともめて警察を呼んだり、保健所に産地偽装の通報をして店に調査に入らせるなどしたことがあることから、判決は、そのような関係で再就職を依頼することは考えられないとした。そして、殺害行為のいずれかの段階において財物奪取の意図が併存していたと認めることができるから、被害者らの殺害行為はいずれも「財物奪取の手段として」なされたと認定し、強盗殺人罪の成立を認めた。 控訴審では、肥田死刑確定者は店での滞在時間に関する主張を変更し、「いったん現場から車で立ち去ったが、もう一度店に戻った」「逮捕後に弁護士にもう一度店に戻ったと話したがそれは話さないほうがいいと言われた」と主張(その点は当該弁護士から陳述書が提出された)。また、弁護側は、肥田死刑確定者以外の車が現場を立ち去る様子が目撃されているなどと指摘した。判決は、原審判決の推認の一部を修正して奪われた金額も29万円としたが、「肥田死刑確定者が犯人であることは合理的な疑いを入れる余地がなく証明されているといえる」として弁護側の控訴を棄却。弁護側の上告も裁判官5人全員一致の意見で棄却された(毎21.1.29朝)。 2021年8月12日、静岡地裁沼津支部に無罪を主張して再審請求した(毎21.8.13 20:20)。 肥田死刑確定者は、本件から約2か月後の2013年2月、失業給付金をだまし取ったとして逮捕、起訴され、6月3日に執行猶予付きの有罪判決を受けている。その翌日に本件で逮捕された。逮捕時(13.6.4)60歳(読13.6.5朝)。
279 川崎竜弥 16.1.29頃
/7.5頃
(一審判決)
18(平30).2.23
静岡地裁
平28(わ)428
裁判所ウェブサイト
(朝日18.2.24朝)
19(平31).3.15
東京高裁
平30(う)635
D1-Law
(朝日19.3.16朝)
上告取下
21(令3).2.13
(朝日21.2.16朝)
いわゆる浜名湖連続殺人事件。裁判員裁判。元同僚の60代男性を殺害して遺体を焼いた上に浜名湖周辺に遺棄、男性所有のマンションや車・バイクを譲渡されたと偽って所有権を自らに移転し、男性の預金を引き出したり、男性の年金の受け取り口座を変更して年金も詐取した。その約半年後、窃盗罪で服役している間に知り合った30代男性を京都から浜松に呼び寄せて殺害、浜名湖に遺棄した。2件目の事件直後に、1人目の被害者の預金口座から不正に金を引き出すなどした疑いで宅地建物取引士である川崎死刑確定者が逮捕された(朝日16.9.23朝)。
公判では、川崎死刑確定者は弁護側・検察双方の質問に100回以上「黙秘」と繰り返して事件については語らなかった(朝日18.1.24静岡)。弁護側は、川崎死刑確定者はお金に困っておらず、殺害する動機もないとして無罪を主張(朝日18.2.24静岡)。判決は検察の主張をほぼ認め、防犯カメラの映像や、被害者2人の所持品が川崎死刑確定者の自宅等から発見されていること、留置中に川崎死刑確定者から犯行告白を聞いたとする被留置者の証言などから、2件とも川崎死刑確定者による犯行であると認定。1件目は財産奪取の目的で財産を強取した、また、2件目は動機が不明ながら第三者が犯人だったとは考え難いとした。
控訴審でも出廷した川崎死刑確定者は黙秘を通し、弁護側は無罪を主張したが(中日19.3.16静岡)、判決は原審を支持。
上告審判決の2日前に川崎死刑確定者が上告を取り下げて死刑が確定した。川崎死刑確定者は、面会に訪れた弁護士に対し「刑が執行されることに納得した」と話したという(朝日21.2.16朝)。
2018年5月、1件目の被害者の遺族がマンションの所有権移転登記の抹消を求めて提訴、上告審中の2019年に川崎死刑確定者へ登記抹消手続きを命じる判決が出ている(中日19.6.1静岡)。
また、上告取下げ後の2021年7月、静岡地検は、「すでに死刑が確定し、審理を継続する必要がなくなった」として別事件での起訴の取り消しを静岡地裁に申し立てた(毎21.7.15地方)。
