表の記載順序は、原則として事件を終了させる裁判の日を基準とし、控訴・上告が取下げられた場合は取下げの日、決定で控訴が棄却された場合は当該決定の日によっています。
表の左端に付された番号は、死刑確定者の現在数を把握する便宜上、付しているものであり、死刑確定の順序を示すものではありません。※本ページの引用方法(推奨):CrimeInfo(crimeinfo.jp)掲載『死刑確定者リスト 全リスト』より引用

該当件数:30件

1 奥西勝 病死
15.10.4
享年89歳
肺炎
(読15.10.5朝)
61.3.28
(一審判決)
無罪
64(昭39).12.23
津地裁
昭36(わ)96
下級刑集6巻11・12号1426頁
判時401号6頁
TKC
69(昭44).9.10
名古屋高裁
昭40(う)78
判時576号22頁
TKC D1-Law
72(昭47).6.15
最高裁
昭44(あ)2560
裁判所ウェブサイト
いわゆる名張毒ぶどう酒事件。名張市の公民館で開かれた地域の懇親会で、参加者のぶどう酒に農薬を混入、女性5人を殺害したほか、12人を中毒症状に陥らせたとされる。捜査段階で自白したが、起訴前に否認に転じた。再審請求を繰り返し、2005年4月5日には第7次再審請求で名古屋高裁が再審開始を決定するも、検察官が即時抗告して取り消され、請求棄却が確定。第9次再審請求中に病死(読15.10.5朝)。2015年11月6日、遺族が第10次再審請求(読15.11.7朝)。2017年12月に名古屋高裁が請求棄却し、遺族が異議を申し立てた。2019年8月、弁護側は、当時の住民らの証言によって、奥西死刑確定者には事件現場で毒物を混入したとされる1人きりになる時間はなかったはずだとして重大な事実誤認を主張する補充意見書を名古屋高裁に提出した(毎19.8.8中部朝)。2020年9月、弁護団が、名古屋高裁がぶどう酒の瓶の蓋に貼られた封かん紙の紙片の再鑑定を許可しており、すでに再鑑定が開始されていることを支援者集会で明らかにした(読20.9.12中部朝)。同年10月、封かん紙が貼り直されたことを示す鑑定結果を新たな証拠として名古屋高裁に提出した(毎20.10.29中部朝)。2020年12月、弁護団が名古屋高裁宛てに、検察側が保有している証拠を名古屋高検に開示させるよう求める書類を提出(毎20.12.23中部朝)。2021年11月、弁護団は、混入された毒物が確定判決が認定した「ニッカリンT」ではないとする専門家の鑑定書を名古屋高裁に提出。弁護団は、鑑定書に基づき、混入された農薬は「三共テップ」の可能性が高いと主張(毎21.12.2地方)。2022年3月3日、名古屋高裁は再審開始を認めない決定を出した(朝日22.3.3夕)。これを不服として、奥西死刑確定者の遺族が最高裁に特別抗告し(朝日22.3.10朝)、最高裁第3小法廷は、2024年1月29日付けで「科学的根拠のある合理的なものとは言えないとの(名古屋)高裁決定は相当」として、再審開始を認めない決定を出した。裁判官5人のうち4人の意見であったが、これに対し、宇賀克也裁判官は、鑑定に信用性が認められるとして再審を開始すべきだとする反対意見を出している(東京24.1.30 13:20)。
2022年12月、再審請求弁護団の弁護士が、奥西死刑確定者に関する「死刑執行上申書」を法務省が開示しないのは違法だとして、国に開示を求めて名古屋地裁に提訴した。2021年5月に開示請求したが法務省は不開示の決定を出したという(中日23.3.25朝)。
2 渡辺清 67.4.24
~73.3.20
(朝日75.8.30朝)
無期懲役
75(昭50).8.29
大阪地裁
(朝日75.8.30朝)
78(昭53).5.30
大阪高裁
(TKC掲載情報より)
88(昭63).6.2
最高裁
昭53(あ)1290
裁判所ウェブサイト
(読88.6.2夕)
いわゆる連続4人殺人事件。未成年だった67年に旅館で売春相手の女性を絞殺して現金を奪うなど、6年間に合計4件の強盗殺人事件で女性3人男性1人の死亡被害者を出したとされた。一審・控訴審で4件とも犯行を認めていたが、一審大阪地裁の裁判長が疑問を指摘、判決言い渡し予定日に職権による証拠調べ再開手続きを実施した。本人は頑として「(自分の犯行に)間違いない」と主張、判決は異例の無期懲役となった(朝日75.8.30朝)。最高裁では当時の調査官が男性殺害については無罪、もう一件の女性殺害についても審理のやり直しを主張、判事の1人がそれを支持したため、判事の全員一致が原則とされる死刑判決の言い渡しが事実上できなくなり、判決までに10年の期間を費やした。弁護側は上告審で新たに4件中2件は無実と主張したが(読88.6.2夕)、退けられた。その後、男性殺害について再審請求、女性1人についても再審請求する予定と報じられた(読92.4.28朝)。逮捕時(73.5.8)25歳(読73.5.8夕)。
3 金川一 79.9.11
(控訴審判決)
無期懲役
82(昭57).6.14
熊本地裁八代支部
控訴審判決文から
83(昭58).3.17
福岡高裁
昭57(う)443
D1-Law
90(平2).4.3
最高裁
昭58(あ)58
裁判所ウェブサイト
読(90.4.3夕)
いわゆる熊本・免田町主婦殺人事件。農村の若妻を乱暴する目的で襲い、殺害したとされる。少年時代に犯した強盗殺人罪で服役を終えた後、わずか3か月の犯行。一審途中から無実を主張。2006年福岡高裁に3回目の再審を請求(朝日06.12.27朝)。逮捕時(79.9.12)29歳(読79.9.13朝)。
4 永山則夫 執行
97.8.1
享年48歳
(読97.8.2朝)
68.10.11
~11.5
(一審判決)
79(昭54).7.10
東京地裁
昭44(合わ)122
刑集37巻6号690頁
TKC D1-Law
(読79.7.11朝)
無期懲役
81(昭56).8.21
東京高裁
昭54(う)1933
高刑集37巻6号733頁
判タ452号168頁
TKC D1-Law
(読81.8.22朝)
高裁差戻
83(昭58).7.8
最高裁
昭56(あ)1505
