平成27年6月25日(木)法務大臣臨時記者会見の概要

本日,神田司の死刑を執行しました。
この者に関する犯罪事実の概要を申し上げますと,本件は,共犯者2名と共謀の上,帰宅途中の女性を車内に押し込み,監禁して,金品を強取した上,粘着テープを顔面に巻き付けるなどして被害女性を窒息死させて殺害し,その死体を運搬して山林に遺棄するなどした営利略取,強盗殺人,死体遺棄等の事件です。
本件は,誠に身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪った極めて残忍な事案であり,被害者や御遺族の方々にとって無念この上ない事件だと思います。そして,当然のことながら,裁判所において十分な審理を経た上で最終的に死刑が確定したものです。
以上のような事実を踏まえ,慎重な検討を加えた上で,死刑の執行を命令した次第です。

死刑執行に関する質疑について

【記者】
前回の執行から10か月ぶりで,上川大臣が就任されて初めての執行ですが,この時期を選ばれた理由と対象として神田死刑確定者を選んだ理由を教えてください。
【大臣】
この時期ということと,どのような基準で選ばれたかということですが,個々の死刑執行の判断に関わる事項については,お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
一般論として申し上げますと,死刑執行に関しては,個々の事案について関係記録を十分に精査し,また刑の執行停止,再審事由の有無などについて慎重に検討し,これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発することとしているところです。
【記者】
今日の執行後の死刑確定者の人数と,この者が再審請求及び恩赦請求をしていたかについて教えてください。
【大臣】
今回の執行の結果,本日現在で,法務省の把握している死刑確定者は130名です。
さらに,御質問がありました再審請求,恩赦等ということですが,個別の者の再審請求や恩赦出願の有無等については,お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
【記者】
死刑の確定年月日と1審,2審の判決期日を教えてください。
【大臣】
刑が確定した年月日ということですが,平成21年3月18日に,名古屋地裁において死刑の判決がなされ,その後,控訴が弁護人と本人から申し立てられたところですが,4月13日,控訴の取下げが本人からなされ,その時点において刑の確定がなされたところです。
【記者】
就任以来,初めての執行ということに関する今のお気持ちと今後の方針について教えてください。
【大臣】
申し上げるまでもないことですが,死刑は,人の命を絶つ極めて重大な刑罰です。その執行に際しては,慎重な態度で臨むことが大前提です。同時に法治国家においては,確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないこともいうまでもないところです。
特に死刑の判決については,極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対し,裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものです。
法務大臣としましても裁判所の判断を尊重しながら,法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処すべきものであると考えています。本日の死刑執行においても,このような観点に立ちまして,慎重にも慎重な検討を経た上で死刑執行命令を発したものです。
【記者】
今後の方針についてもお願いいたします。
【大臣】
ただいま申し上げたとおり,死刑は,人の命を絶つ極めて重大な刑罰であるということで,今後の死刑執行の判断にも正に関わることです。大臣である私の方から発言すること自体が,死刑の執行を待つ立場にある死刑確定者の心情の安定を害するおそれがあると考えられるところであり,今後の死刑執行に関わる所見については,お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
(以上)