被告人として静岡刑務所に勾留されていた際、懲罰を科されたことを職員が報道機関に明かしたことが名誉棄損に当たる、また、懲罰中を理由に面会を制限したのは重要な権利侵害であるとして国に110万円の損害賠償を求めて提訴、2023年8月4日静岡地裁が請求を棄却した(静岡23.8.5)。
再逮捕時(16.9.22)33歳(毎16.9.23朝)。
280 筧千佐子 07.12.18 /12.3.9 /13.9.20 /13.12.28
(一審判決)
17(平29).11.7
京都地裁
平26(わ)1589
裁判所ウェブサイト
(朝日17.11.8朝)
19(令元).5.24
大阪高裁
平30(う)128
裁判所ウェブサイト
(朝日19.5.25朝)
21(令3).6.29
最高裁
令1(あ)953
裁判所ウェブサイト
(朝日21.6.30朝)
いわゆる青酸連続死事件。裁判員裁判。2013年12月、自宅で死亡した高齢男性の体内から青酸化合物が検出され、妻である筧死刑確定者が逮捕された。被害者とは結婚相談所を通じて知り合い、死亡の前月に再婚していたが、捜査の過程で、それまでに筧死刑確定者は結婚相談所で知り合うなどして再婚や交際を繰り返し、相手が亡くなるたびに遺産を相続していたことが判明。再婚・交際の相手は10人を超え、そのうち6人が死亡、ほかは体調不良となっていたという。死亡した相手についてはいずれも「病死」など自然死とされ、ほとんどが解剖もされていなかったが、バイク事故の後に死亡した交際相手の血液が保管されており、再鑑定の結果、青酸化合物が検出された(朝日14.11.19夕)。 最終的に、①2013年12月、遺産を取得する目的で夫を殺害、②2012年3月、遺産を取得する目的で交際相手を殺害、③2007年12月、債務の弁済を免れようとして殺害しようとしたが、全治不能の高次機能障害等の傷害を負わせた、④2013年9月、遺産を取得する目的で交際相手を殺害、の4つの事件で起訴された。弁護側は、青酸を飲ませた証拠はないとして殺害を否定、また、被害者が本当に殺害されて死亡したのかについても疑問を呈し、また、認知症のため責任能力も訴訟能力もないとして無罪を主張した(朝日17.6.26夕)。筧死刑確定者は、捜査段階では自白したとされるが(朝日19.5.25朝)、公判での供述は二転三転した(朝日17.11.18朝)。 第一審判決は、③④の事件で青酸化合物は検出されていなかったが、③④ともに当時の症状から青酸中毒だったと認定。筧死刑確定者が通常入手困難な青酸化合物を所持しており、当時の状況において犯行が可能だったのは筧死刑確定者以外に存在しなかったことから、全ての事件で筧死刑確定者がカプセルに入れた青酸化合物を被害者に服用させたとした。また、事件当時の筧死刑確定者は認知症その他の精神疾患に罹患していなかったとの精神鑑定をもとに、犯行時点では完全責任能力を有しており、逮捕後の鑑定時は認知症に罹患していたが軽症であって、精神鑑定から1年後の判決時でも症状は大きく変化しておらず訴訟能力も有すると認定した。 控訴審では、弁護側は精神鑑定を請求したが却下され、第一審の判決が支持される形で控訴は棄却された。認知症についても、その進行の度合いが緩徐であるから第一審判決時から約1年半を経過しても訴訟能力があるとみるべきとされた。2022年9月、弁護人側が④の事件について、死因は青酸中毒ではなく病死だと主張、医師の鑑定書を新証拠として京都地裁に再審請求した。被害者の死因は当初は「肺がん」と診断され、司法解剖されていなかった(毎22.10.16朝)。逮捕時(14.11.19)67歳(朝日14.11.19夕)。
281 溝上浩二
(旧姓名
山田浩二
水海浩二)
15.8.13
(一審判決)
18(平30).12.19
大阪地裁
平27(わ)3997
/5261
D1-Law
(毎18.12.20朝)
控訴取下
19(令元).5.19
(朝日19.5.22朝)
20(令2).3.24
(毎20.4.1大阪朝)