裁判所ウェブサイト
(読83.7.8夕)
警察庁広域重要指定108号事件(いわゆる永山事件)。犯行時19歳。金品を奪う目的で侵入した米軍横須賀基地から拳銃を盗み、その後、東京のホテル敷地内で徘徊していたところを警備中のガードマンに見つかり射殺した。また、京都で神社に野宿しようとしていたのを咎められ、警備員を射殺、札幌と名古屋でタクシー運転手を射殺して現金を奪った。一審東京地裁は死刑判決、第一次控訴審は無期懲役判決、第一次上告審は犯行の罪質、動機、被害者数など多面的に死刑の適否を判断する一般基準を示したうえで、控訴審を量刑不当として破棄、差し戻した。獄中ノート『無知の涙』、小説『木橋』『捨て子ごっこ』など著作を次々に発表したことで死刑存廃論議に火がついた(読97.8.2朝)。『木橋』で新日本文学賞受賞(朝日83.3.20朝)。『無知の涙』では、貧困が無知を生むのではなく、資本主義社会が形成する、と述べ、犯行は自殺するための計画的なもの、と告白している(朝日13.4.28朝)。※犯行時19歳の少年であったが、本人が著作活動等を通じて実名を公表していたため、実名を表記する。
差  戻  審
87(昭62).3.18
東京高裁 昭58(う)1105
高刑速(昭62)46頁
判タ634号105頁
TKC D1-Law
(読87.3.18夕)
90(平2).4.17
最高裁
昭62(あ)498
裁判所ウェブサイト
(読90.4.17夕)
5 村竹正博 執行
98.6.25
享年54歳
(読98.6.26朝)
78.3.21
(一審判決)
無期懲役
83(昭58).3.30
長崎地裁佐世保支部
昭53(わ)70
判時1093号156頁
TKC D1-Law
85(昭60).10.18
福岡高裁
昭58(う)396
判タ588号108頁
TKC D1-Law
(読85.10.18夕)
90(平2).4.27
最高裁
昭60(あ)1478
裁判所ウェブサイト
(読90.4.27夕)
いわゆる長崎3人殺人事件。借金の申し入れを断られた友人とその女友達を殺害して現金を奪い、さらに、生命保険をかけた自分の妻も殺害した。捜査段階で全面自白。一審は無期懲役だったが、控訴審がこれを破棄、死刑とした。最高裁は、「前科がなく反省していることなどを考慮しても死刑とせざるを得ない」として控訴審判決を支持。
6 晴山広元 病死
04.6.4
享年70歳
胃がん
(読04.6.5朝)
72.5~74.5
(読90.1.7朝)
無期懲役
76(昭51).6.24
札幌地裁岩見沢支部
昭49(わ)52等
(TKC掲載情報より)
79(昭54).4.12
札幌高裁
昭51(う)160
(TKC掲載情報より)
90(平2).9.13
最高裁
昭54(あ)912
裁判所ウェブサイト
(読90.9.14朝)
いわゆる空知2女性殺人事件等。料理学校生とデパート店員の女性が乱暴・殺害された後遺体が遺棄され、また、1人の主婦が暴行され重傷を負った事件。晴山死刑確定者は捜査段階で犯行を認めていたが、公判途中で「警察にしつこく言われて頭がへんになり、どうにでもしてくれ言った」として否認に転じ、不当逮捕と無罪を主張した。上告審における1度目の弁論の直前に結成された新弁護団が裁判記録や犯行現場の徹底した再調査を行い、多方面から無実を主張する弁論要旨と同補充書を提出、5年経過の後に2度目の弁論が開かれた(読90.1.7朝)。最高裁の死刑事件としては最長の11年5か月の期間で2度の弁論が開かれた(読90.0.14朝)。92年に弁護団が再審請求し、札幌高裁が職権で被害者体内に残っていた体液のDNA型鑑定を実施したが、晴山死刑確定者のDNA型と2500分の1の確率で一致し、請求は棄却された(札幌高裁平13.2.16判決・D1-Law)。その後、最高裁に特別抗告中に死亡(読04.6.5朝)。
7 池本登 執行 07.12.7 享年74歳 (朝日07. 12.7夕) 85.6.3 (読89.11. 28夕) 無期懲役 88(昭63).3.22 徳島地裁 (読88.3.22夕) 89(平1).11.28 高松高裁 昭63(う)99 判タ721号238頁 TKC D1-Law (朝日89.11.28夕) 96(平8).3.4 最高裁 平1(あ)1329 裁判所ウェブサイト (朝日96.3.5朝) いわゆる猟銃近隣3人殺人事件。隣に住む親類が嫌がらせをしていると思い込んで文句を言ったところ、逆に怒鳴らりつけられたため逆上。親類とその内妻、以前から恨みを抱いていた知人男性の3人を狩猟用の散弾銃で射殺し、流れ弾で農作業中の主婦1人にけがを負わせた。一審で無期、控訴審は「年齢的な面からみても更生は困難」として死刑とした。弁護側は「一審、控訴審で主張してきた心神耗弱が認められなかった」として上告(毎89.11.28夕)。初の執行時氏名公表(朝日07.12.7夕)。
8 嶋崎末男 執行 04.9.14 享年59歳 (読04.9. 14夕) 88.3~5 (読92.11. 30夕) 無期懲役 92(平4).11.30 熊本地裁 (読92.11.30夕) 95(平7).3.16 福岡高裁 (読95.3.17朝) 99(平11).3.9 最高裁 平7(あ)450 裁判所ウェブサイト (読99.3.10朝) いわゆる熊本・菊地町保険金殺人事件。保険金詐取を目的に配下の組員を殺害、その口封じのため別の組員2人を射殺するなどした。一審は「更生の可能性もある」として無期懲役。控訴審は「(死刑の)適用には慎重さを要するのは当然だが、犯行の冷酷さや一連の事件の主導的立場を考えると極刑をもって臨むほかない」として、死刑を言い渡した(産95.3.17朝)。
