平成25年12月12日(木)法務大臣臨時記者会見の概要

本日,藤島光雄加賀山領治の2名の死刑を執行いたしました。この2名に関する犯罪事実の内容等について,それぞれ概略を申し上げますと,まず,藤島光雄につきましては,警察に通報されて逮捕されることを恐れ,その口封じのため,元妻の伯母ら2名を殺害するなどしたという殺人並びに死体遺棄等事件です。続きまして加賀山領治につきましては,金品欲しさに被害者2名をナイフで刺殺し,被害者1名を殺害しようとしたが,殺害するに至らなかったという強盗殺人,強盗殺人未遂事件であります。いずれの事件を見ましても,誠に身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪った極めて残忍な事案でありまして,それぞれの被害者や遺族の方々にとって無念この上ない事件だと思います。そして,当然のことながらいずれの事件も裁判所におきまして,十分な審議を経た上で最終的に死刑が確定したものでございます。以上のような事実を踏まえ,慎重な検討を加えた上で,死刑の執行を命令した次第です。

死刑執行に関する質疑について

【記者】
2人の刑の確定日を教えていただけますでしょうか。
【大臣】
藤島光雄は平成7年6月27日確定です。加賀山領治は平成24年8月4日確定です。
【記者】
加賀山死刑確定者は,確定から1年半程度ということで比較的短いと思いますが,この2人の執行を決められた理由についてお聞かせいただけますでしょうか。
【大臣】
死刑執行する選択の理由については,今まで申し上げることは差し控えてまいりました。当然のことながら,藤島,加賀山両名につきまして,記録を精査した上で,慎重に判断をいたしました。一般論でございますが,そういうことに尽きます。
【記者】
執行後の確定者数を教えてください。
【大臣】
本日執行後,死刑確定者は129名です。
【記者】
今の129名のうち,何名が再審請求中で,今回の2人がどうなのか教えてください。
【大臣】
現状で法務省が把握している範囲でございますが,再審請求中は85名,それから恩赦出願中は26名,この中には重複もございます。
【記者】
今回の2人についてはどうでしょうか。
【大臣】
それぞれの恩赦ないしは再審請求については,個別に申し上げることは差し控えております。
【記者】
谷垣法相が就任されてから執行は4回目になると思いますが,今まで大臣は,死刑執行については国民に理解されているという御認識を示されております。死刑執行については海外から批判もありますが,改めて死刑についての考え方をお聞かせください。
【大臣】
当然のことながら,死刑は人の生命を奪うという,極めて峻厳な刑罰でございます。ですから,もちろん死刑が確定に至るまで,司法府において慎重な検討を加えた上で,こういう判決になっていることと思いますが,その上で他の犯罪と違いまして,死刑については判決が確定した後直ちに執行されるというものではなくて,法務大臣が命令をして行うということになっております。それだけ慎重な手続が要求されているものと思いまして,私としても慎重に記録等を精査した上でこのような決定に至ったわけであります。死刑に関しましては,いろいろな御批判もございます。国際的にもいろいろな議論はございます。ただ,私は,日本ではこういう死刑というものが法定されていますし,国民の支持も基本的にあるものだと思っております。もちろん,問題があればその問題をきちんと解決すべきことは言うまでもありませんが,現状においては,私はこの死刑というものを維持していくことに変化を迫る情勢はないものと考えております。
【記者】
執行方法についても批判があるようですが,執行方法の見直しというのは考えておられるのでしょうか。
【大臣】
特段考えておりません。
【記者】
先ほど,この2人を選ばれた選択の理由はおっしゃらないということだったのですけれども,1人は確定から1年半ほど,もう1人は20年近く確定から経っていて,確定から期間が短い方の選択と,長く継続して死刑確定者のままいた方の選択ということで,何かその選択の仕方について2人を選ばれた理由があるのか,今一度お願いします。
【大臣】
繰り返しになりますが,なぜこの方をということについては申し上げないことにしております。それぞれの確定後の執行に至るまでの期間の長短というのは,それは様々な経緯があったものと存じます。執行の命令をする職責を担っている私としては,まず事務方に,十分関係記録を精査してもらいます。精査の中心的部分は,果たして本当にこの者がその行為を行ったということに疑義があるかどうか,そこをまずきちんと精査しなければなりません。それから恩赦,再審等の事由があるかないか,そのようなことを精査してもらった上で,事務方として執行すべきであると判断したもの,そして執行することに障害はないと考えたものについて,私自身も関係記録をかなり時間を掛けて読んで,そして執行すべきだと判断したものを執行している,こういうことでございます。
【記者】
今回の藤島死刑確定者は再審請求をしていたという話がありますけれども,今おっしゃられたように,判断に当たっては恩赦,再審等の事由があるかないか慎重に判断されているということですが,再審請求をしている死刑確定者の刑の執行というところについては,どういう観点で慎重に見られているのか,どういう理由で慎重に見られているのかということをお聞かせください。
【大臣】
再審請求というのは,確定判決の後で特別な事由があったものということでございます。やはり確定判決という制度を前提といたしますと,再審請求があるから死刑を執行しないという考え方は採っておりません。採っておりませんが,再審を申し立てるにはそれぞれの事情があると思います。そういったことも十分,私どもとしては考慮して判断をするということであります。
【記者】
藤島死刑確定者のことで1つ確認なのですが,過去の資料を見ると,被害者の1人が「元妻の祖母」というふうになっているのですが,「元妻の伯母」ということで間違いないでしょうか。
【大臣】
伯母ということでございます。それ以上に立ち入ったことは差し控えたいと思います。刑罰権というのを国家は持っていますが,その刑罰を終えた後,それぞれの死刑確定者においてもプライバシーがあると存じます。周辺の方々にももちろんそういうプライバシーがあると思います。今申し上げたことは私たちが確定記録について申し上げられることを申し上げたということでございます。
【記者】
4回目の執行ということで,ペースの話になるのですけれども,2か月から4か月の間隔で執行されていると思います。比較的早いペースで執行されているという見方をする方が多いのですけれども,このペースについて,大臣の判断の理由やお考えになっていることをお聞かせいただきたいのと,国会が終わってからの執行ということになりましたが,それを考慮したかどうかについてお聞かせください。
【大臣】
まず後の方からお答えいたしますと,特段国会開会中であるかどうかということを考慮に入れているわけではありません。それから,その2つに通じて言えますことは,やはり死刑の執行を命ずるというのは相当な準備,それからもちろん事務方も精査をいたしますが,私自身も記録等をしっかり読んで判断するという時間が必要でございます。そういう手続を経た上で執行を命じているという以外にお答えすることはないというのが私の考え方でございます。
(以上)