いわゆる寝屋川中1男女殺害事件。裁判員裁判。中学生1年生の男女が行方不明となり、遺体となって発見された事件。女児の遺体が発見され、防犯カメラの映像などから水海死刑確定者が浮上。捜査員がその行動を監視している中で水海死刑確定者が立ち寄った竹林において男児の遺体が発見され、逮捕された(朝日15.8.22朝)。 水海死刑確定者は初公判で土下座して謝罪。商店街で二人を見つけ家出を心配して声をかけると二人が車に乗ってきた、男児は車内で大量に汗をかいた後に死亡、女児については大声を出したので口を押さえ、気が付いたら手が首にあった、殺意はなかったと主張した。また、弁護側は、心神耗弱状態だったと主張した(朝日18.11.1夕)。 一審判決は、二人の遺体の状況から認められる死因が頸部圧迫による窒息死であることから、いずれの事件についても水海死刑確定者が殺意をもって殺害した、また、動機については、先に殺害された男児については不明、女児については口封じのためであったと認定。責任能力については、ADHDの衝動性等は影響の程度がかなり限定的であるとした。 水海死刑確定者と弁護人はそれぞれ控訴を申し立てたが、2019年5月18日、水海死刑確定者は、貸与ボールペンを就寝時刻に返却した際に看守に対する粗暴な言辞があったとして反則行為調査の対象となったため、面会・通信制限等を伴う懲罰も予想される事態となったことに自暴自棄となり、同夜のうちに控訴取下書を提出(第1取下げ)。記載に誤りがあったものの、適式な控訴取下げとして扱われ、その後、弁護人らが控訴取下げの無効を求める申入書を大阪高裁に提出し、その理由として精神障害(ADHD)の影響や死刑判決による心理的影響の可能性もあると主張し、その後、医師の意見書等を提出するとともに、第1取下げの無効を前提として控訴趣意書を提出した。 2019年12月17日、大阪高裁第6刑事部は、精神障害の影響及び自己の権利を守る能力を著しく制限されていたとの弁護人らの主張は排斥しつつも、他方で、一審死刑判決の確定という極めて重大な結果をもたらす控訴取下げに至る経緯としては通常あり得ない、常識では考え難い、余りにも軽率なもので、取下げに際して自己が死刑判決を受け入れようとする考えや心情は全く見受けられず、水海死刑確定者が控訴を取り下げることの法的帰結を忘却していた等の疑いがあり、第1取下げの効力に一定の疑念を生じさせる、そして、このような疑念があることや、刑訴法が死刑または無期刑の判決に対しては上訴放棄できないとしている趣旨も踏まえて、第1取下げを無効と解し、今回に限り、審理を再開・続行するのが相当である、とした(大阪高裁 決定 平31(う)126号)。 この決定を不服として、大阪高検は最高裁に特別抗告するとともに(これについては、即時抗告に代わる異議の申立てが出来ることを理由に不適法であるとして抗告棄却された(最高裁第3小法廷 決定 令1(し)807号))、同高裁に異議申し立て行った(朝19.12.21朝)。2020年3月16日、大阪高裁第1刑事部は、原決定が第1取下げを無効とする理由はいずれも実定法の解釈の枠を超えたもので容認できず、原決定は取消しを免れないが、他方で、訴訟行為能力については極めて慎重な検討が必要であるところ、現状ではその点の判断資料が明らかに不足しており、更なる事実取調べを経るとともに、改めて当事者から意見を徴求して、第1取下げの効力を最終的に判断する必要があるとして、大阪高裁第6刑事部に審理を差し戻した(大阪高裁 決定 令1(け)62号)。 この決定を不服として、同月3日、弁護側が最高裁に特別抗告したが(毎20.3.25朝)、同月24日付で水海死刑確定者が再度自ら控訴を取り下げ(第2取下げ)(毎20.4.1大阪朝)、同年5月14日付で弁護人は第2取下げについても無効とするよう大阪高裁に申し立てた。 同年6月17日、最高裁は弁護側の特別抗告を棄却、大阪高裁第6刑事部が改めて第1取下げおよび第2取下げの効力を判断することになった(最高裁第1小法廷 決定 令2(し)278号)。 