9 横田謙二 99.1.9 (読01.6. 28夕) 無期懲役 01(平13).6.28 さいたま地裁 平11(わ)585 裁判所ウェブサイト (読01.6.28夕) 02(平14).9.30 東京高裁 平13(う)2062 高刑速(平14)86頁 TKC D1-Law (読02.9.30夕) 上告取下 02(平14).10.24 平19(あ)1684 裁判所ウェブサイト (読02.10.26朝) いわゆる川口バラバラ殺人事件。強盗殺人で無期懲役判決を受けて仮釈放中、自宅に招いたスナック従業員の女性と口論になり、女性の首を絞めて殺害。遺体をバラバラに切断して荒川に捨てた。一審判決は、横田死刑確定者が謝罪を述べていること、また、犯罪性向が議論の余地なく改善不可能なほどにまで進んでいるものとは言えないとして無期懲役、控訴審は「ささいなことに過剰に反応する性格の矯正は事実上不可能。被害者が1人でも、極刑はやむを得ない」とした。本人上告取り下げ、確定(読02.10.26朝)。逮捕時(99.4.9)49歳(読99.4.9夕)。
10 石橋栄治 病死 09.10.27 享年72歳 肺炎 (読09.10. 28朝) 88.12.28 /89.1.1 (一審判決) 無期懲役 96(平8).3.8 横浜地裁小田原支部 平1(わ)30 判時1596号131頁 TKC D1-Law (読96.3.9朝) 99(平11).4.28 東京高裁 平8(う)772 判タ1013号245頁 TKC D1-Law (読99.4.29朝) 04(平16).4.27 最高裁 平11(あ)1115 裁判所ウェブサイト (読04.4.27夕) いわゆる神奈川2件強盗殺人事件。売上金を奪おうとしてタクシー運転手を刺殺、さらに翌年には作業員を刺して現金を奪った上、宿舎に放火して焼死させたとして起訴された。捜査段階ではタクシー事件を自白していたが、一審公判中に供述が変遷し、最終的には全面的に否認。一審判決は、自白は信用できないとしてタクシー殺人は無罪、無期懲役としたが、控訴審判決は、自白は信用できるとして一審判決を破棄、両事件を有罪として死刑を言い渡した。死刑確定後、弁護人は高裁に再審請求する方針と明かしていた(朝日04.5.9朝)。肺炎で死亡(読09.10.28朝)。
11 持田孝 執行 08.2.1 享年65歳 (読08.2. 1夕) 97.4.18 (一審判決) 無期懲役 99(平11).5.27 東京地裁 平9(合わ)133 判時1686号156頁 TKC D1-Law (読99.5.27夕) 00(平12).2.28 東京高裁 平11(う)1202 高刑速(平12)73頁 判タ1027号284頁 判時1705号173頁 TKC D1-Law (読00.2.28夕) 04(平16).10.13 最高裁 平12(あ)425 裁判所ウェブサイト (読04.10.14朝) いわゆる逆恨み殺人事件。平成元年に強姦致傷等事件を起こし、その被害者である女性が警察に被害申告したことを逆恨みして、同事件から7年後の刑務所出所直後に同被害者を殺害し、その所持金を窃取した。家出中の女子高校生を殺害した前科が有り、これも一方的に裏切られたとして怒りを募らせ、それが殺意に転化した事件だった。一審は、被害者が1人の事件であり、被告人が謝罪の気持ちを口にしていることなどから無期懲役とした。控訴審は、犯行の計画性や出所から年数が経っていないこと、逆恨みという動機の特異性などから、死刑とした。事実認定が同じであるにもかかわらず、一審無期懲役が死刑となるのは近年では異例と言われた(読00.2.28夕)。
12 坂本正人 執行 08.4.10 享年41歳 (読08.4. 10夕) 02.7.19 (一審判決) 無期懲役 03(平15).10.9 前橋地裁 平14(わ)480 裁判所ウェブサイト (読03.10.9夕) 04(平16).10.29 東京高裁 平15(う)2869 高刑速(平16)105頁 TKC D1-Law (読04.10.29夕) いわゆる群馬県大胡町女子高生誘拐殺人事件。少女を拉致監禁して強姦したうえ殺害し、その所持金を奪い、その少女の家族に対して身代金を要求してこれを手に入れた。前科前歴のない犯人による被殺者1名の事件。控訴審東京高裁は、一審無期懲役を量刑判断の誤りとして破棄、死刑を宣告した。前妻らが家出したことをきっかけに自暴自棄になり、福祉事務所に保護されていた前妻らとの面会を迫る目的で被害者を略取したとされる。一審無期懲役に対して、検察側とともに坂本死刑確定者も死刑を求めて控訴(読04.10.29夕)。控訴審において、一審判決は「死刑じゃないのはおかしい」などと不可解な供述に終始。一審の弁護人に対しては、「釈放されても行く当てもなく金もない。だから死刑にしてくれ」と話していたという。上告せず、確定(読04.11.16朝)。
13 山崎義雄 執行 08.6.17 享年73歳 (読08.6. 17夕) 85.11 /90.3 (読97.2. 18夕) 無期懲役 97(平9).2.18 高松地裁 平6(わ)360 D1-Law(判決書なし) (読97.2.18夕) 00(平12).10.26 高松高裁 平9(う)65 高刑速(平12)239頁 判タ1064号222頁 TKC D1-Law (読00.10.26夕) 05(平17).1.25 最高裁 平12(あ)1778 裁判所ウェブサイト (読05.1.25夕) いわゆる仙台・香川連続保険金殺人事件。共犯男性と共謀し、知人女性にかけた保険金をだまし取ろうとしてこの女性を首つり自殺にみせかけて殺害、共犯者が受け取った保険金の一部を受け取った。そのほか、香川県の食品販売業者も事故死にみせかけて殺害(保険をかけたが失効)したとされる。2件目の殺害について、山崎死刑確定者は「本人から委託を受けた嘱託殺人だ」と主張。一審は、 1件目の殺害について共犯者が犯行を依頼したので共犯者が首謀者と言えるとして無期懲役としたが、控訴審は「(一審で)被告人に有利と判断した情状は妥当ではない」として死刑判決。共犯者は無罪を主張し(朝日99.3.16朝)、懲役15年が確定(読01.11.22大阪朝)。
