表の記載順序は、原則として事件を終了させる裁判の日を基準とし、控訴・上告が取下げられた場合は取下げの日、決定で控訴が棄却された場合は当該決定の日によっています。
表の左端に付された番号は、死刑確定者の現在数を把握する便宜上、付しているものであり、死刑確定の順序を示すものではありません。※本ページの引用方法(推奨):CrimeInfo(crimeinfo.jp)掲載『死刑確定者リスト 全リスト』より引用

該当件数:49件

1 大濱松三 74.8.28
(一審判決)
75(昭50).10.20
横浜地裁
小田原支部
昭49(わ)310
判タ329号117頁
TKC D1-Law
(読75.10.20夕)
控訴取下
76(昭51).10.5
事件の終了を宣言した決定76(昭51).12.16
上記決定に対する異議申立の棄却決定77(昭52).4.11
東京高裁
昭50(う)2621
裁判所ウェブサイト
(朝日77.4.12朝)
いわゆるピアノ騒音殺人事件。「ピアノがうるさい」と同じ団地に住む母子3人を殺害。弁護側は、被害者から刺されるのではないかとの恐怖にかられた異常な精神状態からの犯行であること、犯行当時は善悪の弁識に従って行動する能力が著しく減退していたことを主張して減刑を求めたが、判決は「悔悟の情を示していない」として死刑。弁護人が控訴したが、本人が「音が耐えられない」と控訴取り下げ、弁護人が取下無効を主張して異議申し立てしたが、本人の意思が有効であると棄却され、死刑が確定した。逮捕時(74.8.31)46歳(読74.8.31夕)。
2 関幸生 執行
93.11.26
享年47歳
(朝日93.11.28朝)
77.12.3
(読78.6.4朝)
79(昭54).5.17
東京地裁
(読79.5.17夕)
82(昭57).9.1
東京高裁
(読82.9.1夕)
いわゆる世田谷老女強殺事件。知人とともに世田谷の一人暮らしの老女を絞殺、遺体を川に投げ捨て、土地の権利証などを奪って約7000万円の土地を売却した(読79.5.17夕)。捜査段階で全面的に自白(読78.6.3夕)。上告せず確定(読93.11.27夕)。
3 藤岡英次 執行
95.5.26
享年40歳
(読95.5.27朝)
78.11.12 /12.16
(読83.4.1夕)
83(昭58).4.14
徳島地裁
(読83.4.14夕)
控訴取下
83(昭58).5
(読95.5.27朝)
確定は同月2日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる徳島二老人殺人事件。金欲しさから徳島県池田町と徳島市で行きずりの老人2人を殺害、現金2800円を奪った(読83.4.14夕)。本人控訴取り下げ。確定後、「池田町の殺人はやっていない」として再審を請求したが、それも取り下げた(読95.5.27朝)。
4 佐々木和三 執行
94.12.1
享年66歳
(読94.12.2朝)
84.9.9
(朝日84.9.10朝)
85(昭60).6.17
青森地裁
(朝日85.6.17夕)
控訴取下
85(昭60).7.2
(朝日85.7.3朝)
いわゆる青森旅館他殺人事件。金を奪おうと旅館の女主人に包丁を突き付けたが騒がれたために刺殺、旅館を飛び出したところに偶然通りかかった通行人も刺殺した。この事件の前に強盗殺人事件を起こし、無期懲役の判決を受けて仮釈放、その後無銭宿泊で逮捕されて83年9月まで服役していた(朝日85.6.17夕)。弁護人が控訴したが、本人が取り下げ、確定(朝日85.7.3朝)。
5 須田房雄 執行
95.5.26
享年53歳
(読95.5.27朝)
86.5.9
(読86.12.22夕)
86(昭61).12.22
東京地裁
(読86.12.22夕)
控訴取下
87(昭62).1.19
(読87.1.20朝)
いわゆる裕士ちゃん誘拐殺人事件。飲食店開業資金を手に入れようと、路上で6歳の男児を誘拐して近くの神社で殺害、その後身代金を要求。受け取りにきたところを逮捕された(読86.12.22夕)。弁護人が説得して控訴したが、本人が取り下げ、確定(朝日87.1.20朝)。
6 井田正道 執行
98.11.19
享年56歳
(読98.11.19夕)
79.11
~83.12
(毎98.11.19夕)
85(昭60).12.2
名古屋地裁
(朝日85.12.2夕)
87(昭62).3.31
名古屋高裁
(読87.4.15夕)
いわゆる名古屋連続保険金殺人事件。ガソリンスタンド店員の長谷川敏彦死刑確定者と共謀し、知人や雇い人に生命保険をかけたうえ、交通事故を装ったり、海に突き落とすなどして3人を殺害した。行方不明になった金融業者の死体が愛知県・衣浦港にいかり3個が付いたままの状態で浮かび上がったことから一連の保険金殺人が発覚、井田・長谷川両死刑確定者ともに犯行を自白した(朝日85.12.2夕)。上告せず確定。家族や弁護人から上告を勧められていたが、「子供たちのためにも罪を認めて潔く刑に服したい」と上告を拒んでいた(毎87.4.15夕)。共犯の長谷川死刑確定者は1993年に確定。
7 日高安政 執行
97.8.1
享年54歳
(読97.8.2朝)
84.5.5
(読87.3.9夕)
87(昭62).3.9
札幌地裁
(読87.3.9夕)
控訴取下
88(昭63).10.13
(読88.10.15朝)
いわゆる夕張保険金目当て放火殺人事件。妻の日高信子死刑確定者と共謀し、暴力団組員に指示して経営していた炭鉱従業員宿舎に放火させ全焼させた。これにより作業員4人と子供2人が焼死、失火を装って保険会社から保険金をだまし取った。一審では殺意の有無が争点となり、安正死刑確定者は「火災保険金さえ手に入ればよかった」と全員に対して殺意を否定したが、判決は、被害者らに飲酒させた後就寝間もない時間を狙って放火させている点などから未必の故意を認定した(読87.3.9夕)。大喪の礼に伴う恩赦を期待して控訴取り下げ、確定。拘置所で写経に専念する毎日だったという(毎89.2.8夕)。審理再開申立もしたが、棄却(読97.6.3朝)。
8 日高信子 執行
97.8.1
享年51歳
(読97.8.2朝)
84.5.5
(読87.3.9夕)
87(昭62).3.9
札幌地裁
(読87.3.9夕)
控訴取下
88(昭63).10.11
(読88.10.15朝)
いわゆる夕張保険金目当て放火殺人事件。夫の日高安政死刑確定者と共謀し、暴力団組員に指示して経営していた炭鉱従業員宿舎に放火させ全焼させた。これにより作業員4人と子供2人が焼死、失火を装って保険会社から保険金をだまし取った。一審では殺意の有無が争点となり、信子死刑確定者は、飲酒すると泥酔することの多かった1人については未必の故意を認めたが、「犠牲者が出ないようにと指示したのに(実行犯が)言ったとおりにやらなかった」と主張。判決は、被害者らに飲酒させた後就寝間もない時間を狙って放火させている点などから未必の故意を認定した(読87.3.9夕)。大喪の礼に伴う恩赦を期待して控訴取り下げ、確定。深く反省して事件について文章をまとめる毎日を過ごしていたという(毎89.2.8夕)。審理再開申立もしたが、棄却(読97.6.3朝)。
9 平田光成 執行
96.12.20
享年60歳
(読96.12.21朝)
78.5.21
/6.10
(読88.10.21朝)
80(昭55).1.18
東京地裁
(読80.1.19朝)
82(昭57).1.21
東京高裁
昭57(う)739
高刑速(昭57)107頁
TKC (読82.1.22朝)
上告取下
88.10.20までに
(読88.10.21朝)
確定は同月17日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる銀座ママ他殺人事件。経営する化粧品会社従業員の野口悟死刑確定者と共謀し、東京・銀座のクラブママを絞殺、現金などを奪った。また、ソープランド嬢を山林に連れ出して殺害、現金を奪った。一審では「最初から殺す気はなかった」と殺意を否定したが、判決は計画性を認めた。大喪の礼に伴う恩赦を期待して上告取り下げ、確定(読88.10.21朝、毎89.2.8夕)。共犯の野口悟死刑確定者は1990年に確定。
10 今井義人 執行
96.12.20
享年55歳
(朝日96.12.21朝)
83.1.29
(控訴審判決)
84(昭59).6.5
東京地裁
(読84.6.6朝)
85(昭60).11.29
東京高裁
昭59(う)1177
高刑速(昭60)238頁
TKC D1-Law
(朝日85.11.30朝)
上告取下
88.10.27までに
(毎88.10.28朝)
確定は同月24日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる元昭石重役一家殺人事件。保険代理店の資金繰りに困り、おじの元昭石油重役に借金を申し入れたが、これを拒否され、さらに生活態度などを非難されて激憤。深夜におじ宅に侵入、一家3人を殺害して預金通帳などを奪った。一審初公判で起訴事実を全面的に認め、犯行時の精神状態が争点となった。弁護側は鑑定結果から「精神安定剤の常用で犯行の歯止めがきかなかった」と主張したが、判決で退けられた。大喪の礼に伴う恩赦を期待して上告取り下げ、確定(毎89.2.8夕、毎88.10.28朝)。
