令和7年6月27日(金)法務大臣臨時記者会見の概要
本日、白石隆浩の死刑を執行しました。
犯罪事実の概要については、別途お配りした資料のとおりです。
概略について申し上げますと、約2か月の間に、本犯方において、9名の被害者に対し、首を締め付けるなどの暴行を加えて殺害し、所持金を奪うなどし、その後、9名の遺体を切断するなどし、その一部を箱に入れて隠匿するとともに、さらにその一部をごみ集積所等に投棄した、強盗・強制性交等殺人、強盗殺人、死体損壊、死体遺棄の事件です。
本件は、自己の性的、そして金銭的欲求を満たすなどという、誠に身勝手な理由から、約2か月の間に9名もの被害者の若く尊い人命が奪われるといった極めて重大な結果を発生させ、社会にも大きな衝撃、そして不安感を与えた事件です。命を奪われた被害者の方々はもちろんのこと、御遺族の方々にとりましても、無念この上ない事件であると承知しています。
本件については、裁判において、十分な審理を経た上で、死刑判決が確定したものです。
以上のような事実を踏まえ、法務大臣として、慎重な上にも慎重な検討を加えた上で、死刑執行を命令した次第です。
死刑執行に関する質疑について
【記者】
本日の死刑執行を受けて確定死刑囚の人数が何人になったか教えてください。
また、前回の執行から2年以上空いて、その間、袴田さんの再審無罪であるとか、死刑制度の見直しを求める懇話会の声とかいろいろありましたが、それを踏まえた中でこの時期に執行した理由と、白石死刑囚を選んだ理由を教えてください。
【大臣】
まず、本日現在において、法務省において把握している死刑判決確定者は105名です。
その上で、この状況で、なぜ白石隆浩を今回選んだのかということですが、個々の死刑執行の判断に関わる事柄については、申し訳ありませんが、お答えを差し控えさせていただきたいと思っています。
その上で、一般論として申し上げますと、死刑執行に関しては、個々の事案について、関係記録を十分に精査し、刑の執行停止、そして再審事由の有無について、慎重に検討を行い、これらの事由等がないと認めた場合に、初めて死刑執行命令を発することとしています。
今回も同様に慎重な検討を経て、死刑執行命令を発したものです。
【記者】
先ほど言及があった再審請求について、白石死刑囚については、再審請求していたかどうか。もし仮にしていればですね、再審請求のどの段階だったのかについて教えてください。
【大臣】
私から、その点についてつまびらかにすることは、差し控えさせていただきたいと思います。
【記者】
先ほど、本日現在の死刑囚が105人ということでしたけれども、105人のうちの再審請求中の数は何人になりますでしょうか。
もう一つ、今回の死刑執行に際し、大臣が決裁文書にサインしたのがいつだったのか、またそのときの心境ですね、言える範囲で教えてもらえたらと思います。
【大臣】
死刑判決確定者のうちで再審請求中のものということで申し上げますと49名です。そして、私が執行命令書にサインをした日は6月23日、今週月曜日です。
そして、その時の心境ということですが、まさに申し上げるまでもなく、死刑は人の生命を断つ極めて重大な刑罰です。その観点から申し上げれば、その執行に際しては、これは慎重な態度で、当然のことながら、臨んでいかなくてはならないと思っています。
その一方で、法治国家として、確定した裁判の執行は厳正に行われなくてはならない。これもまた、言うまでもないことであろうと思います。
特に死刑の判決、これは極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対して、まさに裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものです。
そういったことの中で、法務大臣としては、裁判所の判断を尊重しながら、法の定めるところに従って、慎重かつ厳正に対処すべきものと考えています。
特に今回の件ですが、誠に身勝手な理由から、約2か月の間に9名の被害者の方の尊い人生を奪う、そういった極めて重大な結果を発生させた事案です。先ほども申し上げましたが、お亡くなりになられました被害者の方々、そして御遺族の方々にとっても、無念この上ない事件と承知しています。
こうしたことを踏まえて、慎重な検討を経た上で、私として死刑執行命令を発したところです。
【記者】
今回、白石死刑囚に死刑を告知したのはいつになるでしょうか。死刑の告知をめぐっては、当日告知は違憲だとする訴えも起きています。告知の在り方について改めてお考えも教えてください。
【大臣】
個々の執行に関わるプロセスについて、私からそこをつまびらかにするということについては、お答えを差し控えさせていただきたいと思っています。
この死刑制度、様々なプロセスについて議論があることは承知していますが、まさに我が国の刑事司法制度の根幹に関わる極めて重要な問題です。
そういった中にあって、その在り方については、当然国民世論に十分に配慮していかなければならない。また同時に、社会における正義の実現等の趣旨の観点から、慎重に検討していかなくてはいけないことであろうと思っています。
そういった中にあって、現行の様々な議論について、私として特段のコメントをすることは差し控えさせていただきます。