同年11月26日、大阪高裁第6刑事部は、時系列的にはまず第1取下げについての効力を判断するのが通常であろうとされるところ、異議審の決定により第1取下げの効力についての判断には訴訟行為能力についての更なる調査と検討が必要となるため、検察官及び弁護人双方からの主張と資料が提出されその攻防が尽くされたとみられる第2取下げにつきその効力を検討すべきであると判断。弁護人が主張していた、控訴取下書の形式面の不備や訴訟能力の問題、意思表示の瑕疵などについて、第2下げを無効と解すべき理由は見当たらないとして、第2取下げは有効であり、本件控訴は第2取下げによって終了したと宣言した(大阪高裁 決定 平31(う)126号)。 同月30日、この決定を不服として弁護人が高裁に異議を申し立てたが(毎20.12.2朝)、2021年3月22日、大阪高裁第1刑事部は高裁第6刑事部の決定を支持し、弁護人の異議申し立てを棄却(毎21.3.23朝)。弁護人が最高裁に特別抗告したが(毎21.3.30夕)、同年8月25日付けで棄却された(朝日21.8.28朝)。 旧姓は山田(毎21.8.28朝)。「救援」645号(2023年1月10日付)には、「溝上浩二」と自署された書簡が掲載されている。逮捕時(15.8.21)45歳(読15.8.22朝)。
282 今井隼人 14.11.4/
14.12.9/
14.12.31
(第一審判決)
18(平30).3.22
横浜地裁
平28(わ)289
TKC D1-Law
(朝日18.3.23朝)
22(令4).3.9
東京高裁
平30(う)744
裁判所ウェブサイト
(朝日22.3.10朝)
上告取下
23.5.11
(毎23.5.16朝)
いわゆる川崎老人ホーム連続殺人事件。裁判員裁判。川崎市の老人ホームで、2014年11~12月の間に80~90代の男女3人が転落死した事件。事件発生当初、県警による現場検証により「転落による事故」とされていたが、いずれも今井死刑確定者の勤務中に発生していたこと(朝日16.2.16朝)、被害者が自力でベランダの手すりを乗り越えるのは困難とみられることから県警が事件と事故の両面から捜査に着手、任意での事情聴取において1件目の被害者について殺意を以て落下させたことを認めた今井死刑確定者が2016年2月に逮捕された。今井死刑確定者はすべての事件について殺害を認めていたが(毎16.2.16夕)。初公判で一転して起訴内容を否認。弁護側は「警察からの圧力でうその自白をした」と無罪を主張して事件性・犯人性を争った。また、予備的主張として責任能力も争い (東18.1.23夕)、 検察側による精神鑑定のほか弁護側の求めで横浜地裁による精神鑑定も実施された (読18.2.21朝)。
犯行の物証はなく、自白の信用性について、任意の取調べ中に犯行を自供する様子や逮捕後の取調べで黙秘する様子を撮影した動画が地裁の法廷で流された(朝日18.2.16夕、東京18.2.20朝)。
第一審判決は、被害者は高齢で身体能力が低いことから事故や自殺の可能性を否定し、職員の中で犯行機会があったのは今井死刑確定者だけで、転落を具体的に予告する言動をしていたことや逮捕前に家族に犯行を自白していたことなどから、今井死刑確定者の犯罪行為によるものであることに合理的な疑いを差し挟む余地は全くないとした。捜査段階における自白に関しては、取調べ時の録音録画において警察官による高圧的な態度や誘導しようとする姿勢はうかがわれず、自白内容も実際に体験したからこそなし得ると認められる具体的かつ迫真的な供述部分が見られ、自白の信用性は相当に高いものと認定した。
また、責任能力については、精神鑑定を行った医師に対する尋問から、事件当時は自閉スペクトラム症であったと認めたが、「障害の程度は比較的軽い方である。また、被告人は、知能指数は68であり、数値のみの評価では軽度知的能力障害の領域となるが、前記の就学状況や社会適応状況からすると、軽度知的能力障害の確定診断を下すには至らなかった」とした。そして、各犯行の動機形成過程(1件目の事件では介護の精神的負担により被害者が「いなくなったら安心する」との心理から犯行に及んでおり、1件目の事件後に行った救急救命措置が評価・賞賛されたことで心臓マッサージを他人に見せて自己アピールをしたいという心理が高じて2件目と3件目の犯行に及んだ)や、3件とも落下させるという同一の犯行態様をとっており、自閉スペクトラム症の影響が一定程度うかがわれるものの、その影響は顕著なものとまではいえず、各犯行を思いとどまることが著しく困難であったなどとは到底認められず、責任能力を有していたものとした。