11 高田勝利 執行 99.9.10 享年61歳 (読99.9. 10夕) 90.5.2 (一審判決) 92(平4).6.18 福島地裁郡山支部 平3(わ)12 判時1449号157頁 TKC D1-Law (毎92.6.18朝) いわゆる飲食店女性経営者殺人事件。職場の同僚の女性を殺して無期懲役となり、仮釈放から3か月後に飲食店の女性経営者をハンマーで殴って殺害、現金の入ったバックを盗んだ。控訴せず確定(読99.9.10夕)。公判で弁護側は「成人後の34年の大半を刑務所内で送ったため、社会常識を学ぶ機会がなかった」として情状酌量を訴えていた。
12 澤地和夫 病死 08.12.16 享年69歳 胃がん治療 中、多臓器 不全(読08. 12.16夕) 84.10.11 ~25 (読87.10. 31朝) 87(昭62).10.30 東京地裁 昭59(合わ)346等 判タ663号201頁 D1-Law (読87.10.31朝) 89(平1).3.31 東京高裁 (読89.3.31夕) 上告取下 93(平5).7.7 (読93.7.8朝) いわゆる山中湖連続殺人事件。警視庁退職後に、猪熊武夫死刑確定者らと共謀し、宝石商の男性、金融業の女性を絞殺して現金などを奪い、2人とも山中湖畔の別荘の床下に埋めた。拘置所において死刑確定前に新聞の一部がスミ塗されたことなどに対し国家賠償請求訴訟を起こすなど、死刑確定者の待遇改善を訴える活動も行っていた(読08.12.16夕)。3年にわたり止まっていた死刑再開に抗議、上告取り下げ、確定(読93.7.8朝)。共犯の猪熊死刑確定者は1995年に確定。07年東京高裁で再審請求棄却、即時抗告(朝日07.2.1朝)。
13 牧野正 執行
09.1.29
享年58歳
(読09.1.29夕)
90.3.12
(読93.4.23夕)
93(平5).10.27
福岡地裁小倉支部
平2(わ)257等
判時1511号171頁
TKC D1-Law
(読93.10.28朝)
控訴取下
93.11.17までに
(読93.11.18朝)
確定は同月16日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる北九州母娘殺傷事件。北九州市の民家に侵入して女性を包丁で刺殺、財布を盗み、その後帰宅した女性の母親にも大怪我をさせる。70年に起こした強盗殺人事件で無期懲役の判決を受け、仮釈放中の事件。一審で死刑求刑に対し、弁護側は「生まれながらに脳障害があり自分の行動を抑止する能力が劣っていたと考えられ、情状面を考慮すべきだ」として無期懲役が相当と主張したが、牧野死刑確定者は「死をもって償いたい。申し訳ない気持ちでいっぱいです」と述べた(読93.6.8西部朝)。弁護人控訴を本人が取り下げ、確定(読93.11.18朝)。2000年になって弁護人が、「取下げ当時は死刑判決のショックで判断能力を欠き、控訴審の弁護人も選任されていなかった」と取下げ無効を主張したが、認められず(読04.6.17朝)。再審請求棄却(読06.2.4夕)。
14 宮脇喬 執行 00.11.30 享年57歳 (朝日00. 11.30夕) 89.2.14 (読94.4. 13朝) 89(平1).12.14 岐阜地裁 (朝日89.12.15朝) 90(平2).7.16 名古屋高裁 平2(う)17 高刑速(平2)215頁 TKC D1-Law (読90.7.16夕) 上告取下 94(平6).3.7 (朝日94.4.12夕) いわゆる先妻家族3人殺人事件。復縁話のもつれから、別れた妻の両親と妹の計3人を刺殺。公判では殺意を全面的に否定。弁護士にも知らせないまま上告を取り下げ、確定。拘置所内でキリスト教の洗礼を受けた。取下げ後、「すべてを神にゆだねました」などとする手紙を送っていたという(朝日94.4.12夕)。
15 浜田美輝 執行 02.9.18 享年51歳 (朝日02. 9.18夕) 94.6. 2~3 (読94.6. 6朝) 98(平10).5.15 岐阜地裁 (朝日98.5.15夕) 控訴取下 98(平10).6.3 (朝日98.6.4朝) いわゆる岐阜一家三人殺人事件。交際女性との別れ話がこじれ、無理心中しようと女性宅を訪問、女性の両親と妹に「帰っていない」と言われ、「うそをついている。バカにしている」と思い込み、3人を殺害(朝日02.9.18夕)。一審で夫婦に対する殺意は認めたが、妹に対する殺意は否定(読94.9.23中部朝)。塗装工をしていた1980年にも妻を殺害し、自殺を図っていた(朝日94.6.6朝)。弁護士が本人の同意なく控訴(読98.5.30中部朝)、後に本人控訴取り下げ、確定(朝日98.6.6朝)。
16 日高広明 執行 06.12.25 享年44歳 (読06.12. 25夕) 96.4.18 ~9.14 (読00.2. 9夕) 00(平12).2.9 広島地裁 (読00.2.9夕) いわゆる広島女性4人連続殺人事件。犯行当時、タクシー運転手。女性を営業中のタクシーに乗せて次々と殺害、現金を奪った後、遺体を捨てた。被害者は4名(読00.2.9夕)。控訴せず確定(読00.2.24夕)。公判で「一日も早く被害者のもとへ行って、おわびしたい」などと述べていた(毎00.2.25大阪朝)。再審請求をする意思があるかどうかを確認するための面会を広島拘置所から拒否されたとして弁護士が損害賠償を求めて提訴したが、最高裁で敗訴が確定(読11.10.18朝)
17 小田義勝 執行 07.4.27 享年59歳 (読07.4. 27夕) 90.12. 25~26 (読00.3. 15夕) 00(平12).3.15 福岡地裁 平8(わ)161 判タ1058号279頁 TKC D1-Law (読00.3.15夕) 控訴取下 00(平12).3.30 (読00.4.3夕) いわゆる福岡・赤池町保険金殺人事件。当時交際していた女性(指名手配され、9年後に出頭、無期懲役判決)と共謀し、保険金目当てで無理心中を装って男女2人を殺害。一審当初は無罪を主張したが、義母の証人尋問後の公判で一転して起訴事実を認めた。弁護人が控訴したが、本人が「早く決着をつけたい」と控訴取り下げ、確定。共犯者女性の公判では福岡拘置所において出張尋問が行われ、共犯者女性を「死刑にだけはしないでほしい」と証言した(毎01.02.27夕)。
18 竹澤一二三 執行 07.8.23 享年69歳 (読07.8. 23夕) 90.9.13 /93.7.28 (一審判決) 98(平10).3.24 宇都宮地裁 平5(わ)345等 判時1665号145頁 TKC D1-Law (読98.3.24夕) 00(平12).12.11 東京高裁 平10(う)712 高刑速(平12)133頁 TKC D1-Law (読00.12.11夕) いわゆる今市連続殺人事件。自分の妻をかくまっていると誤解し、建設会社役員を殺害。その後妻と離婚したが、元妻の浮気相手と思い込んだ男性、およびその妻を知人(20万の報酬で協力を依頼)と共に殺害、その自宅を放火した。公判では責任能力が争点となったが、判決では責任能力は認められるとされた。上告せず、確定(読00.12.11夕)。
19 岩本義雄 執行 07.8.23 享年63歳 (読07.8. 23夕) 96.6.10 /99.7.8 (一審判決) 01(平13).2.1 東京地裁 平11(合わ)333等 D1-Law (読01.2.1夕) 控訴期間内に 控訴取下 (朝日01.02.17夕) いわゆる東京連続強盗殺人事件。ギャンブルで負けて金がなかったため、会社員女性と、恩人である親戚の会社社長を殺害、現金を奪った。判決は女性会社員殺害で自首を認めたが、「反省悔悟の心情から自白したとはいえず、刑を減軽すべきではない」と判断。公判で岩本死刑確定者は「死刑判決を望む」と話していたが、弁護人が「極刑を一審で確定させるわけにいかない」と即日控訴(毎01.2.1夕)。本人が控訴期限内に取り下げ、一審で死刑が確定(読01.02.19夕)。
20 横田謙二 99.1.9 (読01.6. 28夕) 無期懲役 01(平13).6.28 さいたま地裁 平11(わ)585 裁判所ウェブサイト (読01.6.28夕) 02(平14).9.30 東京高裁 平13(う)2062 高刑速(平14)86頁 TKC D1-Law (読02.9.30夕) 上告取下 02(平14).10.24 平19(あ)1684 裁判所ウェブサイト (読02.10.26朝) いわゆる川口バラバラ殺人事件。強盗殺人で無期懲役判決を受けて仮釈放中、自宅に招いたスナック従業員の女性と口論になり、女性の首を絞めて殺害。遺体をバラバラに切断して荒川に捨てた。一審判決は、横田死刑確定者が謝罪を述べていること、また、犯罪性向が議論の余地なく改善不可能なほどにまで進んでいるものとは言えないとして無期懲役、控訴審は「ささいなことに過剰に反応する性格の矯正は事実上不可能。被害者が1人でも、極刑はやむを得ない」とした。本人上告取り下げ、確定(読02.10.26朝)。逮捕時(99.4.9)49歳(読99.4.9夕)。
21 府川博樹 執行
07.12.7
享年42歳
(読07.12.