【記者】
法務大臣の中には、執行に立ち会われた方もいると存じていますが、今回は立ち会いの有無、それと、大臣は就任時のインタビューで、刑場について視察に参りたいというような意欲を見せられていましたが、これまでの間に視察はされたんでしょうか。
【大臣】
まず、私が立ち会ったかということですが、立ち会いはしていません。
刑場の視察について、私も就任時に申し上げています。そのことについては、昨年の年末に、東京拘置所の視察をさせていただいております。
【記者】
視察した感想というか、どういった心情になるのかお伺いできますか。
【大臣】
その点について、法務大臣という職責の中にあって、やはり厳粛な、刑場を視察する中で、改めてそうした責任を身をもって感じたということです。
【記者】
先ほど二つ前の質問のところでですね、死刑制度について、国民の世論にも配慮しなければいけないみたいな話がありましたけれども、政府はこれまで、国民から死刑制度が支持されているということを、死刑存置の理由に上げてきたかと思いますけれども、大臣の今回のこの執行の判断に係る中で、この国民世論、例えばどういったものをもって、国民から支持されているというか、何をもってそういうふうにお考えになったんでしょうか。
【大臣】
まず、今回の執行に当たってということですが、その点については、個々の執行に関わる判断についてのことであり、その点についての私からの答弁は差し控えさせていただきたいと思っています。
その上で、一般論として、死刑の在り方ということで、国民の皆様方の思いということ、そのことを私も触れさせていただきました。そこについては、今年行われた世論調査においても、依然として85パーセントであったと記憶をしていますが、85パーセントほどの方が、死刑について廃止してはならないということを、支持されている状況があります。
そうした中にあって、国民世論の多数の方々が、やはり極めて悪質、そして凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えられているということも、そこでは明らかになっていると思いますし、これはほかのいろんな調査においても、そうであろうかと思います。
そして同時に、多数の者に対する殺人あるいは強盗殺人、そういった凶悪犯罪がいまだに後を絶たないという状況でもあります。そういった中で、罪責の著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することがやむを得ない、そういった国民世論があると、私どもとしては承知しているところです。
【記者】
大臣が今おっしゃられたのは、今年の2月に内閣府が公表した死刑制度に関する世論調査のことだと思いますけれども、やむを得ないが83パーセントに上る一方で、廃止すべきであるという意見がですね、前回よりも高く、これまでで一番高い数字になったかと思うんですけれども、そこについて、廃止すべきだという理由のところでですね、裁判に誤りがあったら取り返しがつかないというのが一番最多で7割に上りましたけれども、昨年度、袴田さんの件があったのが影響したのかと言われておりますが、そこについてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
【大臣】
先ほどの世論調査について、正確な数字で申し上げますと、行われた月を申し上げれば、昨年の10月になります。死刑の存続が83.1パーセント、死刑廃止が16.5パーセントという結果であったと承知しています。
そういった中にあって、やはり今の死刑がどうあるべきかということで申し上げれば、こうした様々な国民の皆様方の間での、こうした御意見等も踏まえ、さらには先ほど申し上げましたが、凶悪犯罪がいまだに後を絶たない状況もあります。
やはり私どもとしては、死刑を廃止することは適当ではないと考えています。
同時に、まさにこの死刑の在り方は我が国の刑事司法制度の極めて根幹の部分でもありますので、多くの国民の皆様方が、その必要性を感じて自ら議論に参加する形で、幅広い観点から議論がなされることが適切だろうと思っています。
そういった中にあって、現時点でこうした議論について、私どもとして廃止すべきといった立場ではございません。
【記者】
先ほどのお話にあった105名の中に、白石死刑囚が入っているのかということと、前回の執行からおよそ3年の期間が空いたことになりましたが、今回の執行に際し、期間が長く空いたことなどもお考えの中にあったということでしょうか。
【大臣】
先ほど申し上げました105名の中に、白石隆浩は含まれていませんので、この執行の結果、105名ということです。
その上で、後段のお尋ねについて申し上げますが、これは個々の死刑の執行の判断に関わることですので、私からのお答えについては差し控えさせていただきたいと思いますが、まさに今回のこの死刑の執行についても、その事案について、十分に精査し、そして先ほどの繰り返しになりますが、刑の執行停止、あるいは再審事由の有無、こうしたことについて、慎重に検討を行い、こうした事由がないことを認めた上での死刑執行命令ですので、その旨を申し上げたいと思います。
【記者】
