令和7年7月1日(火)死刑制度に関する質疑について

令和7年7月1日(火)法務大臣閣議後記者会見の概要

死刑制度に関する質疑について

【記者】
 死刑制度についてお尋ねします。先週、およそ2年11か月ぶりの執行があり、制度に関しては賛否両論様々な反応がありました。肯定的な受け止めがある一方で、6月から拘禁刑を導入して犯罪者の更生に軸足を置いたのに死刑制度だけが相いれないといった指摘や、既に廃止した国が多いとして世界的潮流との整合性を問う声もありました。改めて、こうした意見に対する大臣のお考えを教えてください。

【大臣】
 先日の臨時会見でも、色々な御質疑の中で申し上げたところと若干重複すると思いますが、まさにこの死刑制度の存廃、これは我が国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題です。
 その意味においては、国民世論にも十分に配慮しながら、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であると考えています。
 なお、国民世論の多数の皆様方が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ない、そう考えておられる。そして、多数の者に対する殺人、あるいは強盗殺人等の凶悪犯罪がいまだに後を絶たない状況である、そういったことに鑑みると、やはりその罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科すこともやむを得ないと私どもとしては考えているところです。
 拘禁刑との関係ということですが、拘禁刑もあくまで刑罰であり、まさにそれは、受刑者の改善更生だけではなく、一般予防も目的とするとともに、応報としての性質も有することに変わりはないものです。拘禁刑の導入は、死刑制度の維持と何ら整合性を欠くということではないと、私どもとしては考えています。
 そして、国際的潮流との関係ですが、死刑制度の存廃は、まさに先ほど申し上げたように、それぞれの国の刑事司法制度の根幹となる重要な問題であり、当然、その存廃については、国際機関における議論、あるいは諸外国における動向を参考にしながら、やはり基本的には各国において、それぞれの国民感情、犯罪情勢や刑事政策の在り方を踏まえて、それぞれ各国において独自に決定すべき問題であろうと私どもとしては考えています。
 こうしたことを踏まえると、私どもとして、死刑を廃止するということは適当ではないと考えているところです。

【記者】
 死刑執行について関連でお伺いします。先ほども、諸外国を参考にしながらというお話がありましたけれども、先日の死刑の執行を受けてですね、駐日欧州連合代表部とですね、EUの加盟国などが共同で声明を発出して、遺憾の意を表明しました。このことについての大臣としての受け止めをお伺いします。また、死刑制度へのこのような国際的な反発に対して、どのように理解を求めていかれるお考えかについても併せてお伺いします。

【大臣】
 まず、死刑に関する我が国の立場については、国際社会に対しても、これまでも丁寧に説明を行ってきているつもりです。
 そうした中で、当然ながら今後とも引き続き、我が国の立場を丁寧に説明していくことは重要であろうと思います。
 一方で、死刑制度の存廃ということですが、先ほど来申し上げていますが、それぞれの国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題ですので、国際機関における議論の状況、あるいは諸外国の動向といったものを参考にしながら、基本的にはそれぞれの国において、国民感情や犯罪情勢、刑事政策の在り方等を踏まえて、独自に決定されるべき問題であると我々としては考えており、そういった姿勢に当然のことながら変化はありません。