弁護側は即日控訴 (朝日18.3.23朝)。控訴審判決は、原判決について、補助証拠として採用した録音録画記録媒体における録音録画内容を実質証拠として使用している点につき判断手続の違法性を指摘したが、捜査段階の供述調書等の信用性を認め、判決に影響を及ぼすものではないとした。控訴棄却に対して弁護側が上告したが、今井死刑確定者自身が2023年5月11日付で上告を取り下げ、同日に確定(時事23.5.15 18:16)。弁護人が取下げの無効と審理の継続を求めて同月19日に「審理継続申立書」を提出したが、同年12月20日付で最高裁第一小法廷(岡正晶裁判長)は取下げを有効とする決定をした(共同 23.12.21 18:46)。今井死刑確定者は、周囲に「心身ともに限界」と話していたという(FNN 23.5.16 11:32)。
上告取下げ後、今井死刑確定者と交流のあったノンフィクションライターが、「私がやったことで間違いない」「冤罪の主張で突き通せるのではないかと弱い自分が出た」と3人の殺害を認める取下げ6日後の日付が入った今井死刑確定者の文章をネットで公開している(東23.6.10朝)。
なお、今井死刑確定者は2014年5月に当該施設に就職、その4か月目の2014年9月ごろから入所者の財布や貴金属を盗むようになったという。19件の窃盗を重ね、転落死事件後の2015年5月に窃盗の疑いで逮捕され、同年9月に執行猶予付きの有罪判決を受けている。盗んだ金を使って友人らに食事などをおごっており、法廷では「おごることで、周囲が自分を認めてくれるように感じた」と語っていたという(朝日16.2.16夕, 朝日16.2.17朝)。
逮捕時(16.2.15)23歳(朝日16.2.16朝)。
事件があった老人ホームでは職員による入所者への暴行や暴言が相次いでいたといい(朝日16.2.17朝)、2015年12月には今井死刑確定者とは別の元職員3名が暴行容疑などで書類送検され、川崎市が介護報酬請求3か月間停止の行政処分を行っている(毎16.2.17朝)。
283 岩間俊彦 病死
23.8.24
享年49歳
(TBS23.8.25)
14.10.19/
15.8.31
(第一審判決)
17(平29).8.25
甲府地裁
平28(わ)89,118,
143,169,185
裁判所ウェブサイト
(朝日17.8.26朝)
19(令元).12.17
東京高裁
平29(う)1637
D1-Law
(朝日19.12.18朝)
23(令5).6.5
最高裁
(第一小法廷
安浪亮介裁判長)
令和2(あ)124
裁判所ウェブサイト
(毎23.6.6朝)
いわゆるマニラ保険金殺人事件。裁判員裁判。2014年と2015年にフィリピンのマニラで岩間死刑確定者の知人である日本人男性1名ずつが射殺され、保険金が請求された。
現地の実行犯は特定されていない(読16.7.2夕)。2014年の保険金殺人事件では岩間死刑確定者以外に3名が逮捕され、そのうちの1名は2015年の保険金殺人事件でも共犯者として逮捕された。裁判ではそれぞれ共謀があったかどうかが主な争点となり、検察側は、岩間死刑確定者が犯行を計画するなど主導的立場であると主張(朝日17.5.30朝)、岩間死刑確定者は計画・実行や共謀を否定して無罪を主張した(朝日17.6.12夕)。
