令和6年6月25日(火)法務大臣閣議後記者会見の概要

死刑制度の在り方に関する質疑について

【記者】
 昨日、日弁連が、死刑制度の廃止を求める要請書を提出しました。
 要請書では、更生と教育に重点を置く、いわゆる拘禁刑の導入が予定されていることも踏まえて、死刑と拘禁刑の理念が相いれないという考え方も示されました。
 こうした意見を踏まえて、改めて制度の在り方に関する大臣のお考えをお伺いします。

【大臣】
 昨日(6月24日)、日本弁護士連合会の渕上会長をはじめ、関係の役員の方々に、法務大臣室へお越しいただきまして、死刑制度の廃止を求める要望書を受け取り、また、懇談させていただきました。
 常日頃、日弁連の先生方が、基本的人権、あるいは社会正義の実現のために、本当に御努力いただいていることに対して、心から敬意を表しますというふうに私からも申し上げました。御礼と感謝と敬意を申し上げました。
 その中で、この死刑の問題についても、どういうお考えで死刑廃止が望ましいと考えられているかという点について、ゆっくりとお話を伺うことができました。
 制度というのは、新しい視点を持ち、新しい角度を持って検討していくことが、常にどの時代、どの制度においても必要なことでして、そういう問題提起をしていただくことは、大変ありがたいことだということも申し上げました。
 ただ、死刑制度については、私からもいくつか申し上げたわけですが、まず、これは基本的な刑事司法制度の根幹の問題であり、それは同意していただいたと思います。
 多くの国民にとって、非常に重要な関わり合いを持つ刑事罰の在り方ですので、国民世論にも、やはり十分配慮する必要があります。
 現在、社会が、様々な人類の歴史を経て形成されてくる過程で、色々な議論や取組があり、また、今もそれが変化しているのですけれども、社会の安定や、それぞれの立場の方々の心の安定といったことについても、きめ細かく、慎重に丁寧に、議論していく必要があると思います、ということを、私からも理解を求めるという形で、お話させていただきました。
 日弁連の皆さんのお気持ちをしっかりと受け止めながら、今申し上げたことについて、引き続き法務省としても、深く考え抜いて、対応を考えていきたいというふうに思っています。
 もう少し具体的に申し上げれば、国民世論のかなり多数の方々が、極めて悪質、凶悪な犯罪については、死刑をやむを得ないというふうに考えておられ、また、多くの方々を傷つけ、殺傷する強盗殺人等の凶悪犯罪が、現実にまだ後を絶たないという状況があります。
 そういった観点からすると、即刻死刑を廃止するということは、現時点では適当ではないと考えているところでもありますが、しっかりと様々な御意見を踏まえていくことが重要だというふうに思います。
 拘禁刑等の関係ですが、拘禁刑は、改善更生を図るために必要な作業・指導を課すものであって、これまでの懲役刑に比べますと、明らかに改善・更生に重きを置くという矯正の仕組みですが、かといって、その応報性を全て無くしてしまうというものではありません。
 ある種、応報性というのはしっかりベースとして残っているわけですので、死刑制度と整合性を欠くということにはならないと思います。