7夕)
99.4.19
(読99.5.
19朝)
01(平13).3.21
東京地裁
平11(合わ)209等
TKC D1-Law
(読01.3.21夕)
01(平13).12.19
東京高裁
平13(う)886
裁判所ウェブサイト
(読01.12.19夕)
上告取下
03(平15).1.5
(読03.7.14朝)
確定は同月19日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる江戸川老母子強盗殺人事件。女性との交際費に困り、知り合いの女性に借金を申し込んだが断られ、首を絞めた上包丁で刺殺。さらに事件を目撃した女性の母親も刺殺した。一審初公判で起訴事実を認める。本人上告取り下げ、確定(読03.7.14朝)。
22 吉岡守
(旧姓名
宅間守)
執行
04.9.14
享年40歳
(読04.9.
14夕)
01.6.8
(読03.8.
28夕)
03(平15).8.28
大阪地裁
平13(わ)5006等
判時1837号13頁
TKC D1-Law
(読03.8.29朝)
控訴取下
03(平15).9.26
(読03.9.27朝)
確定は12月5日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる池田小学校児童殺傷事件。大阪教育大学付属池田小学校に侵入、児童8人を刺殺、その他13人の児童と教諭2人に重軽傷を負わせた。犯行動機は、元妻との復縁がかなわず、生活にも行き詰ったことなどから自暴自棄になり、以前から空想していた大量殺人を実行しようと考えたとされる。旧姓宅間(東京04.9.14朝)。本人控訴取り下げ、確定(読03.9.27朝)。「3か月以内の執行を望む」と自ら早期執行を望む手紙を弁護人に出していた(読03.10.1朝)。確定から1年という異例の速さでの執行(毎04.9.14夕)。法廷では最後まで反省の言葉なく、傍聴席の被害者らに対しても不遜な態度をとり続けていたが、面会を繰り返していた臨床心理士は、執行後に、「罪の深さを認識するようになった」と会見で述べている(読04.9.15朝)。精神鑑定書のほぼ全文が公開されている(『宅間守 精神鑑定書 精神医療と刑事司法のはざまで』)。
23 名古圭志 執行 08.2.1 享年37歳 (読08.2. 1夕) 02.8.16 (一審判決) 04(平16).6.18 鹿児島地裁 平14(わ)372 TKC D1-Law (読04.6.18夕) 控訴取下 04(平16).8.26 (毎04.9.2夕) いわゆる徳之島兄家族殺傷事件。実の兄とその長女への逆恨みから兄家族を殺害しようと企て、兄宅において、兄の次男を刺し、兄の妻と長女を殺害。初公判で起訴事実を認める。兄は公判で「文句があるなら私に言えばよかったのに。被告人を極刑にしてほしい」と訴えた(読03.11.6西部朝)。本人控訴取り下げ、確定(毎04.9.2夕)。
24 坂本正人 執行 08.4.10 享年41歳 (読08.4. 10夕) 02.7.19 (一審判決) 無期懲役 03(平15).10.9 前橋地裁 平14(わ)480 裁判所ウェブサイト (読03.10.9夕) 04(平16).10.29 東京高裁 平15(う)2869 高刑速(平16)105頁 TKC D1-Law (読04.10.29夕) いわゆる群馬県大胡町女子高生誘拐殺人事件。少女を拉致監禁して強姦したうえ殺害し、その所持金を奪い、その少女の家族に対して身代金を要求してこれを手に入れた。前科前歴のない犯人による被殺者1名の事件。控訴審東京高裁は、一審無期懲役を量刑判断の誤りとして破棄、死刑を宣告した。前妻らが家出したことをきっかけに自暴自棄になり、福祉事務所に保護されていた前妻らとの面会を迫る目的で被害者を略取したとされる。一審無期懲役に対して、検察側とともに坂本死刑確定者も死刑を求めて控訴(読04.10.29夕)。控訴審において、一審判決は「死刑じゃないのはおかしい」などと不可解な供述に終始。一審の弁護人に対しては、「釈放されても行く当てもなく金もない。だから死刑にしてくれ」と話していたという。上告せず、確定(読04.11.16朝)。
25 高根沢智明 執行 21.12.21 享年54歳 (朝日21.12.22朝) 03.2.23 /4.1 (一審判決) 04(平16).3.26 さいたま地裁 平15(わ)1637 TKC D1-Law (読04.3.27朝) 控訴取下 05(平17).7.13 (読05.9.23朝) いわゆる群馬パチンコ店員連続強盗殺人事件。金に困り、知人のパチンコ店員を殺害して現金300万円を奪った。盗んだ金で連日遊び、わずか1ヵ月で使い切ったため、再び同様の手口で大金を盗もうと計画、他のパチンコ店員を殺害したが、金庫を開けることができずに逃走した。一審で弁護側は1人の殺人に関して、「死因は窒息死だが、(投げ込んだ)川で窒息した可能性がある」として死体遺棄罪について無罪を主張したが、判決では退けられた。本人控訴取り下げ(読05.9.23朝)。弁護人が「正常な判断力を失っており取下げは無効」と異議を申し立てた特別抗告は最高裁で棄却され、確定(朝日06.6.8朝)。共犯の小野川光紀死刑確定者は2009年に確定(朝日09.6.10朝)。再逮捕時(03.7.29)36歳(朝日03.7.30朝)。
26 松本智津夫 執行
18.7.6

享年63歳
(朝日18.7.6夕)
89.2~95.3
(読04.2.27夕)
04(平16).2.27
東京地裁
平7合(わ)141
裁判所ウェブサイト
(読04.2.28朝)
控訴棄却決定
06(平18)3.27
東京高裁
平16(う)1104
高刑速(平18)158頁
判時1956号10頁
判タ1232号141頁
TKC
控訴棄却決定に対する異議申立ての棄却決定
06(平18)5.29
東京高裁
平18(け)5
高刑速(平18)158頁
判時1956号7頁
控訴棄却決定に対する異議申立て棄却決定に対する特別抗告の棄却決定
06(平18)9.15
最高裁第三小法廷
平18(し)202
裁判所ウェブサイト
判時1956号3頁
いわゆるオウム真理教事件(坂本弁護士一家殺人事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件他)。オウム真理教教祖。89年2月の元信徒殺害事件、その後の弁護士一家殺害事件、サリンプラント建設(殺人予備)、滝本弁護士サリン事件(殺人未遂)、自動小銃密造、松本サリン事件、元信徒殺害、VX事件(殺人未遂2件、殺人1件)、目黒公証人役場事務長拉致監禁致死事件、地下鉄サリン事件の各事件で指示したとされた。
公判では、意見陳述で無罪主張(朝日97.4.24夕)。不規則発言を繰り返し、被告人質問でも一切口を開かぬまま、死刑判決を受けた(読04.2.27夕)。控訴審で訴訟能力の有無を確認するために精神鑑定がなされ、裁判所は訴訟能力ありと認定したが、弁護団側の医師6人全員がその鑑定を批判する意見書を提出した(朝日06.3.14朝)。弁護団は「被告人と意思疎通ができず、控訴趣意書が作成できない」として期限までに控訴趣意書の提出をせず、期限後、2006年3月28日に提出すると明らかにしていたが、その前日に東京高裁が控訴棄却の決定を出した(朝日06.3.28朝)。弁護団が異議を申し立てたが、特別抗告も2006年9月15日に棄却、死刑が確定した(朝日06.9.16朝)。
2015年4月28日、第4次再審請求(朝日15.5.16朝)。
2006年に接見した加賀乙彦医師は「閉じ込められたことによるノイローゼで、死刑を執行できる状態ではなかった」と述べている(朝日13.7.31朝)。2007年、日弁連は、日弁連担当者が接見した結果などから、「松本死刑確定者はおむつを使用するなど、人間として最低限の生活を自立して行うことができない重篤な拘禁状態」と判断、医療刑務所などでの速やかな治療を求める勧告書を東京拘置所に提出した(毎07.11.15朝)。2018年3月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。2018年4月、一審で主任弁護人を務めた安田好弘弁護士が松本死刑確定者の人身保護請求を裁判所に申し立てていることを明らかにした(朝18.4.18朝)。2018年6月、ジャーナリストらが「オウム事件真相究明の会」を結成し、松本死刑確定者の死刑執行に反対を表明して「治療したうえで真実を語らせるべきだ」と主張した(東京18.6.5朝)。