14 秋永香 (旧姓名 岡下香) 執行 08.4.10 享年61歳 (読08.4. 10夕) 89.10. 1~4 (一審判決) 無期懲役 99(平11).3.11 東京地裁 平7(合わ)307等 D1-Law (読99.3.11夕) 01(平13).5.17 東京高裁 平11(う)1077 高刑速(平13)94頁 TKC D1-Law (読01.5.17夕) 05(平17).3.3 最高裁 平13(あ)1237 裁判所ウェブサイト (読05.3.3夕) いわゆる資産家老女ら2人殺人事件。元保険代理業者男性と共謀して杉並区の老女所有の所有権を取得したように装って売買代金をだまし取り、その発覚を恐れて老女を殺害、詐欺と殺人の罪をなすりつけるために共犯者を殺害したとされる。一審初公判では起訴事実を大筋で認めたものの、その後弁護側は老女殺害について否認、共犯者殺害については騙し取った金の分け前をしつこく要求され、睡眠不足で意識がもうろうとしていた中かっとなって短銃で撃ったと主張。一審判決は「犯行は場当たり的で計画性はない」と無期懲役としたが、控訴審は「完全犯罪を狙った計画的犯行」として死刑判決。旧姓岡下(読08.4.10夕)。確定後、獄中で詠んだ短歌をまとめ、歌集「終わりの始まり」を出版。秋永死刑確定者が短歌を投稿していた短歌誌の会員らが2年かけて費用を工面したという。あとがきに「赦されぬ過ちを犯した者の人生とは・・と、何かを感じてもらえば」と記されている(東京06.12.31朝)。
15 田中毅彦 (旧姓名 久堀毅彦) 92.2.9 /94.4.28 (控訴審 判決) 無期懲役 00(平12).3.16 大阪地裁堺支部 (読00.3.16夕) 01(平13).12.25 大阪高裁 平12(う)691 TKC D1-Law (読01.12.25夕) 06(平18).2.14 最高裁 平14(あ)317 裁判所ウェブサイト (読06.2.15朝) いわゆる右翼幹部ら2人殺人事件。仲間3人と共謀し、借金問題でもめていた自動車販売業の男性を絞殺、遺体を自動車修理工場内に埋めた。その2年後には右翼団体幹部の男性を絞殺、現金を奪ったうえ琵琶湖に捨てた。一審判決は「矯正の余地が全くないとまでいえない」「2件目は消極的だった」として死刑を回避したが(読00.3.16夕)、控訴審大阪高裁は破棄して死刑を言い渡した。上告審において弁護側は「被告人は首謀者ではなく、量刑が重すぎる」として死刑判決の破棄を要求したが、棄却。旧姓久堀(朝日06.2.15朝)。共犯のうち2人は無期懲役が確定(朝日03.5.30朝)。再逮捕時(94.7.7)30歳(読94.7.8朝)。
16 山口益生 94.4.5
~95.3.30
(一審判決)
97(平9).3.28
津地裁四日市支部
平7(わ)95等
判時1612号148頁
TKC D1-Law
(読97.3.29朝)
地裁差戻
97(平9).9.29
名古屋高裁 平9(う)129
裁判所ウェブサイト
(読97.9.30朝)
いわゆる古美術商ら2人殺人事件。共犯者と小牧市の無職男性とともに古美術商宅に押し入り、100万円を奪った。その後、無職男性から指図されることを不満に思い、共犯者とともに無職男性をアイスピックで刺した上絞殺した。その翌年には別の古美術商の男性を同様に殺害して現金を奪った。2人の遺体はダムに遺棄。一審津地裁四日市支部は求刑通り2人に死刑を宣告したが、名古屋高裁は「両被告人は公訴事実を認め、国選弁護人の選任にも異議の申し立てはなかった」と認定しながらも、「利害の反する2被告人に1人の弁護人では十分な弁護活動ができない」と訴訟手続きの不備を指摘、支部判決を破棄し、差し戻した。差戻し審で津地裁は、「実行行為に積極的でなかった」として無期懲役としたが、その後の差戻し控訴審は「犯行に積極的でないとした原判決の認定は是認できない」として死刑を言い渡した(読01.6.15朝)。共犯は上告中に病死(読02.7.23中部朝)。
自分あてに郵送された文書から拘置所長が勝手に死刑の執行方法を削除したのは違法などとして、国に賠償を求めて提訴、名古屋地裁は国に10万円の支払いを命じた(読08.9.13中部朝)。その他、教誨師あての手紙の発信が許可されなかったことでも国に賠償を命じる判決が出ている(読12.6.15中部朝)。戯曲「ハムレット」の一節を許可なく書いた便せんの台紙や切手入れ用に加工した封筒などの廃棄を求められたことにも、指導が違法であるとして損害賠償を求めて提訴(朝日19.3.19朝)、一審名古屋地裁は棄却(名古屋地裁平27.10.30判決・D1-Law)、控訴審名古屋高裁は国に賠償を命じたが(名古屋高裁平29.5.25判決・裁判所ウェブサイト)、最高裁は適法な指導であったとして控訴審判決を破棄、請求を全面的に退けた(最高裁平31.3.18判決・裁判所ウェブサイト)。名古屋拘置所が2022年1月に外部から差し入れられた「死刑と人権」と題したパンフレットの一部を抹消して交付したことは違法だとして国に損害賠償を求めて提訴し、2023年4月名古屋地裁は国に対し5000円の支払いを命じた(静岡23.4.19朝)。
逮捕時(95.4.16)45歳(朝日95.4.20朝)。
差  戻  審
無期懲役
99(平11).6.23
津地裁
平9(わ)236
判タ1028号242頁
TKC D1-Law
(読99.6.23夕)
01(平13).6.14
名古屋高裁
(読01.6.15朝)
06(平18).2.24
最高裁
平13(あ)1173
裁判所ウェブサイト
(読06.2.25朝)
17 高塩正裕 執行 08.10.28 享年55歳 (読08.10. 28夕) 04.3.18 (控訴審 判決) 無期懲役 06(平18).3.22 福島地裁いわき支部 (読06.3.23朝) 06(平18).12.5 仙台高裁 平18(う)102 高刑速(平18)335頁 TKC D1-Law (読06.12.6朝) 上告取下 06(平18).12.20 (読06.12.23朝) いわゆる、いわき市母娘強盗殺人事件。金に困って知人宅に押し入り、知人の妻と次女を刺殺、現金を奪い取った。一審で弁護側は計画性を否定したが、高塩死刑確定者は自ら極刑を受け入れる姿勢を示していた。一審判決は「殺害の計画性は認められない」として無期懲役としたが、控訴審は計画性を認めて死刑。本人上告取り下げ、確定(朝日06.12.23朝)。