第一審の審理においては、長期審理の負担を軽減するため区分審理が適用され、2件の殺人事件とは別に詐欺事件などにつき有罪の部分判決が出ている。第一審判決により岩間死刑確定者が有罪とされたのは、時系列順に、①2010年と②2014年4月の偽装自動車事故保険金詐欺事件、③2014年の偽装自動車事故保険金詐欺事件(②)の共犯者の1人を被害者とした同年9月と10月の詐欺事件(殺害の実行犯に対して支払う報酬も被害者本人から詐取)および 2014年10月の保険金殺人事件、④その被害者遺族に対して架空の貸付金の返済を請求した詐欺未遂事件、⑤2014年10月の保険金殺人事件(③)の共犯者の1人(後に懲役15年が確定)に保険金をかけて殺害するための役員不実登記事件及び同意書偽造等事件、⑥2014年の保険金殺人事件(③)の別の共犯者を殺害し、保険金を詐取しようとした2015年8月の保険金殺人事件。判決は、共犯者の証言やLINEアプリのメッセージのやりとり、また、いずれの保険契約も岩間死刑確定者が行っていた事等から、岩間死刑確定者が計画を立案し、殺害対象を決定した上、共犯者を言葉巧みに説得して誘い込み、役割分担を決め指示をしていたと認定し、死刑判決を下した。弁護側は訴訟手続の法令違反と事実誤認を主張して控訴したが、東京高裁がこれを棄却。2023年に最高裁で上告が棄却され、同年6月15日に弁護側が判決訂正を申し立てたが、同月21日付で最高裁がこれを棄却、死刑が確定した(テレビ山梨23.6.23)。
2014年の保険金殺人の実行役を手配し被害者を呼び出した共犯者1名は、2015年3月の時点で警察に自首、2016年に甲府地方裁判所で懲役15年の判決が言い渡され(朝日16.11.15朝)、2017年5月16日東京高裁で控訴棄却、弁護側と検察側双方が上訴権を放棄して確定した(読17.5.25朝)。2014年と2015年の保険金殺人の共犯者の1名は、逮捕前の2015年10月に警察に自白、第一審の無期懲役判決が2017年に確定している(朝日17.3.2朝)。
2023年8月24日、東京拘置所の居室で心停止の状態となり、その後死亡が確認された。糖尿病の持病があり、死亡前日から体調不良を訴えて慢性腎不全と診断されていたという。外傷などなく、検視の結果、病死と診断された(TBS23.8.25)。
逮捕時(16.5.12)42歳(朝日16.5.12夕)。
284 上村隆 10.4.13/
10年6月頃/
11.2.10~11 (第一審判決)
19(平31).3.15
神戸地裁姫路支部
平25(わ)663, 平25(わ)157,739, 平27(わ)157,488
D1-Law
(朝日19.3.16朝)
21(令3).5.19
大阪高裁
令和1(う)585
裁判所ウェブサイト
(毎21.5.20朝)
23(令5).7.3
最高裁
(第二小法廷
尾島明裁判長)
令和3(あ)855
裁判所ウェブサイト
(毎23.7.4朝)
いわゆる姫路監禁殺害事件。裁判員裁判。主犯とされた陳春根(中村春根)受刑者は無期懲役判決が確定した一方、実行犯とされた上村死刑確定者は死刑判決が確定した。陳受刑者の指示を受け、2009年から2011年の約2年の間に、殺人2件、逮捕監禁致死・生命身体加害略取1件、逮捕監禁2件の各犯罪を、時に並行しながら、連続的に犯したとされる。
上村死刑確定者が問われた罪は以下の通り。①陳受刑者の金銭トラブルの相手方である元広告会社社長(読15.6.11朝)を2009年4月から2010年6月まで檻内に監禁し、②2010年6月頃に拳銃で殺害。③2010年4月13日、他の共犯者らとともに陳受刑者の父の死の真相に関わると考えられた男性(当時57歳)を、後に殺害する目的で拉致して自動車内に押し込み、身体や口に粘着テープを巻き付け、車内若しくは倉庫内のいずれかの場所において、死因不詳により死亡させた(監禁致死)。④陳受刑者が経営するパチンコ店から逃げ出した当時30歳の従業員を2010年8月30日から約1か月の間逮捕監禁した。⑤2011年2月10~11日、陳受刑者の父を死に至らしめた男性(当時37歳)を、普通貨物自動車の荷台コンテナ内において、頸部圧迫による窒息により殺害した(これに先立ち、2010年9月に、前月に出所した当該被害者を逮捕監禁しているが、これに関しては、他の逮捕監禁事件と共に2012年3月27日に神戸地裁姫路支部で懲役7年の有罪判決を受けている)。
