令和6年5月31日(金)法務大臣閣議後記者会見の概要

広島連続保険金殺人事件に関する質疑について

【記者】
 1998年と2000年に発生しました広島連続保険金殺人事件で、死刑が確定しまして、現在広島拘置所に収容されている大山清隆死刑囚についてお聞きします。
 大山死刑囚は死刑の確定から13年が立ちます。彼の息子の大山寛人さんによると、大山死刑囚は、死刑執行を待つ恐怖から精神に変調をきたして、精神的に不安定になっているということです。
 大山寛人さんは、そういった苦しみから父親を開放したいという思いから、大山死刑囚の早期の死刑執行を望んでおられて、先日、その旨を要望する手紙を小泉法務大臣に出されています。
 これについて、まずその手紙をお読みになったかという件と、この要望について、大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】
 法務省には、日々様々な形で御要望が届けられております。
 そして、その中には、事件の御遺族や、また関係者の方々からの御要望も多く含まれておりまして、死刑の執行に関する御要望というのも、もちろんございます。
 ただ、その内容、あるいは個別の要望書の取扱い、提出者、そういった具体的なことに法務大臣の私が触れて明らかにしていくということについては、やはり慎重でなければならないというふうに考えております。
 一般論として申し上げて、死刑の執行を待つ立場にいる死刑確定者の方の心情の安定、これを害することがあってはならないというふうに考えておりまして、個別の要望等について、私からお答えすることは差し控えなければならないというふうに思っていることを、ぜひ御理解いただきたいと思います。
 その上で、一般論として申し上げますと、死刑確定者の処遇にあたっては、その方の心情の安定が得られるようにすることに留意しているところです。

死刑制度に関する質疑について

【記者】
 死刑制度についてですけれども、刑事訴訟法で、死刑判決の確定から執行までは半年以内と定められています。
 ただ、現状守られておらず、判決確定から執行までの期間が、2020年の発表時点で平均7年9か月となっておりまして、この期間が死刑囚によってまちまちとなっている状況です。
 いつ誰に対して刑を執行するかという決定の過程が不透明で、運用が恣意的ではないかという批判もありますけれども、この点について、大臣の見解をお聞かせください。

【大臣】
 個別の死刑執行の判断に関わる事柄を明らかにすることについては、今しがた申し上げましたように、やはり将来の執行の可能性についての推測を招くなど、死刑の執行を待つ立場にある死刑確定者の心情の安定を害するおそれがあるというふうに考えております。
 したがって、いつ、誰に対して死刑を執行するかという、個別の死刑執行の判断に関わる事柄については、やはりお答えを差し控えねばならないというふうに考えておりまして、そこはぜひ、御理解を賜りたいと思います。
 ただ、御指摘がありましたように、刑事訴訟法475条2項本文では、死刑の執行の命令は判決確定の日から6か月以内になさねばならない旨が規定されております。しかし、これは一般的には、訓示規定であるというふうに解されているところです。
 その上で、重ねてですが、死刑執行に関しては個々の事案について、関係記録を十分に精査し、刑の執行停止事由がないかどうか、それから再審事由があるかないか、そういった点を慎重に検討して、これらの事由等がないと認めた場合に、初めて死刑執行命令を発することとしているところです。