令和2年1月10日(金)法務大臣閣議後記者会見の概要

刑事司法制度の見直しに関する質疑について

【記者】
ゴーン被告人の逃亡を受けて,先日自民党法務部会が開かれまして,議員からGPS着用を求める声が多く挙がりましたけども,法務省は今後どのように対策を講じていくのか,大臣のお考えをお願いいたします。

【大臣】
保釈中の被告人の逃亡を防止して確実に収容できることは極めて重要であると考えております。既にお答えしている内容にはなりますが,どのような見直しが必要かについて,既に検討をさせているところではございますが,近時発生している逃亡事案や,各方面からの御指摘も踏まえつつ,速やかに十分な検討を加速化させてまいりたいと思います。

【記者】
ゴーン被告人に関するものです。今現在レバノン政府は犯罪人引渡条約に入っていないと。日本として現在引渡条約を交わしている国は米国と韓国だけ,米国は約70か国,英国に関しては120か国引渡条約に加盟していると。加盟しない理由として,日本では死刑制度が,それから起訴前の長期の勾留が人権問題ではないかと,そのような御意見がありますが,刑法制度,司法制度の抜本的な見直しは考えていないのでしょうか。

【大臣】
条約については外務省の所管でございますが,我が国の刑事司法制度について質問に含まれておりましたので,お答えをしたいと思います。
我が国の刑事手続について,様々な御指摘,御意見があることは承知しております。しかし各国の刑事司法制度には様々な違いがありまして,これまでの歴史や文化,そして国民の皆様の理解の下に,それぞれの国で積み上げられてきた制度であると思います。制度全体を把握して,理解していただきたいと思っておりまして,個々の制度だけを切り抜いて単純に比較をすることは適切ではないと思っております。その上で,時代の流れや,それからグローバルな動きに即応した見直しを不断にしていくということは重要でございます。これまでも,取調べの可視化など,様々な見直しを国民の皆様とともにしてきたところでございますので,今後もそのような姿勢をしっかりと取ってまいりたいと思います。

【記者】
今後引渡条約を各国と締結していく,条約に加盟していくというお考えはございますか。

【大臣】
条約につきましては外務省の所管でございますので,私からはお答えを差し控えさせていただきます。

【記者】
今回の事例が法務行政にとって障害になっていることもあろうかと思うのですけども,安倍首相が,「企業がもっと活躍できる国」というような方針を述べていらっしゃいますが,ゴーン氏に限らず,海外からの経営者,海外から働きに来られる方が大変多くなると思います。現状に合わせて司法制度を変えていくお考えはございますか。

【大臣】
外務省を始めとした他省庁と連携して,今回のような事案が生じないように対応しているところでございます。また,海外の皆様がこの国で安心して経済活動をできるように,法制度について,今般会社法の改正も行ったところでございます。我が国の司法制度は適正な手続で,適正に運用されておりますので,安心して経済活動を行っていただきたいと思っております。