②の殺人と③の逮捕監禁致死の被害者の遺体は発見されておらず、裁判では各犯罪の成否及び各犯罪について陳受刑者との共謀(指示)が認められるかが争点となった。実審理期間は166日に及び、最長の裁判員裁判だった陳受刑者の裁判(207日)に次ぐ過去2番目の長さとなった(産経19.3.15 21:18)。
裁判では、上村死刑確定者は、全ての事件において陳受刑者の指示を否定し、①④の監禁や②の殺人を否定、③については被害者はやくざに引き渡した(「監禁ビジネス」だった)、⑤については被害者を黙らせようとして首を圧迫していたら死んでしまった、また、②③で検察が遺体を焼却したと主張した焼却炉については脱税に関する書類等を処分する「焼却ビジネス」で使用したものだと主張した。
陳受刑者の第一審判決(2018(平30).11.8神戸地裁姫路支部判決)では、②の事件について「本件全証拠によっても」被害者が陳受刑者によって殺害されたと認めるにはなお足りないとして陳受刑者は無罪とされたが、上村死刑確定者の第一審判決は、上村死刑確定者の犯行告白を聞いたという知人の供述、残された血痕、焼却炉内から採取された微物が人骨である可能性が高いとの鑑定結果、陳受刑者と関係なく上村死刑確定者が被害者を狙う動機がないこと、資金の流れや当時の連絡状況などから、①~⑤全ての事件につき、陳受刑者の指示により上村死刑確定者が行ったものと認めた。
弁護側が控訴し、首謀者である陳受刑者が無期懲役刑を言い渡されたとの事実を指摘して、従たる立場の上村死刑確定者に対して主たる立場の陳受刑者より重い刑を言い渡した点で罪刑均衡を失しており不当であると主張したが、大阪高裁は、上村死刑確定者と陳受刑者は別々に起訴され、それぞれ別の裁判所に係属して審理が行われ、別個の判決の言渡しを受けたものであり、それぞれの判決において証拠関係や、認定された犯罪事実、量刑事情が異なっている、特に、陳受刑者に対する判決においては、上記②の殺人の事実が認定されていない点でも、量刑の前提となる犯罪事実そのものが本件と大きく異なるのであるから、原判決の量刑が罪刑均衡に反するとはいえない、として控訴を棄却した。
2023年7月、弁護側の上告が棄却され、死刑が確定した(毎23.7.4朝)。
最初に、⑤の被害者に対する逮捕監禁事件(2010年9月)で逮捕され、2014年に③で(読14.3.7朝)、2015年に②で逮捕されている(読15.6.11朝)。最初の逮捕時(2011.4.28)44歳(読11.4.29朝)。
285 中田充 17.6.5~6
(第一審判決)
19(令元).12.13
福岡地裁
平29(わ)731
裁判所ウェブサイト
(朝日19.12.14朝)
21(令3).9.15
福岡高裁
令2(う)13
裁判所ウェブサイト
(朝日21.9.16朝)
23(令5).12.8
最高裁
(第三小法廷)
(長嶺安政裁判長)
裁判所ウェブサイト
(毎23.12.9朝)
いわゆる福岡・妻子殺害事件。裁判員裁判。 福岡県小郡市の現職警察官の自宅で、警察官の妻子3人が首を絞めて殺害された状態で発見された事件。事件発覚直後は妻が子2人を殺害後に自殺した無理心中の可能性があるとされたが、司法解剖で妻の死因も首を絞められた窒息死であることが判明し、中田死刑確定者が逮捕された(朝日17.6.9朝)。
第一審では、中田死刑確定者は起訴内容を否認し、無罪を主張。状況証拠のみしか存在せず、犯人性と量刑が争点となった(読19.12.3朝)。判決は、鑑定医や消防士の証言などから死亡推定時刻を5日深夜から6日午前6時半ごろまでと認定。5日夜に帰宅して翌朝6時53分に出勤した中田死刑確定者に気付かれずに外部犯が犯行に及ぶことは考えられず、外部犯が侵入した形跡もないとして、外部犯による犯行を否定した。そして、外部犯の可能性が否定される以上、妻を殺害したのは中田死刑確定者以外はおらず、日常的に妻から叱責されるなどして鬱憤をためていたことから中田死刑確定者が妻を殺害したと認定した。