18 加納惠喜 (旧姓名 武藤惠喜) 執行 13.2.21 享年62歳 (読13.2. 21) 02.3.14 (一審判決) 無期懲役 03(平15).5.15 名古屋地裁 平14(わ)800 裁判所ウェブサイト (読03.5.16朝) 04(平16).2.6 名古屋高裁 平15(う)308 裁判所ウェブサイト (読04.2.6夕) 07(平19).3.22 最高裁 平16(あ)583 裁判所ウェブサイト (読07.3.23朝) いわゆる名古屋市スナック経営者強殺事件。金を奪う目的で客を装って入ったカラオケ店で経営者女性を殺害、現金を奪った。一審で弁護側は、被害者をだまらせようと首を絞めたが金品を奪う犯意はなかった、と主張。判決は、計画的犯行とまではいえず殺人の前科を有しているが強盗等の前科及び無期懲役刑に処せられた前科がない、として無期懲役。控訴審は事前に強盗殺人の計画はなかったと認定したものの、冷酷残忍な犯行で故意に人命を奪ったのがこれで2回目ということを留意せざるを得ない、として原判決を破棄、死刑を言い渡した。一審判決以降、牧師との面会・文通を通じて贖罪について考え、信仰の道に入ることで反省を深めようとしていたという(読13.2.22朝)。旧姓武藤(読13.2.22朝)。東京新聞(中日新聞)が2013年末から翌年3月上旬まで、「二月二十一日 ある死刑確定者の記録」として特集記事を計45回にわたって掲載、養母や牧師一家との交流による加納死刑確定者の変化が綴られている(東京14.3.22朝)。
19 西山省三 92.3.29
(差戻控訴
審判決)
無期懲役
94(平6).9.30
広島地裁
平5(わ)334等
判時1524号154頁
判タ883号288頁
TKC D1-Law
(朝日94.10.1朝)
無期懲役
97(平9).2.4
広島高裁
平7(う)25
判時1701号170頁
判タ1023号130頁
TKC D1-Law
(朝日97.2.5朝)
高裁差戻
99(平11).12.10
最高裁
平9(あ)479
裁判所ウェブサイト
(朝日99.12.11朝)
いわゆる福山市強盗殺人事件。友人と共謀し、女性を殺害、現金と預金通帳を奪った。強盗殺人事件で無期懲役となり、仮釈放後の犯行。
無期懲役を最高裁が破棄して差戻し、その後死刑確定。共犯者は無期懲役が確定(朝日00.8.11朝)。差戻し控訴審で弁護側は、死刑制度は違憲であること、最高裁で認定された計画性の高さは事実誤認であること、西山死刑確定者が内省を深めていること、犯行には被告人の成育環境や服役した刑務所の矯正能力の低さも影響したことを主張、西山死刑確定者が贖罪のための臓器提供の意思があることも明らかにした。
2014年2月、再審請求。
2013年12月10日、再審請求中の弁護士との面会に拘置所職員が立ち会うのは違法と最高裁が判決を出した(朝日13.12.10夕)。精神鑑定のための精神科医との接見に拘置所職員が立ち会ったのは違法などとして損害賠償を求めて提訴。拘置所は医者が作家であったことから取材目的の接見の可能性があるため職員を立ち会わせていたが、2020年12月、広島地裁は、面会が精神鑑定のためだったと判断、再審請求を望む死刑確定者側の利益を侵害したとして国側に賠償を命じた(毎20.12.9大阪朝)(2020(令2).12.8広島地裁判決 平27(ワ)234号)。弁護団によると、再審準備のため通訳以外の第三者が同席しての秘密面会を認めた判決は初めてとのこと。また、広島地裁は面会時間を1時間に制限したことも違法としたが、ICレコーダーの使用については国の反論を認めて、西山死刑確定者側の訴えを退けた。弁護士側が控訴、2021年11月、広島高裁は一審判決を支持して西山死刑確定者側の控訴を棄却した(中国21.11.24 14:02)(2021(令3).11.24広島高裁判決 令3(ネ)17号)。2023年6月22日付けで最高裁が上告を棄却(中国23.6.27朝)。
16年以上監視カメラ付きの居室で監視状態に置かれているのはプライバシー権の侵害にあたるとして、国に損害賠償を求めて広島地裁に提訴、2024年1月に第一回口頭弁論が開かれた(朝日24.1.11朝)。
上告審判決時(07.4.10)54歳(朝日07.4.11朝)。
差  戻  審
04(平16).4.23
広島高裁
平12(う)20
裁判所ウェブサイト
(朝日04.4.24朝)
07(平19).4.10
最高裁
平16(あ)1554
裁判所ウェブサイト
(朝日07.4.11朝)
20 服部純也 執行 12.8.3 享年40歳 (読12.8. 3夕) 02.1. 22~23 (読04.1. 15夕) 無期懲役 04(平16).1.15 静岡地裁沼津支部 平14(わ)509 D1-Law (読04.1.15夕) 05(平17).3.29 東京高裁 平16(う)605 高刑速(平17)71頁 TKC D1-Law (読05.3.29夕) 08(平20).2.29 最高裁 平17(あ)959 裁判所ウェブサイト (読08.3.1朝) いわゆる三島女子短大生焼殺事件。短大生に声をかけ、逃げようとするのを脅迫して乗用車に乗せて監禁。車内で暴行、一時は解放しようと考えたが、仲間と早く覚せい剤を使用したいと焦ったうえ、犯行の発覚を恐れて山林で全身に灯油をかけて火をつけた。被害者1名。少年時代に2度の少年院送致。覚せい剤取締法違反で執行猶予中に強盗致傷を犯して4年6か月の実刑判決を受けて服役し、仮釈放後9か月の犯行。一審は、服部死刑確定者が反省の態度を示していることや、計画性がないこと、幼少時代の劣悪な生活環境などを理由に無期懲役としたが、控訴審は同じ環境で育った兄弟に犯行歴がないことや証拠隠滅活動を指摘、死刑を言い渡した。
