望むのは死刑ですか 考え悩む”世論”

それが、日本政府による意識調査の結果だ。「圧倒的多数の支持」を政府は死刑を続ける理由としてきた。
だが本当なのか?

死刑の情報提供や議論を、政府は避けてきた。
命を奪うこの刑罰を、実は人々はよく知らない。

そんな中、ある研究者によって都内の会場に、一般市民135人が集められた。それは、人々の心をより深く探る「審議型意識調査」の試み。
テーマは、日本の刑事制度だ。

2014年暮れに実施された2日間の調査では、まず弁護士や専門家、犯罪被害者などから話を聞く。続いて、市民どうしが意見を出し合う。多くが死刑について賛成と言いながらも「考えたことがなかった」という市民たちは、さまざまな反応を示し始める。

死刑に反対する被害者も存在すると知って「死刑支持が揺らいだ」という若者。死刑が犯罪を減らすとは証明できないと知って「もっと苦しい刑罰が必要かも」と言いだす中年男性。冤罪による死刑判決の多発に、とまどう若い女性。

知ることで初めて悩み、自分とまったく違う意見に触れて悩み、当たり前と思ってきた考えを揺さぶられる”世論”の担い手たちを、カメラは捉え続ける。

答えの出ない議論のなかで、”普通の人々”の意識に何が起きるのか?混とんから立ち現れる”世論”のほんとうの顔とは…。

市民が自ら考え悩むことの意味を、映像は問いかける。

ドキュメンタリー映画「望むのは死刑ですか 考え悩む”世論”」

この調査の模様が収録されたドキュメンタリー映画「望むのは死刑ですか 考え悩む”世論”」は、公開以来、EU代表部、各地の弁護士会、市民団体のイベント等で多数上映されています。

予告編

2015年/HD/59分
企画■佐藤舞、ポール・ベーコン
監督■長塚洋
制作■Institute for Criminal Policy Research(英)
助成■スイス外務省 ほか

【上映記録】


【視聴した方のご感想】

動画を授業にご活用いただいた方(高校教諭)からのご感想
試験の際に授業の感想を書かせましたが、この間で一番印象に残った授業として死刑についての動画をあげていた生徒が多かったです。死刑制度について具体的なことを、知らない生徒が多かったので、賛成と反対のそれぞれの立場について知れたのは大きな収穫だったと思います。はじめは死刑に賛成の生徒が多かったのですが、動画を通して頭の中で思索をして「どちらともいえない」と考えを変える生徒もおりました。たいへん活用できました。

授業での活用を検討するために動画を視聴した専門学校講師の方からのご感想
私個人の感想としては、非常に衝撃を受けました。
大抵の場合、裁判員や法制度は自分事ではないことが多く、問題意識は少なからずあるものの、あえてその為にじっくり考えることはしてきませんでした。
映画を見ることで問題点が浮き彫りになり、様々な世代の方の見解を聞くことで身近なこととして考える機会になったと思います。
また講師の立場としては、紙の教材だけでは学生の興味を引くこと(=行動を起こすことや意識への浸透)が難しいと考えている中で、映画とセットで取り入れることにより、大きな効果が得られるのではないかと思いました。特に同世代(20代)の方が、実際に裁判員に選ばれている状況を紙媒体で確認すると同時に、具体的に何を考えて裁判員として望むのかを、映画によって考えることができる点などです。成人年齢の引き下げや、新社会人としての準備など、環境変化に伴う意識変化を求められる世代に指導していく立場として、大変すばらしい映画だと思いました。

動画を刑事政策の授業でご活用いただいた大学講師の方からのご感想
刑事政策の講義の一環として、単なる知識にとどまらず、死刑存廃問題を考えさせることを狙いとして、今回上映させていただきました。一般市民の生の声や、それが変化してゆく様は、受講生にとっても死刑問題を考えるよいきっかけとなったようです。また、死刑制度に反対する犯罪被害者のご遺族の様子に、死刑における被害者感情の意義について思いを巡らせる学生が多い様子でした。

「望むのは死刑ですかII オウム “大執行”と私」

2021年、ドキュメンタリー映画「望むのは死刑ですか 考え悩む”世論”」の続編「望むのは死刑ですかII オウム “大執行”と私」が制作されました。オウム事件の被害者側あるいは加害者側として死刑確定者らと直接向き合った「当事者」たちがその胸中を明かします。