第四次再審請求中の執行(毎18.7.7朝)。執行後、遺骨と遺髪につき、次女と四女が引き取り人を決めるよう東京家裁に申し立て、2021年7月5日、次女が受取先として最高裁で確定した(朝日21.7.5 17:21)。その後も東京拘置所から次女に対して引き渡しが行われなかったため、次女が国に対して引き渡しを求めて東京地裁に提訴し、2024年3月13日に東京地裁が国に引き渡しを求める判決を言い渡した(毎24.3.13 15:00)。国は判決内容を不服として控訴している(足立区 24.3.19)。
逮捕時(95.5.16)40歳(朝日95.5.16夕)。
27 山本峰照 執行 08.9.11 享年68歳 (読08.9. 11夕) 04.7.22 (読06.2. 17朝) 06(平18).3.20 神戸地裁 平17(わ)712 裁判所ウェブサイト (読06.3.20夕) 控訴取下 06(平18).4.4 (読06.9.7夕) いわゆる神戸市夫婦強殺事件。いとこ夫妻に借金を断られたことから、用意していた出刃包丁で2人を殺害し、現金やネックレスなどを奪って逃げた。賭けマージャンで借金を重ねた末の犯行。一審で山本死刑確定者は起訴事実を認め、弁護側は不眠による心神耗弱を主張。本人控訴取り下げ、確定(読06.9.7夕)。公判前整理手続で死刑判決が出た初めてのケース。一審の審理期間は約2か月(朝日06.3.20夕)、初公判から約2年8か月という異例の早さでの死刑執行(読08.10.10朝)。
28 小林薫 執行 13.2.21 享年44歳 (読13.2. 21夕) 04.11.17
(一審判決)
06.9.26
奈良地裁
平17(わ)10等
判タ1257号336頁
TKC D1-Law
(読06.9.26夕)
控訴取下
06(平18).10.11
(読06.10.11朝)
いわゆる奈良市女児誘拐殺人事件。7歳の女児を誘拐し、わいせつ行為をしたうえ、窒息死させて死体損壊を行い、さらに女児の母親らに脅迫メッセージを送信した。過去に女児に対する強制わいせつ致傷の罪により実刑判決を受けていた。一審初公判で起訴事実をすべて認めるものの謝罪の言葉はなし。捜査段階では「早く裁判を受けてこの世とおさらばしたい」「第2の宮崎勤、宅間守として、世間の人たちの記憶に残ってほしい」とも供述(読05.4.18夕)。弁護側は、成育環境が極めて厳しく、「自分自身に肯定感を持てないまま成長した」と指摘、殺意はとっさのもので、死体損壊や脅迫メールも「パニック状況下での開き直り的行為」との見方を主張。2006年10月本人控訴取り下げ、確定。公判では謝罪の言葉はなかったが、同年10月30日付で、遺族あての謝罪の手紙を弁護士に出す(読06.11.4大阪朝)。2007年に「取下げは無効」と申し立てたが認められず、08年と10年に再審請求したが認められなかった(朝日13.2.21夕)。13年に恩赦棄却(朝日13.2.22朝)。週刊新潮の記事で名誉を傷つけられたとして大阪地裁に提訴、週刊新潮に賠償を命じる判決が出ている(読10.5.1朝)。石塚伸一龍谷大学教授が研究目的で公判記録の閲覧を奈良地検に申し立ててたが不許可となり、奈良地裁に準抗告したが棄却(読07.3.27大阪朝)、最高裁でも特別抗告棄却(読07.4.14大阪朝)。
29 高塩正裕 執行 08.10.28 享年55歳 (読08.10. 28夕) 04.3.18 (控訴審 判決) 無期懲役 06(平18).3.22 福島地裁いわき支部 (読06.3.23朝) 06(平18).12.5 仙台高裁 平18(う)102 高刑速(平18)335頁 TKC D1-Law (読06.12.6朝) 上告取下 06(平18).12.20 (読06.12.23朝) いわゆる、いわき市母娘強盗殺人事件。金に困って知人宅に押し入り、知人の妻と次女を刺殺、現金を奪い取った。一審で弁護側は計画性を否定したが、高塩死刑確定者は自ら極刑を受け入れる姿勢を示していた。一審判決は「殺害の計画性は認められない」として無期懲役としたが、控訴審は計画性を認めて死刑。本人上告取り下げ、確定(朝日06.12.23朝)。
30 西本正二郎 執行 09.1.29 享年32歳 (読09.1. 29夕) 04. 1.13~9.7 (朝日06.5. 18朝) 06(平18).5.17 長野地裁 (読06.5.18朝) 控訴取下 07(平19).1.11 (読07.1.12夕) いわゆる長野・愛知連続4人強盗殺人事件。金目当てに8か月の間に4人を殺害、所持金などを奪った(朝日06.5.28朝)。控訴審の被告人質問中に5件目の殺人を供述したが、供述通りの捜索をしても遺体は発見されず、のちに嘘であったことを認めた(朝日06.11.23朝)。一審判決以降、母親と面会するうちに、反省を口にするようになったという(朝日06.10.29朝)。本人控訴取り下げ、確定(朝日07.1.12夕)。
31 山地悠紀夫 執行 09.7.28 享年25歳 (朝日09. 7.28夕) 05.11.17 (朝日06. 12.13夕) 06(平18).12.13 大阪地裁 平18(わ)26 裁判所ウェブサイト (朝日06.12.13夕) 控訴取下 07(平19).5.31 (朝日07.6.2朝) いわゆる大阪市姉妹強盗殺人事件。マンションに押し入り、住人の姉妹の顔や胸などをナイフで刺すなどして殺害、その後現金を奪い、放火した。16歳当時に母親をバットで殺害した際の興奮と快感を得ようとして襲ったとされた。弁護側は広汎性発達障害の影響で心神耗弱だったと主張したが、責任能力はあるとされた。本人控訴取り下げ、確定(朝日07.6.2朝)。供述調書には、「今回の事件について反省しているかと言えば、答えはNOです。後悔しているかと言えば、その答えもNOです」というような言葉が並んでいたという(読08.12.22朝)。
32 前上博 執行
09.7.28
享年40歳
(読09.7.
28夕)
05.2.
19~6.10
(一審判決)
07(平19).3.28
大阪地裁
平17(わ)4843
裁判所ウェブサイト
(読07.3.28夕)
控訴取下
07(平19).7.5
(読07.7.7朝)
確定は同月6日(内閣参質168第31号平成19年11月2日)
いわゆる自殺サイト連続殺人事件。インターネットの自殺サイトで知り合った自殺志願者3名を次々に誘い出して、その鼻や口を手で塞ぐなどして窒息死させ、その遺体を山中に遺棄した。その間、未成年被害者の父親に対して脅迫電話をかけた。一審初公判で起訴事実を認め、最終弁論では「命をもって償うほかない」と確定後の早期執行を訴えた。弁護側は責任能力を認めた精神鑑定は不十分と主張したが、判決は精神鑑定に基づいて責任能力を認めた。性嗜好障害を有している、また、快楽目的の連続殺人とされた。本人控訴取り下げ、確定(読07.7.7朝)。逮捕時(05.8.6)36歳(読05.8.6朝)。
33 尾形英紀 執行 10.7.28 享年33歳 (読10.7. 28夕) 03.8.18 (一審判決) 07(平19).4.26 さいたま地裁 平15(わ)1962 裁判所ウェブサイト (読07.4.26夕) 控訴取下 07(平19).7.18 (読07.7.25夕) いわゆる熊谷男女4人拉致殺傷事件。元暴力団組員。当時交際していた16歳の少女から、男性に姦淫されそうになった旨聞いたことで立腹して男性を殺害した他、その犯行を知った女性3名を口封じのため殺害しようとし、うち1名を殺害、2名に重傷を負わせた。一審初公判で起訴事実を大筋で認めるが、その後、調書が一部差し換えられたなどと供述。弁護側はシンナーによる幻覚の影響の可能性を主張し、精神鑑定がなされたが、完全責任能力があるとされた。また、殺意の発生時期についても争ったが、退けられた。本人控訴取り下げ、確定(読07.7.25夕)。執行に千葉景子法相(当時)が立会い(読10.7.28夕)。
34 畠山鐡男 (旧姓名 小田島鐡男) 病死 17.9.16 享年74歳 食道がん (読17.9. 18朝) 05.8.5 ~11.22 (一審判決) 07(平19).3.22 千葉地裁 平17(わ)1919 裁判所ウェブサイト (読07.3.22夕) 控訴取下 07(平19).11.1 (読07.11.6朝) 警察庁指定124号事件。前刑服役中から守田克実死刑確定者との間で資産家宅での強盗殺人を計画、マブチモーター会長宅に侵入、妻と長女を絞殺、金品を奪って放火した。その1か月後と3か月後にも歯科医師男性と金券ショップ経営者の妻をそれぞれ殺害し、金品を奪った。捜査段階では詳細な供述を拒んできたが、初公判で起訴事実を認める。本人控訴取り下げ、確定。守田死刑確定者は2011年に確定。旧姓小田島(読17.9.18)。心情をつづったブログ「死刑確定者獄中ブログ」が話題になる(朝日09.3.18朝)。再逮捕時(05.10.21)62歳(朝日05.10.22朝)。