21 井上嘉浩 執行 18.7.6 享年48歳 (朝日18. 7.6夕) 94.1 ~95.3 (朝日04.5. 28夕) 無期懲役 00(平12).6.6 東京地裁 平7(合わ)142等 判時1740号109頁 判タ1091号127頁 TKC D1-Law (読00.6.6夕) 04(平16).5.28 東京高裁 平13(う)470 高刑速(平16)73頁 判時1901号146頁 判タ1170号303頁 TKC D1-Law (読04.5.28夕) 09(平21).12.10 最高裁 平16(あ)1394 裁判所ウェブサイト (読09.12.11朝) いわゆるオウム真理教事件。10事件に関与。VX3事件、地下鉄サリン事件の総合調整役、元信徒リンチ殺害事件、目黒公証役場事務長監禁致死、新宿青酸ガス発生装置設置、東京都庁爆弾郵送、宗教学者自宅マンション前での爆弾爆破、教団施設に火炎瓶を投げて被害を自作自演。反省・謝罪の態度、公判での供述態度が考慮され、一審では無期懲役。地下鉄サリン事件において「後方支援、連絡調整役」とされたが、控訴審で「総合調整ともいうべき重要な役割を果たした」と認定され、死刑となる。2014年と15年の逃亡共犯者の法廷に死刑確定者として証人出廷(読14.02.03夕、読15.02.20夕)。2018年3月14日再審請求(時事通信18.3.14)。同日、東京拘置所から大阪拘置所に移送された(日経18.3.16朝)。同月、研究者や弁護士らでつくる「日本脱カルト協会」は、松本智津夫死刑確定者をのぞく弟子12人の死刑を執行しないよう訴えた(毎18.3.20朝)。さらに、同月、国連人権高等弁務官事務所の報道官が、オウム真理教事件の死刑確定者13人について、再審請求中にもかかわらず死刑が執行された場合は「死刑囚の権利保護を定めた国連規定違反となる」と指摘、国際基準上、問題になるとの認識を示した(毎18.3.28夕)。2018年3月に行った一回目の再審請求中に執行された(朝日18.7.11朝)。執行後の同年10月15日、両親が東京高裁に再審請求したが(毎18.10.16朝)、2019年12月に東京高裁は「確定判決に合理的な疑いが生じるとは言えない」として再審を認めない決定を出した(時事通信20.3.8配信)。逮捕時(95.5.15)25歳(読95.5.15夕)。
22 手柴勝敏 病死 10.4.14 享年66歳 小脳出血 (読10.4. 14朝) 96.6.8 /11.19 (朝日09. 12.12) 無期懲役 04(平16).3.11 福岡地裁 (読04.3.12朝) 06(平18).5.24 福岡高裁 (読06.5.24夕) 09(平21).12.11 最高裁 平18(あ)1741 裁判所ウェブサイト (読09.12.12朝) いわゆる架空建設計画取引による連続殺人事件。地域開発事業で利益獲得をもくろみ、菅峰夫死刑確定者と共謀し、事業を推進していた不動産業男性を殺害、地中に埋めた。また、建設会社社長女性に架空の工事話をもちかけ、殺害して現金と約束手形を奪うなどした。公判では、殺害し死体を遺棄したことは認めるが、”菅死刑確定者に強要されてやむなく実行しただけ”と主張(朝日97.11.18朝)。一審は手柴死刑確定者を「関与は従属的だった」として無期懲役としたが、控訴審は「お互いに相手を利用しあう関係だった」として、手柴死刑確定者にも死刑を言い渡した(読09.12.12朝)。死因は小脳出血。がんと診断され拘置所で投薬治療を受けていた(読10.4.14朝)。
23 熊谷徳久 執行 13.9.12 享年73歳 (読13.9. 12夕) 04.5.29 /6.23 (読04. 8.24朝 /読04. 7.1夕) 無期懲役 06(平18).4.17 東京地裁 (読06.4.17夕) 07(平19).4.25 東京高裁 平18(う)1486 高刑速(平19)212頁 TKC D1-Law (読07.4.25夕) 11(平23).3.1 最高裁 平19(あ)1006 裁判所ウェブサイト (読11.3.1朝) いわゆる横浜中華街店主銃殺事件。事業で成功した時期が忘れられず、「多額の事業資金を得るためには現金強奪事件を起こすしかない」と考え、2004年5月、横浜中華街で料理店を営む男性を射殺して現金を奪い、6月には東京メトロ渋谷駅駅員の腹部を銃撃して(重傷)、提げていた紙袋を奪った。死亡被害者は1人。一審は、熊谷死刑確定者が戦災孤児で不遇な成育歴があったこと、渋谷事件の3日後に警視庁に自首したことなどを踏まえ無期懲役としたが(朝日06.4.17夕)、控訴審は犯行を繰り返したこと、残忍な犯行形態などを重視し死刑とした。2011年に実施された死刑確定者を対象としたアンケート調査には、武器を作って拘置所からの脱走を図ったことがあること、「運動所」で自殺を図って懲罰を受けたことなどを記載していたという(毎13.9.12夕)。逮捕時(04.4.26)64歳(朝日04.6.27朝)。
24 K・A
(旧姓名K・A,O・A)
94.9.28
~10.7
(一審判決)
無期懲役
01(平13).7.9
名古屋地裁
平7(わ)459等
TKC D1-Law
(読01.7.10朝)
05(平17).10.14
名古屋高裁
平14(う)27
高刑速(平17)270頁
TKC D1-Law
(読05.10.15朝)
11(平23).3.10
最高裁
平17(あ)2358
裁判所ウェブサイト
(読11.3.11朝)
いわゆる木曽川・長良川連続リンチ殺人事件。K・M死刑確定者・H・M死刑確定者と共に、1994年9月末に大阪市でたまたま行き合った男性を人夫として送り込む目的で拘束した後に人夫受け入れの当てが外れたため殺害、高知県の山中に捨てた。10月初めには木曽川河川敷でシンナー仲間の男性の言動に腹を立てて暴行を加え重傷を負わせたまま放置し、殺害。さらに19歳と20歳の男性を車に監禁して現金を奪い、長良川河川敷で金属パイプで殴って殺害した。11日間の間の犯行。一審は無期懲役。控訴審で「刑種の選択を異にするほどの量刑上の差異」はないとして、死刑となった。木曽川事件の被害者の兄との交流があり、兄が最高裁に減刑を求める嘆願書を提出した(朝日11.3.11朝)。上告審では弁護側は「他の2人より常に消極的、従属的で、死刑は重過ぎる。死刑を望まない遺族もおり、生きて償わせるべきだ」と主張した(朝日11.3.9朝)。2011年5月12日発売のフライデーに拘置所内で撮影された写真が掲載される(読11.5.12朝)。2013年2月名古屋地裁が、8月名古屋高裁が再審請求を棄却(TKC平25(お)1号)、2015年12月に異議棄却(朝日15.12.26朝)、2016年12月に最高裁で再審請求棄却、同月に名古屋高裁に再審請求している(読17.3.4朝)。上告審判決時(11.3.10)35歳、事件当時19歳(朝日11.3.11朝)。旧姓名はK・A, O・A(朝11.4.10朝)。※主として死刑判決の確定後、マスコミ各社は実名報道を行っている。しかし、本人が自発的に実名を公表したか否かにつき確認できないため、当サイトでは、少年法61条の趣旨を踏まえ、イニシャルで表記する。