先ほどのお話にあった105名の中に、白石死刑囚が入っているのかということと、前回の執行からおよそ3年の期間が空いたことになりましたが、今回の執行に際し、期間が長く空いたことなどもお考えの中にあったということでしょうか。
【大臣】
先ほど申し上げました105名の中に、白石隆浩は含まれていませんので、この執行の結果、105名ということです。
その上で、後段のお尋ねについて申し上げますが、これは個々の死刑の執行の判断に関わることですので、私からのお答えについては差し控えさせていただきたいと思いますが、まさに今回のこの死刑の執行についても、その事案について、十分に精査し、そして先ほどの繰り返しになりますが、刑の執行停止、あるいは再審事由の有無、こうしたことについて、慎重に検討を行い、こうした事由がないことを認めた上での死刑執行命令ですので、その旨を申し上げたいと思います。
【記者】
一つ前の質問の関連で、前回の死刑執行から今日までの期間について、正確な数字を教えていただけますか。
【大臣】
正確な数字ということで、前回の執行から今回の執行までの期間は、2年と11か月になります。
【記者】
今御発言があった2年11か月という期間なんですけれども、これは法務省が2007年に執行対象者の公表を始めてからでは、その期間っていうのは最長だったということでよろしかったでしょうか。
【大臣】
それ以降ということで申し上げれば、最長であったと考えています。
【記者】
今の点なんですけれども、2007年より前から遡るとどうなんでしょうか。2007年以降最長というお答えでしたけれども。
【大臣】
そこについて、私どもとして公表していないということで御理解いただければと思います。
【記者】
今の点なんですけれども、2007年より前から遡るとどうなんでしょうか。2007年以降最長というお答えでしたけれども。
【大臣】
そこについて、私どもとして公表していないということで御理解いただければと思います。
【記者】
もう一点、個々の執行に関わることなのでコメントは差し控えたいってことでしたけれども、2年11か月期間が空いて、死刑反対団体の中ではもう、事実上の執行停止期間に入ったんじゃないかとかという声もありますけれども、3年空いたっていうこの事実については、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
個々の執行については、個々の事案ごとに、私どもとして、その事案について関係の文書も精査して、その結果として先ほど申し上げたような点についての慎重な判断を行い、執行命令を下しています。
そういった中で、期間が空いたことについての所感ですが、そこはまさにそうした判断に基づいて、それまでも執行の命令を下していると私は考えていますので、回答を差し控えさせていただきたいと思います。
【記者】
先ほどの2007年以降は氏名の公表であって、執行事実の公表じゃないと思うんですけど、そこをきちんとお答え願えますか。
【大臣】
平成10年11月以降は執行事実の公表を行っていると承知しています。
【記者】
平成10年11月以降でいうと、2年11か月が最長ということでよろしいでしょうか。
【大臣】
結構です。
【記者】
あともう一点すみません。白石死刑囚の再審請求の有無に関しては、答えを差し控えるということでしたけれども、大臣自身が再審制度の見直しに関して法制審に諮問したその中で、諮問項目に関しては絞らずに、幅広い論点から見直しに向けた検討ということで諮問されたかと思います。
刑訴法に関する在り方協議会の中でも、再審制度の見直しの論点として、死刑囚に対してですね、再審請求があった時点で、刑の執行を停止すべきじゃないかっていう点も確か論点があって、今後法制審でも論点になりうる項目かと思いますけれども、再審制度の見直し、その諮問をした大臣としてやっぱり、再審に関してはちょっとフェーズが変わっている段階だと思いますので、これまでの歴代の法務大臣のように、再審請求の有無に関しては答えないという立場では、ちょっと違うんじゃないかなと思うんですけれども。そこに関して、この再審の見直しが法制審で進んでいる中で、死刑執行したその中の対象について再審請求の有無について大臣が答えないっていうのは、ちょっと違うんじゃないかなと思うんですが。そこはいかがでしょうか。
【大臣】
先ほど来申し上げていますように、個々の執行の判断の中で、これも一般論ですが、当然のことながら、精査した上で、再審事由の有無について慎重な検討を行い、それがない場合に、死刑執行命令を下しているところです。そして、再審請求中であることは刑事訴訟法上、死刑の執行停止事由とはされていない。これはおそらく御承知のとおりです。
そういった中にあって、今の現状ということで申し上げれば、やはり、先ほど来申し上げていますように、凶悪な犯罪が後を絶たない中で、国民の皆様方の間においても、そうした凶悪な事案については、死刑執行もやむを得ないといった世論も示されている状況です。そうした状況の中で今回、慎重な判断を下した結果として、死刑執行命令を下したという状況ですので御理解いただきたいと思います。
【記者】
答えになっていないと思います。
【大臣】
御質問をもう1回お願いします。
【記者】
再審請求の有無を答えない理由は何でしょうか。
