平成26年6月26日(木)法務大臣臨時記者会見の概要

本日,川﨑政則の死刑を執行いたしました。この者に関する犯罪事実の内容等について概略を申し上げますと,本件は,かねてから恨みを抱いていた義理の姉の家に侵入し,同女及びその場に居合わせた同女の孫2名の合計3名を包丁で刺殺し,死体を運搬して土中に遺棄したという殺人,死体遺棄等の事件であります。本件は,誠に身勝手な理由から被害者3名の尊い人命を奪った極めて残忍な事案であり,被害者や遺族の方々にとって,無念この上ない事件であると思います。そして,当然のことながら,裁判所において十分な審理を経た上で最終的に死刑が確定したものでございます。以上のような事実を踏まえまして,慎重な検討を加えた上で死刑の執行を命令した次第です。

死刑執行に関する質疑について

【記者】
前回の執行から半年ですが,この時期を選ばれた理由,また,川﨑死刑確定者に執行した理由があればお聞かせください。
【大臣】
時期については,慎重に検討して,そしてこのような決定を下したということで,それ以上のお答えは差し控えたいと思います。それから,なぜ今回,川﨑死刑確定者に執行を命じたのかということについてですが,個別の死刑執行の理由についてはお答えを差し控えています。
【記者】
今年3月のいわゆる袴田事件の再審開始決定がなされて,死刑制度に対する関心が高まっている中での執行ということになりますけれども,このことが死刑執行そのものですとか,時期に与えた影響があるのかどうかということについてお聞かせください。
【大臣】
これは,先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが,執行を命ずるときは,それぞれ慎重な判断の上に,記録も精査して執行を命ずるという次第でございまして,それ以上いろいろなことを申し上げるのは差し控えたいと思います。
【記者】
本日執行後の確定者数と,再審請求・恩赦出願中の者の数,あと今回の方が再審請求をされていたかどうか,この3点をお願いします。
【大臣】
現在の未執行者の数は,この死刑執行後129名です。また,現在,再審請求中の者が89名,恩赦出願中の者が24名です。それから,川﨑死刑確定者が再審請求をしていたかどうかということについては,お答えすることは差し控えたいと思います。
【記者】
大臣は今年4月の法務委員会で,死刑執行に当たって一番精査すべきは行為者の同一性であるとおっしゃっていましたけれども,先ほども少しありましたが,改めて,今回なぜこの者を選んだのかというところについて,その点も踏まえて御発言いただいてよろしいでしょうか。
【大臣】
これは,一つ一つ検討して,慎重に判断したとしか申し上げようがないのです。一番大事なことは,この者が実行行為をしたのかどうかということですが,そういったことはもちろん全て裁判で審議を尽くされていると思います。しかし,それに加えて,法務大臣が死刑の執行を命ずるという慎重な制度の仕組みになっている。法務大臣として,そのときにいろいろ考えなければならない,検討しなければならない点が当然あると思います。一番の問題は,要するに,えん罪ということがしばしば議論されておりますが,私の能力の及ぶ限りで,この者が実行行為をしたのかどうかということを最大の重要事項といいますか,検討するのはそういう意味で当然のことだろうと思っています。
【記者】
確定から執行までの平均期間のようなものがあればお願いします。
【大臣】
平成16年から25年までの10年間の死刑執行で申しますと,確定後,執行までの期間は平均して約5年6か月になります。
【記者】
今後ですけれども,死刑制度の存廃,執行方法も含めて見直す必要性があると考えておられるのか,ないと考えておられるのか,その辺をお願いします。
【大臣】
法務省としてそういうことを検討するかというと,特段今,特別な検討をする必要はないと考えています。もちろん,国民の間でも国会でもいろいろな御議論があり得ると思います。そういう御議論の動向には注意を払っていかなければいけないと思っています。
【記者】
本日の未明に,別の死刑確定者が病死するという事案がありました。最近,確定から長期間たっている死刑確定者が病死する事案が相次いでおりますけれども,これは死刑という刑が執行されない形になるわけですが,これについてはどのようにお考えになっておられますでしょうか。
【大臣】
執行される前に亡くなられる方も時々いるわけです。これは,それぞれ病気などの理由でお亡くなりになるわけですが,それは当然その死刑の執行が不可能になるわけです。今おっしゃったのは執行までの期間が長いということだと思います。今現在,先ほどお答えしたように未執行者が129名おり,これは決して今までで一番多いわけではありませんが,長期的に見ますと,未執行者の数が非常に多くなっていることは事実です。いろいろな経緯があることでそうなっているわけですけれども,私は余り多くなるというのが望ましいわけでは決してないと思っておりますが,だからといって特別な事をしなければならないとか,する必要があるというわけではないと思います。
【記者】
先ほど再審請求中の人数を御紹介いただきましたけれども,死刑を執行するに当たり,死刑確定者が再審請求をしているかどうかなどが配慮する材料になっているのかどうか,その辺りをお伺いします。
【大臣】
再審請求をしているということで死刑を執行しないという立場は取っておりません。
(以上)