25 H・M
(旧姓名K・M)
94.9.28
~10.7
(一審判決)
無期懲役
01(平13).7.9
名古屋地裁
平7(わ)459等
TKC D1-Law
(読01.7.10朝)
05(平17).10.14
名古屋高裁
平14(う)27
高刑速(平17)270頁
TKC D1-Law
(読05.10.15朝)
11(平23).3.10
最高裁
平17(あ)2358
裁判所ウェブサイト
(読11.3.11朝)
いわゆる木曽川・長良川連続リンチ殺人事件。K・M死刑確定者・K・A死刑確定者と共に、1994年9月末に大阪市でたまたま行き合った男性を人夫として送り込む目的で拘束した後に人夫受け入れの当てが外れたため殺害、高知県の山中に捨てた。10月初めには木曽川河川敷でシンナー仲間の男性の言動に腹を立てて暴行を加え重傷を負わせたまま放置し、殺害。さらに19歳と20歳の男性を車に監禁して現金を奪い、長良川河川敷で金属パイプで殴って殺害した。11日間の間の犯行。一審無期懲役。控訴審で「刑種の選択を異にするほどの量刑上の差異」はないとして、死刑となった。上告審で弁護人は「被告人は事件当時と今では別人で、生まれ変わっている。終生、被害者の冥福を祈らせるべきだ」と訴え、また、他の2人からの暴力を受け主従関係があったとして死刑回避を求めた。2016年12月、再審請求(読17.3.4朝)。事件後、キリスト教の洗礼を受ける(朝日11.3.11朝、朝日11.3.9朝)。2014年、刑務官2人に個人情報を漏らされた(面会人の名前や住所、差し入れ内容をメモし、他の共犯者に渡すなどした)として、国に損害賠償を求めて提訴、国に支払いを命じる判決が出ている(読14.4.19朝)。2016年、外部との手紙のやりとりを職員が他の死刑確定者にもらしたのはプライバシーの侵害にあたるとして、名古屋地裁が国に39万円の支払いを命じた(読16.9.3朝)。2017年、差し入れられた書籍の一部を拘置所が閲覧させなかったのは違法として、名古屋地裁が国に5万円の支払いを命じた(読17.1.14朝)。差し入れられた手紙の受け取りなどを名古屋拘置所が不許可としたのは違法として、2021年9月、名古屋地裁が国に20万5千円の支払いを命じた(共同21.9.21 17:07)。上告審判決時(11.3.10)35歳、事件当時18歳(朝日11.3.11朝)。旧姓名はK・M(朝11.4.10朝)。※主として死刑判決の確定後、マスコミ各社は実名報道を行っている。しかし、本人が自発的に実名を公表したか否かにつき確認できないため、当サイトでは、少年法61条の趣旨を踏まえ、イニシャルで表記する。
26 片岡清 病死 16.2.14 享年84歳 アルツハイマー病に伴う摂食障害と衰弱 (朝日16.2.15夕) 03.9.28 /04.12.10 (朝日05. 6.11朝 /朝05. 1.16朝) 無期懲役 06(平18).3.24 岡山地裁 平17(わ)21等 TKC (朝日06.3.24夕) 08(平20).2.27 広島高裁岡山支部 平18(う)85 裁判所ウェブサイト (朝日08.2.27夕) 11(平23).3.24 最高裁 平20(あ)573 裁判所ウェブサイト (読11.3.25朝) いわゆる広島・岡山独居老人強盗殺人事件。広島・岡山両県で2003~4年に高齢の男女2人を強盗目的で殺害。一審判決は、広島事件において首を絞めたのは黙らせるためで殺意はなかったとする被告人側の主張を認め、強盗致死罪を適用、無期懲役となった。控訴審では両事件とも強盗殺人罪が認められ、死刑となった。2013年に再審準備のための面会において職員の立ち合いがあり、秘密交通権が侵害されたとして弁護団が損害賠償訴訟を起こしている(毎16.2.15朝/毎13.6.22)。確定時79歳は戦後史上最高齢。2016年1月6日、広島高裁岡山支部で再審請求棄却(TKC平成26年(お)1号)。逮捕時(04.12.24)73歳(朝日04.1.25大阪朝)。
27 O・T
(旧姓名F・T)
99.4.14
(朝日12.2.21朝)
無期懲役
00(平12).3.22
山口地裁
平12(わ)89
TKC D1-Law
(朝日00.3.22夕)
無期懲役
02(平14).3.14
広島高裁
平12(う)66
裁判所ウェブサイト
(朝日02.3.15朝)
高裁差戻
06(平18).6.20
最高裁
(朝日06.6.21朝)
いわゆる光市母子殺害事件。犯行当時18歳1ヵ月。会社員宅に排水検査を装い侵入、抵抗する会社員の妻の首を絞め殺害し、強姦。犯行の発覚を恐れ、泣き続けていた長女(11カ月)を床に叩きつけて首を絞めて殺害したとされる。裁判が始まった当初は起訴内容を認めていたが、差戻し前の上告審で一転して殺意を否認した。一審、第一次控訴審は被告人が立ち直る可能性を重視して無期懲役としたが、最高裁がこれを破棄、差戻し後の控訴審判決は死刑。その後の差戻し上告審では裁判官4人中1人が死刑に反対意見を述べた。最高裁が死刑と結論づけた刑事裁判の判決で、裁判官から反対意見が出されたのは55年の三鷹事件大法廷判決以来。確定前には、亡くなった2人に対する謝罪の言葉も口にするようになったという。弁護団は、確定判決に対して「裁判所は、強姦目的や殺意はなかったとする専門家の鑑定結果などを無視した」とコメント(読12.2.21西部朝)。2007年、橋下徹弁護士がテレビ番組で弁護団を非難し、市民に懲戒請求を呼び掛けた。弁護団は橋下氏を相手に民事訴訟を起こし、広島高裁は懲戒請求によって弁護士らの仕事が妨害されたと認めたが、最高裁で逆転敗訴した(朝日12.2.23朝)。2012年10月29日弁護団が再審請求。