35 長谷川静央 05.5.8 (読07.1. 24朝) 07(平19).1.23 宇都宮地裁 (読07.1.24朝) 07(平19).8.16 東京高裁 (読07.8.17朝) 上告取下 08(平20).3.17 (読08.4.5朝) いわゆる宇都宮実弟殺人事件。死亡した母親の遺産の受け取り分増額を実弟から断られたため、知人の男(懲役30年が確定)に2千万の報酬を示し、実弟を刺殺させた。76年に勤務先の社長を殺害、無期懲役となり、仮釈放中の事件(朝日07.8.17朝)。公判では「事実と真実が明らかになったうえで極刑を望みます」と供述(読06.9.6朝)。本人上告取り下げ、確定(読08.4.5朝)。逮捕時(05.9.30)63歳(朝日05.10.1朝)。
36 松村恭造 執行 12.8.3 享年31歳 (読12.8. 3夕) 07.1.16 /1.23 (読08.3. 17夕) 08(平20).3.17 京都地裁 (読08.3.17夕) 控訴取下 08(平20).4.8 (読08.4.8夕) いわゆる京都・神奈川親族連続強殺事件。伯母を殺害して現金入りの財布を奪い、その1週間後に大叔父を殺害して同様に財布を奪った。捜査段階から一貫して供述を拒否。公判では被害者に対して「ざまあみろ」と述べ、初公判では「殺人を2件も冷静に完遂し、自分をほめてあげたい」などと述べた。挫折を繰り返し、職場も解雇され、失うものがなくなったとして「人を殺し、自殺する破滅」を決めたという。最終陳述で「自分は特別な存在だから何をしても構わない」と語った(朝日08.3.17夕)。控訴の理由は「控訴すると手紙の発信が制限されるから」で、友人に手紙を書いた後、みずから控訴を取下げた。その後、2009年春ごろに松村死刑確定者側から控訴審再開の希望が出たため、弁護側が「控訴取下げ時は責任能力がなかった」と主張して控訴審再開請求したが、2010年に最高裁で棄却され、恩赦も出願したが棄却された(毎12.10.11朝)。
37 松田幸則 執行 12.9.27 享年39歳 (読12.9. 27夕) 03.10.16 (読07.10. 3夕) 06(平18).9.21 熊本地裁 (読06.9.22朝) 07(平19).10.3 福岡高裁 (読07.10.3夕) 上告取下 09(平21).4.3 (読09.4.17朝) いわゆる熊本県松橋町男女強盗殺人事件。貸金業男性から借金を逃れようと(朝日03.11.5朝)、貸金業男性と内縁関係にあった女性宅に押し入り、貸金業男性と女性の2人を刺殺、現金や腕時計を奪った(朝日07.10.3夕)。本人は強盗目的はなかったと主張(朝日04.3.12朝)。本人上告取り下げ、確定(読09.4.17朝)。
38 神田司 執行 15.6.25 享年44歳 (読15.6. 25夕) 07.8. 24~25 (読09.3. 17朝) 09(平21).3.18
名古屋地裁
平19(わ)1868,
2010,2130
判例秘書
(読09.3.18夕)
控訴取下
09(平21).4.13
(読09.4.15朝)
いわゆる闇サイト殺人事件。闇サイトで知り合った共犯者2人とともに、帰宅途中の会社員女性を拉致、キャッシュカードを奪って殺害し、遺体を遺棄。共犯の川岸受刑者が愛知県警本部に電話をかけて自首をしたことから事件が発覚(川岸受刑者は無期懲役が確定)。被害者1人で前科もないが、被害者が殺さないでと哀願するのを無視し、ハンマーで頭部を30回も殴るなどの殺害方法の残虐さにより死刑判決となった(読09.3.19朝)。本人控訴取り下げにより確定(読09.4.15朝)。その後、弁護人が控訴取下げは無効だとして控訴審期日の指定を求める「期日指定申立書」を名古屋地裁に提出したが(朝日09.4.28朝)、退けられた(朝日10.9.11朝)。13年2月、控訴取下げの無効を申し立てた弁護士との接見に名古屋拘置所が職員を立ち会わせたのは違法だとして損害賠償を求め、提訴。名古屋地裁は国に賠償を命じた(朝日13.2.20朝)。共犯の堀慶末死刑確定者は一審死刑判決だったが、控訴審無期懲役判決が12年7月に最高裁で確定(朝日15.6.26朝)、8月に「碧南事件」で再逮捕され、19年7月最高裁で死刑が確定(朝日19.7.20朝)。
39 金川真大 執行 13.2.21 享年29歳 (読13.2. 21夕) 08.3.19 ~3.23 (朝日09. 12.29朝) 09(平21).12.18 水戸地裁 (読09.12.18夕) 控訴期間内に控訴取下 (読10.01.5朝) いわゆる土浦連続殺傷事件。テレビゲームばかりしているうちに生きていてもつまらなくなり、自殺を考えたが「痛い思いをするだけ」と断念。多くの人を殺して死刑になろうと考え、土浦市の男性を殺害、その4日後にJR常磐線荒川沖駅で通行人ら8人にサバイバルナイフなどで切りつけ、1人を殺害した。弁護側は、被告人の望み通り死刑にしたら死刑が刑罰として全く機能しなくなる、刑罰より治療が必要だ、と主張した。控訴期間内に本人控訴取り下げ(朝日09.12.29朝)。最終陳述も拒むなど、最後まで反省や謝罪の言葉は述べなかった。(読09.11.14朝)。
40 池田容之 09.6. 18~19 (朝日09. 11.12朝) 10(平22).11.16 横浜地裁 平21(わ)2242等 TKC D1-Law (朝日10.11.16夕) 控訴取下 11(平23).6.16 (朝日11.6.18朝) いわゆる横浜沖バラバラ強殺事件他。裁判員裁判で初の死刑判決確定。マージャン店経営者ら2人を強盗目的(覚せい剤密売の利権を得るため)で殺害し、遺体を海や山中に遺棄した。生きたまま電動のこぎりで首を切るなどの手口があまりに残虐であるとされた。一審横浜地裁の裁判長は、主文を言い渡した後に「重大な結論となった。被告人に控訴することを勧めたい」と異例の呼びかけを行った(朝日10.11.16夕)。池田死刑確定者は「遺族の意向を無視できず、控訴はそれを傷つける恐れがある。いかなる判断も受け入れる」と控訴を望まなかったが、弁護人が控訴、本人が取り下げた(朝日11.6.18朝)。11年8月に札幌地裁で開かれた知人男性(池田死刑確定者の指示で覚せい剤の密輸役をやった)の検察側証人として出廷、プラスチックのボードに囲まれた証言台で「間違いなく彼は更生してくれる」と涙ながらに訴え、裁判員に寛大な判決を求めた(毎11.8.30北海道朝)。主犯は海外逃亡、国際指名手配中(読09.12.17夕)。再逮捕時(09.9.9)31歳(読09.9.10朝)。
41 津田寿美年 執行 15.12.18
享年63歳
(朝日15. 12.18夕)
09.5.30
(朝日15. 12.18夕)
11(平23).6.17
横浜地裁
(読11.6.18朝)
控訴取下
11(平23).7.4
(読11.7.5夕)
いわゆる川崎アパート3人殺害事件。裁判員裁判で確定した死刑確定者で初めての執行(朝日15.12.18夕)。自宅アパートの大家、その弟、弟の妻を刺殺した。弁護側は「当初は強い殺意はなかった」と主張したが、大家の弟が大きな音でドアを開閉することなどに不満を募らせ強い殺意を持ち犯行に及んだと認定された(朝日11.6.18朝)。本人控訴取り下げ、確定。
42 田尻賢一 執行
16.11.11

享年45歳
(朝日16. 11.11夕)
04.3.13
/11.2.23
(控訴審判決)
11(平23).10.25
熊本地裁
平23(わ)154等
TKC
(朝日11.10.26朝)
12(平24).4.11
福岡高裁
平23年(う)578号
TKC
(朝日12.4.11夕)
上告取下 12(平24).9.10 (朝日12.9.14朝) いわゆる宇土院長夫人強盗殺人事件。裁判員裁判。医師宅に押し入り、医師の妻を刺殺して現金を奪った。7年後にも会社役員宅で役員の妻を刺殺、現金を奪ったほか、役員にも重傷を負わせた。本人上告取り下げ、確定。2つめの事件の2日後に自首。1件目も自白したが、判決は、「もうごまかせないと自白した」ものであり、減刑は認めず。逮捕時(11.2.25)39歳(読11.2.26朝)。
43 住田紘一 執行 17.7.13 享年34歳 (朝日17. 7.13夕) 11.9.30 (読13.2. 15) 13(平25).2.14 岡山地裁 (読13.2.15朝) 控訴取下 13(平25).3.28 (読13.3.28夕) いわゆる岡山元同僚女性バラバラ殺人事件。裁判員裁判。被害者1名。元同僚の派遣社員の女性を殺害。殺害された被害者が1名の事件で死刑を適用すべきかが争点になったが、一審岡山地裁は命乞いする被害者を殺害した経緯などに触れ死刑判決を言い渡した。本人控訴取り下げ、確定(朝日17.7.13夕)。公判では、住田死刑確定者が「殺人を是認する」などと発言、その後、謝罪の言葉を述べるなど、態度を一変させた。裁判員裁判で死亡被害者1人に対して死刑判決が出るのは3例目で、前科がない被告人には初めて。計画性や残虐性など犯行の悪質さがポイントとなった(読13.2.15朝)。情報公開請求により、死刑執行に関する文書の一部が公開されたが、その多くは墨塗だった(朝日17.12.30朝)。