【大臣】
そこについては、それぞれ再審請求をしているのかどうか、その事実自体を公表されたくないと考えておられる場合もあります。
そういったことを考えれば、死刑確定者あるいは被害者の御遺族の方々の感情を害するおそれもあるということで、これまでも差し控えさせていただいたことであり、現状においても私は変わらないと考えています。
【記者】
先ほど死刑執行が2年11か月ぶりというのがありましたが、前の死刑執行は2022年7月の加藤智大元死刑囚の執行で間違いないでしょうか。
【大臣】
そのとおりです。
【記者】
死刑の確定から執行までの期間について伺いたいんですが、今回の執行を受けて、その平均期間はいかがでしょうか。
【大臣】
死刑執行のタイミングですが、刑事訴訟法第475条第2項の本文において、死刑の執行命令は判決確定の日から6か月以内にしなければならない旨規定されています。その一方で、これは訓示規定ということです。
そういった中で、今回の死刑執行までの期間ということですが、これは先ほど来申し上げていますが、個々の死刑執行の判断に関わる問題でもありますので、先ほど来の答弁の繰り返しになりますが、そこは私どもとして、それぞれの事案について、慎重な精査を行っていく中で、関係記録等の十分な精査の上で、再審事由の有無あるいは刑の執行停止について慎重な判断の結果として、こうした決定を下し、死刑執行命令を発するというプロセスをとっています。
それぞれの期間が長い短い、そこについて私からの答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
【記者】
長い短いの評価というより、これまでの公表されている執行の確定とか執行の平均期間というのは、今までも答えられてきたように感じるんですが。
【大臣】
死刑執行のタイミングですが、刑事訴訟法第475条第2項の本文において、死刑の執行命令は判決確定の日から6か月以内にしなければならない旨規定されています。その一方で、これは訓示規定ということです。
平均の期間ということで申し上げれば、平成27年から令和6年までの10年間で死刑を執行されたものについて、刑の確定から死刑が執行されるまでの平均期間は約9年6か月です。
【記者】
死刑制度の情報開示の在り方についてお伺いします。
大臣、先ほど死刑制度について十分な国民の間での議論を進めていくとのお話がありましたが、現在の死刑制度の情報開示は不十分じゃないかという声もあります。その点についてどのようにお考えかと、今後、死刑執行の状況や死刑囚の現在の状況について、情報を開示していくようなお考えはおありかどうかお聞かせください。
【大臣】
情報開示ということですが、様々な関係者の方々、あるいは死刑確定者のプライバシーもあろうかと思います。
そういった中にあって、更なる情報開示について、当然のことながら、必要な情報の可能な範囲での開示は必要と思いますが、おっしゃるような形での具体的な情報の開示ということについては考えていません。
【記者】
今回、御遺族に対する通知の在り方はどうだったのか、教えてください。
【大臣】
その点についても、それぞれプライバシーの判断から、私からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
【記者】
すみません続けてもう一点伺います。昨年末、国連人権理事会に任命された特別報告者が、日本政府に対して死刑制度の見直しや執行停止の検討を求める通報を行うなど、国際社会からの批判が高まっている状況にあると思います。
一時的に、モラトリアムとして死刑執行を停止して議論をすべきであるという議論もありますけれども、これまでのお答えと重なるとは思うんですけれども、改めてこの国際社会からの批判に対してどのようにお考えになっているのかお聞かせください。
【大臣】
死刑制度の存廃について、国際機関あるいは国際社会での議論や、諸外国の動向を当然参考にすることもあろうと思いますが、同時にそれぞれの国において、これはそれぞれの刑事司法制度の根幹を成すものであるため、それぞれの国民感情であったり、あるいは犯罪の情勢、そしてさらに申し上げれば、刑事政策の在り方、こういったことを踏まえながら、それぞれの国において独自に決定するべきことではないかと考えています。
【記者】
刑の執行につきまして、今回の白石死刑囚の執行について、省内でですね、いつごろから執行について検討を始めたかについて言及いただけたらと思います。
【大臣】
そこはまさに、内部における検討過程ですので、その点は申し訳ありませんが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
【記者】
今回の白石死刑囚の確定から執行までの期間と、白石死刑囚を除いた105人の確定から現在までの平均期間、あと死刑囚の中の最長と最短といいますか、その期間は出ますでしょうか。
【大臣】
今回執行されたものについては、確定から約4年5か月後です。これまでの平均ということで申し上げれば、判決確定後の平均の収容期間については、約16年と5か月です。
最短と最長については、今現在、当方で正確にお答えすることは困難ですので、後ほど事務方からお答えさせていただきます。