子供たちについては、妻には子を殺害する事情もなく、また、事件現場では妻と子供たちの遺体をつなぐようにライター用オイルがまかれており、妻の遺体の近くには残焼物があり妻の頭髪の一部も焼損していたことから、中田死刑確定者が3名を殺害して証拠を隠滅しようとしたことが合理的に推論でき、子供たちを殺害した犯人も中田死刑確定者であることを裏付けるとした。量刑については、中田死刑確定者は被害者が窒息死するまで首を絞め続けて殺害を実行しており、計画性は認められなくても、確定的で強固な殺意を有していたと認められ、そのような行為を3回も繰り返したのであるから、生命を軽視する態度がはなはだしいといわざるを得ない、として死刑の判決を下した。
弁護側は即日控訴(朝日19.12.14朝)。中田死刑確定者は改めて無罪を主張し、弁護側は、犯人性に関する事実誤認や、完全責任能力を認めた原判決には事実の誤認があり、原審裁判所は弁護人に対して精神障害に関する立証を促したり、職権で精神鑑定を実施したりすべきであったと主張したが、福岡高裁は控訴を棄却した。
上告審でも中田死刑確定者側は無罪を主張したが、判決は「自分の罪と向き合う姿勢を示さず、刑事責任は極めて重い」と指摘、一方で殺害の動機については「被告が否認しており、不明」とした(読23.12.8 21:10)。
逮捕時(17.6.8)38歳(朝日17.6.9朝)。
286 遠藤裕喜 21.10.12
(朝日21.10.13夕)
24(令6).1.18
甲府地裁
(朝日24.1.19朝)
控訴期間内に控訴取下
(朝日24.2.3朝)
いわゆる甲府殺人放火事件。裁判員裁判。2022年4月に改正少年法が施行され、行為時において18,19歳の特定少年が公訴提起された場合に実名報道が可能となって以降、検察が実名を発表した初のケースで、特定少年として初めて死刑判決が確定した。
甲府市で全焼した住宅から夫婦の遺体が見つかった事件。2021年10月12日未明に甲府市の会社員宅で夫婦が刺殺され、次女が頭をなたで殴打された。次女は長女とともに外に逃げ出し、長女が110番通報した直後に自宅から出火した。その日の夜に当時19歳だった遠藤死刑確定者が警察に出頭し、13日未明に逮捕された(朝日21.10.13夕)。鑑定留置を経て2022年3月、甲府地検が殺人と現住建造物等放火などで甲府家裁に送致し、その後、甲府地裁に逆送された。同年4月8日地検が起訴し、特定少年として初めて実名を公表した。
第一審公判は2023年10月から始まり、遠藤死刑確定者は初公判で認否をせず、被告人質問でも当初は質問に対してほとんど答えなかった。話さない理由を問われて「社会に戻るつもりない」と答えたこともあったが、後日の被告人質問において、事件の動機について、母親に暴言を吐かれたり、就職先を決められたりしたことで「疲れていて家から逃げたかった。夫婦の長女からの(交際を断る)LINEが後押しした」と語った。謝罪の気持ちを持って生きていくのかを裁判員に尋ねられて「考えてないです」と答え、その理由を裁判長から尋ねられると「生きているのがもう嫌だからです」と涙を流したという(朝日23.11.29 朝)。
弁護側は更生可能性があると死刑回避を求めたが(毎24.2.2朝)、判決は、精神鑑定をした医師の証言などから完全な刑事責任能力があったと認定し、明確な反省や謝罪の態度はなく、更生可能性も低いとして死刑とした(朝日24.1.19朝)。
弁護人が2月1日に東京高裁に控訴したが、遠藤死刑確定者が同日付で取り下げ、2日に死刑判決が確定した(朝日24.2.3朝)。
判決後に接見した共同通信の記者には、控訴取り下げ前の2月1日付けで、「被害者、遺族に対して申し訳なく思っています」との内容の手紙が届いている。接見では、謝罪の気持ちはあったものの、死刑を望んでおり「裁判に影響すると思い、言わなかった」と語っていたという(共同24.2.5)。
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