44 植松聖 16.7.26
(毎20.3.17朝)
20(令2).3.16
横浜地裁
平29(わ)212
裁判所ウェブサイト
(毎20.3.17朝)
控訴取下
20(令2).3.30
(毎20.3.31朝)
いわゆる相模原殺傷事件。裁判員裁判。相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」の元職員である植松死刑確定者が、刃物などを持って園に侵入、入所していた10~70代の男性9人、女性10人を殺害、26人に重軽傷を負わせた。取り調べにおいて、植松死刑確定者は、「障害者は周りを不幸にするので、いない方がよい」などと供述、2016年9月から鑑定留置が実施された。当初は翌年1月までの予定だったが2月まで延長され、精神鑑定の結果、パーソナリティー障害と診断された。検察は、事件を起こした動機が植松死刑確定者の中では一貫した論理になっているとの判断から、完全な責任能力を問えるとした(朝日17.2.21朝)。起訴後にも、横浜地裁が精神鑑定を実施するための鑑定留置を決定している(朝日18.1.24朝)。初公判では、植松死刑確定者は起訴内容を認めて謝罪の言葉を述べたものの、その直後に小指をかみ切るような行動をし、そのため一旦休廷となり、被告人不在のまま審理が再開された。検察側は、行動が計画的で違法性を認識して自首したことから完全な責任能力があったと主張。弁護側は大麻精神病や妄想性障害などの影響で心神喪失か心神耗弱の状態にあったと主張したが(朝日20.1.9朝)、植松死刑確定者本人が「責任能力を争うのは間違っている。自分は責任能力があると考えています」と述べ、弁護方針に反対した(朝日20.1.25朝)。弁護側証人の精神科医は、植松死刑確定者は2013年ごろから乱用していた大麻の影響で人が変わった状態になり、大麻による病的な自己高揚感や自分の考えが現実的かを検討する能力が低下していたと主張。「障害者を抹殺する」との思考や衆院議長に事件を予告する手紙で金銭支援を求めた行動が、それらを示しているとした。また、短時間で多数を殺傷した並外れたエネルギーも大麻精神病による気分高揚と活動性の異常な高まりによるものだと結論づけた(朝日20.2.11朝)。 これに対し、判決は、思考に病的な飛躍があったとまでは言えないとし、襲撃したのは抵抗が難しいとみられる人ばかりであって、驚異的な行動力がなくても実行できたと判断。「犯行には計画性があり、違法性の認識もあった。認められる妄想も程度が軽いものしかない」として完全責任能力を認めて死刑の判決を下した(毎日20.3.17朝)。同月27日弁護人が控訴したが、その3日後に植松死刑確定者が控訴を取り下げ、第一審判決が確定(朝日20.3.31朝)。植松死刑確定者は、それまでの接見などで、判決の内容にかかわらず控訴はしない、と語っていたという(毎20.3.28朝)。その後、一審の弁護人が控訴取り下げを無効とするよう求める申し入れ書を横浜地裁に提出した(毎20.5.9朝)。東京高裁は控訴取り下げは有効と判断し、弁護側の異議も高裁の別の部が棄却、2022年12月最高裁も弁護側の特別抗告を棄却し、植松死刑確定者の控訴取下げは有効とされた(朝日22.12.14夕)。それとは別に、2022年4月、植松死刑確定者が横浜地裁に再審を請求。2023年4月18日付で横浜地裁が棄却、弁護人が同地裁に即時抗告を申し立てている(毎23.4.25朝)。
一審判決前、兵庫県を拠点とする市民グループが、死刑を回避するよう求める要請文を横浜地裁に提出していたという(神奈川20.3.13朝)。
一審判決後、相模原市は、植松死刑確定者を事件前に措置入院させていた経緯や事件発生後に消防が被害者を搬送した状況などの関連資料を、条例に基づいて「歴史的公文書」に指定し、永久保存する方針を固めたという。(毎20.3.19朝)。また、植松死刑確定者が事件の5か月前に措置入院していたことから、厚労省は有識者会議を設置してこの事件を調査。措置入院していた病院や相模原市の対応を「不十分」とする結果を公表し、「退院後のフォローアップ体制」をテーマに再発防止の検討を行った(朝日16.7.28朝、朝日16.9.15朝)。
2019年秋、やまゆり園での虐待の疑いが浮上、2020年1月に県が検証委員会を設置、その後、やまゆり園を含めた県立障害者支援施設の検証を行う新しい部会を設置している(毎20.6.27神奈川)。逮捕時(16.7.26)26歳(朝日16.7.26夕)。
45 白石隆浩 17.8.23/ 8.28/ 8.30/ 9.16/ 9.24/ 9.28/ 9.30/ 10.18/ 10.23
(毎20.12.16朝)
20(令2).12.15
東京地裁立川支部
平30(わ)1065
D1-Law
(毎20.12.16朝)
控訴取下
20(令2).12.21
(毎20.12.24朝)
いわゆる座間9人殺害事件。裁判員裁判。複数のツィッターアカウントを使い分け、自殺志願者とやり取りを繰り返して自宅へ誘い(朝日17.11.2夕)、2017年8月23日から約2か月の間に女性8人に性的暴行をしたうえ、男性1人を加えた計9人の首をロープで絞めて殺害、遺体を切断し、遺棄した事件(毎20.12.16朝)。家族と連絡の取れなくなった最後の被害者女性の兄が高尾署に届け出たことから、インターネットの自殺サイトで知り合ったとみられる白石死刑確定者が浮上、10月30日に白石死刑確定者の自宅を訪れた警察官が玄関内側に置いてあったクーラーボックスから2人分の頭部を発見。翌31日に合計9人分の遺骨が発見され、白石死刑確定者が逮捕された(朝日17.10.31夕)。 その後、11月10日に9人全員の身元がDNA型鑑定により特定された(朝日17.11.10朝)。室内にあったクーラーボックス3つと、収納箱4つから9人分の頭部、約240本の骨が見つかり、空の箱も1つあったという。(朝日17.11.14朝) 白石死刑確定者は、捜査段階で、8月上旬に最初の女性を殺害し、女性の知人の男性が女性の行方を尋ねてきたため、ばれると思って男性も殺した、遺体はいつか山に埋めに行こうと思っていた、などと供述(朝日17.11.14朝)。起訴前の2018年4月から5か月にわたって鑑定留置が実施され、犯行当時、心神喪失などの状態ではなく刑事責任能力があったとの鑑定結果が出て(朝日18.8.31朝)、強盗・強制性交殺人などの罪で起訴された(朝日20.10.1朝)。 裁判では、被害者らが殺害に同意していたかどうか、また、白石死刑確定者に責任能力があったかどうかが主な争点となった。検察側は、金銭欲と性欲を満たす目的の殺人であって被害者は抵抗しており同意はなかった、責任能力についても問題はないと主張。これに対して弁護側は、被害者は命を絶つために被告人の部屋に行っており、承諾殺人罪にとどまる、悲惨な事件を平気でやり遂げており精神障害がないとした鑑定結果に疑問があると主張した。(毎20.12.16朝) 白石死刑確定者は、初公判の罪状認否で起訴事実を認め(朝日20.10.1朝)、その後の被告人質問においても、全員について承諾なく殺したことを供述。被害者のことは「性的な対象か、お金になるかならないかでしか見ていなかった」(朝日20.10.9朝)、8人の女性全員から抵抗を受け「女性を襲うことに楽しみやスリルがあった」などと証言し(朝日20.10.28朝)、検察官に「7人を殺した時点で殺害をやめようと思わなかったのか」と問われた際も「快感を覚え、やめるつもりはなかった」と答えた(朝日20.11.12朝)。被害者に対する謝罪を口にもしたが、それは被害者9人のうち4人に対する謝罪であり、白石死刑確定者が思い入れを感じた被害者のみに対する謝罪であったという(毎20.12.12朝)。 捜査段階の鑑定を担当した医師は、法廷でも「被告人に精神障害はなかった」と証言(朝日20.11.25朝)。弁護側は再度の精神鑑定を求めたが却下された(毎20.11.26朝)。 判決は、女性のヒモになりたいと考えた白石死刑確定者が「一緒に死にませんか。殺してあげます」といった言葉を使ってツィッタ―上で若い女性を誘い出していたと認定。白石死刑確定者の供述の信用性を肯定し、いずれの被害者も真意に基づく承諾はしていなかったとした。また、一貫して目的にかなった行動をしており、精神障害は認められないとした。白石死刑確定者が公判で事件を「後悔している」とは口にしたことについては、逮捕されたことへの後悔や、一部の被害者について殺害せず交際すればよかったという「自分本位な後悔にとどまっている」と指摘。さらに、「なぜ人命を著しく軽視し、多数の尊い命を奪うことになったのかを省みる説明はしていない」とも指摘した。判決後、裁判員からは「わずかなお金のためにこれだけ殺害するのかと考えると、ふに落ちないところはある」との指摘もなされている(毎20.12.16朝)。 なお、この公判において、白石死刑確定者は、弁護人からの質問には当初無視して返答していなかった。その理由を、「(公判前に)簡潔に公判を進めてほしいとお願いしたが『承諾殺人を主張する』といきなり言われた」「話が違うと思った、(弁護人に)裏切られている状態を根に持っている」と説明していたが(朝日20.10.9朝)、その点について、弁護側は、判決後、「弁護人が言い分通り主張することがいいとは思っていなかった。証拠の中から真実を思われることを主張した」と説明している(毎20.12.16朝)。 12月18日、弁護人が「承諾の有無、責任能力の有無はもう一度判断されるべきだ」として東京高裁に控訴(毎20.12.19朝)。21日付で白石死刑確定者が弁護人の控訴を取り下げ、2021年1月5日午前0時に死刑判決が確定(毎20.12.24朝)。逮捕時(17.10.31)27歳(朝日17.10.31夕)。