語るのは、永岡英子さん(オウム真理教家族の会)、小川原優之弁護士(麻原彰晃の元弁護人)、岡田尚弁護士(被害者の坂本堤弁護士同僚)、滝本太郎弁護士(オウム事件被害者・脱カルト活動家)。「望むのは死刑ですかII オウム “大執行”と私」は、「望むのは死刑ですか 考え悩む”世論”」の上映会でのトークに新たなインタビューも加わり完成しました。2021年秋から全国の弁護士会などで上映されています。

予告編

2021年/HD/81分
制作・監督・撮影■長塚洋

本編の上映・視聴のお申し込み

ドキュメンタリー映画「望むのは死刑ですか~考え悩む”世論”」「望むのは死刑ですかII オウム “大執行”と私」は、中学校、高校、大学、専門学校などの教育機関や、各種団体、グループ等で、インターネット経由により無料で視聴することができます。「上映申請フォーム」よりお申し込み下さい。
教育機関では社会科などの授業、学校内の映画上映会のほか、様々なシーンでご活用いただくことが可能です。

*「望むのは死刑ですか~考え悩む”世論”」は、29分短縮版、59分通常版、29分英語字幕版、59分英語字幕版 があります。また、映画の中で、絞首刑(死刑)の方法をイラストで解説するシーンがあります。
*動画の概要と利用規約をご理解いただいた上で視聴申請を行って下さい。
*動画を視聴するためには、インターネット環境が必要です。

*日程に余裕をもってお申し込みください(上映2日前までにお願いいたします)。


 「望むのは死刑ですか ~ 考え悩む”世論”」
上映申請フォーム
「望むのは死刑ですかII オウム “大執行”と私」
上映申請フォーム

報告書「世論という神話 日本はなぜ、死刑を存置するのか【改訂版】」

この映画の「原作」でもある意識調査の報告書をご覧いただけます。
佐藤舞、ポール・ベーコン 著


報告書の概要はこちらでも。所要時間:2分

「望むのは死刑ですか~考え悩む”世論”」セミナー動画

ドキュメンタリー映画「望むのは死刑ですか~考え悩む”世論”」の「審議型意識調査」で行われた専門家の講義を、それぞれ約20分のセミナー動画にまとめました。どなたでも無料で視聴していただけます。


2014年12月20日 第1セッション
日本の死刑について

小川原優之:弁護士(日弁連死刑廃止検討委員会事務局長)


2014年12月20日 第1セッション
日本の死刑について ゲストスピーカー議論

佐藤舞:英国レディング大学法学部専任講師(当時)
小川原優之:弁護士(日弁連死刑廃止検討委員会事務局長)
高橋正人:弁護士(全国被害者の会・あすの会副代表幹事)
原田正治:被害者と加害者の出会いを考える会ocean



2014年12月20日 第2セッション
社会的包容と排除

浜井浩一:龍谷大学大学院法務研究科教授



2014年12月20日 第2セッション
社会的包容と排除 ゲストスピーカー議論
浜井浩一:龍谷大学大学院法務研究科教授
田鎖麻衣子:弁護士(NPO法人監獄人権センター事務局長(当時))
小川原優之:弁護士(日弁連死刑廃止検討委員会事務局長)
高橋正人:弁護士(全国被害者の会・あすの会副代表幹事)
原田正治:被害者と加害者の出会いを考える会ocean



2014年12月21日 第3セッション
冤罪を防ぐには
田鎖麻衣子:弁護士(NPO法人監獄人権センター事務局長(当時))



2014年12月21日 第3セッション
冤罪を防ぐには ゲストスピーカー議論
田鎖麻衣子:弁護士(NPO法人監獄人権センター事務局長(当時))
小川原優之:弁護士(日弁連死刑廃止検討委員会事務局長)
高橋正人:弁護士(全国被害者の会・あすの会副代表幹事)
福島至:龍谷大学法学部法律学科教授(龍谷大学矯正・保護総合センター長)



2014年12月21日 第4セッション
ゲストスピーカーQ&A
佐藤舞:英国レディング大学法学部専任講師(当時)
田鎖麻衣子:弁護士(NPO法人監獄人権センター事務局長(当時))
小川原優之:弁護士(日弁連死刑廃止検討委員会事務局長)
高橋正人:弁護士(全国被害者の会・あすの会副代表幹事)
福島至:龍谷大学法学部法律学科教授(龍谷大学矯正・保護総合センター長)
原田正治:被害者と加害者の出会いを考える会ocean