平成25年9月12日(木)法務大臣臨時記者会見の概要

本日,熊谷徳久の死刑を執行しました。この者に関する犯罪事実の内容等について概略を申し上げますと,現金欲しさに被害者1名を拳銃で射殺して現金等を強取し,さらに,その後,同様にして被害者1名を殺害しようとしたが殺害するに至らなかったという,強盗殺人,強盗殺人未遂等の事件です。この事件は誠に身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪った極めて残忍な事案でして,被害者や遺族の方々にとって,無念この上ない事件だと思います。そして当然のことながら,裁判所において十分な審理を経た上で最終的に死刑が確定したものです。以上のような事実を踏まえ,慎重な検討を加えた上で死刑の執行を命令した次第です。

死刑執行に関する質疑について

【記者】
前回の執行から4か月半ですが,この時期を選ばれた理由と,今回の執行をもって死刑確定者は何人になったかというのを教えてください。
【大臣】
まず,なぜこの時期かということについて,執行の具体的な状況についてはお答えは差し控えたいと思います。ただ,死刑という究極の刑罰を執行するためには,当然のことながら確定判決がもちろん前提ですが,いろいろな事由,例えば再審に該当する事由はないかとか,あるいは刑の執行停止を命ずるべき事由があるのかないのかということを慎重に検討した上で,今の時期に執行を命じたということです。それから現在の未執行者の数は,本日の執行の前が133名で,執行後が132名ということです。
【記者】
今回の熊谷死刑確定者は再審請求がなされていたかどうか教えてください。
【大臣】
再審請求をしているかしていないかは,それぞれのプライバシーに関することになりますからお答えを差し控えます。
【記者】
今回の執行に大臣は立ち会いましたか。
【大臣】
立ち会っておりません。
【記者】
今後立ち会いたいという意志はありますか。
【大臣】
特段,現在のところは考えておりません。
【記者】
確認ですが,一番最初の質問のお答えでは,「確定判決を前提に様々な理由,例えば再審に該当するかどうかなどを検討した。」とおっしゃったのでしょうか。
【大臣】
いつもそうですが,再審に当たる事由があり得るかどうか,あるいは,執行停止を命ずるべき事由があるかどうか,こういったことを検討した上で執行を命ずるということです。
【記者】
刑の確定日を教えてください。
【大臣】
確定日は平成23年3月12日です。
【記者】
今回の熊谷死刑確定者は,確定から2年半の執行であり,平均から見ると非常に早いものです。前回の執行もそうでしたが,確定から比較的早い段階での執行というのが続いていますが,その点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
どういう基準で今回の執行を命じたかということになりますが,これはお答えは差し控えたいと思います。ただ,先ほど申し上げたように,一般論として言えば,再審の事由とか,死刑の執行停止を命ずるべき事由がないかどうかなど,当然,法務省でも担当の者において,正確な,精密な吟味をした上で,私自身も書類等を精査して決めるということです。ある程度手順というものが必要なこと,時間がそれぞれ検討には必要であるということはございますが,一般論で言えばそういうことです。
【記者】
現在の死刑制度の是非について,法務省内での検討状況ないし今後検討をされる御予定など,大臣に今お考えはありますか。
【大臣】
現在のところ特にそういうことは考えておりません。もちろん,国会等でそういった議論がなされることもあり得るだろうと思いますし,もし問題があるとすれば検討しなければなりませんが,現在のところ,特段のことが必要だとは思っていません。
【記者】
死刑執行が今日になったというタイミングについてですが,大臣は8月にヨーロッパの方へ外遊に行かれました。ヨーロッパの国々は死刑に対して人権の関係から大変厳しい考えがありますが,ヨーロッパ外遊と今回の死刑執行のタイミングというのは何か関係はあるのでしょうか。
【大臣】
直接の関係はありません。
【記者】
死刑の執行方法について,再検討をする考えはありますか。
【大臣】
特段,今は考えておりません。
【記者】
大臣になられてからの執行で,今年2月が3人で,4月は2人の執行でしたが,今回は1人ということで,人数に何か基準というものはあるのでしょうか。
【大臣】
ありません。先ほど申し上げたようなことで,一つ一つ検討していくということです。
【記者】
前回の執行から5か月の間に,70歳代の高齢の死刑確定者が2人拘置所内で病死をしています。1人については,刑の確定から25年ぐらい経っていて,もう1人は9年ぐらい経っていました。一方で,今回は確定から2年半で執行され,前回は1年4か月で執行された死刑確定者がおりましたけれども,再審などの事情があるとは思いますが,そういった執行までの期間に大きな差があることや,確定から執行されるまでに長い間,時間が経っている死刑確定者がいる現状についてどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
これは個々の死刑執行をどうしていくかという問題です。これについてはお答えは差し控えたいと思っております。
【記者】
未執行の死刑確定者のうち,裁判員裁判で確定した死刑確定者は何人でしょうか。
【大臣】
裁判員裁判で死刑判決を受けた死刑確定者の未執行者数は4名です。
(以上)