46 川崎竜弥 16.1.29頃
/7.5頃
(一審判決)
18(平30).2.23
静岡地裁
平28(わ)428
裁判所ウェブサイト
(朝日18.2.24朝)
19(平31).3.15
東京高裁
平30(う)635
D1-Law
(朝日19.3.16朝)
上告取下
21(令3).2.13
(朝日21.2.16朝)
いわゆる浜名湖連続殺人事件。裁判員裁判。元同僚の60代男性を殺害して遺体を焼いた上に浜名湖周辺に遺棄、男性所有のマンションや車・バイクを譲渡されたと偽って所有権を自らに移転し、男性の預金を引き出したり、男性の年金の受け取り口座を変更して年金も詐取した。その約半年後、窃盗罪で服役している間に知り合った30代男性を京都から浜松に呼び寄せて殺害、浜名湖に遺棄した。2件目の事件直後に、1人目の被害者の預金口座から不正に金を引き出すなどした疑いで宅地建物取引士である川崎死刑確定者が逮捕された(朝日16.9.23朝)。
公判では、川崎死刑確定者は弁護側・検察双方の質問に100回以上「黙秘」と繰り返して事件については語らなかった(朝日18.1.24静岡)。弁護側は、川崎死刑確定者はお金に困っておらず、殺害する動機もないとして無罪を主張(朝日18.2.24静岡)。判決は検察の主張をほぼ認め、防犯カメラの映像や、被害者2人の所持品が川崎死刑確定者の自宅等から発見されていること、留置中に川崎死刑確定者から犯行告白を聞いたとする被留置者の証言などから、2件とも川崎死刑確定者による犯行であると認定。1件目は財産奪取の目的で財産を強取した、また、2件目は動機が不明ながら第三者が犯人だったとは考え難いとした。
控訴審でも出廷した川崎死刑確定者は黙秘を通し、弁護側は無罪を主張したが(中日19.3.16静岡)、判決は原審を支持。
上告審判決の2日前に川崎死刑確定者が上告を取り下げて死刑が確定した。川崎死刑確定者は、面会に訪れた弁護士に対し「刑が執行されることに納得した」と話したという(朝日21.2.16朝)。
2018年5月、1件目の被害者の遺族がマンションの所有権移転登記の抹消を求めて提訴、上告審中の2019年に川崎死刑確定者へ登記抹消手続きを命じる判決が出ている(中日19.6.1静岡)。
また、上告取下げ後の2021年7月、静岡地検は、「すでに死刑が確定し、審理を継続する必要がなくなった」として別事件での起訴の取り消しを静岡地裁に申し立てた(毎21.7.15地方)。
被告人として静岡刑務所に勾留されていた際、懲罰を科されたことを職員が報道機関に明かしたことが名誉棄損に当たる、また、懲罰中を理由に面会を制限したのは重要な権利侵害であるとして国に110万円の損害賠償を求めて提訴、2023年8月4日静岡地裁が請求を棄却した(静岡23.8.5)。
再逮捕時(16.9.22)33歳(毎16.9.23朝)。
47 溝上浩二
(旧姓名
山田浩二
水海浩二)
15.8.13
(一審判決)
18(平30).12.19
大阪地裁
平27(わ)3997
/5261
D1-Law
(毎18.12.20朝)
控訴取下
19(令元).5.19
(朝日19.5.22朝)
20(令2).3.24
(毎20.4.1大阪朝)
いわゆる寝屋川中1男女殺害事件。裁判員裁判。中学生1年生の男女が行方不明となり、遺体となって発見された事件。女児の遺体が発見され、防犯カメラの映像などから水海死刑確定者が浮上。捜査員がその行動を監視している中で水海死刑確定者が立ち寄った竹林において男児の遺体が発見され、逮捕された(朝日15.8.22朝)。 水海死刑確定者は初公判で土下座して謝罪。商店街で二人を見つけ家出を心配して声をかけると二人が車に乗ってきた、男児は車内で大量に汗をかいた後に死亡、女児については大声を出したので口を押さえ、気が付いたら手が首にあった、殺意はなかったと主張した。また、弁護側は、心神耗弱状態だったと主張した(朝日18.11.1夕)。 一審判決は、二人の遺体の状況から認められる死因が頸部圧迫による窒息死であることから、いずれの事件についても水海死刑確定者が殺意をもって殺害した、また、動機については、先に殺害された男児については不明、女児については口封じのためであったと認定。責任能力については、ADHDの衝動性等は影響の程度がかなり限定的であるとした。 水海死刑確定者と弁護人はそれぞれ控訴を申し立てたが、2019年5月18日、水海死刑確定者は、貸与ボールペンを就寝時刻に返却した際に看守に対する粗暴な言辞があったとして反則行為調査の対象となったため、面会・通信制限等を伴う懲罰も予想される事態となったことに自暴自棄となり、同夜のうちに控訴取下書を提出(第1取下げ)。記載に誤りがあったものの、適式な控訴取下げとして扱われ、その後、弁護人らが控訴取下げの無効を求める申入書を大阪高裁に提出し、その理由として精神障害(ADHD)の影響や死刑判決による心理的影響の可能性もあると主張し、その後、医師の意見書等を提出するとともに、第1取下げの無効を前提として控訴趣意書を提出した。 2019年12月17日、大阪高裁第6刑事部は、精神障害の影響及び自己の権利を守る能力を著しく制限されていたとの弁護人らの主張は排斥しつつも、他方で、一審死刑判決の確定という極めて重大な結果をもたらす控訴取下げに至る経緯としては通常あり得ない、常識では考え難い、余りにも軽率なもので、取下げに際して自己が死刑判決を受け入れようとする考えや心情は全く見受けられず、水海死刑確定者が控訴を取り下げることの法的帰結を忘却していた等の疑いがあり、第1取下げの効力に一定の疑念を生じさせる、そして、このような疑念があることや、刑訴法が死刑または無期刑の判決に対しては上訴放棄できないとしている趣旨も踏まえて、第1取下げを無効と解し、今回に限り、審理を再開・続行するのが相当である、とした(大阪高裁 決定 平31(う)126号)。 この決定を不服として、大阪高検は最高裁に特別抗告するとともに(これについては、即時抗告に代わる異議の申立てが出来ることを理由に不適法であるとして抗告棄却された(最高裁第3小法廷 決定 令1(し)807号))、同高裁に異議申し立て行った(朝19.12.21朝)。2020年3月16日、大阪高裁第1刑事部は、原決定が第1取下げを無効とする理由はいずれも実定法の解釈の枠を超えたもので容認できず、原決定は取消しを免れないが、他方で、訴訟行為能力については極めて慎重な検討が必要であるところ、現状ではその点の判断資料が明らかに不足しており、更なる事実取調べを経るとともに、改めて当事者から意見を徴求して、第1取下げの効力を最終的に判断する必要があるとして、大阪高裁第6刑事部に審理を差し戻した(大阪高裁 決定 令1(け)62号)。 この決定を不服として、同月3日、弁護側が最高裁に特別抗告したが(毎20.3.25朝)、同月24日付で水海死刑確定者が再度自ら控訴を取り下げ(第2取下げ)(毎20.4.1大阪朝)、同年5月14日付で弁護人は第2取下げについても無効とするよう大阪高裁に申し立てた。 同年6月17日、最高裁は弁護側の特別抗告を棄却、大阪高裁第6刑事部が改めて第1取下げおよび第2取下げの効力を判断することになった(最高裁第1小法廷 決定 令2(し)278号)。 同年11月26日、大阪高裁第6刑事部は、時系列的にはまず第1取下げについての効力を判断するのが通常であろうとされるところ、異議審の決定により第1取下げの効力についての判断には訴訟行為能力についての更なる調査と検討が必要となるため、検察官及び弁護人双方からの主張と資料が提出されその攻防が尽くされたとみられる第2取下げにつきその効力を検討すべきであると判断。弁護人が主張していた、控訴取下書の形式面の不備や訴訟能力の問題、意思表示の瑕疵などについて、第2下げを無効と解すべき理由は見当たらないとして、第2取下げは有効であり、本件控訴は第2取下げによって終了したと宣言した(大阪高裁 決定 平31(う)126号)。 同月30日、この決定を不服として弁護人が高裁に異議を申し立てたが(毎20.12.2朝)、2021年3月22日、大阪高裁第1刑事部は高裁第6刑事部の決定を支持し、弁護人の異議申し立てを棄却(毎21.3.23朝)。弁護人が最高裁に特別抗告したが(毎21.3.30夕)、同年8月25日付けで棄却された(朝日21.8.28朝)。 旧姓は山田(毎21.8.28朝)。「救援」645号(2023年1月10日付)には、「溝上浩二」と自署された書簡が掲載されている。逮捕時(15.8.21)45歳(読15.8.22朝)。