「実母の虐待によって精神的発達が妨げられた」とする精神鑑定結果や、「被害者の首を手で絞めて殺害した」と確定判決が認定した行為と遺体の所見が一致しない、と主張(日経12.10.29夕)。2015年10月広島高裁がこれを棄却、弁護団が異議を申し立てたが、同高裁は弁護団側の報告書について「一部は新規性を欠き、その他は証拠価値が低い」として2019年11月6日付で棄却を決定。弁護団側の、事件当時は脳機能の障害によって心神喪失状態であったとの主張も退けた(毎19.11.8朝)。同月11日付で弁護団が最高裁に特別抗告(産19.11.13朝)。2020年12月最高裁が特別抗告を棄却(朝日20.12.10朝)。2022年3月、広島高裁が第二次再審請求を棄却、弁護団が同高裁に異議を申し立て(時事22.4.25 11:19)、広島高裁は2023年3月29日付で異議申し立てを退ける決定をした(毎23.6.22朝)。同年12月11日付で最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)が特別抗告を棄却した(朝日23.12.14朝)。
旧姓名はF・T(朝19.11.14朝)。※主として死刑判決の確定後、マスコミ各社は実名報道を行っている。しかし、本人が自発的に実名を公表したか否かにつき確認できないため、当サイトでは、少年法61条の趣旨を踏まえ、イニシャルで表記する。
差  戻  審
08(平20).4.22
広島高裁
平18(う)161
裁判所ウェブサイト
(朝日08.4.22夕)
12(平24).2.20
最高裁
平20(あ)1136
裁判所ウェブサイト
(朝日12.2.21朝)
28 岩森稔 病死21.12.11 享年76歳 心不全 (時事21.12.12 12:02) 07.7.21 (朝日13.3. 3朝) 無期懲役 08(平20).3.21 さいたま地裁 平19(わ)290 裁判所ウェブサイト (朝日08.3.22朝) 09(平21).3.25 東京高裁 (朝日09.3.26朝) 12(平24).3.2 最高裁 平21(あ)776 裁判所ウェブサイト (朝日13.3.3朝) いわゆる本庄夫婦強盗殺人事件。生活費に困り、以前に借金をしたことのある顔見知り男性宅に侵入、男性と妻を鈍器で殴るなどして殺害したうえ、現金1万円をうばった。強盗目的ではなく金を借りるつもりだったと主張。一審さいたま地裁は計画的犯行とは言えないとして無期懲役としたが、控訴審東京高裁は、鈍器を持参し、手加減することなく被害者の頭部や顔面に激しい打撃を加えている、として死刑判決。2021年12月初め、血圧が高いことなどから東京拘置所の病棟に収容され、不整脈の症状があり治療を続けたが、同月11日に死亡が確認された(日経21.12.12 12:16)。再逮捕時(07.3.19)61歳(読07.3.20朝)。
29 野崎浩 病死 20.12.13 享年61歳 慢性腎不全 (毎20.12. 13) 99.4.22 /08.4.3 (一審判決) 無期懲役 09(平21).12.16 東京地裁 平20刑(わ)1214号等 TKC D1-Law (朝日09.12.16夕) 10(平22).10.8 東京高裁 平22(う)516 東高刑時報61巻 1~12号234頁 TKC D1-Law (朝日10.10.9朝) 12(平24).12.14 最高裁 平22(あ)2003 裁判所ウェブサイト (朝日12.12.15朝) いわゆるフィリピン女性2人殺人事件。いずれも思い通りにならない相手方の態度に激怒するなどして、交際相手だったフィリピン人女性2人を殺害し、2人目の遺体を切断して捨てたとされる。最初の事件に関しては2000年に死体損壊・遺棄罪に問われたが、殺人罪で起訴されないまま実刑が確定。出所後に2件目の事件を起こした。一審初公判で被告人弁護側は起訴内容を認めていたが、その後一転して否認。1件目の殺害について「自白以外の証拠がない」と無罪を主張していた。刑法の規定より、一審判決では、1件目に懲役14年、2件目に無期懲役と、2つの判決が出、控訴審東京高裁は無期懲役を破棄、死刑を言い渡した。08年に路上で手首を切って自殺を図り、駆け付けた救急隊員に「ロッカーに遺体が入っている」というメモを手渡し、遺体の一部が発見されたことから事件が発覚した(読08.4.7夕)。腎機能の悪化により18年から人工透析を受けており、20年11月に容体が悪化したが治療を拒んでいたという。同年12月12日、拘置所職員が異変に気づいて死亡が確認された(毎20.12.13)。逮捕時(08.4.7)48歳(読08.4.7夕)。
30 渡辺純一 04.10. 13~16 (一審判決) 無期懲役 07(平19).8.7 千葉地裁 平17(わ)1356等 裁判所ウェブサイト (朝日07.8.8朝) 09(平21).3.19 東京高裁 (朝日09.3.20朝) 13(平25).1.29 最高裁 平21(あ)994 裁判所ウェブサイト (朝日13.1.29夕) いわゆる架空請求詐欺グループ仲間割れ事件。清水大志死刑確定者を中心とした架空請求詐欺を繰り返していたグループ内部で仲間割れが起こり、殺人事件となった。被害者となる4人のメンバーが収益を強奪しようと中国人マフィアに清水死刑確定者らの襲撃を依頼していたことが発覚、計画を知った清水死刑確定者らが謀議をしていたメンバーを襲撃して次々と新宿区内のビルに監禁、暴行を加えた。さらに暴力団組員に4人の殺害を依頼しようとしたが交渉が決裂、清水死刑確定者を中心としたメンバーが4人を殺害・暴行死させて、遺体を茨城県内に埋めた。渡辺・清水死刑確定者は一審で殺人と傷害致死を否認。殺害などを実行した伊藤玲雄死刑確定者との共謀があったかどうかが争点となり、判決は共謀の成立を認めた。渡辺死刑確定者は一審判決では首謀者の立場ではなかったとして無期懲役だったが、控訴審は、共犯者に何度も殺害の指示を出し脅して口止めまでしていたことから、事件が重大化したのは渡辺死刑確定者によるところが大きいとして無期懲役を破棄、死刑とした。逮捕時(05.6.22)28歳(読05.6.23朝)。
PAGE TOP