48 今井隼人 14.11.4/
14.12.9/
14.12.31
(第一審判決)
18(平30).3.22
横浜地裁
平28(わ)289
TKC D1-Law
(朝日18.3.23朝)
22(令4).3.9
東京高裁
平30(う)744
裁判所ウェブサイト
(朝日22.3.10朝)
上告取下
23.5.11
(毎23.5.16朝)
いわゆる川崎老人ホーム連続殺人事件。裁判員裁判。川崎市の老人ホームで、2014年11~12月の間に80~90代の男女3人が転落死した事件。事件発生当初、県警による現場検証により「転落による事故」とされていたが、いずれも今井死刑確定者の勤務中に発生していたこと(朝日16.2.16朝)、被害者が自力でベランダの手すりを乗り越えるのは困難とみられることから県警が事件と事故の両面から捜査に着手、任意での事情聴取において1件目の被害者について殺意を以て落下させたことを認めた今井死刑確定者が2016年2月に逮捕された。今井死刑確定者はすべての事件について殺害を認めていたが(毎16.2.16夕)。初公判で一転して起訴内容を否認。弁護側は「警察からの圧力でうその自白をした」と無罪を主張して事件性・犯人性を争った。また、予備的主張として責任能力も争い (東18.1.23夕)、 検察側による精神鑑定のほか弁護側の求めで横浜地裁による精神鑑定も実施された (読18.2.21朝)。
犯行の物証はなく、自白の信用性について、任意の取調べ中に犯行を自供する様子や逮捕後の取調べで黙秘する様子を撮影した動画が地裁の法廷で流された(朝日18.2.16夕、東京18.2.20朝)。
第一審判決は、被害者は高齢で身体能力が低いことから事故や自殺の可能性を否定し、職員の中で犯行機会があったのは今井死刑確定者だけで、転落を具体的に予告する言動をしていたことや逮捕前に家族に犯行を自白していたことなどから、今井死刑確定者の犯罪行為によるものであることに合理的な疑いを差し挟む余地は全くないとした。捜査段階における自白に関しては、取調べ時の録音録画において警察官による高圧的な態度や誘導しようとする姿勢はうかがわれず、自白内容も実際に体験したからこそなし得ると認められる具体的かつ迫真的な供述部分が見られ、自白の信用性は相当に高いものと認定した。
また、責任能力については、精神鑑定を行った医師に対する尋問から、事件当時は自閉スペクトラム症であったと認めたが、「障害の程度は比較的軽い方である。また、被告人は、知能指数は68であり、数値のみの評価では軽度知的能力障害の領域となるが、前記の就学状況や社会適応状況からすると、軽度知的能力障害の確定診断を下すには至らなかった」とした。そして、各犯行の動機形成過程(1件目の事件では介護の精神的負担により被害者が「いなくなったら安心する」との心理から犯行に及んでおり、1件目の事件後に行った救急救命措置が評価・賞賛されたことで心臓マッサージを他人に見せて自己アピールをしたいという心理が高じて2件目と3件目の犯行に及んだ)や、3件とも落下させるという同一の犯行態様をとっており、自閉スペクトラム症の影響が一定程度うかがわれるものの、その影響は顕著なものとまではいえず、各犯行を思いとどまることが著しく困難であったなどとは到底認められず、責任能力を有していたものとした。
弁護側は即日控訴 (朝日18.3.23朝)。控訴審判決は、原判決について、補助証拠として採用した録音録画記録媒体における録音録画内容を実質証拠として使用している点につき判断手続の違法性を指摘したが、捜査段階の供述調書等の信用性を認め、判決に影響を及ぼすものではないとした。控訴棄却に対して弁護側が上告したが、今井死刑確定者自身が2023年5月11日付で上告を取り下げ、同日に確定(時事23.5.15 18:16)。弁護人が取下げの無効と審理の継続を求めて同月19日に「審理継続申立書」を提出したが、同年12月20日付で最高裁第一小法廷(岡正晶裁判長)は取下げを有効とする決定をした(共同 23.12.21 18:46)。今井死刑確定者は、周囲に「心身ともに限界」と話していたという(FNN 23.5.16 11:32)。
上告取下げ後、今井死刑確定者と交流のあったノンフィクションライターが、「私がやったことで間違いない」「冤罪の主張で突き通せるのではないかと弱い自分が出た」と3人の殺害を認める取下げ6日後の日付が入った今井死刑確定者の文章をネットで公開している(東23.6.10朝)。
なお、今井死刑確定者は2014年5月に当該施設に就職、その4か月目の2014年9月ごろから入所者の財布や貴金属を盗むようになったという。19件の窃盗を重ね、転落死事件後の2015年5月に窃盗の疑いで逮捕され、同年9月に執行猶予付きの有罪判決を受けている。盗んだ金を使って友人らに食事などをおごっており、法廷では「おごることで、周囲が自分を認めてくれるように感じた」と語っていたという(朝日16.2.16夕, 朝日16.2.17朝)。
逮捕時(16.2.15)23歳(朝日16.2.16朝)。
事件があった老人ホームでは職員による入所者への暴行や暴言が相次いでいたといい(朝日16.2.17朝)、2015年12月には今井死刑確定者とは別の元職員3名が暴行容疑などで書類送検され、川崎市が介護報酬請求3か月間停止の行政処分を行っている(毎16.2.17朝)。
49 遠藤裕喜 21.10.12
(朝日21.10.13夕)
24(令6).1.18
甲府地裁
(朝日24.1.19朝)
控訴期間内に控訴取下
(朝日24.2.3朝)
いわゆる甲府殺人放火事件。裁判員裁判。2022年4月に改正少年法が施行され、行為時において18,19歳の特定少年が公訴提起された場合に実名報道が可能となって以降、検察が実名を発表した初のケースで、特定少年として初めて死刑判決が確定した。
甲府市で全焼した住宅から夫婦の遺体が見つかった事件。2021年10月12日未明に甲府市の会社員宅で夫婦が刺殺され、次女が頭をなたで殴打された。次女は長女とともに外に逃げ出し、長女が110番通報した直後に自宅から出火した。その日の夜に当時19歳だった遠藤死刑確定者が警察に出頭し、13日未明に逮捕された(朝日21.10.13夕)。鑑定留置を経て2022年3月、甲府地検が殺人と現住建造物等放火などで甲府家裁に送致し、その後、甲府地裁に逆送された。同年4月8日地検が起訴し、特定少年として初めて実名を公表した。
第一審公判は2023年10月から始まり、遠藤死刑確定者は初公判で認否をせず、被告人質問でも当初は質問に対してほとんど答えなかった。話さない理由を問われて「社会に戻るつもりない」と答えたこともあったが、後日の被告人質問において、事件の動機について、母親に暴言を吐かれたり、就職先を決められたりしたことで「疲れていて家から逃げたかった。夫婦の長女からの(交際を断る)LINEが後押しした」と語った。謝罪の気持ちを持って生きていくのかを裁判員に尋ねられて「考えてないです」と答え、その理由を裁判長から尋ねられると「生きているのがもう嫌だからです」と涙を流したという(朝日23.11.29 朝)。
弁護側は更生可能性があると死刑回避を求めたが(毎24.2.2朝)、判決は、精神鑑定をした医師の証言などから完全な刑事責任能力があったと認定し、明確な反省や謝罪の態度はなく、更生可能性も低いとして死刑とした(朝日24.1.19朝)。
弁護人が2月1日に東京高裁に控訴したが、遠藤死刑確定者が同日付で取り下げ、2日に死刑判決が確定した(朝日24.2.3朝)。
判決後に接見した共同通信の記者には、控訴取り下げ前の2月1日付けで、「被害者、遺族に対して申し訳なく思っています」との内容の手紙が届いている。接見では、謝罪の気持ちはあったものの、死刑を望んでおり「裁判に影響すると思い、言わなかった」と語っていたという(共同24.2.5)。
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